レクサプロ(エスシタロプラム)の効果とは?効き目を実感するまでの期間についても解説

公開日: 2025/10/20 更新日: 2025/10/20
「医師からレクサプロを処方されたけれど、どんな効果があるのだろうか?安全なのかな?」 「うつ症状を早く治したい。レクサプロはどのくらいで効きはじめるのだろう。」 気分の落ち込みや常に不安な気持ちがあるなどの精神的な不調を抱えているとき、一刻も早くその状態から抜け出したいと思うことでしょう。 レクサプロはうつ病や不安障害などに用いられる抗うつ薬の一つです。新しくレクサプロを服用しはじめる前に、あらかじめ効果や薬との向き合い方を知っておくと安心して治療に取り組めるようになります。 この記事ではレクサプロの効果やはたらきについて詳しく解説します。効果があらわれるまでにかかる期間も説明しているので、治療のときの参考にしてください。
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目次

レクサプロ(エスシタロプラム)のおもな効果

レクサプロは、とくにうつ病やうつ状態、社会不安障害において高い効果を示し、幅広い精神疾患の改善に役立ちます。[1]

効果のあるおもな疾患

改善されるおもな症状

うつ病

  • 気分の落ち込み

  • 無気力、興味や喜びの喪失

  • 睡眠障害(不眠や過眠)

  • 食欲低下や食欲増加

  • 疲れやすい

  • 思考や集中力の低下

  • 絶望感

社会不安障害

  • 対人場面での強い不安や恐怖

  • 汗をかきやすい

  • 緊張で顔が赤くなる

  • パニックになる場所や場面を避けて行動する

うつ病患者を対象とした臨床研究ではレクサプロの有効性が確認されています。レクサプロを8週間服用後、うつ病の症状の重症度を調べるMADRSテストにおいて、うつ病が治ったとみなしてもよい状態になった人(寛解)は61.7%でした。[2]

さらに長く服用を続けると、より効果があらわれることも報告されており、うつ症状や不安症状を改善し生活の質が高まるのを期待できます。[1]

レクサプロの効果があらわれる仕組み

レクサプロは脳内のセロトニンを増やして、気分の安定や不安の軽減を図ります。

セロトニンは気分や不安をコントロールする神経伝達物質です。脳内のセロトニンが増えるとうつ症状や不安症状の改善につながります。

通常、セロトニンは神経細胞からシナプス(神経と神経の間)に放出されたあと、すぐにもとの神経に回収される仕組みがあります。しかし、この回収が早すぎるとセロトニンの作用が十分に発揮されません。

レクサプロは「選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)」に分類され、セロトニンの回収をブロックする作用をもちます。この作用によってシナプス間にセロトニンが長くとどまり強くはたらくことで、気分の落ち込みや不安などの症状の改善になります。

レクサプロは効き目が強い薬なのか

レクサプロの効き目には個人差があるため、単純に「効き目が強い」「効き目が弱い」で判断ができません。ただし、ほかの抗うつ薬と比較すると作用のあらわれ方が穏やかで安定して持続するため、初めのうちは効果を感じにくい人もいます。その分、初めて抗うつ薬を使用する方や副作用に敏感な方に適した薬といえるでしょう。

レクサプロは副作用の発現が比較的少なく、薬をやめたときにあらわれてしまう離脱症状(めまいやふらつき、吐き気、頭痛などの症状)も起きにくいといわれています。ただし、人によっては離脱症状などの副作用があらわれることがあるため注意が必要です。起きないようにするためには自己判断で急に中止せず、医師の指示に従いながら1〜2週間以上かけて徐々に減量することが大切です。

個人差があるもののレクサプロはつらい副作用の症状が比較的少ないため、長く服用を続けられるケースが多く、使いやすさと安全性のバランスに優れた薬といえますね。

レクサプロの効果が出るまでの時間

レクサプロは服用後すぐに効果が実感できるわけではなく、効果があらわれるまでには約4~6週間かかるのが一般的です。

レクサプロはセロトニンの再取り込みをブロックして、脳内のセロトニン量を増やすことで気分を安定させる作用があります。しかし脳内の神経系の構造に変化を起こしたり、神経細胞の受容体を変化させ適応したりするまでには時間が必要です。気持ちの落ち込みやパニック発作を起こしやすい思考パターンを改善するには、脳内の情報伝達のシステムが整う必要があり、効果が出るまでにタイムラグが生じます。

臨床研究では、4〜6週間以内に有効性がみられる患者が多い一方、8週間以上かかってから改善を実感する人もいることが報告されています。[1]そのため少なくとも4週間以上は継続して服用しましょう。途中で「効いていない」と自己判断して服用を中断すると、本来得られるはずの効果を逃してしまう可能性があります。

レクサプロの効果を正しく得るためには、焦らず継続して服用することが大切です。

レクサプロが効いている証拠や実感できるサイン

日常の中で少しずつ前向きな変化を実感できるようになってきていることが、レクサプロが効きはじめているサインです。

抗うつ薬は気分や体調をゆるやかに改善していくものです。そのため「気持ちの落ち込みが完全になくなる」といった明確な変化よりも、気分の安定や不安の軽減、生活リズムの改善といった以下のような前向きな変化が効きはじめたサインになります。

  • 気持ちの落ち込みが少なくなった

  • 漠然とした不安や緊張感が減った

  • 睡眠の質が改善され寝つきやすくなった、途中で目覚めにくくなった

  • イライラや焦りが減った

  • 物事への興味や意欲が少しずつ戻ってきた

  • 集中力が改善してきた

  • 食欲や体のだるさが改善し、生活リズムが整ってきた

  • 人との会話や外出など、以前は負担に感じていたことに取り組みやすくなった

これらの小さな改善の積み重ねが回復への道筋となり、効果を実感できるようになります「うつ症状や不安症状が治らない」と焦ってしまいがちですが、前向きな変化に目を向けながら服用を続けることが大切です。

レクサプロの効果が感じられない場合、次の治療の選択肢は?

レクサプロで十分な改善がみられないときは、医師と相談しながら治療方針の見直しをおこないましょう。効果が感じられないからといって、自己判断で急に服用を中断してしまうと離脱症状や症状の再燃リスクが生じます。そのため治療効果が出ない原因を探り、医師の指示に従い段階的に次の治療方法を検討していきます。

そのほかの治療方法

説明

投与量の増量や見直し

許容される範囲内で用量を調整します。増量する場合は副作用とのバランスをみながら医師の判断でおこないます。

薬剤の変更

同じSSRIで別の薬に変える、またはSNRIやミルタザピン、ブプロピオンなど別クラスの薬剤へ切り替えます。どの薬剤を優先的に使用するかはガイドラインを参考に選択していきます。[3]

薬物療法以外の併用療法の調整や見直し

認知行動療法(CBT)やほかの心理療法、運動療法、睡眠や生活習慣の改善、社会的支援(対人関係や仕事環境の調整)などを併用あるいは調整します。

どの治療方法もメリットとデメリットがあるため、必ず担当の医師と相談しながら慎重に進めることが重要です。

レクサプロの副作用

レクサプロの副作用はほかの抗うつ薬と比較し穏やかであることが多いですが、おもにみられるのは消化器症状、眠気、頭痛、気持ち悪さなどの副作用です。

副作用の頻度

おもな副作用

5%以上

  • 体のだるさ

  • 日中の眠気

  • 気持ち悪さ

  • ふわふわしためまい

  • 頭痛

  • 口の渇き

1~5%未満

  • あくびが出やすい

  • 不眠症

  • 立ち上がったときのめまい

  • イライラしやすい、焦っている

  • お腹の不快感、腹痛

  • 下痢、便秘

  • 食欲が出ない

  • 吐き気

  • 脈が速くなる

  • おしっこが出にくくなる

  • 射精障害

  • 耳鳴り、ぐるぐるとしためまい

1%未満

  • やる気が起きない

  • 熱っぽい、発熱、寒気

  • 疲れやすい

  • 発疹、じんましん

  • 悪夢や異常な夢をみる

  • 鼻血が出やすい

  • 筋肉痛、関節痛

  • 味覚の異常

レクサプロは脳内のセロトニン濃度を高めることで効果を発揮する一方で、特定の臓器に影響を及ぼすことがあります。なかでも頻度は少ないものの痙攣や抗利尿ホルモン不適合分泌症候群、セロトニン症候群、QT延長、心室性不整脈などの副作用は重篤な症状を引き起こすため注意が必要です。

レクサプロを使用すると性格や振る舞いが変わるというのは本当?

薬の影響で気分や行動に変化が起き、その結果性格が変わったように感じることがありますが、性格そのものが変わるわけではありません。

レクサプロの服用しはじめは「賦活(ふかつ)症候群」または「アクチベーションシンドローム」と呼ばれる一過性の副作用で、とくにイライラや焦燥感を覚えることが多いです。しかしこれらの症状は一時的で、次第に軽減していきます。

レクサプロの服用を続けることでうつ症状や不安症状が軽減し、これまで低下していた意欲がもとに戻り活動的になる人もいます。この変化が「以前より明るくなった」など、周囲の人が以前と異なる印象を受けて性格が変わったように感じる原因の一つです。振る舞いや性格が変化したように感じるのは症状の改善に伴う自然なものであり、レクサプロによって本来の性格が変化したわけではないため安心して服用を続けていきましょう。

よくある質問

レクサプロの効果についてよくある質問に回答します。レクサプロに対する不安を解消したい方や疑問がある方は、ぜひ参考にしてください。

レクサプロが効くとどうなりますか?

レクサプロが効いてくると気分や不安が少しずつやわらぎ、日常生活が過ごしやすくなります。

日常の中で以下のような前向きな変化が少しずつみられます。

  • 気分の落ち込みや不安が軽くなる

  • 睡眠の質がよくなる(寝付きがよくなる、途中で目覚めにくくなる)

  • イライラや焦りが減る

  • 無くしていた興味や意欲が戻る

レクサプロの効き目はいつから実感できますか?

多くの人は4〜6週間ほどで効果を実感しますが、8週間以上かかることもあります。[1]

脳内のセロトニンが安定して、神経のはたらきが整うまでには時間が必要です。

そのため服用初期は効果を感じにくいですが、服用を続けるにつれて少しずつ不安や気分の落ち込みがやわらいでいきます。

継続服用が効果を得るポイントなので、最低4週間以上は続けて服用しましょう。

エスシタロプラム錠は不安に効く薬ですか?

エスシタロプラム錠は不安症状に効果がある薬です。

エスシタロプラムによってセロトニンが増えると、気分や不安をコントロールするはたらきが整い、不安の軽減に役立ちます。

実際の臨床試験においても不安感や緊張、焦燥感の改善が報告されています。[1]

レクサプロを飲むと不安が増すのはなぜですか?

レクサプロの服用初期に不安や焦りが強くなるのは、一時的な薬の作用によるものです。抗うつ薬を飲みはじめたときに起こりやすい、イライラ感や不安、不眠症状は「賦活症候群」と呼ばれる一過性の副作用の影響です。

通常は時間とともに治まりますが、不安症状が長引く場合は医師に相談してレクサプロの用量調整やそのほかの薬の併用を検討しましょう。

エスシタロプラムはどのような人に処方されますか?

エスシタロプラムは、おもにうつ病や社会不安障害などの精神疾患を抱える人に処方されます。

副作用がほかの抗うつ薬と比べて比較的少なく、日常生活への影響を抑えて治療を続けられるため、以下のような人に処方されるケースが多いです。

  • うつ病、うつ状態で気分の落ち込みや意欲低下、睡眠障害が続く人

  • 社会不安障害の人

  • 初めて抗うつ薬を使う人

  • 過去にほかの抗うつ薬で副作用が強く出た人

  • 仕事や学業を続けながら治療を希望する人

まとめ:レクサプロの効果を実感するためには時間がかかることを知っておきましょう

レクサプロは、うつ病や社会不安障害などの症状に効果を発揮する抗うつ薬です。気分の落ち込みや不安、睡眠障害などを改善して、生活の質を高めることが期待できます。

ただし効果は服用後すぐにあらわれるものではなく、4〜6週間ほどかけて少しずつ実感できるのが一般的です。なかには8週間以上かかる人もいるため、少なくとも4週間以上は続けて服用していきましょう。

服用しはじめの時期には一時的に不安やイライラが強まることがありますが、多くは時間の経過とともに落ち着きます。効果を実感するには継続が大切であり、自己判断で中止することは避けてください。

副作用が気になる場合や効果が十分に得られない場合は、必ず医師に相談しながら治療を進めることが重要です。

 

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参考文献

[1]医薬品インタビューフォーム

[2]うつ病および不安症の中国人患者を対象とした8週間のオープン試験におけるエスシタロプラムの安全性と有効性

[3]パニック症の診療ガイドライン(案)

本記事に掲載されている情報は、一般的な医療知識の提供を目的としており、特定の医療行為を推奨するものではありません。

具体的な病状や治療法については、必ず医師などの専門家にご相談ください。

症状に対する診断やお薬の処方、診断書や傷病手当金申請書の記載内容は医師の判断によります。

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    • 自分を傷つけたいと思う
    • 具体的に死ぬ方法について考えている
  • 身体疾患が強く疑われる場合
    • 高熱がある
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    • 意識がない
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    • ここ数日の間で急激に状態が悪化している
    • 食事や水分をとることができない
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