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休職手当(傷病手当金)の申請について
傷病手当※とは、健康上の理由で働けない期間の生活費を補助する制度です。
健康保険に入っている場合、仕事以外の病気やケガで仕事を休んだ際に「傷病手当金」を受け取れます。
※「休職手当」という公的制度はなく、健康保険からもらえる「傷病手当金」をさすことが一般的です。そのため、本記事では休職手当を「傷病手当金」として説明します。ただし一部の会社では仕事以外の病気やケガで仕事を休んだ際に独自に支給する手当を設けている場合もあるため、詳細は会社に確認しましょう。また、国民健康保険(国保)では通常、傷病手当金の制度はありません。市区町村によっては独自の傷病手当金制度を設けている場合があるため、お住まいの市区町村の役所にお問い合わせいただくことをおすすめします。
一方、会社都合による休業の場合は「休業手当」として法律に基づき平均賃金の6割以上が支払われます。働いている人が不利にならないようにするための制度と知っておきましょう。[1]
休職手当(傷病手当金)の申請は誰がおこなうのか
傷病手当金の申請は会社を経由しておこなうこともできますが、申請者本人が直接おこなうことも可能です。
会社を通じて申請する場合は、人事部や総務担当者に必要な書類を提出し手続きを依頼しましょう。
個人で申請する場合は、お勤めの会社の健康保険組合または全国健康保険協会(協会けんぽ)指定の申請書に必要事項を記入し必要な添付書類とともに提出します。
申請には「事業主の証明」や「医師の意見書」が必要になるため、会社や医療機関と連携して進めることが大切です。事業主の証明がないと申請が受理されないため、会社に相談し必要な書類を揃えましょう。
休職手当(傷病手当金)の申請はいつおこなえばよいか
傷病手当金の申請は、1か月ごとに申請するのが望ましいです。なぜなら、出勤状況や給与支払いの有無について事業主の証明が必要になるためです。給与の支払いに関する事業主の証明は、給与の締め日以降に事業主にもらうようにしましょう。
【例:1月5日から1月20日まで仕事を休み、その期間中の給与が支払われていない場合】
会社の給与計算が「月末締め」の場合、1月分の給与が確定するのは1月末です。そのため、1月中に会社へ申請しても、給与の状況が確定していないため、事業主の証明ができない可能性があります。確実に証明をもらうためには、2月以降に会社へ申請するのがよいでしょう。
申請期限は、傷病手当金を受ける権利が生じた日の翌日から数えて2年以内です。2年を過ぎると請求できなくなるため、早めに手続きを進めましょう。
休職手当(傷病手当金)の申請書について
傷病手当金を受け取るためには協会けんぽや組合健保(健康保険組合)など、加入している健康保険の所定の申請書を提出する必要があります。
提出方法は協会けんぽや組合健保などの各支部へ郵送するか、窓口へ直接持参する方法のほか、会社が事業主証明を行った上で協会けんぽや組合健保に提出する場合もあります。会社の担当者に一度確認してみるとよいでしょう。
休職手当(傷病手当金)の申請書はどこでもらえるかや、申請書の書き方などを確認し、適切に申請をおこないましょう。
休職手当(傷病手当金)の申請書はどこでもらえる?
傷病手当金の申請書は、
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全国健康保険協会(協会けんぽ)、組合健保、各共済組合などのホームページ
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会社の担当部署
でもらえます。
全国健康保険協会(協会けんぽ)のホームページでは、手書き用の用紙と、データで記入できるPDFファイルの両方が用意されています。どちらを使用しても問題ありません。2025年2月時点では、傷病手当金はオンラインで申請することはできないため、PDFファイルの場合でも印刷する必要があります。
申請はオンラインで対応できませんが、オンライン対応の医療機関に「傷病手当金支給申請書」の記載を依頼することは可能です。オンラインのメンタルクリニックや心療内科、精神科のなかには、郵送で傷病手当金申請書の記入に対応しているところもあります。
また、会社の担当部署でも受け取りができ、郵送で送ってもらうことも可能です。
組合健保の場合は、所属する組合によって異なりますので、ご自身の加入している組合や事業者にご確認ください。
休職手当(傷病手当金)申請書の書き方と記入例
傷病手当金の申請には「傷病手当金支給申請書」の提出が必要です。
申請書の記載内容は以下のとおりです。
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申請者情報:被保険者本人が記載
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申請内容:被保険者本人が記載
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事業主証明:事業主が記載
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療養担当者の意見書:担当医が記載
また申請書にくわえ、状況に応じて添付書類が必要になる場合があります。申請書に付属している「記入の手引き」をよくご確認のうえ、添付書類を準備しましょう。
【申請書のおもな記入項目】
項目 |
内容 |
補足 |
被保険者情報 |
氏名・被保険者番号・事業所名 など |
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療養の状況 |
病名・発病・受診日・療養の内容 など |
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事業主の証明 |
休業期間、給与の支払い状況 など |
会社に依頼して記入・押印の必要あり |
医師の証明 |
働けない期間の証明 など |
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振込先情報 |
支給を受ける口座情報 |
本人名義の口座を記入 |
申請書の詳しい記入方法は、協会けんぽの場合「傷病手当金支給申請書 記入の手引き」を参考に記入するとよいでしょう。
【申請書を記入する際の注意点】
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事業主・医師の証明が必要なため、早めに準備をする
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申請期限は「休業した日の翌日から2年以内」
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コピーを取っておく
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記入漏れ・記入ミスに注意
申請書は事業主記入用と医師記入用の箇所があります。会社や医療機関のスケジュールによって時間がかかることがあるので、余裕をもって依頼しましょう。
提出後の確認や再申請時に備えて、記入した申請書のコピーを手元に残しておくと安心です。
休職手当(傷病手当金)が支給される条件は?
傷病手当金を受け取るには条件を満たす必要があります。[2]
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業務外の病気やケガで仕事を休んでいること
仕事中や通勤中のケガ・病気は「労災保険」の対象になるため、傷病手当金の対象にはなりません。
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仕事ができない状態であること
ただの風邪などで休んだだけでは対象になりません。医師が「仕事をするのは難しい」と判断した場合に支給されます。
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連続する3日間の待期期間があり4日以上勤務できないこと
仕事を休んだ最初の3日間は「待期」として手当は支給されません。4日目以降に仕事ができない日数に応じて、傷病手当金が支給されます。
「待期」の期間は有給休暇、土日・祝日等の公休日も含まれます。
たとえば、月曜日から水曜日まで休み、木曜日以降も仕事ができない場合、木曜日から支給対象になります。
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会社から十分な給与が支給されていないこと
休業中に会社から給与が支払われていて、その額が傷病手当金より多い場合は支給されません 。
なお、給与が傷病手当金より少ない場合は、傷病手当金の金額との差額が支給されます。
休職手当(傷病手当金)がもらえないケースは?
傷病手当金は、全てのケースで支給されるわけではありません。もらえないケースも事前に確認しておきましょう。[3]
1.仕事中や通勤中のケガ・病気
仕事中や通勤途中に起こったケガや病気は、「労災保険」の対象となるため、傷病手当金の支給対象にはなりません。
(例)
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仕事中に重い荷物を持ち上げて腰を痛めた
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通勤途中に交通事故に遭い、入院が必要になった
このような場合には会社の労災保険で対応されるため、自分の場合は休職手当の対象になるのかをまずは会社に確認してみましょう。
2.美容整形など健康保険が適用されない治療
傷病手当金は、「病気やケガによる療養のためのもの」です。美容整形などの自由診療の治療は対象外になります。
(例)
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二重まぶたの手術(美容目的)
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健康に問題がない状態での歯列矯正
ただし、形成外科の手術など、医師が「治療として必要」と判断した場合は対象になることもあります。
3.会社から傷病手当金より多い給与が支払われている場合
休業中に会社から給与が支払われている場合、その額が傷病手当金より多いと支給対象にはなりません。
(例)
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会社の規定で「休職中も満額の給与が支給される」
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休業手当や手当金相当の補償が会社から支給されている
ただし、一部の給与が支払われている場合は、その分を差し引いた額が支給されます。
休職手当(傷病手当金)でもらえる金額はいくら?
傷病手当金は目安として「1日あたりの給与の約3分の2」が支給されます。[4]
金額は「支給開始日の属する月以前の12か月間の標準報酬月額(おおよそ給与の額に一致)の平均 ÷ 30日 × 2/3」の計算式に基づいて決定されます。
たとえば、上記の計算式で算出した標準報酬月額の平均額が30万円だった場合、1日あたり約6,666円(30万円 ÷ 30日 × 2/3)です。
ただし、支給開始日以前の被保険者期間が12か月に満たない場合は、以下のいずれか低い額が基準となります。
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支給開始月以前の継続した各月の標準報酬月額の平均額
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30万円(支給開始日が令和7年3月31日以前の場合)
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32万円(支給開始日が令和7年4月1日以降の場合)
※上記は協会けんぽの場合
※この金額は加入する健康保険の全被保険者の標準報酬月額の平均のため、協会けんぽ以外の場合は異なる可能性があります。
支給額は標準報酬月額や等級によって異なります。詳細は協会けんぽの公式サイトなどで確認しましょう。
よくある質問
傷病手当金の申請に関して、よくある質問をまとめました。
「どのタイミングで申請すればいいの?」「会社が手続きをしてくれるの?」など、不安な点を解消しましょう。
手続きを進めるうえで不安な場合は、会社の人事部や担当部署、全国健康保険協会、健康保険組合にも相談しながら進めると安心です。
休職手当の申請は誰がするのですか?
傷病手当金の申請は、本人または会社を経由しておこないます。
会社を通じて申請する場合は、人事や総務担当者に相談し、必要書類を提出しましょう。
休職手当はいつ申請すればいいですか?
傷病手当金の申請は、給与の支払い有無について事業主の証明が必要となるため、1か月単位で給与の締切日ごとに申請するのが望ましいです。
申請期限は、傷病手当金を受ける権利が生じた日の翌日から数えて2年以内となっています。
休職中にお金は申請できますか?
休職中であっても、傷病手当金の支給要件を満たしていれば申請可能です。
ただし、給与の支払い状況や傷病手当金の対象となるかどうかは、会社や協会けんぽに確認しましょう。
休職手当(傷病手当金)は会社が申請するのですか?
傷病手当金の申請は、会社側が申請するケースも多いですが個人で申請しても問題ありません。
申請方法がわからない場合、勤務先の人事や担当部署に確認すると、サポートしてもらえるでしょう。
まとめ
休職手当(傷病手当金)は、仕事を続けたくても健康上の理由で働けなくなった方々を支えるための制度です。
申請は会社を通じて、あるいは本人が直接おこなうこともできます。申請に必要な書類を早めに準備し、給与の締切日後に申請をおこなうことが望ましいです。申請期限は、傷病手当金を受ける権利が生じた日の翌日から数えて2年以内と覚えておきましょう。
傷病手当金支給申請書は協会けんぽのホームページからダウンロードできます。申請書を記入する際の注意点を確認し、早めに手続きを進めましょう。
オンライン診療は、ビデオ通話で自宅から診察が可能。ファストドクター(心療内科・精神科)は予約制で、毎日9時から23時まで診察を受け付けています。受診を迷っている方も、まずは相談してみませんか?
参考文献
本記事に掲載されている情報は、一般的な医療知識の提供を目的としており、特定の医療行為を推奨するものではありません。
具体的な病状や治療法については、必ず医師などの専門家にご相談ください。