「咳が出る病気を知りたい」 「コロナ感染症のあと咳だけがずっと続いている…」 「咳を即効で止める方法はある?」 咳が強かったり長く続いたりすると、なにか大きな病気が隠れていないかと不安になりますよね。 2週間以上咳が続く場合は、風邪以外の病気にかかっているかもしれません。 適切な治療を受ければ改善する病気がほとんどですが、なかには治療が遅れると命にかかわる場合もあります。 この記事では、咳が出る病気の症状・原因や、受診時に知っておくと役立つ咳のタイプなどについて解説します。 咳に対するセルフケア方法やコロナ後遺症との関連についても記載しているので、咳に悩まされている方はぜひ参考にしてください。
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咳が出る病気の一覧

咳はウイルス感染症でとくによくみられますが、細菌感染症・喘息・慢性閉塞性肺疾患(まんせいへいそくせいはいしっかん/COPD)などさまざまな病気であらわれる症状です。

咳が出る病気の症状や原因などを表で確認し、ご自身の症状と照らし合わせてみてください。

<感染性の疾患>

疾患名

症状

咳の特徴

原因

なりやすい人・年齢

治療法

潜伏期間
(平均)

風邪

発熱・咳・痰(たん)・鼻づまり・咽頭痛

  • 乾性から湿性咳になる
  • 2~3週間以上続くこともある(感染後咳嗽:かんせんごがいそう)

ほとんどがウイルス

  • 小児
  • 免疫機能の低下している人

水分補給・安静・対症療法(※2)

病原体によって異なる

インフルエンザ

発熱(38℃以上)・頭痛・全身倦怠感(けんたいかん)・筋肉痛・咳・鼻水

  • 乾性から湿性咳になる
  • 2週間以上続くこともある

インフルエンザウイルス

  • 14歳以下の小児
  • 免疫力の低下している人

対症療法・抗インフルエンザ薬

1~3日間

新型コロナウイルス感染症

発熱・咳・全身倦怠感・頭痛・下痢・結膜炎・嗅覚障害・味覚障害

  • 乾性・湿性咳両方出る可能性がある
  • 後遺症として1年以上続くケースもある

コロナウイルス(SARS-CoV-2)

免疫力の低下している人

対症療法・抗ウイルス薬・中和抗体薬

2~3日間
(長くても7日以内)

RSウイルス感染症

鼻水・咳・発熱・喘鳴(ぜんめい)(※1)

  • 乾性咳から始まり細気管支炎を発症すると湿性咳になる

RSウイルス

2歳以下の乳幼児

対症療法

4~5日間

マイコプラズマ感染症

発熱・全身倦怠感・頭痛・咳

  • 乾性から湿性咳になる
  • 解熱後も長く続くことがある

肺炎マイコプラズマ

1~14歳

抗菌薬

2~3週間

急性気管支炎

咳・発熱・痰

  • 乾性または軽度の湿性
  • 2~3週間以上続くこともある

ほとんどがウイルス

先行する感染症による

対症療法

病原体によって異なる

細気管支炎

鼻水・発熱・咳・喘鳴・呼吸困難

  • 湿性
  • 2~4週間続くこともある

ほとんどがRSウイルス

2歳以下の乳幼児

水分補給・安静・酸素投与・輸液

病原体によって異なる

肺炎

発熱・咳・痰・倦怠感・胸痛・呼吸困難

  • 乳幼児・高齢者:乾性
  • 7歳~成人:湿性

細菌・ウイルス・真菌・喫煙

  • 乳幼児
  • 高齢者
  • 免疫力の低下している人

抗菌薬・抗ウイルス薬・対症療法

病原体によって異なる

肺結核(はいけっかく)

咳・痰・血痰・微熱・胸痛・全身倦怠感・食欲不全

  • 乾性
  • 2週間以上続く

結核菌

  • 乳幼児
  • 高齢者
  • 免疫力の低下している人

抗結核菌薬

半年~2年

(※1)喘鳴(ぜんめい):気道が狭くなり呼吸するときにヒューヒュー・ゼーゼーと音がすること

(※2)対症療法:病気の根本的な原因を治療するのではなく、咳や頭痛などの症状を和らげる治療

[1][2][3][4][5][6][7][8][9][10][11][12][13][14][15][16][17]

 

<非感染性の疾患>

疾患名

症状

咳の特徴

原因

なりやすい人・年齢

治療法

咳喘息

咳・胸痛(喘鳴をともなわない)・喉のイガイガ感

  • 乾性

  • 8週間以上続く

  • 発作的に出はじめる

  • 夕方~明け方に多い

  • 季節性がある

  • 風邪をひいたあとに出やすい

遺伝的要因と環境要因(カビ・ほこり・花粉・タバコ・風邪・気温の変化など)の両方が関与

本人または家族がアレルギー性の症状をもつ人

吸入ステロイド・気管支拡張薬

気管支喘息

咳・喘鳴・痰・呼吸困難・胸部圧迫感

  • 湿性

  • 発作的に出はじめる

  • 夕方~明け方に多い

遺伝的要因と環境要因(カビ・ほこり・花粉・タバコ・風邪・気温の変化など)の両方が関与

本人または家族がアレルギー性の症状をもつ人

吸入ステロイド・気管支拡張薬

アトピー咳嗽(がいそう)

咳・喉のイガイガ感

  • 乾性

  • 3週間以上続く

  • 季節性がある

  • 就寝前~起床時に多い

遺伝的要因と環境要因(タバコ・ストレス・会話・冷たい空気・食べ物・運動など)の両方が関与

  • 中年以降の女性

  • 本人または家族がアレルギー性の症状をもつ人

抗ヒスタミン薬

アレルギー性鼻炎

鼻水・鼻づまり・くしゃみ・鼻漏(びろう)(※3)・咳

  • 湿性

  • 鼻漏によって起こる

遺伝的要因と環境要因(花粉・ハウスダスト・ダニ・カビなど)の両方が関与

本人または家族がアレルギー性の症状をもつ人

抗ヒスタミン薬・鼻閉改善薬・ステロイド

慢性閉塞性肺疾患(COPD)

咳・痰・息切れ・呼吸困難・喘鳴

  • 湿性

  • 起床直後に多くなる

  • 3週間以上続く

ほとんどがタバコ

40~50代の喫煙者

禁煙・吸入ステロイド・気管支拡張薬・呼吸リハビリテーション・酸素投与

胃食道逆流症(GERD)

胸やけ・呑酸(どんさん)・喉の違和感・胸痛・咳・肩こり

  • 乾性

  • 8週間以上続く

  • 会話時・食後・起床直後・横になったときに多くなる

加齢・肥満・暴飲暴食・高脂質・高たんぱくの食事

  • 肥満体形の人

  • 食生活が乱れている人

  • 高齢者

生活習慣の改善・胃酸をおさえる薬(プロトンポンプ阻害薬・抗ヒスタミン薬など)・手術

うっ血性心不全

むくみ・息切れ・倦怠感・咳・痰(赤さび・ピンク色のことも)・冷感・食欲減退・息切れ・不整(ふせいみゃく)脈・急激な体重増加

  • 湿性

  • 横になると多くなる

心筋梗塞・高血圧・弁膜症・不整脈(ふせいみゃく)・肺疾患・薬剤の副作用

  • 高齢者

  • 心臓や肺に疾患のある人

  • 高血圧の人

  • 糖尿病の人

生活習慣の改善・薬物療法

肺がん

咳・痰・血痰・息切れ・倦怠感・発熱・体重減少

  • 湿性

  • 2週間以上続く

ほとんどがタバコ

  • 喫煙者

  • 受動喫煙者

手術・放射線治療・抗がん剤治療

間質性肺炎

咳・呼吸困難・ばち指

  • 乾性

  • 労作性

  • 2週間以上続く

自己免疫性疾患・ほこり・薬

(ほとんどは原因不明)

50~70代

ステロイド薬・免疫抑制剤・抗線維化剤

(※3)鼻漏(びろう):鼻水が喉に流れること

[18][19][20][21][22][23][24][25]

 

<感染性・非感染性どちらも考えられる疾患>

疾患名

症状

咳の特徴

原因

なりやすい人・年齢

治療法

副鼻腔炎

鼻づまり・膿性の鼻水・後鼻漏(こうびろう)・顔面痛・嗅覚障害・倦怠感・頭痛・発熱

  • 湿性

  • 横になると多くなる

ウイルス・細菌・真菌・ほこり・ダニ・タバコ・大気汚染

  • 高齢者

  • 免疫力の低下している人

  • 肥満の人

  • 喫煙者

  • 喘息の既往歴のある人

ネブライザー療法(※4)・血管収縮薬・抗菌薬・手術

後鼻漏症候群

痰・咳・咽頭痛・口臭

  • 湿性

  • 起床時に多くなる

風邪・副鼻腔炎・アレルギー性鼻炎・後鼻孔ポリープ

  • 高齢者

  • 免疫力の低下している人

  • 肥満の人

  • 喫煙者

  • 喘息の既往歴のある人

ネブライザー療法・抗菌薬・漢方薬・鼻うがい・手術

胸膜炎

胸痛・呼吸困難・咳・発熱

  • 乾性

ウイルス・細菌・自己免疫性疾患・肺がん

  • 糖尿病の人

  • 大量の飲酒をする人

  • 喫煙者

抗菌薬・抗ガン剤・手術

(※4)ネブライザー療法:霧状にした薬剤を鼻や口から吸入する治療法[26]

 

表に記載した内容はあくまで代表的なものです。

例外もあるため参考までにとどめ、咳が続く場合は医師の診断を受けましょう。

咳が出るのはコロナの後遺症?

コロナウイルス感染症の後遺症として咳が続くことがあります。

厚生労働科学特別研究事業横山班報告によると、コロナ感染後に咳が残った人の割合は発症後3か月時点で約20%、12か月時点で約5%です。[10]

コロナの後遺症の多くは自然に改善しますが、症状が残るケースも一定数あると報告されています。[27]

ただしコロナ感染症後に続く咳であっても、ほかの病気が原因である可能性もゼロではありません。

咳の症状が改善傾向にあれば様子をみてもよいですが、改善しないまま2週間以上続く場合にはかかりつけ医や医療機関に相談しましょう。

関連記事:新型コロナの止まらない咳症状はどれくらい続く?コロナ後遺症についても解説

咳が出る病気で流行性のものは?

流行性であり咳が出る病気は次のとおりです。

  • インフルエンザ

  • 新型コロナウイルス感染症

  • RSウイルス感染症

  • マイコプラズマ感染症

多くのウイルスは、空気が乾燥する秋から冬に流行ります。

ウイルスと水分を含む飛沫(ひまつ)が乾燥して軽くなり、長時間空気中にただよい続けるためです。

ただし春〜夏にもウイルスは存在し、地域的な流行を起こすことがあるため注意しましょう。

それぞれの感染症の特徴や流行の時期を把握しておくと、咳が出る原因の推定に役立ちます。

[28][29][30][31][32][33][34][35][36]

 

特徴

流行する時期

症状

咳の特徴

なりやすい人・年齢

潜伏期間

インフルエンザ

通常の風邪と比較して、高熱・頭痛・全身倦怠感などの全身症状が強い

12~3月ごろ

発熱(38℃以上)・頭痛・全身倦怠感・筋肉痛・咳・鼻水

  • 乾性から湿性咳になる

  • 2週間以上続くこともある

14歳以下の小児・免疫力の低下している人

1~3日間

新型コロナウイルス感染症

  • 風邪やインフルエンザと症状が似ている

  • 後遺症が数か月~1年以上続くことがある

12~1月・7~8月ごろ

発熱・咳・全身倦怠感・頭痛・下痢・結膜炎・嗅覚障害・味覚障害

  • 乾性・湿性咳両方出る可能性がある

  • 後遺症として1年以上続くケースもある

免疫力の低下している人

2~3日間
(長くても7日以内)

RSウイルス感染症

  • ほとんどが2歳までに感染する

  • 6か月未満の感染で重症化のリスクが高い

11〜1月ごろ

鼻水・咳・発熱・喘鳴

  • 乾性咳から始まり細気管支炎を発症すると湿性咳になる

2歳以下の乳幼児

4~5日間

マイコプラズマ感染症

  • 発熱・頭痛などの初期症状があらわれてから3~5日後に咳が出はじめることが多い

  • 解熱後も3~4週間続くことが多い

10~12月

発熱・全身倦怠感・頭痛・咳

  • 乾性から湿性咳になる

  • 解熱後も長く続くことがある

1~14歳

2~3週間

RSウイルスやマイコプラズマ感染症は子どもがかかりやすい病気ですが、大人もかかる可能性があります。

とくに高齢者では重症化するケースもあるため、家庭内感染に注意が必要です。

咳の種類

咳にはコンコンとした乾いたタイプや、痰のからんだ湿ったタイプなどさまざまあります。

乾いた咳は喘息や気管支炎、湿った咳は細菌性肺炎や慢性閉塞性肺疾患(COPD)など、咳のタイプから病気が推定できることも多いです。[37][19]

咳は体の防御反応のひとつで、気道に異物が入ったり炎症が起こったりすることで発生します。

感染症・アレルギー・ストレス・消化器系の疾患など、原因は多岐にわたります。

咳の種類と考えられる病気は次のとおりです。[38][39]

咳の種類

考えられるおもな病気

乾いた咳(コンコン、コホコホ)

  • 喘息

  • 気管支炎

  • 胃食道逆流症(GERD)

  • マイコプラズマ肺炎

湿った咳(ゼコゼコ、ゴホゴホ、ゲホゲホ)

  • 細菌性肺炎

  • 慢性閉塞性肺疾患(COPD)

  • 後鼻漏症候群

  • マイコプラズマ肺炎

犬のような咳(ケンケン)

  • クループ症候群

  • 心因性咳嗽

発作的な咳

  • 百日咳

  • 喘息

  • クループ症候群

夜間の咳

  • 喘息

  • 副鼻腔炎

  • 胃食道逆流症(GERD)

  • 慢性閉塞性肺疾患(COPD)

咳の種類を理解し適切な診療科を受診すると、スムーズな治療が受けられます。

咳の治療法

咳をしずめるためには、咳の原因となっている病気の治療が重要です。

たとえば細菌による肺炎には抗菌薬が、喘息には気管支拡張薬やステロイドなどが投与されます。

咳の継続期間によっても選択される治療方法が変わります。

「咳嗽に関するガイドライン」によると、急性咳嗽(発症後3週間以内)と、遅延性・慢性咳嗽(発症後3〜8週間・8週間以上)の特徴的な治療法は以下のとおりです。[1]

<急性咳嗽(発症後3週間以内)>

受診時の状態

治療法

膿性痰や咳などの症状が改善傾向にある

経過観察

膿性痰や咳などの症状が改善傾向にない

推定される原因菌に対する抗菌薬の投与

気道に炎症や潰瘍(※)などの病変がある

原因となる病気の治療

(※)潰瘍(かいよう):皮膚や粘膜が傷つき深くえぐれた状態

 

<遅延性・慢性咳嗽(発症後3〜8週間・8週間以上)>

慢性咳嗽のおもな疾患

治療法

咳喘息

気管支拡張薬、ステロイド薬

アトピー咳嗽

抗ヒスタミン薬

副鼻腔気管支症候群(※)

マクロライド系抗菌薬

胃食道逆流症

プロトンポンプ阻害薬(胃酸の分泌をおさえる薬)・抗ヒスタミン薬

慢性閉塞性肺疾患(COPD)・慢性気管支炎

禁煙

(※)慢性気管支炎と副鼻腔炎などが合併した状態のこと

 

急性咳嗽の原因はウイルスや一般細菌による感染性が多く、症状が改善しているようであれば経過観察も可能です。

慢性咳嗽は診断や治療が困難なことも多いため、長く続く咳がある場合は早めに診察を受け、適切な治療を受けられるようにしましょう。

咳を即効で止める方法は?

咳を即効で治す方法はありせんが、すぐに実行でき比較的すぐに効果があらわれるセルフケアはあります。

濡れマスク・部屋の加湿・ハチミツなどは咳をおさえるのに効果的です。

咳はエネルギーを消費し体力の回復を遅らせるうえ、何度も繰り返すと気管を傷つけて炎症を長引かせます。

咳が長期的に続くときは医療機関への受診が望まれますが、仕事や子育てなどですぐに医療機関に行けない方もいるでしょう。

症状の悪化を防ぎ、まわりの人へ感染させないように自分でできるケアをおこなってください。

咳を和らげるための対処法

咳を和らげるポイントは以下の3点です。

  1. 喉を保湿する

  2. 喉の炎症をおさえる

  3. 喉を保湿する

咳を和らげる具体的な対処法を紹介しますので、できそうなことからぜひ試してみてください。

咳の和らげ方

具体的な方法

喉を保湿する

部屋の湿度を40~60%にする

  • 加湿器を使用する

  • 濡れタオルを部屋に干す

喉をうるおす

  • こまめに水分補給やうがいをする

  • 保湿マスク・濡れマスクをする

生活環境を見直す

喉への刺激を避ける

  • 飲酒‧喫煙・カフェインを控える

  • からいものや熱いものを避ける

  • なるべく大声を出さない

ストレスを解消する

  • 気分転換(運動や趣味など)をする

  • 周囲の人と話す

  • 自分の感情を表現(日記やアートなど)をする

  • 深呼吸や瞑想などでリラックスする[40]

十分な休息・睡眠をとる

  • 寝る前の照明を暖色系にする

  • 夕方以降はカフェインをとらない

  • 寝る前はスマホやパソコンを使用しない

  • 有酸素運動を習慣づける

喉の炎症を和らげる

市販品を使用する

  • 喉スプレー・うがい薬を使用する

  • トローチ・のど飴(医薬部外品)などをなめる

ハチミツをとる
(※1歳未満は摂取しないよう注意)

  • ハチミツをなめる

  • ハチミツを水やコーヒーなどにとかして飲む

加湿器を使用したり濡れタオルを干したりして部屋の湿度を上げましょう。

部屋の湿度は40〜60%がよいとされています。[41]

湿度が40%以下になるとウイルスが浮遊しやすく、60%を超えるとカビやダニが発生しやすくなるためです。

喉への物理的な刺激やストレス、睡眠不足などは咳の原因になります。

お酒やからいものなどを避け、ストレスや疲れをためない生活習慣を心がけましょう。

ハチミツには抗菌作用や抗炎症作用があることがわかっており、イギリスの国立医療技術評価機構ガイドラインでは子どもの急性咳嗽にハチミツの使用を推奨しています。[42]

ただし1歳未満の乳児は、ハチミツに含まれるボツリヌス菌により便秘になったり元気がなくなったりします。

過去には死亡例もあるため、1歳未満の子どもには絶対に与えないようにしましょう。[43]

咳の苦しさを軽減する姿勢

咳が出て息苦しくなったときは、楽な姿勢をとり安静にすることが大切です。

外出先で咳の発作が出た場合も無理せずまわりの人に助けを求め、座ったり横になったりできる場所を探してもらいましょう。

息苦しさを楽にする姿勢を知っておけば、急にせき込んで苦しくなったときもすぐに対応できるため、ぜひ参考にしてください。

状況

姿勢

補足

寝ているとき

  • できれば横向きで寝る

  • 仰向けで寝るときは頭を高くする

  • うつぶせや仰向けに比べ横向きは、気道が圧迫されづらいため咳が出にくい

  • 横向きの場合、枕やクッションを両手で抱えこむと姿勢が安定する

  • 仰向けの場合、枕やクッションなどを利用して腰~頭を高くして、膝を曲げると楽になる

椅子に座っているとき

<テーブルがある場合>

両肘をテーブルにつけ前かがみになる

<テーブルがない場合>

両足をしっかりと床につけ、両手を膝におく

テーブルに枕や丸めたタオルなどを置き、両手で抱えこむとより楽になる



立っているとき

<台がある場合>

肘をつける台がある場合は肘をのせて前かがみになる


<台がない場合>

  • 台がない場合は壁に背を向けよりかかり、両手を膝にのせる

  • 壁に両手を重ねておき頭をのせ、壁によりかかる

  • 両足をしっかり地面につけるようにする

  • 壁に両手をつける場合、手の位置が高すぎると息苦しさが増すため注意する

  • 立つことが厳しいときは我慢せずまわりに助けを求めて座れる場所を探してもらう

紹介した姿勢はあくまでも一例なので、自分にとって楽な姿勢をみつけてくださいね。

症状が改善しない場合

咳が2〜3週間以上続く場合や悪化する場合は、医療機関を受診しましょう。

一般的な風邪からくる咳は2週間以内に自然におさまることがほとんどです。

長期間にわたって続く咳は専門的な治療が必要で、放置すると重症化し治療が難しくなります。

咳症状が強い場合は呼吸器内科、鼻の症状がある場合は耳鼻咽喉科など症状に合わせて診療科を選ぶとスムーズな治療を受けられるでしょう。

どの診療科を受ければよいかわからないときは、内科やかかりつけ医に相談すれば問題ありません。

以下に診療科と受診対象者の例をまとめたので、診療科を選ぶ際の参考にしてください。

診療科

受診の対象となる人の例

内科

  • 鼻・喉・気管支・肺など呼吸器系の症状がある人

  • どの診療科を受ければよいかわからない人

呼吸器内科

  • 2週間以上続く慢性の咳がある人

  • 夜も眠れないほどの強い咳がある人

  • 喘息やCOPDなど呼吸器系の持病のある人

耳鼻咽喉科

鼻や喉の症状がある人

心療内科

心因性の咳が疑われる人
(内科や呼吸器内科などで異常がみつからない場合に紹介される)

よくある質問

咳が出る病気についてのよくある質問に回答します。

  • 咳が出る病気の一覧は?

  • 風邪でもないのに咳が出る病気は?

  • 大人が咳が出る病気は?

  • 咳がずっと続いている原因は何ですか?

  • 咳が出るのはストレスが関係している?

自分の咳の原因を推定し適切な対応をとれるよう、ぜひ参考にしてみてください。

咳が出る病気の一覧は?

咳が出る病気はさまざまあり、感染性・非感染性などにわけられます。

<感染性の疾患>

  • 風邪

  • インフルエンザ

  • 新型コロナウイルス感染症

  • RSウイルス感染症

  • マイコプラズマ感染症

  • 急性気管支炎

  • 細気管支炎

  • 肺炎

  • 肺結核

<非感染性の疾患>

  • 咳喘息

  • 気管支喘息

  • アトピー咳嗽

  • アレルギー性鼻炎

  • 慢性閉塞性肺疾患(COPD)

  • 胃食道逆流症(GERD)

  • うっ血性心不全

  • 肺がん

  • 間質性肺炎

<感染性・非感染性どちらも考えられる疾患>

  • 副鼻腔炎

  • 後鼻漏症候群

  • 胸膜炎

咳の原因として最も頻繁にみられるのはウイルスによる風邪です。

乾いた咳から湿った咳に移行することが多く、ほとんどの場合2週間以内におさまります。

2週間以上咳が続く場合は風邪以外の大きな病気が隠れている可能性もあるため、早めに医療機関を受診してくださいね。

風邪でもないのに咳が出る病気は?

風邪以外で咳が出る病気には次のようなものがあります。

  • アトピー咳嗽(アレルギー)

  • 心因性咳嗽

  • 感染後咳嗽

  • 胃食道逆流症(GERD)

  • 肺がん

咳を発生させる原因は、カビ・ほこり・花粉・タバコ・冷たい空気・ストレスなどです。

風邪やインフルエンザ・コロナウイルス感染症のあとも、気管支の炎症が続き咳が出ることがあります。

風邪以外の病気による咳は2週間以上続くことがほとんどです。

適切な治療を受けずにいると生活の質が落ちるのはもちろん、病気によっては重症化したり命にかかわることもあるため、早めに診断を受けましょう。

大人が咳が出る病気は?

風邪・咳喘息・間質性肺炎など、咳が出る病気の多くは大人でもかかります。

大人もかかる咳が出る病気の例は次のとおりです。

  • 風邪

  • インフルエンザ

  • 新型コロナウイルス感染症

  • 咳喘息

  • 肺結核

  • COPD

  • 胃食道逆流症

  • 間質性肺炎

  • 肺がん

RSウイルスは2歳以下、マイコプラズマ肺炎は14歳までの子どもに発症しやすいですが、大人がかからないわけではありません。

家族内に感染者がいる場合は、受診時にその旨を伝えると診断に役立つでしょう。

咳がずっと続いている原因は何ですか?

咳が長く続く原因には次のようなものがあります。

  • 咳喘息

  • アトピー咳嗽

  • 胃食道逆流症

  • 感染後咳嗽

  • マイコプラズマ感染症

  • 気管支炎

  • 肺炎

  • 肺結核

  • 慢性閉塞性肺疾患(COPD)

  • 逆流性食道炎

  • 副鼻腔炎

アレルギーやストレスにより気道にある神経が刺激されると咳が出ます。

感染症後に気道の炎症が残ることも咳が続く原因です。

そのほか咳が続く原因は多岐にわたるため、自己判断せず医療機関に相談しましょう。

咳が出るのはストレスが関係している?

ストレスが原因となって出る咳を心因性咳嗽といいます。

乾いた咳・3か月以上続く・起きている間に起こりやすい・なにかに集中していると出ないなどの特徴があります。[44]

対処法は、運動や趣味などで気分転換する・気の合う人と話す・睡眠を十分にとるなどです。

内科や呼吸器科で問題がないと言われたにもかかわらず咳が続く場合は、心療内科の受診も検討しましょう。

まとめ:咳が続く場合は医療機関を受診しましょう

この記事では、咳が出る病気の特徴や原因、咳を和らげる方法などについて解説しました。

風邪やインフルエンザなどの感染症では、咳は2週間以内におさまります。

一方で気管支炎・肺結核・喘息・COPD・肺がんなどの病気では2週間以上咳が続くことが多いです。

痰がからむタイプの咳なのか、どのタイミングで咳が出やすいかなどを受診時に伝えられるようにしておくと診断・治療に役立ちます。

咳のセルフケアには、加湿器・濡れマスク・ハチミツなどがおすすめです。

ストレスも咳を発生させる要因となるため、自分なりのストレス解消法をみつけ、睡眠・休息をしっかりとるようにしましょう。

咳は発熱や頭痛とともによくみられる症状のひとつですが、大きな病気が原因のこともあります。

たかが咳とあまくみず、2週間以上続いている場合は早めに医療機関を受診しましょう。

参考文献

[1]咳嗽に関するガイドライン(第2版) 総 説|J-STAGE

[2]A-01 かぜ症候群 - A. 感染性呼吸器疾患|一般社団法人 日本呼吸器学会

[3]IDWR注目すべき感染症|国立感染症研究所

[4]小児の感染症と予防接種|KOMPAS

[5]日本の医療データベースから算出された季節性インフルエンザの重症化率|厚生労働省

[6]季節性インフルエンザ(ファクトシート)|厚生労働省検疫所 FORTH

[7]新型コロナウイルス最前線|厚生労働省

[8]IDWR 2020年第16号<注目すべき感染症> 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)|厚生労働省

[9]コロナ後遺症の現状と課題|J-STAGE

[10]新型コロナウイルス感染症 罹患後症状のマネジメント - COVID-19|厚生労働省

[11]新型コロナウイルス治療薬等について|東京都保健医療局

[12]RSウイルス感染症|厚生労働省

[13]小児の感染症と予防接種|KOMPAS

[14]肺炎 | e-ヘルスネット(厚生労働省)

[15]結核|厚生労働省

[16]結核について知ってください|大阪府

[17]結核 Tuberculosis|東京都感染症情報センター

[18]B-01 慢性閉塞性肺疾患(COPD)一般社団法人日本呼吸器学会

[19]Q2. せきとたんが3週間以上続きます。 - 呼吸器Q&A|一般社団法人日本呼吸器学会

[20]胃食道逆流症(GERD)(消化器内科)|KOMPAS

[21]胃食道逆流症(GERD)による 咳嗽|J-STAGE

[22]心不全|KOMPAS

[23]うっ血性心不全|厚生労働省

[24]特発性間質性肺炎(指定難病85)|難病情報センター

[25]85 特発性間質性肺炎|厚生労働省

[26]G-01 胸膜炎 - G. 胸膜疾患|一般社団法人日本呼吸器学会

[27]新型コロナウイルス感染症の罹患後症状(いわゆる後遺症)に関するQ&A|厚生労働省

[28]インフルエンザとは|国立感染症研究所

[29]新型コロナウイルス感染症COVID-19診療の手引き・第2版|厚生労働省

[30]RSウイルス感染症とは|国立感染症研究所

[31]RSウイルス感染症Q&A(令和6年5月31日改訂)|厚生労働省

[32]成人・高齢者におけるRSウイルス感染症の重要性|国立感染症研究所

[33]マイコプラズマ肺炎とは|国立感染症研究所

[34]マイコプラズマ肺炎の発生状況について|国立感染症研究所

[35]マイコプラズマ肺炎|厚生労働省

[36]オープンデータ|厚生労働省

[37]Q1. からせき(たんのないせき)が3週間以上続きます。 - 呼吸器Q&A|一般社団法人日本呼吸器学会

[38]心因性咳嗽の臨床的検討 原 著|J-STAGE

[39]百日咳とは|国立感染症研究所

[40]第2章 心のケア 各論|文部科学省

[41]健康・快適居住環境の指針|東京都福祉保健局

[42]上気道感染症の症状緩和に対する蜂蜜の有効性:系統的レビューとメタ分析|ヒバトゥッラー・アブエルガシムほか

[43]ハチミツを与えるのは1歳を過ぎてから。|厚生労働省

[44]ストレスから続く心因性せき|沖縄県医師会

本記事に掲載されている情報は、一般的な医療知識の提供を目的としており、特定の医療行為を推奨するものではありません。

具体的な病状や治療法については、必ず医師などの専門家にご相談ください。

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