喉の痛みの原因はコロナ?特徴や適切な対応方法を解説

公開日: 2024/12/03 更新日: 2024/12/03
「喉が痛いのは、もしかしてコロナ感染?」 「コロナかどうかは自分で判断できる?」 「つらい喉の痛みには、どう対処すればいい?」 ​​喉の痛みを感じ、新型コロナウイルス感染症ではないかと不安になっていませんか?受診が必要かどうかも迷いますよね。 喉の痛み以外にも症状が複数ある場合、新型コロナウイルス感染の可能性も考えられます。 症状が軽い場合は必ずしも受診が必要とは限りません。しかし状態によっては重症化を防ぐため、受診が推奨されるケースもあるのです。 本記事では、新型コロナウイルス感染症による喉の痛みの特徴や、状態に応じた対応方法について詳しく解説します。 喉の痛みの強さと併発症状、症状の経過をもとに、受診するタイミングを慎重に判断しましょう。 軽い症状に対するセルフケア方法もご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
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コロナウイルスによる喉の痛みの特徴

新型コロナウイルス感染症では、感染初期に喉の痛みを訴えるケースが多くみられます。

風邪やインフルエンザでも喉の痛みはあらわれますよね。新型コロナウイルスによる喉の痛みは2つのポイントを理解しておく必要があります。

  • コロナ感染初期にあらわれることがある

  • インフルエンザや風邪との違いを知る

 

感染症ごとの特徴を理解することで、適切な対応をとりやすくなります。

 

コロナ感染初期にあらわれることがある

喉の痛みは、新型コロナウイルス感染症の初期症状として比較的多くみられます。

新型コロナウイルスは、はじまりの段階で上気道(喉や鼻)に感染しやすいためです。喉に炎症が生じ、早い段階で喉の痛みや違和感があらわれます。

喉の痛みが続く期間は、個人差や変異株によって異なります。一部の研究ではオミクロン株による喉の痛みは2〜5日間続くと報告されていました。[1]

痛みの強さもさまざまで、軽度の場合から唾(つば)を飲み込むのもつらいほどの強い痛みを感じる場合もあります。

まれに喉頭炎(こうとうえん)から喉頭蓋炎(こうとうがいえん)に発展するケースも報告されています。[2]喉頭蓋(こうとうがい)とは、食べ物が気管に入らないようにする部分です。喉頭蓋に炎症が起こると、通常の喉の痛みとは比べものにならないほどの激しい痛みが生じます。さらに呼吸困難をともない、命にかかわる危険性もあるのです。

新型コロナウイルスによる喉の痛みは、初期症状として比較的多くみられるものの、強さや持続期間には個人差があります。重症化するケースもあることは、十分理解しておきましょう。

 

インフルエンザや風邪との違いについて

喉の痛みは新型コロナウイルス感染症、インフルエンザ、風邪のいずれでも生じる一般的な症状です。症状だけで病気を正確に区別することは困難です。

しかし細菌やウイルスの特性の違い(感染力や感染部位など)により、喉の痛みやともなう症状には特徴的な傾向がみられます。

《新型コロナウイルス、風邪、インフルエンザの特徴の違い》[10][14]

 

新型コロナウイルス感染症
[11]

風邪

インフルエンザ[3][9]

感染力

非常に高い

比較的低い

高い

感染部位

上気道(喉・鼻)
肺、血管、腸管

上気道(喉・鼻)

上気道(喉・鼻)

喉の痛み

  • 強烈な痛み

  • 先行してあらわれることが多い

  • 軽度~中程度

  • 徐々に出現

  • 中等度~強い痛み

  • 高熱と同時期か、やや遅れてあらわれることが多い

併発症状

  • 乾いた咳(痰(たん)絡みが少ない)

  • 頭痛、発熱

  • 倦怠感

  • 下痢・嘔吐

  • 味覚・嗅覚異常

  • 粘り気のある痰

  • 鼻水、くしゃみ

  • 軽い咳

  • 突然の高熱(38℃以上)

  • 関節痛

  • 全身に強い倦怠感

  • 悪寒

重症化リスク
[16]

高い(とくに高齢者や基礎疾患のある人)

低い

中程度

 

表をもとに、風邪と新型コロナウイルス感染症を比較しましょう。
風邪では喉の痛みを含め、症状全般がゆるやかにあらわれる傾向です。粘り気のある痰をともなうこともあります。

一方、新型コロナウイルス感染症では喉の痛みが急速にあらわれることが多くみられます。初期段階では乾いた咳で痰絡みが少ない傾向です。

インフルエンザと新型コロナウイルスも比べてみましょう。
インフルエンザは突然の高熱(38℃以上)や強い倦怠感、関節痛からはじまることが特徴です。全身に強烈なつらさを感じます。喉の痛みは高熱と同時期か、やや遅れてあらわれる傾向です。[3]

一方、新型コロナウイルス感染症では、喉の痛みからはじまるケースが多くみられます。とくにオミクロン株以降は、全身症状よりも強い喉の痛みにつらさを感じる人が増えました。[2]新型コロナウイルス感染症、風邪、インフルエンザそれぞれの一般的な傾向を知っておくと、感染症を予測する手がかりとなるでしょう。

ただし症状のあらわれ方や強さ、出現順序には個人差があります。見極めは難しく、症状だけでは断定できません。

 

喉の痛みに併発する症状

新型コロナウイルス感染症では多くの場合、喉の痛みだけでなくほかの症状をともないます。

新型コロナウイルスの感染は上気道からはじまり、肺やほかの臓器に広がる傾向です。[15]個人差はあるものの併発症状が多いのは、感染の広がり方によるものであると考えられます。

併発するおもな症状は、以下のとおりです。[7]

  • 発熱(37.5度以上)

  • 咳(とくに乾いた咳)

  • 倦怠感

  • 頭痛

  • 下痢・嘔吐(オミクロン株以降に増加傾向)[13]

  • 味覚・嗅覚の低下(オミクロン株以降は減少傾向)[17]

オミクロン株以降は、下痢や嘔吐などの胃腸症状をともなうケースが増えました。味覚・嗅覚異常を感じる人は減少しているものの、依然として新型コロナウイルス感染症の特徴的な症状です。

これらの症状が複数みられる場合は、新型コロナウイルス感染症が疑われます。とくに呼吸困難や持続する高熱、強い倦怠感、意識障害がある場合は、重症化する可能性もあるため医療機関に相談することおすすめします。[6]

ただしこれらの症状だけで、新型コロナウイルス感染症であると断定はできません。ほかの感染症も考えられるため、確定するには検査が必要です。

新型コロナウイルス感染を確認する検査には、PCR検査、抗原定量検査、抗原定性検査があります。[4]体内にウイルスが存在しているかどうかを調べられ、市販でも入手可能です。
自己検査キットでセルフチェックする際は、国の承認をうけた信頼性の高い製品を使用してください。[5]

 

受診すべき?適切なタイミングや注意点について

喉の痛みを感じ新型コロナウイルス感染症が疑われても、痛みが軽度であれば必ずしも受診する必要はありません。自宅で様子をみながら、市販薬で対応することも可能です。[8]

症状によっては受診が必要なケースもあるため、受診の判断は慎重におこないましょう。

以下では、受診の判断目安を具体的に解説します。適切なタイミングで受診するために、ぜひ参考にしてください。

 

適切な受診のタイミング

受診のタイミングは、以下の3つで判断しましょう。

  • 喉の痛みの強さ

  • 併発する症状の有無

  • 症状の経過

症状が軽度であれば、特別な治療の必要はなく自然治癒をまつことが基本です。一方、喉の痛みが激しい場合や併発する症状が強い場合は、医師の診断のもと治療が必要であると考えられます。

たとえば以下のように症状が軽度の場合は、2〜3日程度自宅で様子をみても問題ありません。

  • 喉の痛みや違和感、咳が軽度な場合

  • 食事や水分摂取ができる場合

軽症で受診した場合、喉の痛みを和らげるために薬を処方されることもありますが、あくまでも対症療法です。回復のために最も大切なのは、免疫力を高めることです。しっかり休養と睡眠をとりましょう。
ただし症状が長引く場合や悪化する場合は、医療機関へ受診してください。

以下のように全身状態がよくない場合は、早急に医療機関を受診してください。重症化する恐れがあるため、医師による診断をうける必要があります。[11]

  • 呼吸が苦しい、息切れがする

  • 強い倦怠感があり、日常生活に支障がある

  • 持続的な胸の痛みや圧迫感がある

  • 唾を飲み込むことが困難で、食事や水分がとれない

  • 皮膚が冷たい、青白い

また発熱が2日以上続き、全身状態の改善がみられない場合も受診を検討してください。
単なる風邪であれば通常3〜4日で解熱します。4日以上続く発熱は体が異常を示しているサインです。[12]4日をまつ間に状態が悪化する恐れもあるため、発熱が2日続いた時点で早めに受診することをおすすめします。

注意点として、65歳以上の高齢者や基礎疾患のある方は、症状が軽度であっても早めに受診してください。新型コロナウイルスに感染した場合、重症化するリスクが高いためです。[13]

軽い喉の痛みからはじまっても、急激に全身状態が悪くなる可能性も考えられます。自宅で様子をみる場合であっても、経過には十分気をつけて療養しましょう。

 

受診するときの注意点

新型コロナウイルス感染症の疑いがある場合、医療機関への事前連絡と十分な感染対策が必要です。

感染拡大を防ぐために、多くの医療機関では診察時間や場所を指定しています。受診前には必ず医療機関へ電話で相談し、具体的な受診方法の指示をうけましょう。

受診する際には、周囲への感染を防ぐため以下の点に注意してください。

  • マスクを正しく着用する

  • 公共交通機関の利用を避ける

スムーズに診察をうけるためには、自分の体調や症状を正確に伝えることが重要です。
以下の情報をあらかじめ整理しておきましょう。

  • 症状の経過(いつからどのような症状があるか)

  • 家族や周囲に感染者がいるか

  • 現在服用している薬

  • 持病の有無

最近ではオンライン診療を導入している医療機関も増えています。直接の接触を避けるためにオンライン診療を検討するのも有効な方法です。

 

喉の痛みの適切な対応方法


症状が軽い場合、以下のセルフケアをとり入れることで喉の痛みの緩和が期待できます。

  • 市販薬を活用する

  • 水分補給や休息など自宅での対処

「喉の痛み程度では仕事を休めない」「喉の痛みだけなら自力でなんとかしたい」このように思う方もいるでしょう。

ただし経過には十分に気をつけてください。状態が悪化したり長引いたりする場合は医療機関を受診しましょう。

以下では、喉の痛みを和らげるためのセルフケア方法について具体的に解説します。

市販薬を活用する

喉の痛みに対する市販薬には「痛みや炎症をおさえる薬」「喉の炎症をおさえる薬」「抗菌作用のあるトローチ・うがい薬」が効果的です。

  • 痛みや炎症をおさえる薬:解熱鎮痛剤(ロキソニンS、タイレノールなど)

  • 喉の炎症をおさえる薬:トラネキサム酸(ペラックT錠)

  • 抗菌作用のある薬:トローチやうがい薬(アズレンスルホン酸ナトリウム配合)

解熱鎮痛剤は、痛みや炎症をおさえるだけでなく、熱を下げる作用もあります。喉の痛みや発熱のせいでゆっくり休めない場合は、使用すると楽になるでしょう。
ただし無理に使用する必要はありません。胃や肝臓に負担をかける可能性があるため、必要最低限の使用にとどめてください。

薬の選び方に迷った場合は、薬剤師や登録販売者に相談しましょう。持病のある方や服薬している薬がある方は、飲みあわせを確認すると安心です。

 

関連記事:コロナの喉の痛みに効果のある薬や対処法を解説

 

自宅でできる対処法

喉の痛みを和らげるために、以下の2つのポイントをおさえましょう。

  • 喉の乾燥を防ぐ

  • 免疫力を高める

自宅でできる簡単な対処法には、以下が挙げられます。

《乾燥対策》

  • 水分をこまめにとる

  • のどあめやのどスプレーを使用する

  • うがいを心がける

  • ぬれマスクを使用する

《免疫力向上》

  • 十分な休養、睡眠をとる

  • バランスのよい食事をとる

喉が乾燥すると防御力が低下し、ウイルスが炎症を起こしやすい状態となります。喉のうるおいを保つために、こまめな水分補給やうがいを心がけてください。
就寝時にぬれマスクを使用すると、加湿効果により喉の痛みを和らげる効果が期待できます。

自然治癒力をうながす心がけも大切です。無理せず十分な休息と睡眠をとり、回復につとめましょう。とくに睡眠は体の免疫力を高めるために重要です。
バランスのよい食事も大切ですが、食欲がない場合はうどんやおかゆなど消化がよいもので栄養をとりましょう。

セルフケアで様子をみる場合でも、症状の変化には注意が必要です。症状が長引く場合や悪化する場合は、早めに医療機関への受診を検討してください。

 

まとめ

喉の痛みを感じた場合、新型コロナウイルス感染症の初期症状の可能性があります。

新型コロナウイルス感染症では、喉の痛みが先行してあらわれ、発熱や倦怠感といった複数の症状をともなうことが多い傾向です。
ただし発現のしかたには個人差があり、喉の痛みや併発症状だけでは断定できません。

重症化を防ぐために治療が必要なケースもあるため、受診の判断は慎重におこないましょう。早急に受診が必要なケースは以下のとおりです。

  • 呼吸が苦しい、息切れがする

  • 強い倦怠感があり、日常生活に支障がある

  • 持続的な胸の痛みや圧迫感がある

  • 唾を飲み込むことが困難

  • 皮膚が冷たい、青白い

  • 65歳以上の高齢者や基礎疾患のある方(軽症の場合にも)


喉の痛みが軽度であり飲食に支障がない場合は、必ずしも受診する必要はありません。自宅で十分に休養し、体の回復をまちましょう。
自宅でのセルフケアでは、こまめな水分補給や加湿で喉をうるおすように心がけてください。喉の痛みを和らげるために、市販薬で対応するのもよいでしょう。

自宅で様子をみる場合であっても症状の変化に注意してください。症状が改善せず悪化する場合は、すみやかに医療機関を受診しましょう。

感染症が流行する時期に喉の痛みを感じた際には、ぜひ本記事を参考に適切な対応をとってくださいね。

 

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参考文献

[1]Eurosurveillance | Outbreak caused by the SARS-CoV-2 Omicron variant in Norway, November to December 2021

[2]https://www.mhlw.go.jp/content/001248424.pdf

[3]季節性インフルエンザ(ファクトシート)

[4]新型コロナウイルスに関するQ&A(一般の方向け)|厚生労働省

[5]体調に異変を感じたら

[6]新型コロナウイルス感染症の軽症者等に係る宿泊療養・自宅療養における健康観察における留意点について

[7]COVID Symptoms — Frequently Asked Questions | Johns Hopkins Medicine

[8]新型コロナウイルス最前線

[9]インフルエンザQ&A|厚生労働省

[10]Similarities and differences between COVID-19 and Influenza

[11]Coronavirus disease (COVID-19)

[12]Q&A Vol.119 発熱4日のルールとは

[13]Full article: Prevalence of gastro-intestinal Symptoms Among COVID-19 Patients and the Association With Disease Clinical Outcomes

[14]大阪市:インフルエンザの基礎知識 (…>健康・医療>感染症・病気に関すること)

[15]COVID-19: Current understanding of its Pathophysiology, Clinical presentation and Treatment | Postgraduate Medical Journal | Oxford Academic

[16]新型コロナウイルスと季節性インフルエンザの重症化率等について 重症化率

[17]新型コロナウイルス感染症(COVID-19)情報 - 岡山県ホームページ

 

本記事に掲載されている情報は、一般的な医療知識の提供を目的としており、特定の医療行為を推奨するものではありません。

具体的な病状や治療法については、必ず医師などの専門家にご相談ください。

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