セディール(タンドスピロン)は太る薬ではない?服用のデメリットや効果について解説

公開日: 2025/09/12 更新日: 2025/09/12
「セディールを服用すると体重が増えてしまうのでは?」と不安になっていませんか? 精神的な薬で太る可能性があるなら、服用をやめたいと思う方もいるかもしれません。 セディールで体重が増加する可能性はほとんどないと考えられます。 むしろ自己判断で急に服用を中止すると、まれに予期せぬ副作用が生じることがあります。 安心して治療を続けるためには、薬への正しい知識が重要です。 本記事では、セディールと体重増加の関係と知っておきたい注意点について解説します。 服用する薬について十分に理解することが、不安を和らげる一助にもなります。 ご自身に合った治療を続けるためにお役立てください。
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セディール(タンドスピロン)で太る副作用はまれ

セディールの安全性を確認する臨床試験では体重増加に関する副作用報告はありません。

セディールが直接的に体重増加を引き起こす心配は少ないと考えられます。

ただし不安な気持ちが強く、今までより活動量が減ると、結果的に太ってしまうことは考えられます。

また吐き気や食欲不振、腹部の不快感などの副作用が起こることがあり、これらの影響で反対に体重が減るケースもあります。[1]

こうした消化器症状は一時的なものであり、服用を続けるうちにやわらぎますが、改善しない場合は早めに医師に相談してください。

セディールを服用するデメリット

セディールのおもなデメリットには、作用が弱く即効性がないことや、人によっては副作用が生じることが挙げられます。

【セディールを服用するデメリット】

  • 不安をやわらげる効果が弱い[1]

  • 副作用(眠気、めまい、頭痛、吐き気など)が起こる可能性がある

  • 十分な効果があらわれるまで時間がかかる[2]

  • 頓服としての使用には向いていない

セディールは軽度から中等度の不安症状に対して有効とされる薬です。作用がゆるやかなため、強い不安には効果が期待できないことがあります。[1]

また、効果が安定するまでには2週間近くかかるとされています。[3]

人によっては数週間程度かかるため「今すぐ不安な気持ちを落ち着かせたい」といった緊急のケースには対応が難しいとされています。

副作用は比較的少ないとされますが、完全ではありません。人によっては眠気や頭痛などが生じる場合もあります。

デメリットを知ると「自分の症状に合っているのかな?」と心配になる人もいるかもしれません。

疑問や不安があれば、まずは医師に相談しましょう。

症状を悪化させないために、自己判断で薬を中止したり量を減らしたりしないでください。

セディールの服用方法と実際に効果があるのかについて

セディールは、1日3回を基本に服用し、毎日続けることで効果を発揮します。

脳内の「セロトニン1A受容体」に作用し、比較的軽めの不安や緊張に効果を示します。

以下の表に、セディールの服用方法や効能・効果、症状改善率などをまとめました。[1][4]

服用方法(成人)

  • 1日3回服用
  • 1回30mg(症状に応じて最大60mgまで増量)

効能・効果

  • 神経症における抑うつ、恐怖
  • 心身症(自律神経失調症、本態性高血圧症、消化性潰瘍)における身体症候、抑うつ、不安、焦躁、睡眠障害

臨床試験の症状改善率

<心身症>

  • 自律神経失調症:80.0%
  • 本態性高血圧症:85.3%
  • 消化性潰瘍:91.8%

<神経症>72.8%

体内での濃度の変化

  • 最大血中濃度:服用後0.8~1.4時間
  • 半減期※:服用後1.2~1.4時間

※半減期:体内の薬物濃度が半分になるまでの時間。効果の持続時間の目安になる

セディールは半減期が短い薬であり、体内に長くとどまりません。

また長期間服用しても、作用の持続時間はのびません。安定した効果を得るには、毎日指示どおり続けることが重要です。

強い不安には不十分なものの、軽度から中等度の不安や緊張には効果が期待できる薬です。臨床試験では、症状改善結果が報告されています。

ただし効果には個人差もあります。ご自身の症状に合っているかどうかを医師と一緒に確かめながら、焦らず治療を続けましょう。

離脱症状があらわれる?

セディールは依存性がほとんどなく、一般的な離脱症状はあらわれにくいと考えられています。

ただし急な減量や中止によってごくまれに「悪性症候群」という副作用が生じた例が報告されています。

悪性症候群とは抗精神病薬や抗不安薬の急な中止・減量で生じ、おもに以下の症状をともないます。

【悪性症候群の症状例】[4]

  • 発熱
  • 意識障害
  • 強い筋肉のこわばり
  • 発汗、頻脈 など

悪性症候群のほとんどが中止や減薬後1週間以内に起こるとされています。[5]

体調変化がみられた場合には、体を冷やし水分補給するなどすみやかな対応が必要です。[4]

副作用が心配で服薬に抵抗がある人もいるかもしれませんが、急に中止するとかえって体調変化につながる可能性もあります。

決して自己判断で中止や減量せず、不安な場合はかならず医師に指示を仰ぎましょう。

太っているからセディールが効かないというのは本当?

体型によってセディールの効果が変わるという医学的な根拠はありません。

添付文書や専門資料にも、体型や体重が薬の効き目に影響するという記載はありませんでした。

薬のなかには体重に応じて用量を増減させるものもありますが、セディールは体重によって服用量を調整する必要はなく、効果も左右されないのです。

効果を感じにくい場合は、薬が症状の程度に合っていないケースが考えられます。

ご自身の状態を医師に詳しく伝え、治療方法の見直しなどを検討してもらいましょう。

セディール以外の精神安定剤で太りやすい薬はある?

精神安定剤によってかならず体重が増えるわけではありませんが、一例を紹介します。

精神安定剤で、体重増加の副作用が報告されている薬はおもに以下の分類です。

  • 抗精神病薬

  • 抗うつ薬

これらの薬は脳内で食欲を調整するしくみに作用し、満腹感を伝える働きを弱めるため、食欲が増すことがあります。

また眠気によって日中の活動量が減少することも、体重が増える要因となり得ます。[6]

以下の表には、体重増加が報告されている薬の一例を挙げました。

分類

薬の名前

特徴

抗精神病薬

オランザピン[7]

  • 20.1%の頻度で体重増加の報告あり
  • 糖尿病の人には使用できない
  • 肥満の徴候があらわれたら、食事・運動療法が推奨される

クエチアピン[8]

  • 1~5%未満の頻度で体重増加の報告あり
  • 糖尿病の人には使用できない
  • 肥満の徴候があらわれたら、食事・運動療法が推奨される

クロザピン[9]

  • 18.2%の頻度で体重増加の報告あり
  • 肥満の徴候があらわれたら、食事・運動療法が推奨される

パリペリドン

  • 5%以上の頻度で体重増加の報告あり

抗うつ薬

アミトリプチリン

  • 0.1~5%未満の頻度で体重増加の報告あり

パロキセチン[10]

  • 10%未満の頻度で体重増加の報告あり

ミルタザピン[11]

  • 5%以上の頻度で体重増加の報告あり

体重増加を心配し自己判断で中止すると、症状が悪化したり副作用が生じたりする可能性もあります。

ささいなことでも心配ごとは主治医に相談し、ご自身に合った薬の種類や治療法をみつけていきましょう。

よくある質問

精神安定剤によって太るのではないかと副作用が心配になりますよね。

疑問がある方はこちらを確認し、必要に応じて不安な気持ちを医師に相談しましょう。

精神安定剤で太りやすい種類は?

精神に関わる薬のうち、抗不安薬で体重が増えることは考えにくいとされています。

一方、抗精神病薬や抗うつ薬では、体重が増加することがあります。脳内で満腹感を伝える働きが抑えられ、食欲が増すことがあるためです。

また薬の影響で眠気やだるさが出ると、活動量が減り、結果として体重増加につながることもあります。

以下の分類は、体重増加の副作用が確認されている薬の一例です。[12]

【抗うつ薬】

抗うつ薬の分類

薬の名前

体重増加の頻度

SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)

パロキセチン

NaSSA(ノルアドレナリン作動性・特異的セロトニン作動性抗うつ薬)

ミルタザピン

++

三環系抗うつ薬

クロミプラミン

++

イミプラミン

++

アミトリプチリン

+++

四環系抗うつ薬

ミアンセリン

マプロチリン

++

【抗精神病薬】

抗精神病の分類

薬の名前

体重増加の頻度

SDA(セロトニン・ドパミン遮断薬)

パリペリドン

++

MARTA(多元受容体作用抗精神病薬)

クロザピン

+++

オランザピン

+++

クエチアピン

++

第一世代抗精神病薬

ハロペリドール

++

クロルプロマジン

++

全ての人に副作用が起こるわけではありません。

情報を聞いて不安になるかもしれませんが、正しい情報を知ることは、今後安心して治療を続けるために大切です。

「薬で太るのでは…」といった心配が、病状を悪化させる引き金にもなります。

不安な気持ちはひとりで抱えず医師に伝え、自分にとって最適な治療を進めましょう。

セディール錠の副作用は?

セディール錠のおもな副作用としては、眠気やふらつきなどが報告されています。

これらは一時的にあらわれることが多く、服用を続けるうちに落ち着く傾向があります。

ただし、まれに重大な副作用も報告されており注意が必要です。

【セディールの副作用】[4]

おもな副作用

重大な副作用

  • 眠気、ふらつき、めまい
  • 頭痛、頭重、不眠
  • 吐き気、食欲不振
  • 動悸 など
  • 悪性症候群(発熱、筋肉のこわばりなど)
  • 肝機能障害(だるさ、黄疸など)
  • セロトニン症候群(興奮、発汗、震えなど)

とくに悪性症候群は、急な服用中止や減量で起こります。自己判断で薬の調整はしないでください。

セディールは比較的安全性の高い薬ですが、副作用が起こる可能性はあります。

体調変化がある場合はすみやかに主治医に相談しましょう。

まとめ|セディールで太ることが心配なら一度医師へ相談を

セディールの副作用として体重増加は報告されていません。

依存性をはじめ副作用の心配が比較的少ない薬ですが、効果が安定するまでは数週間かかります。

強い不安には対応できないこともあります。

太ることを心配して自己判断で服用量を変えたり急に中止したりすると、かえって予期せぬ体調変化を引き起こす可能性があります。

不安な気持ちはひとりで抱えず、かならず医師に相談してください。

精神安定剤のなかには、体重増加が報告されている薬もあります。

もし体重変化や副作用が気になる場合は、主治医と相談しながらご自身に合う治療方法をみつけていきましょう。

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参考文献

[1]セディール|医薬品インタビューフォーム

[2]治療のポイント特に薬物療法を中心に Dizziness and Depression- Psychotropic drugs and SSRI

[3]今日の治療薬2025丨南江堂.p904

[4]セディール添付文書

[5]悪性症候群丨厚生労働省

[6]統合失調症の薬を服用すると体重が増加するのか?丨福岡県薬剤師会

[7]オランザピン錠添付文書

[8]クエチアピンフマル酸塩錠添付文書

[9]クロザリル医薬品インタビューフォーム

[10]インヴェガ錠添付文書

[11]レメロン錠添付文書

[12]今日の治療薬2025丨南江堂.p863,p869

本記事に掲載されている情報は、一般的な医療知識の提供を目的としており、特定の医療行為を推奨するものではありません。

具体的な病状や治療法については、必ず医師などの専門家にご相談ください。

症状に対する診断やお薬の処方、診断書や傷病手当金申請書の記載内容は医師の判断によります。

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    • 高熱がある
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    • ここ数日の間で急激に状態が悪化している
    • 食事や水分をとることができない
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