適応障害で休職手当はもらえる?休職中のお金のことや傷病手当金を解説

公開日: 2025/05/17 更新日: 2025/05/17
「適応障害で休職することになった。休職手当をもらうには何をしたらよい?」 「貯金が減り、そのうち生活できなくなるのでは…」 「休職中に手当を受け取れないケースはあるの?」 適応障害と診断されてはじめて休職することになり、これからの生活に不安を感じていませんか? 収入がないことで「早く治さないと…」と焦る方もいるかもしれません。 休職手当は、働けない期間の生活を支えるための制度です。 ご自身に当てはまる制度を利用するには、必要な条件を知ることが第一歩です。 本記事では、適応障害でもらえる休職手当について詳しく解説します。 さらに傷病手当金については、申請から受給までの流れをわかりやすくお伝えします。 「まず何をしたらよいかわからない」「複雑な申請方法が理解できない」という方は、ぜひ参考にしてください。 心と体の休養に専念するために、制度を活用してお金の心配を減らしましょう。
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適応障害でもらえる休職手当とは

適応障害で休職した際にもらえる手当は、以下のとおりです。[1][2][3]

休職手当の例

手続きするところ

どんな制度か・特徴

傷病手当金

全国健康保険協会、健康保険組合

  • 健康保険に加入している人が対象

  • 「仕事以外の理由」による病気やケガで休職した場合が対象

  • 「連続して3日間」休んだあと、4日目以降から支給される

  • 標準報酬月額(≒給与)の約3分の2が支給される

  • 通算して1年6か月受け取れる

  • 会社の担当者経由で手続きが可能な場合もある

休業補償給付

労働基準監督署

※会社の担当者経由で手続きが可能な場合もある

  • 「仕事が原因」で休職した場合が対象

  • 「通算3日間」休んだあと、4日目以降から支給される

  • 給付基礎日額(=平均賃金)の約80%が支給される

会社の補償制度や有給休暇

会社

  • 補償制度:会社が欠勤中の賃金を一部補償する(会社独自の制度)

  • 有給休暇:出勤した場合と同額の給与が支給される

自立支援医療制度

各自治体

  • 医療費の自己負担が軽減される

(原則1割負担になる)

生活保護

各自治体

  • 資産やほかの制度を活用しても生活に困る人が対象

  • 最低限の生活を保障するための支援

傷病手当金

傷病手当金は「業務(仕事)外」のケガや病気で働けなくなったとき、生活を保障するための制度です。

「健康保険に加入している人」が、休職によって給与を受け取れない場合に申請できます。適応障害の診断を受けた場合も対象です。

1日あたりの支給額は、支給開始日が属する月以前の直近12か月の給与(※標準報酬月額)の平均額を1日あたりに換算し、その3分の2に相当する金額です。

傷病手当金(例)[2]

1か月の給与

(※標準報酬月額)

1日あたりの給与

(標準報酬月額を30日で割る)

傷病手当金の支給額(1日)

(1日あたりの給与の2/3)

36万円

1万2,000円

8,000円

※標準報酬月額:会社が毎年ある特定の期間の給与等の額をもとに算定する報酬の額[2]

月給36万円の人の場合、1か月の給与を30日で割ると1日あたり1万2,000円になります。

1日あたりの給与のうち「3分の2」にあたる8,000円が、1日あたりの支給額です。生活の一部をおぎなうための支援なので、給与と同額は支給されません。

受給期間は以下の条件があります。[2]

  • 連続して3日以上休んだあと、4日目から支給が開始される

  • 通算して1年6か月間受け取れる※

※会社(健康保険組合)によっては、これより長い期間「延長給付」として給付する制度を設けている場合あり

条件を満たせば、休職後そのまま退職した場合にも申請できます。

ただし傷病手当金が受け取れるのは「業務(仕事)外」の理由による病気やケガの療養にかぎります。

「業務」が理由の場合は、労災保険(休業補償給付金)による対象給付となるため受給できません。

傷病手当金を受給するには、以下の書類を準備し、全国健康保険組合または健康保険組合に申請します。

  • 傷病手当金支給申請書

  • その他必要書類

別に年金給付を受けている場合には関連書類の提出も必要になるなど、人によって申請に必要な書類が異なります。

申請前に会社や全国健康保険協会や健康保険組合に確認しておくと安心です。

休業補償給付金

休業補償給付金は「業務中」のケガや病気で働けなくなったときに、生活を支援する制度です。

いわゆる「労災」の際の給付のことです。仕事が原因であると認められれば、国から給付金が支給されます。

休業補償給付金は「休業補償給付」と「特別支給金」を合計して支給されます。

具体的には以下のとおりです。[3]

休業補償給付金

休業補償給付

「給付基礎日額※1」の60%×休業日数

特別支給金

「給付基礎日額」の20%×休業日数

合計額

「給付基礎日額」の80%×休業日数

※1:ケガや病気が発生した日の直前3か月間の給与を、暦日数(通常は約90日)で割った1日あたりの額

仕事の強いストレスが原因で、適応障害を発症した場合も労災保険による給付の対象です。

たとえば以下も基準となります。 [4][5]

  • パワーハラスメント

  • セクシャルハラスメント

  • 同僚からのいじめ・嫌がらせ

  • 極度の長時間労働

休業補償給付金は、申請すればかならず支給されるわけではありません。

労働基準監督署による審査が必要であり、以下の条件をすべて満たす場合です。[4][6]

  • 仕事が原因で適応障害になったと認められること

  • 発症前おおむね6か月の間に、仕事によるストレスや負荷が強く認められること

  • 仕事以外のできごとや本人の精神障害の既往歴等が原因で発症したとは認められないこと

また傷病手当金と休業補償給付金は、同時にもらうことはできません。

休業補償給付金の日額が傷病手当金より少ない場合は、差額が支給されます。

休業補償給付金は労働者の生活を支えるための重要な制度です。

労災に該当するかどうかは、労働基準監督署が認定基準にしたがって客観的に判断します。

必要書類の入手や申請手続きも監督署を通じておこなうため、まずは最寄りの労働基準監督署に相談しましょう。

企業の補償制度や有給休暇

会社によっては、欠勤時の賃金を補償する制度を設けていることがあります。

また有給休暇を利用すれば、休職前の欠勤分をおぎなえる可能性もあります。

企業の補償制度は独自の制度であるため、かならずしも設けられているとはかぎりません。

まずは補償制度があるか就業規則を確認しましょう。

不明な場合、上司や人事部に問い合わせてみてください。

企業独自の補償制度が導入されている場合、確認するポイントは以下のとおりです。

  • 支給期間(何か月間支給されるのか)

  • 支給額(給与の何割が支給されるのか)

  • 補償条件(病気やケガの理由、休んだ日数が該当するか)

  • 具体的な申請手続き

有給休暇とは“一定期間勤続した労働者に対して、心身の疲労を回復しゆとりある生活を保障するために付与される休暇”です。[7]

有給休暇を取得すると、休んでいる状態で給与が支給されます。

パートタイム労働者やアルバイトなど労働日数が少ない人にも、有給休暇はあたえられます。

有給休暇は「週の労働時間」や「労働日数」にもとづいて、比例的に計算されるためです。

ただし有給休暇を取得するには、以下の条件を満たしている必要があります。

  • 会社に半年以上勤務していること

  • 対象となる労働日のうち、8割以上出勤したこと

有給休暇が残っていれば、休職前の欠勤分を有給扱いにできる可能性があります。

会社に確認し、適用できるか相談しましょう。

自立支援医療制度

自立支援医療制度は、心や体に障害をもつ人が必要な医療を受けるときに、医療費負担を減らすための制度です。

全ての精神疾患が対象であるため、制度の利用には医師の判断が必要です。

医療費の範囲や特徴は以下のとおりです。

自立支援医療制度[8]

医療費の範囲

  • 診察を受けてかかった費用

  • 薬局での薬代

  • 訪問看護 など

医療費の対象外(例)

  • 入院医療の費用

  • 公的医療保険が対象とならない費用(例:自由診療や保険診療外の費用など)

  • 精神疾患、精神障害と関係ない疾患の医療費

医療費の自己負担額

  • 通常3割負担の人は、1割負担に軽減

  • 所得に応じて月の上限額が設定される

  • 上限額は医療機関(受診する病院やクリニック、薬をもらう薬局など)ごとに設定される

  • 医療機関は指定される

たとえば月の医療費がA医療機関(病院)で7,000円、B医療機関(薬局)で3,000円の場合、負担は以下のとおりです。

 

月の医療費

通常の自己負担

(3割負担)

自立支援医療制度適用後の自己負担(1割負担)

A医療機関(病院)

7,000円

2,100円

700円

B医療機関(薬局)

3,000円

900円

300円

所得に応じて、毎月の自己負担の上限額も設けられます。[9]

たとえば所得区分が「低所得」に該当する場合、医療機関ごとの上限が2,500円や5,000円に設定されるため、さらに負担額が軽減されます。

自立支援医療制度を受けるには、住んでいる区市町村による審査が必要です。[8]

必要な書類は各自治体で異なりますが、一般的には以下のような書類が求められます。[10]

  • 自立支援医療費(精神通院)支給認定申請書(各自治体の窓口にあり)

  • 自立支援医療診断書(医師の診断書) など

審査がとおり認定された場合は「自立支援医療受給者証」が交付され「指定された医療機関」に通院します。

精神的な病気が長期間にわたる場合、医療費負担を軽くすることで、安心して治療を継続できるよう設けられた制度です。

医師に自立支援医療制度の利用をすすめられたら、まずは必要な書類を各自治体に確認しましょう。

生活保護制度

生活保護制度は「健康で文化的な最低限度の生活」を保障するために設けられている制度です。

生活に困窮している人に対して、経済的に支援し、自立をうながすことを目的としています。[11]

生活保護を受けるには以下の条件があります。

  • 世帯全体の収入が最低生活費を下回る

  • 資産(預貯金、土地など)がない

  • 親族などから援助を受けられない

  • 傷病手当金や労災給付などを利用しても生活が困難である

今ある資産や家族の労働力、年金や手当、親族の援助など全てを活用しても、生活に困る人が対象です。

生活保護は住んでいる地域の福祉事務所で申請します。

申請後、収入・預貯金の調査や生活状況の調査などがおこなわれ、生活するうえで必要な費用が検討されます。

生活保護制度は、生活に困ったときの最後のセーフティーネットです。

収入がとだえ、どうしても生活が困難になった場合は、各自治体の福祉事務所に相談しましょう。

適応障害で休職中のお金について

休職中の収入面や支払いが必要なお金について、不安に感じる方も多いでしょう。

「休職中でも給与はもらえるの?」「どのような支払いが必要?」といった疑問が出てくるかもしれません。

ここからは、休職中の給与の有無、支払いが必要なお金、副業やアルバイトの可否について詳しく解説します。

適応障害で休職中でも給与はもらえるの?

多くの企業では休職中の給与は発生しません。「ノーワーク・ノーペイの原則[12]」にもとづき、働いていない期間の給与を支払う義務が企業にはないためです。[13]

ただし一部の企業では、独自の制度を設け、一定期間の給与を一部補償する場合があります。休職制度については、おもに「就業規則」に明記されています。[13]

確認するポイントは以下のとおりです。

就業規則で休職制度を確認するポイント

「休職制度」が導入されているか

  • 休職制度は多くの企業で導入されているが、義務ではない[13]

  • 制度がある場合、休職可能な期間も確認する

休職中の「給与補償制度」が設けられているか

  • 企業独自の制度であり、かならずしも設けられているとはかぎらない

  • 「休職中の給与を一部補償する」などの記載があるかを確認する

給与補償の「条件」に関する規定があるか

  • 支給期間や支給額、補償条件(病気の理由など)が明記されているかを確認する

すでに休職し就業規則を確認できない場合は、会社の人事部や上司に聞いてみるとよいでしょう。

休職中でも支払う必要のあるお金って?

休職中でも、以下のお金は支払う必要があります。

  • 社会保険料(厚生年金保険料、健康保険料、介護保険料など)

  • 住民税

社会保険料は「標準報酬月額(4月〜6月の平均給与額)」、住民税は「前年の所得」にもとづき算出されるため、休職している期間も金額はかわらず納付義務が継続します。

支払い方法は、それぞれ以下のとおりです。

支払うお金

会社の対応

支払い方法

社会保険料

毎月会社から請求される

振込などで会社に支払う

(支払い方法は会社に指示にしたがう)

会社がたてかえる

復帰後にまとめて支払う

(復帰後に給与から控除、一括で振り込む、など)

住民税

毎月会社から請求される

振込などで会社に支払う

会社がたてかえる

復帰後にまとめて支払う

「特別徴収(給料の天引き)」から「普通徴収(自分で納付)」にきりかえる[14]

自治体から送付される「納付書」で支払う

社会保険料や住民税は、一般的に給与から天引きされていますが、天引きできない休職中は別途対応が必要です。

上記の表を参考に、支払い方法を会社と相談しながら決めましょう。

休職中に副業やアルバイトをしてもいい?

休職中の副業やアルバイトはおすすめできません。理由はおもに以下の3つです。

会社の規定があるため

  • 就業規則で副業が禁止されていることがある

  • 副業が許可されていても、休職中は「療養に専念する」ことが求められるため、制限されることがある

傷病手当金の受給が停止する可能性があるため

  • 傷病手当金は「働けない状態」であることが前提で給付される

  • 副業をすると「働ける状態」とみなされ、支給が停止する可能性がある

  • 自己判断で副業をすると不正受給とみなされ、返還を求められる可能性もある[15]

病状回復へ影響するため

  • 休職の目的は、適応障害の治療である

  • 副業をすると治療に専念できず、回復がおくれる可能性がある

休職中は会社に在籍している期間です。

傷病手当金を受給している期間に自己判断で副業やアルバイトをすると、手当を受け取れなくなる場合があります。

リハビリテーションの一環として「在宅で短い時間だけ内職したい」など考える人もいるかもしれません。

どのような事情があっても、副業やアルバイトを検討する場合には「会社」「医師」「全国健康保険組合や健康保険組合」それぞれに相談しましょう。

【休職手当】傷病手当金について

適応障害で休職する場合「傷病手当金」の受給を検討する方が多いでしょう。ここからは、以下のポイントを解説します。

  • 適応障害の休職で傷病手当金をもらう条件

  • 休職から傷病手当金をもらうまでの流れ

  • 傷病手当金がもらえない・減額になるケース

「手続きが難しそうで不安…」と感じる方も大丈夫です。ポイントをしぼり、わかりやすく解説しますので、安心して読みすすめてください。

手順をひとつずつ確認しながら、傷病手当金をスムーズに申請しましょう。

適応障害の休職で傷病手当金をもらう条件

傷病手当金を受け取る条件には、以下3つのポイントを満たす必要があります。[2]

  • 連続した3日間の「待機期間」をまつ

  • 休職期間中に給与の支払いがない

  • 労災認定を受けていない

《傷病手当金が支給される条件》[2]

条件

条件の有無

傷病手当金の支給

支給期間

待機期間中(休職開始の3日間)

支給されない

待機期間後(休職開始4日目以降)

支給される

待機期間後に働いた日(副業含む)

支給されない

休職期間中の給与

受け取りはない

支給される

傷病手当金以上の給与をもらった※2

支給されない

傷病手当金より少ない額の給与をもらった※2

傷病手当金と給与の差額が支給される

労災認定

(休業補償給付金の受給)

「適応障害」に対して

労災認定を受けていない

支給される

労災認定を受けた

支給されない

過去に「適応障害」が理由で休業補償給付金をもらっていた

支給されない(休業補償給付金の受給対象となる)

別の病気やケガに対して

傷病手当金以上の金額の休業補償給付金をもらっている※2

支給されない

傷病手当金より少ない金額の休業補償給付金をもらっている※2

傷病手当金と給与の差額が支給される

※2:日額で比較

※ 障害厚生 年金や出産手当金も同様に、傷病手当金の日額より少ない場合差額が支給される

【待期期間とは】

会社を休んだ期間のうち、はじめの3日を「待 期期間」といいます。

待期期間のルール

  • 連続した3日間の休み

  • 有給休暇や公休日(土日や祝日)も含まれる[16]

傷病手当金は、適応障害のために働けず休んだ日が「連続して3日間」存在したうえで、4日以降から支給されます。

たとえば土日が公休の会社で働いている人が、金曜日から休んだ場合「待期期間」と「傷病手当金の支給開始日」を以下のようにカウントします。

金曜日(欠勤もしくは有給)

1日目

待期期間

土曜日(公休)

2日目

日曜日(公休)

3日目

月曜日(欠勤)

4日目

傷病手当金の支給開始

また休業補償給付金などのほかの給付・手当金、給与を受け取った場合、原則として傷病手当金はもらえません。

ただし給付・手当金や給与の日額が、傷病手当金より少ないときは差額が支給されます。

表を参考にしながら、傷病手当金を受け取れるか、ご自身の状況と照らし合わせてみてください。

休職から傷病手当金をもらうまでの流れ

適応障害によって体調が悪くなってから傷病手当金をもらうまで、大まかな流れは以下のとおりです。[17]

  1. 医療機関を受診し、診断を受ける

  2. 会社へ報告し、休職する

  3. 申請書類を準備する

  4. 傷病手当金支給申請書を記入する

  5. 書類を健康保険組合または会社に提出する

  6. 審査・支給開始

流れ

具体的な行動

1.医療機関を受診し、診断を受ける

  • 医師に「労務不能」の診断を受ける

  • 診断書をもらう(休職に必要な場合)

2.会社へ報告し、休職する

  • 休職の申請をおこなう

  • 傷病手当金の申請に必要な書類を確認する

(「傷病手当金支給申請書」「身元確認書類」など)[17]

3.申請書類を準備する

  • 傷病手当金支給申請書:「全国健康保険協会(協会けんぽ)」など加入中の健康保険ホームページから印刷、または会社からもらう

4.傷病手当金支給申請書を記入する[17]

  • 本人:「被保険者記入用」を記入

  • 会社:「事業主記入用」を記入してもらう

  • 医師:「療養担当者記入用」を記入してもらう

5.書類を全国健康保険組合または健康保険組合、または会社に提出する

  • 自分で提出する場合:健康保険組合に郵送で提出する

  • 会社に提出する場合:会社が健康保険組合に提出してくれる

  • 「申請する期間」が経過したあと申請が必要

6.審査・支給開始

  • 健康保険組合が審査をおこない、問題がなければ支給が決定される

  • 受付から1か月ほどで「審査に関するお知らせ」が発送される

まずは医師に「労務不能」の診断を受けることが必要です。

休職するためには多くの場合で会社から「診断書」の提出が求められます。

休職が必要な時点で医師に診断書を依頼すると手続きがスムーズに進みます。

医療機関では診断書や傷病手当金申請書の発行に時間がかかることもあるため、余裕をもって依頼しておくと安心です。

ただし申請期間(療養のために休んだ期間)の経過前に申請はできません。

医師に対しては、申請期間後の診察で労務不能であったことを確認してもらってから記入を依頼するのが一般的です。

申請期間(療養のために休んだ期間)が、3月1日から4月5日まで

4月5日までは手続きできない

4月6日から手続き可能

傷病手当は期間をわけて申請することも可能です。

「傷病手当金支給申請書」は申請期間ごとに必要となるため、毎回会社と医師に記入を依頼しましょう。

申請の流れを参考にしながら、安心して手続きをすすめてくださいね。

傷病手当金がもらえない・減額になるケース

傷病手当金がもらえないケースや減額になるケースは以下のとおりです。

《傷病手当金がもらえないケース》

労災の認定を受けた場合

  • 仕事が原因であれば、労災保険から休業補償給付金が支給される

労災の給付を受けている場合

  • 別の病気・ケガが理由であっても、休業補償給付金をもらっている場合は、原則支給されない

自営業やフリーランスの場合

  • 「国民健康保険」に加入している人は、傷病手当金の制度そのものが適用されない

給与が支払われている場合

(有給休暇を含む)

  • 原則として傷病手当金は支給されない

《傷病手当金が減額になるケース》

給与の一部が支給されている場合

  • 支払われた給与が傷病手当金よりも少ない場合、差額が支給される

休職中にアルバイトや副業で収入を得た場合

  • 申告せず収入を得た場合、支給停止となる可能性がある

  • 申告していても、働いた日数や収入額によって減額される可能性がある

ほかの公的給付を受けている場合

  • 障害厚生年金や障害手当金などを受けている場合、差額が支給される

適応障害と診断されたあとに通院せず治療を受けなかった場合も、傷病手当金を申請できません。

傷病手当金を申請するには、申請書の「療養担当者記入欄」を医師に記載してもらう必要があります。

医師の証明がなければ、申請は受理されないでしょう。

心と体の回復、そしてお金の心配を減らすためにも、診断を受けたあとは医師の指示のもと受診を継続しましょう。

適応障害で休職したときの過ごし方

まずは治療を優先して心と体を休めることが大切です。

適応障害では、かならずしも薬による治療がおこなわれるとはかぎりません。原因となったストレスそのものから離れることがもっとも大切なケアです。

以下は心身を休める行動の一例です。できる範囲でとり入れてみてください。

質の高い睡眠をとる

  • 十分な睡眠で心と体を休める[18]

  • 7時間以上の睡眠を心がける[19]

生活リズムを整える

  • 毎日同時刻の寝起きを心がける

  • 昼寝は15~30分以内にとどめる[20]

日中に軽く体を動かす

  • ストレッチ、散歩など

栄養のある食事を心がける

  • 食事は心と体の健康に関係する[21]

  • 食物繊維、ミネラル、ビタミンをとるよう、バランスを意識する

お気に入りのリラックス方法を見つける

  • 瞑想(めいそう)

  • 深呼吸

  • アロマ

  • 音楽 など

仕事復帰の時期は、医師と相談しながら決めましょう。「早く回復しなければ」という焦る気持ちが生まれるかもしれません。

しかし十分に休むことが、復帰後の体調を整えることにつながります。

迷惑をかけていると自分を責めず、心を大切にしてゆっくり過ごしてください。

何も考えず、自分のペースで心身を休める時間をもちましょう。

まとめ|適応障害でもらえる休職手当を利用して治療に専念しよう

適応障害で休職すると多くの企業では給与が支払われず、生活への不安を感じるでしょう。

はじめての休職や手続きに、とまどうこともあるかもしれません。

病気のほかに心配事があると、なかなか治療に専念できませんよね。

企業や健康保険組合、各自治体には、安心して治療に専念するための支援制度が整っています。

まずは会社の就業規則を確認し、休業制度について把握しましょう。

会社によっては独自の補償制度が設けられていることもあるため、不明点は人事部や上司に相談すると安心です。

適応障害で休職する場合、傷病手当金の申請を検討する方が多いでしょう。

申請には「傷病手当金支給申請書」と場合によっては「医師の診断書」が必要です。

「傷病手当金支給申請書」は本人・医師・会社それぞれが記入したうえで、健康保険組合に提出します。

審査がとおれば給与の約3分2が支給され、休職中の生活費にあてられます。

焦らず、ひとつずつ手続きをすすめていきましょう。本記事が少しでも不安を和らげ、スムーズな申請の手助けになれば幸いです。

心と体をしっかり休めるためにも、経済的な不安を減らし、ご自身のペースで過ごしてくださいね。

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参考文献

[1]休職中に活用できる社会保障制度のリーフレット

[2]傷病手当金|こんな時に健保|全国健康保険協会

[3]休業(補償)等給付傷病(補償)等年金の請求手続

[4]精神障害の労災認定

[5]精神障害の労災認定基準に「パワーハラスメント」を明示します

[6]精神障害の労災認定基準を改正しました

[7]年次有給休暇とはどのような制度ですか。パートタイム労働者でも有給があると聞きましたが、本当ですか。|厚生労働省

[8]自立支援医療(精神通院医療)について

[9]自立支援医療の患者負担の基本的な枠組み

[10]都民の皆様へ|自立支援医療(精神通院医療)の申請手続き

[11]生活保護制度 |厚生労働省

[12]第5章 賃金|農林水産省

[13]休職と休業|大阪府

[14]総務省|地方税制度|個人住民税

[15]不正受給について(事例等)

[16]「傷病手当金」の待期期間は、公休日や有給休暇を取得した日でも良いのでしょうか? |よくある質問

[17]健康保険傷病手当金支給申請書

[18]健やかな眠りの意義|e-ヘルスネット(厚生労働省)

[19]About Sleep|Sleep|CDC

[20]NIOSH Training for Nurses on Shift Work and Long Work Hours

[21]食事・栄養学的側面からの女性のメンタルヘルス

本記事に掲載されている情報は、一般的な医療知識の提供を目的としており、特定の医療行為を推奨するものではありません。

具体的な病状や治療法については、必ず医師などの専門家にご相談ください。

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    • 高熱がある
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    • 意識がない
  • 緊急性が認められる場合
    • ここ数日の間で急激に状態が悪化している
    • 食事や水分をとることができない
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