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遊走腎の症状は?痛みや血尿はある?
一般的に多くみられる症状は、腰痛や背部痛、横腹や脇腹あたりの痛みです。
右腎に起こりやすいため、症状も右側に出ることが多くなります。
立っている時間が長いほど症状が悪化し、横になると症状が軽くなるのが特徴です。
他にもむかつきや食欲不振、嘔吐などの消化器症状が現れる場合もあります。
下がった腎臓に尿管や膀胱が圧迫されることで頻尿や排尿障害が起きたり、血尿やたんぱく尿がみられることもあります。
ただし、自覚症状がないまま過ごしている人も少なくありません。自覚症状がない場合は、偶然尿検査で血尿やたんぱく尿がみられたことから、遊走腎がみつかることもあります。
遊走腎の原因は?
遊走腎は腎臓を正しい位置に保つための脂肪や筋力が少ないことが原因です。
また、腎臓が下がっている状態のまま締め付けの強い衣類を着用すると、通常元の位置に戻るはずの腎臓が、下がった状態で維持されてしまいます。
遊走腎になりやすい人の特徴は?女性に多い?
痩身の女性に多く見られるといわれています。瘦身の女性は腹部周辺の脂肪や筋力が少ないためです。
立って過ごす時間が長い人にも起こりやすいです。
遊走腎になる人は同様の理由で、腸下垂や胃下垂が現れることもあります。
また、腎臓に繋がっている血管や尿管が先天的に異常に長い人も、遊走腎を引き起こしやすくなります。これは血管や尿管にねじれが生じやすいためです。
遊走腎になったら
遊走腎と思われる症状が出ている場合は速やかに受診しましょう。
受診する診療科目、検査や治療方法について解説します。
受診は何科?内科?泌尿器科?
どこに受診して良いかわからないような軽度の症状がある場合はまず内科に受診してください。
更に専門的な検査や治療が必要な状態であれば、専門機関に紹介してもらうことが出来ます。
しかし明らかに目に見てわかる血尿が続いているような場合は、すぐに腎・泌尿器科に受診しましょう。
遊走腎の診断に必要な検査は?
遊走腎の検査は、一般的に造影剤を用いて行います。 静脈注射した造影剤が腎臓に来るタイミングで、寝ている状態と立っている状態の腹部レントゲンの撮影を行います。
遊走腎の治療法
遊走腎の治療は、手術を行わない保存的治療が一般的です。
食事や運動習慣の改善を行います。 特に腹部周囲の脂肪や筋力をつけることが症状改善のために必要です。
以前は遊走腎に対して手術を行うこともありましたが、手術をしても再発の可能性が高いことや症状の改善が保証できないことから手術を行う事はほとんどなくなりました。
現在は水腎症などの重篤な合併症をきたしている場合のみ手術療法が選択されます。
遊走腎にならないための予防と対策
前述したように、遊走腎は脂肪や筋力の低下が主な原因です。 以下に日常生活で気をつけるべき点をまとめていきます。
日常生活で気をつける事
日常生活で気をつけることは4点あります。
- 立った状態で締め付ける衣類を着用しない
- 長時間立ち続けない
- 腹筋を鍛える
- バランスの良い食事を心がける
立った状態でガードルやコルセットなどの締め付ける衣類を履いてしまうと、腎臓が下がった状態で固定されるのでやめましょう。
治療としてコルセットを使用することもありますがその場合骨盤を高く上げ、腎臓が上にあがっている状態で固定します。
過度なダイエットや偏食は、瘦せにより腎臓を正しい位置に支えることが出来なくなる要因です。
バランスの良い食事を摂ることで、痩せや肥満を予防し、健康的な身体を維持しましょう。
Q&A
腎臓下垂とは何ですか?
腎臓下垂とは、腎臓が通常の位置より下がっている状態のことです。つまり、遊走腎と同じものを指していると考えてよいでしょう。
腎臓が悪くなると体のどこが痛くなる?
遊走腎では、腰や背中、横腹や脇腹あたりに痛みを感じることが多いです。
水腎症 放置するとどうなる?
水腎症は決して放置してはいけない重篤な病気です。
水腎症とは、本来排泄されるべき尿が尿路通過障害によって腎臓の中に留まり、腎盂や腎杯という場所が拡張している状態です。
水腎症を放置していると尿がうっ滞するため、尿路感染症や結石などの合併症を起こしやすくなります。
また、両側に水腎症が生じた場合は、腎後性急性腎不全を呈し、腎臓の機能が著しく低下してしまう尿毒症の症状が現れる場合もあるのです。
この時、速やかに尿路の確保を行えば腎機能は回復しますが、放置すると腎性急性腎不全というさらに重篤な状態になります。
筋トレは効果的?
効果的です。腹部周辺の筋力を上げることは、臓器を正しい位置に保持するうえで重要です。
ナットクラッカー症候群とは?
ナットクラッカー症候群とは、左の腎臓から心臓に戻る血管(左腎静脈)が2本の動脈に挟まれることで腎臓に血液がうっ滞している状態です。
血液がうっ滞することで血尿等の症状が出ます。 左腎静脈が2本の動脈に挟まれている様子がくるみ割り器にみえることから、ナットクラッカー症候群といわれています。
ナットクラッカー症候群も遊走腎と同様、痩身の女性に多くみられる疾患で他に症状のない血尿が出ることが特徴です。 症状や原因は似ていますが遊走腎とは別物となります。
遊走腎のエコー所見は?
エコー検査で腎臓の位置を知ることはできます。しかし寝ている状態で行う検査のため、立った時に腎臓が下がってしまう遊走腎は見つけにくい検査方法です。
エコーでは腎臓の形や大きさ、結石・腫瘍・嚢胞の有無などの内部の病変を観察することができます。
そのため、遊走腎に伴う合併症として結石や水腎症が引き起こされている場合には有用な検査です。
遊走腎になると疲れやすい?
腎臓は「沈黙の臓器」と言われ発症早期には基本的に症状は何もありません。
疲れやすさや浮腫み、食欲不振などの自覚 病状が現われている場合は病状が進行している場合が多いです。
まとめ
- 遊走腎とは、立位の状態で、一定の範囲内を超えて腎臓が下がっている状態のこと
- 腹部の筋力や脂肪が少ない人、特に痩身の女性に起こりやすい
- 腎臓の位置が下がりすぎたり、下がっている時間が長いと症状が出やすい
- 腰背部痛、側腹部痛が起こりやすい
- 立っている状態で症状が悪化し、横になると改善するのが特徴
- 血尿やたんぱく尿、まれに消化器症状が起こることもある
遊走腎は症状として自覚がないことが特徴ですが、 自身で気を付けていれば発症も防げる疾患です。
腹部周辺の筋肉をつける・肥満を防ぐ・長時間立ち続けないようにするなど、普段の生活スタイルを見直して予防を心掛けましょう。
それでも痛みが起こるもしくは血尿が見られた際には、早めに病院を受診することをおすすめします。
症状がつらくなったときに病院が休みだったらどこを頼ればよいのか困ってしまいますよね。
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本記事に掲載されている情報は、一般的な医療知識の提供を目的としており、特定の医療行為を推奨するものではありません。
具体的な病状や治療法については、必ず医師などの専門家にご相談ください。