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睡眠障害の原因とは?
睡眠障害は「睡眠環境、生活習慣、医薬品や嗜好品」によって生じる場合と「特定の疾患」によって生じる場合に分かれます。[2]
<睡眠障害の原因となるもの>
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睡眠リズムの乱れ
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ストレスや緊張
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身体的な問題
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精神疾患
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医薬品・嗜好品
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慢性的な睡眠不足
厚生労働省が提供している「健康づくりのための睡眠ガイド2023」に基づき、おもな睡眠障害の原因を解説していきます。
睡眠リズムの乱れ
睡眠リズムの乱れは、寝たい時間に眠れない・起きたい時間に起きられないなど、日常生活に大きな支障をきたす場合があります。[2]
とくに夜ふかしをしがちであったり海外旅行や交代制勤務などで生活パターンが急激に変わったりする場合に、睡眠のリズムは崩れやすくなります。
睡眠リズムが乱れると、寝つきが悪くなったり、早朝に目が覚めやすくなったりすることが多いです。
この状態が続くと、睡眠の質が低下し寝不足や過眠などの問題が生じるため、早期の対処が重要になります。朝に日光を浴びると睡眠リズムを整うケースが多いです。
朝起きられない場合では、家族がカーテンを開ける、カーテンを少し開けたまま眠りにつくなどして、できるだけ太陽の光を浴びられるようにしてみましょう。
ストレスや緊張
日常的なストレスや緊張が積み重なると、寝付けなくなる、眠りが浅くなる、予定より早く目覚めてしまうといった症状があらわれます。
とくに試験やプレゼン、重要な仕事の前日など、緊張や不安が高まる状況では、夜遅くまで寝付けなかったり朝早くに目覚めてしまったりするでしょう。
緊張で一時的に眠れないだけであれば問題ありませんが「また眠れなかったらどうしよう」と不安になることで、長期的な睡眠障害につながるケースがあります。
さらに眠くないのに無理に寝ようとしてベッドに長時間いることが逆効果となり、余計に眠れなくなることもあります。[2]
こうした症状が長期間続く場合、ベッドで過ごす時間を短くしてし、寝つきや眠りの維持に努めてみましょう。
対策しても効果がない場合は不眠症の治療が必要となることもあるため、早めに医療機関を受診しましょう。
身体的な問題
睡眠障害の原因には、身体的な問題がかかわるケースもあります。[2]
次の表の「睡眠中の特徴」に当てはまるところがないかを確認してみましょう。
一時的に呼吸が止まっているかどうかなど自分でわからない部分は、一緒に生活している家族などに確認してもらうのがおすすめです。
身体的な問題 |
原因 |
睡眠中の特徴と影響 |
閉塞性睡眠時無呼吸症候群 |
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睡眠中に呼吸がしづらくなり、酸素が体に行き渡らず眠りが浅くなる。 |
むずむず脚症候群 |
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脚がムズムズすることで眠気はあるにもかかわらず、寝付きが悪くなる。 |
周期性四肢運動障害 |
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四肢の筋肉のピクつきが生じ、睡眠中に目が覚めることが増えて深い睡眠が妨げられる。 |
中枢性睡眠時無呼吸 |
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脳内の呼吸を調節する働きが低下し、睡眠中に呼吸が一時的に止まり寝苦しくなる。 |
注意欠如・多動症(ADHD) |
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睡眠のリズムが乱れやすい。日中の眠気が強くなる場合もある。 |
痛みやかゆみ、咳など |
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症状が気になり夜間に目が覚めてしまい、睡眠不足になる。 |
これらの疾患によって睡眠障害が長く続いている場合は、深い睡眠時間がとれていない可能性があります。
さらに次第に眠気に対して慣れてくるため、眠気を自覚しづらい場合もあります。
寝たときの熟睡感が下がっていると感じた場合や日中の眠気が続き、日常生活に支障が出ている場合は、早めに医師に相談してください。
精神疾患
うつ病や不安症など、精神疾患が原因で睡眠障害を引き起こすことがあります。
精神疾患の症状として、寝つきが悪くなる、早朝に目覚めてそのまま眠れなくなる、眠りが浅くなるといった不眠症状をあらわすことが多いです。
憂うつな気分や不安感、食欲の低下をともなう睡眠障害は精神疾患を疑いましょう。
精神疾患による睡眠障害では、不眠症状だけでなく過眠症状があらわれることもあります。[4]
1日の睡眠時間が10時間以上または普段よりも睡眠にあてる時間が多い状態が、2週間以上続いている場合は過眠とされています。[5]
不眠症状や過眠症状は一時的なものではなく長期的に続くことが多いです。
睡眠の質が悪化し日常生活に支障をきたす前に、早めに医療機関を受診するなど早期の対応を心がけましょう。
医薬品・嗜好品
一部の医薬品には、副作用として睡眠に影響を与えるものも存在します。
必ず副作用が起こるというわけではありませんが、以下の医薬品を服用すると不眠の症状が出る場合があります。
薬を服用している場合は副作用に注意し、日常生活に支障をきたしている場合は医師に相談することが重要です。
カフェインやアルコール、ニコチンなどの嗜好品の摂取が睡眠に影響を与えることがあります。カフェインは寝つきを悪くし、眠りを浅くするため、夕方以降の摂取を避けるように努めましょう。
むずむず脚症候群はカフェインやアルコール、ニコチンの摂取によって症状が悪化する可能性があります。[2]できる限り摂取を控えるようにすると、質の高い睡眠をとれるようになるでしょう。
慢性的な睡眠不足
慢性的に睡眠が不足すると「睡眠不足症候群」という状態を引き起こします。この状態では、日中に強い眠気を感じたり、居眠りをしたりすることが多くなります。[2]
仕事や学業などで睡眠時間を削ることが増え、睡眠不足が慢性化している人も少なくありません。
最近では、日本人の平均睡眠時間が減少しており、睡眠障害の一因となっています。[4]
睡眠不足が続くと集中力や判断力が低下し、健康にも悪影響を与えるため、睡眠は非常に大切です。
睡眠不足は数日では解消されない場合もあります。日頃から質の高い睡眠や十分な睡眠時間を確保できるように取り組んでいきましょう。
年齢や性別ごとの睡眠障害の特徴
睡眠障害は年齢や性別によって特徴が異なり、それぞれのライフステージにおける生活環境や体の変化が睡眠に影響を与えます。
ライフステージの変化 |
睡眠障害の特徴 |
思春期~若年者 |
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働く世代 |
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高齢者 |
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女性はホルモンの変動が睡眠に大きな影響を与えます。
とくに生理前の黄体期には、プロゲステロンが増加することで睡眠の質が悪化し、浅い眠りになりやすいです。日中の眠気や疲労感を強く感じることがあります。[2]
また妊娠中や産後の育児中などにおいては、ホルモンの変化だけでなく体調や生活リズムの変化も睡眠にとって悪影響です。
妊娠中は頻繁なトイレでの途中覚醒、寝づらさが影響し、睡眠の質が低下します。
育児期間中では夜間の授乳や赤ちゃんの泣き声で十分な睡眠をとれない場合が多いです。
この期間においては女性の睡眠時間をしっかりと確保できるよう、周りの理解とサポートが非常に大切です。
更年期にはホルモンの急激な変動で寝つきが悪くなり、夜中に目が覚めることが増えます。ホルモンの影響による睡眠障害は、自身の体調管理と心のケアが必要です。
早期に対策し、良好な生活を送れるように心がけましょう。
よい睡眠とは
よい睡眠は単に長時間寝ることではなく、睡眠の量(睡眠時間)と質(睡眠休養感)が十分に確保されていることを指します。[2]
睡眠時間が短すぎたり、質が低かったりすると、体と心は十分に回復できません。
よい睡眠は「寝た時間の長さ」だけでなく、眠りがどれほど質の高いものであったかという点が重要です。
必要な睡眠時間は年齢や個人の体質、季節によって異なります。年齢を重ねると、一般的に必要な睡眠時間は短くなります。
若い頃は8時間以上の睡眠が推奨される一方で、65歳では約6時間程度の睡眠で十分です。
睡眠には個人差があり、持病によっても睡眠の状態が変化したり、ロングスリーパーの人は10時間以上の長い睡眠が必要であったりします。
さらに季節によっても睡眠の必要量は変動することが知られています。
冬は日照時間が短くなるため、睡眠時間が自然と長くなり、夏は暑さや日照時間の長さにより睡眠時間が短くなるケースが多いです。
つまり、よい睡眠ができているか見極めるためには「睡眠で休めた感覚があるかどうか」が重要な指標となります。
よい睡眠が得られない場合は免疫力が下がり、心血管疾患や糖尿病、うつ病などの疾患リスクや寿命短縮リスクが高まるなど健康への影響が報告されています。[13]
もし「睡眠が満足にとれていない」と感じたり、日中に強い眠気を感じたりする場合は、睡眠障害になっているかもしれません。
睡眠障害について理解することで、医療機関を受診した場合に自分の症状を正確に伝えられるでしょう。
不眠症状4つのタイプ
睡眠障害になると満足に眠れない「不眠症状」に悩まされることが多くなります。不眠症の症状は睡眠の質と覚醒の頻度によって4つのタイプに分かれます。
不眠症状のタイプ[13] |
特徴 |
入眠障害 |
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中途覚醒 |
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早朝覚醒 |
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睡眠休養感の低下(熟眠障害) |
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睡眠障害で悩んでいる場合、医療機関での治療も重要な選択肢の一つです。
自分の症状がどのタイプに該当するかを理解しておくことで、専門医との相談がしやすくなり、適切な治療を受けるうえで役立ちます。
睡眠障害にあてはまるかチェック
睡眠障害の疑いがある場合、まずは自分自身の睡眠状態をチェックしてみることが重要です。
睡眠についてのセルフチェックや、いびきをしているかどうか家族に聞き取り調査をおこなうことで睡眠障害にあてはまるか調べていきましょう。
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睡眠中に息が止まることがあるか
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睡眠中の強いいびきと、日中の過剰な眠気があるか
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とくに夕方~夜間にかけて脚がムズムズして、動かしたくなる症状があるか
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夜間に脚のピクつきがあるか
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十分な睡眠時間をとっても日中に過剰な眠気があるか
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突然、寝落ちしてしまうことがあるか
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睡眠中に大声を出したり叫んだりすることがあるか
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夢と同じように手足を動かしたり、歩き回ったりすることがあるか
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明け方まで寝付けず、翌日の昼過ぎまで起きられないことがあるか
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起床時刻が定まらず徐々に遅れているか
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朝起きられないことによって社会生活(学校、会社など)に支障をきたしているか
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寝つきに時間がかかる、途中で何度も目が覚める、早く目が覚めることで苦痛を感じているか
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睡眠の問題によって日中の眠気や疲労感などが強いか
睡眠に問題があると感じていて上記の項目に1つでもあてはまるものがある場合、睡眠障害の可能性があります。
生活習慣を見直したり、専門的な医師の相談を検討したりすることをおすすめします。[4]
睡眠障害を改善するセルフケアとは
睡眠障害を改善するためには、生活習慣や睡眠環境の見直しが効果的です。
自分でできることを試し、睡眠の質を向上させましょう。簡単に実践できる方法をいくつかご紹介します。
睡眠障害を改善する方法 |
具体的な方法 |
生活リズムを整える | |
睡眠環境を改善する | |
食事を改善する | |
ストレス解消をする |
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これらの方法を試してみても、睡眠の質が改善されない場合や、日中の眠気や疲れが続く場合は、医療機関を受診し相談することをおすすめします。
睡眠障害の種類や重症度によっては、より専門的な治療が必要となることもあります。早期に対処し快適な睡眠を取り戻しましょう。
睡眠障害について知っておきたいこと
ほかに睡眠障害について知っておきたいことをまとめます。睡眠障害への理解を深めるために参考にしてみましょう。
睡眠障害と不眠症の違い
睡眠障害とは、睡眠や覚醒に関するさまざまな問題を指す総称です。不眠症も睡眠障害の一つに分類されます。
不眠症は「寝付けない」「途中で目が覚めて再び寝付けない」「早朝に目が覚めて眠れない」といった症状が持続する状態です。
これにより日常生活に支障をきたすことがあり、うつ病や心血管疾患、糖尿病などの生活習慣病、日常における集中力や意欲の低下を引き起こします。
スマホは睡眠障害の原因になる?
スマートフォンやパソコンが発するブルーライトは、睡眠障害を引き起こす原因です。
ブルーライトはとくに夜間に長時間浴びることで、眠気を促すホルモン「メラトニン」の分泌を抑制し眠気を減少させます。[16]
そのため寝る前はなるべくスマートフォンやパソコンの使用は避けたほうがよいでしょう。
どうしてもスマートフォンやパソコンを寝る前に使用したい場合は、ブルーライトカットのメガネを使用したり、夜間モードを設定したりすることでブルーライトの影響を減らせます。[17]
睡眠障害になりやすい人っているの?
「この条件にあてはまれば必ず睡眠障害になる」という決まった法則はありませんが、特定の環境や心理的な要因が影響しやすいです。
交代制勤務やシフト制勤務などで生活リズムが乱れやすい環境にいる人や、仕事やプライベートでストレスを強く感じている人は睡眠障害に陥りやすいと言われています。
また「眠ろうと努力する」「眠れないことに不安を感じる」人ほど、逆に眠れなくなる傾向があります。[18]
眠れないことへの強い焦りで心身をさらに緊張させてしまうためです。
寝付けない場合は無理に寝ようと考えずに、読書をしたりアロマを焚いたりしリラックスして心身の緊張をゆるめましょう。
まとめ|睡眠障害の原因は人ぞれぞれ。自分で改善できないときは医療機関で適切な治療を受けよう
睡眠障害には睡眠リズムの乱れやストレス、身体的な問題(閉塞性睡眠時無呼吸症候群やむずむず脚症候群など)、精神疾患(うつ病や不安症)、生活習慣や薬の影響など、さまざまな原因があります。
また年齢や性別によって睡眠障害の特徴が異なり、それぞれのライフステージにおける生活環境や体の変化が睡眠に影響を与えます。
働く世代では交代制勤務やストレスが原因で不眠が起こりやすく、高齢者では深い眠りが減少しやすいです。
睡眠の質を高めて睡眠障害を治すために、生活リズムを整え、睡眠環境を改善する、食事やストレス解消に注意を払いましょう。
ただし対策しても改善がみられない場合や日中の眠気や疲労感が続く場合は、医療機関を受診し治療が必要なケースもあります。医師に相談することをおすすめします。
ファストドクターのオンライン診療(心療内科・精神科)なら、処方薬の配送や診断書のオンライン発行に対応しています。診察は健康保険適用。お支払いはクレジットカードもしくはコンビニ後払いです。
参考文献
[1]国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター(NCNP)
[16]健康な成人における夜間のブルーライトありとなしのスマートフォン使用の影響:ランダム化二重盲検クロスオーバープラセボ対照比較
本記事に掲載されている情報は、一般的な医療知識の提供を目的としており、特定の医療行為を推奨するものではありません。
具体的な病状や治療法については、必ず医師などの専門家にご相談ください。