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遊走腎とはどんな病気?症状や原因について
「遊走腎」という病名を聞いたことのない方もいるかもしれません。
この章では遊走腎とはいったいどんな病気なのか、要因や症状について詳しく解説します。
遊走腎とは腎臓が下がった状態のこと
遊走腎とは、腎臓が本来ある位置から極端に下がった状態のことを指します。
腎臓は、もともと人の体の動きに合わせて動く臓器です。
立っていると重力に よって下がったり呼吸によって 動いたりしますが、動いたとしても腎臓は元の位置にすぐに戻るようになっています。
しかし、 遊走腎の場合、生理的な範囲を超えて 腎臓が下が り、さまざまな症状がみられるようになります。
遊走腎の症状
遊走腎でよくみられる症状は以下のとおりです。
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腹痛やむかつき、食欲不振、嘔吐
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たんぱく尿や血尿、尿が出にくい
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鋭い脇腹や腰の痛み(横になれば軽くなる)
上記のような症状は腎臓が元の位置から極端に下がり、腎臓に繋がっている血管の動脈や静脈などが曲がってしまうためにみられます。
また、膀胱が圧迫され、たんぱく尿や血尿の症状がみられる方もいます。
しかし、遊走腎は無症状である場合も多く、注意が必要です。
自覚症状がないまま過ごしている人も少なくありません。自覚症状がない場合でも、健康診断などの尿検査で血尿やたんぱく尿がみられ、遊走腎がみつかったケースもあります。
遊走腎の原因
遊走腎は腎臓を正しい位置に保つための脂肪や筋力が少ないことが原因です。
そのため、痩せた女性に多いと言われています。
腎臓に繋がっている血管や尿管がもともと異常に長い方も、血管や尿管がねじれたり曲がったりしやすいため、遊走腎が起きやすくなります。
また、腎臓が下がっている状態のまま締め付けの強い衣類を着用すると、通常元の位置に戻るはずの腎臓が下がった状態で維持されてしまうため注意しましょう。
遊走腎の診断と検査
遊走腎の検査は一般的に造影剤を用い、 腹部のレントゲン撮影やタンパク尿や血尿が出るかどうかの尿検査をおこないます。
レントゲン撮影は、静脈注射した造影剤が腎臓に くるタイミングで寝ている状態と立っている状態で 撮影します。
遊走腎の場合、腎臓の位置が寝ている場合と立っている場合で違っていると遊走腎の可能性があるためです。
腹部のレントゲンでは、体の中の画像が造影剤によって詳しくはっきりと映るため、より正確な診断が可能です。
遊走腎の治療法
遊走腎の治療は主に、食事や運動習慣の改善です。
とくに腹部周囲の筋力をつけることが症状改善のために必要です。痩せている人の場合、腎臓の周りの脂肪を増やします。脂肪や筋力は、腎臓を補強したり位置を支えられるようになるためです。
以前は遊走腎に対して手術を行うこともありましたが、手術をしても再発の可能性が高いことや症状の改善が保証できないため、手術はほとんどおこなわれません。
2024年3月の時点では、水腎症などの重篤な合併症をきたしている場合のみ手術療法が選択されます。
遊走腎にならないための予防と対策
遊走腎にならないために日常生活でできる主な対策のポイントは以下の4点です。
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立った状態で締め付ける衣類を着用しない
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長時間立ち続けない
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腹筋を鍛える
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バランスの良い食事を心がける
立った状態でガードルやコルセットなどの締め付ける衣類を履いてしまうと、腎臓が下がった状態で固定されるのでやめましょう。
治療としてコルセットを使用することもありますが、その場合骨盤を高く上げ、腎臓が上にあがっている状態で固定します。
また、バランスの良い食事を摂ることで、痩せや肥満を予防し、健康的な身体を維持しましょう。いいバランスの食事を摂ることによって、腎臓の周りにある脂肪も多くなります。
過度なダイエットや偏食は、瘦せすぎによって腎臓を正しい位置で支えられなくなる要因となるためです。
遊走腎の予防には、過剰なダイエットをおこなわず、普段の食事にも注意しましょう。
また、長時間立ったままだと遊走腎の症状が悪化する可能性があります。仕事などで長時間立ちっぱなしになる場合、できるだけ座る機会を儲けるようにして症状が悪くならないようにしましょう。
遊走腎とナットクラッカー症候群との違いは?
遊走腎は腎臓の位置が極端に下がっているのに対し、ナットクラッカー症候群は左の腎臓から心臓に戻る血管(左腎静脈)が2本の動脈に挟まれることで腎臓に血液がうっ滞している状態です。
左腎静脈が2本の動脈に挟まれている様子がくるみ割り器にみえることから、ナットクラッカー症候群といわれています。どちらも血尿がみられますが、ナットクラッカー症候群は血液がうっ滞することで血尿等の症状がでます。遊走腎の血尿は肉眼でほとんど確認できず、顕微鏡で検査したときにわかるものです。そのため、ナットクラッカー症候群ではまれに貧血がみられますが、遊走腎では一般的に血尿による貧血はありません。 ナットクラッカー症候群も遊走腎と同様、痩せた女性に多くみられる病気です。症状が似ていますが、遊走腎とは別の病気です。
まとめ
遊走腎は立っているの状態で、一定の範囲内を超えて腎臓が下がっている状態のことです。
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腹部の筋力や脂肪が少ない人、とくに痩せた女性に起こりやすい
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腎臓の位置が下がりすぎたり下がっている時間が長かったりする症状が出やすい
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腰背部痛、側腹部痛が起こりやすい
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立っている状態で症状が悪化し、横になると改善するのが特徴
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血尿やたんぱく尿、まれに消化器症状が起こることもある
遊走腎は症状として自覚がないことが特徴ですが、 自身で気を付けていれば発症も防げる病気です。
腹部周辺の筋肉をつける・肥満を防ぐ・長時間立ち続けないようにするなど、普段の生活スタイルを見直して予防を心掛けましょう。
それでも痛みが起こる、もしくは血尿が見られた際には、早めに病院を受診して医師に相談しましょう。
本記事に掲載されている情報は、一般的な医療知識の提供を目的としており、特定の医療行為を推奨するものではありません。
具体的な病状や治療法については、必ず医師などの専門家にご相談ください。