セディールをやめると離脱症状が起きるの?対処法についても解説

公開日: 2025/10/25 更新日: 2025/10/25
セディール(タンドスピロン)の服用をやめたいけれど「離脱症状が起きるのではないか」と不安になる人は多いのではないでしょうか。 離脱症状とは、薬を減らしたりやめたりするときにあらわれる不安や不眠、倦怠感、動悸などの不快症状を指します。 セディールは他の抗不安薬と比べて、依存や離脱症状が起こりにくいとされている薬です。 しかし、全ての人に離脱症状が起こらないわけではなく、人によっては減薬や中止の過程で体調に変化を感じるケースもあります。 そのため、薬の安全なやめ方や、その際にどのような影響が出るのかを理解しておくことで、不安を軽減しながら治療を進めていけるでしょう。 本記事ではセディールの離脱症状が起こる可能性やメカニズム、他の抗不安薬との違い、安全に減薬や中止をする方法について解説します。
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目次

セディールで離脱症状は起こるの?

セディールは離脱症状が起こりにくい抗不安薬ですが、まったく起こらないわけではありません。

とくに長期間服用した場合や、急に減量・中止した場合は注意が必要です。

あらかじめメカニズムと合わせてどのような症状があらわれるかを知っておくと、対処しやすく不安の軽減にもつながり、治療を続けやすくなるでしょう。

セディールの離脱症状

セディールを減薬・中止した際に起こりうる離脱症状は、以下のようなものがあります。

  • 不安感の再燃

  • 不眠

  • 焦燥感

  • 抑うつ気分

  • 身体のこわばり・筋緊張の増加

  • 動悸・過呼吸などの自律神経症状

セディールは離脱症状が少ないため、あらわれる症状が「離脱症状」なのか「原疾患の再発(リバウンド現象)」なのか、区別が難しい場合があります。

離脱症状は服用中止後数日からあらわれ、数週間かけて自然と落ち着くことがほとんどです。

しかし、不安感や不眠、焦燥感などの症状が原疾患の再発によるものであれば、適切な治療が必要です。軽い症状でも医師に相談しましょう。

離脱症状はなぜ起きるのか

セディールの離脱症状が起きるのは、脳内の神経伝達物質のバランスが一時的に崩れることが原因です。

セディールは脳内の5-HT1A受容体へ作用し、気分の安定や睡眠の質の向上、ストレス耐性を高める神経伝達物質「セロトニン」の働きを調節します。

薬を減らしたり中止したりすると受容体への刺激がなくなり、セロトニンなどの神経伝達物質のバランスが一時的に崩れ、不安や不眠といった症状があらわれるのです。

また、薬を中止したことへの心理的負担が、不安や焦燥感となってあらわれることもあります。 [1]

離脱症状は個人差が大きい

離脱症状があらわれやすいかどうかは、体質や服用期間、服用量、他の薬との併用状況など、さまざまな要因によって変わります。

一般的には服用期間が長く、服用量が多いほど離脱症状はあらわれやすいです。

また、社会復帰や日常生活に戻る際に感じる不安の強さも人によって違います。

減薬や中止に向けたスケジュールは人それぞれ異なるため、医師やカウンセラー、周囲のサポートを受けながら焦らず進めることが大切です。

セディールとベンゾジアゼピン系薬との違いは?

セディールとベンゾジアゼピン系薬の最も大きな違いは、依存性や離脱性、耐性の有無です。

以下の表に、セディールとベンゾジアゼピン系薬のおもな違いをまとめました。

 

セディール

ベンゾジアゼピン系薬

分類

非ベンゾジアゼピン系抗不安薬

ベンゾジアゼピン系抗不安薬

主な作用部位

セロトニン(5-HT1A)受容体

GABA-A受容体

効果発現

遅い

早い

依存性

ほとんどない

あり

離脱症状

非常に少ない

あり

耐性

ほとんどない

あり

注意すべき副作用

セロトニン症候群

(他のセロトニン薬併用時)

記憶障害(健忘)

筋弛緩作用

呼吸抑制

セディールは効果があらわれるまでにおよそ2週間かかり、効き方が穏やかなため、依存性や離脱症状、耐性が少ないとされています。

また、副作用が少ないことから、長期間の服用や高齢者に使いやすい特徴があります。

ただし、他のセロトニン系の薬と併用すると、まれにセロトニン症候群を引き起こすことがあるため注意が必要です。

セロトニン症候群とは、脳内でセロトニンの働きが過剰になり不調をきたす、重篤な副作用の一つです。

一方、ベンゾジアゼピン系薬は 依存性や離脱症状、耐性のリスクが高く、眠気やふらつきなどの副作用があらわれやすい傾向があります。

とくに高齢者ではふらつきによる転倒リスクがあり、慎重な使用が求められます。[2]

また、ベンゾジアゼピン系薬からセディールに切り替えるときは注意が必要です。

セディールは離脱症状が非常に少ない薬ですが、ベンゾジアゼピン系薬から急に切り替えると退薬症候があらわれることがあります。

退薬症候とは、薬に対する身体依存が形成されたあとに薬を急に中止するとあらわれる、不眠、不安、イライラ感、頭痛、めまい、吐き気、集中力低下などの不快な症状です。

ベンゾジアゼピン系など依存性のある薬でよくみられます。

薬を切り替えたタイミングで退薬症候が疑われる症状があらわれた場合は、医師に相談し、指示を受けましょう。[3]

セディールの依存性が少ない理由

セディールの依存性が少ない理由の一つに、ベンゾジアゼピン系薬とは異なり、GABA受容体を刺激しないことがあげられます。

ベンゾジアゼピン系薬はGABA受容体を刺激し、脳内でドーパミンを放出します。ドーパミンは喜びや充足感をもたらす神経伝達物質です。

薬の服用を繰り返すと脳はドーパミンの刺激に慣れてしまい、さらに多くのドーパミンを求めるようになります。

その結果「もっと薬を飲みたい」という欲求が強まり、依存が形成されやすくなるのです。

一方で、セディールはGABA受容体を刺激しません。また、効果のあらわれ方が穏やかなので、服用を中止しても、急激に気分を変化させることはないのです。

穏やかな作用により、服用を中止しても「薬をもっと飲みたい」と感じにくく、依存性が低くなります。

依存性の少ないセディールは、薬をやめたいと思ったときでも過度な不安を感じにくく、安心して治療を続けられる薬と言えるでしょう。

セディールの減量・中止方法

セディールを減量・中止するときは、離脱症状を最小限に抑えるために、段階的におこなう必要があります。

依存性が少なく離脱症状が起きにくいセディールですが、急な減量・中止で不安や不眠があらわれることがあります。

これらの症状は徐々に改善しますが、必ず医師と相談しながら進めていくことが大切です。

徐々に量を減らしていく

セディールを減量・中止するときは漸減法(ぜんげんほう)が原則とされています。漸減法とは薬の量を段階的に減らしていく方法です。

セディールは急にやめてしまうと、それまで薬によってコントロールされていた脳内の神経伝達物質のバランスが、一時的に崩れてしまうことがあります。

これにより、不安や不眠の症状がでてしまうのです。

急な中止はせず、薬の量を段階的に減らしていけば、体や心が薬の量の変化に適応でき、離脱症状のリスクを最小限に抑えられます。

医師の指示に従いながらおこなう

「薬をやめたい、減らしたい」と決意を固めたときは、すぐに中止したいと思ってしまうものです。

しかし、自己判断での急な中止は、離脱症状や反跳現象(リバウンド)を引き起こす可能性があり、逆に薬をやめるまでに時間がかかってしまうことになります。

まずは医師に、自分が薬をやめてもいい状態かどうか確認しましょう。

セディールは比較的安全な抗不安薬とされていますが、減量や中止は医師に相談しながら計画的におこなう必要があります。

数週間から数か月のスケジュールで減量していく方法が一般的です。

途中で症状がぶり返したり新たな症状がでたりした場合は、医師と相談してスケジュールを見直します。

また、減薬中は身体面だけでなく、精神面のケアも大切です。

仕事や人間関係、社会復帰に不安を感じる場合は医師やカウンセラーに相談して、無理のないスケジュールで進めることを心がけましょう。

離脱症状があらわれたらどうする?

離脱症状があらわれたら、まずは処方された医療機関に連絡して指示を受けましょう。

不安に感じるかもしれませんが、症状は一時的なもので、適切な対処で徐々に改善します。

また、生活習慣を整えたり、認知行動療法などの非薬物療法を取り入れたりすることは、離脱症状を軽減するのに効果的です。

症状を軽減する方法をあらかじめ知っておくと、症状がでても減量・中止のスケジュールを継続しやすくなります。

安心して治療を進めるためにも対処法を把握しておきましょう。

離脱症状を軽減するためには?

離脱症状の軽減には、薬の調整だけでなく、生活全般を整えることが効果的です。

とくに 規則正しい生活リズムやバランスのとれた食事、適度な運動、心理療法などは、離脱症状を和らげ、セディールの減量・中止を進めていく助けになります。

以下の表に、離脱症状を軽減する具体的な方法と期待される効果をまとめました。

離脱症状を軽減する方法

期待される効果

規則正しい生活リズムの維持

一定の時間に就寝・起床をすると体内時計が整い睡眠の質が向上し、感情の安定やストレス耐性が高まります。[4]

バランスのとれた食事

体の回復力を高めます。セロトニンの材料となるトリプトファンを含む食品(大豆製品、乳製品、卵、カツオ、肉類など)を取り入れると、気分の安定などが期待できます。[5]

適度な運動

ウォーキングやジョギングなど適度な運動は、セロトニンの分泌を促したり体内時計を整えたりして、気分を安定させ、睡眠の質を向上させます。

認知行動療法(CBT)などの心理療法の活用

物事の捉え方や思考のクセを理解して、不安な気持ちを和らげます。

これらの方法を無理なく実践することが、離脱症状の軽減につながります。まずはできることから始めてみましょう。

よくある質問(FAQ)

セディールの離脱症状に関して、よくある質問にお答えします。

セディールは一生飲み続けないといけないの?

一生飲み続けなければいけない薬ではありません。

症状が改善し、医師が再発のリスクは低いと判断した場合は中止に向けて減薬などを検討 します。

症状が落ち着いてきたら、医師と相談しながら減薬のスケジュールをたてるのがよいでしょう。

減薬中に不安が強くなったらどうすればいい?

減薬中に不安が強くなったり体調が悪くなったりした場合は、一般的に以下の方法で対処します。

  • 一時的に薬の量を戻す

  • 減薬のペースを落とす

  • 症状に対する補助的な薬の服用を検討する

対処法の選択については自分の判断ではおこなわず、医師に連絡して指示を受けましょう。

セディールの他に離脱症状の少ない抗不安薬はある?

セディール以外に、抗ヒスタミン剤のヒドロキシジンや漢方薬の抑肝散などがあります。

ただし、離脱症状のリスクは個人差が大きく、まったく起きないわけではありません。

薬の選択については、ご自身の状態や希望を医師に伝えて、医師と一緒に決めていくことが重要です。

一番つらい時期はいつですか?

離脱症状のピークは減薬から数日後とされています。

この時期は脳内の神経伝達物質のバランスが崩れ、体がその変化に対応できず、不安や不眠などの症状があらわれやすくなります。

通常、これらの症状は徐々に軽減していく傾向があり、症状があらわれても正しく対処できれば、減薬を進めることが可能です。

自分だけで判断せず、体調の変化があったときは速やかに医師に相談しましょう。 [6]

まとめ|セディールの離脱症状を正しく理解しよう

セディールは、離脱症状のリスクが低いとされている抗不安薬です。

ベンゾジアゼピン系抗不安薬と比べて依存性や耐性も少ないため、長期服用や高齢者にも適した薬です。

しかし、まれに急な中止で不安や不眠などの離脱症状を生じることがあります。

一般的にセディールを中止する際は、薬の量を徐々に減らしていく「漸減療法」が有効です。

もし離脱症状が出ても正しく対処できれば、多くの場合は減量を進めていくことが可能です。

セディールの減量や中止は必ず医師と相談しながら、無理せず進めていくようにしましょう。

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参考文献

[1]セロトニン(せろとにん)|厚生労働省

[2]抗不安薬 - 脳科学辞典

[3]医療用医薬品 : セディール

[4]快眠と生活習慣

[5]食品成分ランキング

[6]医療関係者の皆様へ|厚生労働省

本記事に掲載されている情報は、一般的な医療知識の提供を目的としており、特定の医療行為を推奨するものではありません。

具体的な病状や治療法については、必ず医師などの専門家にご相談ください。

症状に対する診断やお薬の処方、診断書や傷病手当金申請書の記載内容は医師の判断によります。

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