すぐに始められる血圧を下げる方法とは? 医師がおすすめの方法を徹底解説

公開日: 2023/12/13 更新日: 2024/06/24
「高血圧と言われたけど、薬を飲まずに治したい」「血圧が高めだけど、忙しいので病院には行きたくない」と悩んでいませんか? 食事の減塩や有酸素運動、節酒、禁煙など生活習慣を改善すれば、血圧は下げられます。 しかし、“高血圧は“沈黙の殺人者””と言われ、普段は症状がなく、脳卒中や心筋梗塞など生死に関わる障害が出て、初めて危機を自覚するため生活習慣の改善を負担と感じる方も多いです。引用元[3] 本記事では、血圧を下げるために今日からできる生活習慣の改善方法を紹介します。減塩に効果的な調理の方法や食べ方のポイント、手軽に始められる運動についても解説しています。本記事を参考に出来ることから始めてみましょう。
高血圧の症状でお困りなら

高血圧を放置しておくと、心筋梗塞や脳梗塞など思わぬ病気を招いてしまうことも。

症状がないうちから血圧をコントロールすることが重要です。

「血圧が高めでめまいや頭痛がある」 「血圧が高いといわれた」 少しでも血圧に不安があるなら、一度受診しましょう。

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血圧を下げる方法

血圧を下げるために、まず食事や運動など生活習慣の改善が効果的です。

まず何から取り組めばよいのか、血圧を下げるための生活習慣の改善ポイントを具体的に説明します。

塩分を控える

高血圧を改善するために、厚生労働省が推奨する1日の塩分摂取量は6g未満です。

  • 厚生労働省が推奨する1日の塩分量は6g未満

しかし、日本人の食塩摂取量の平均値は、男性10.9g、女性9.3gで目標量を大きく上回っています。[4][5]

日本人は、みそや醤油などの調味料を好むため塩分摂取量が多い傾向にあります。高血圧改善のためには、減塩を目指し食生活を改めることが重要です。

減塩方法としては、調理のポイントと食べ方のポイントがあります。

 

減塩方法の例

調理のポイント食べ方のポイント
  1. 新鮮な食材で素材の味を活かす
  2. 調味料は目分量ではなく計量スプーンを使う
  3. 出汁や薬味を効かせ薄味にする
  4. ケチャップやマヨネーズなどの低ナトリウムの調味料を使う
  5. 味を効かせる場合は、最後の仕上げに表面に味をつける
  6. みそ汁は具だくさんにして具のうまみを活かす


  1. 全体量として食べ過ぎない
  2. 麺類の汁は全部残す
  3. かまぼこや塩干物などの加工品や外食を控える
  4. しょうゆやソースは直接かけずに、別皿にとって「つけて」食べる
  5. こしょうや七味、しょうがなどの香辛料や柑橘類の酸味を利用する
  6. 昼食で塩分を取り過ぎたら夕食で塩分を控えるなど1日の中で塩分調整する

減塩しても量をたくさん食べてしまえば、塩分摂取量は増えてしまいます。
食べ過ぎないように注意しましょう。

特に、ラーメンなどの汁ものは1杯完食すると、塩分が6g程度あり1日の塩分量と同じです。食べ物に含まれる塩分量を、目安として覚えておくと良いでしょう。

 

食べ物に含まれる塩分量の目安

料理名塩分量
みそ汁(1杯)約1.5g
インスタントスープ(1袋)約1.2g
きゅうりのぬかみそ漬け(5切れ)約1.6g
梅干し1個約2.2g
ちくわ・中1本約0.7g
あじの開き約1.4g
塩鮭・中辛(1切れ)約1.1g
堅焼きせんべい・大2枚約1.0g
うどん(1杯汁含む)約5~6g
ラーメン(1杯汁含む)約6~7g
あんぱん1個0.7g
デニッシュペストリー1個1.2g
塩(小さじ1杯)6.0g
濃い口しょうゆ(小さじ1杯)0.9g

「食べ物に含まれる塩分量の目安」の表からもわかるように、あんぱんやデニッシュペストリーなどの甘い食品にも塩分が多く含まれています。間食の塩分も意識し、1日の食事量を考えましょう。[6]

血圧を下げる食べ物を取り入れる

血圧を下げる効果がある栄養素は、カリウムやマグネシウムです。カリウムは、ナトリウムの排泄を促し血圧を下げると言われており、マグネシウムは、血管を拡張させて血圧を下げる作用があると言われています。

カリウムは、バナナやりんごなど身近な食品にも多く取り入れやすいです。

ただし、腎臓に問題がある方はカリウム制限が必要な場合があります。主治医に確認しましょう。[7]

マグネシウムは、アーモンドなど手軽に食べられる食材に含まれています。

アーモンドなどのナッツ類は、おやつに最適ですが加工品も多いです。ナッツ類を選ぶ際は、塩分を摂りすぎないように、加工品は避けましょう。

カリウムやマグネシウムを多く含む食材は以下の通りです。

 

カリウムを多く含む食材

食材カリウム含有量
刻み昆布・10g8200mg
鶏ささみ・100g420mg
ひきわり納豆30~50g700mg
絹ごし豆腐・1丁150mg
ほうれん草・1束200g1,000mg
芋類・中1個100g450mg
ニラ・一束100g510mg
バナナ・1本100g360mg

トマト・1個150g

315mg
りんご・1個300mg360mg
サラダ菜・1袋80g300mg
いちご・半パック150g300mg
牛乳200ml300mg

[9]

マグネシウムを多く含む食材

食材100gマグネシウム含有量
キヌア180mg
そば(乾麺)100mg
きび84mg
全粒粉パン51mg
玄米ごはん49mg
きなこ260mg
納豆100mg
がんもどき98mg
木綿豆腐57mg
ごま370mg
アーモンド290mg
くるみ150mg
アオサ3200mg
ひじき640mg
カットわかめ460mg
焼きのり300mg
さつまいも(皮付き)24mg
じゃがいも(皮付き)19mg
里芋19mg
ながいも17mg

[10]

食事は、日々の生活に欠かせません。取り入れやすい食材を見つけて楽しく続けることを目指しましょう。

 

運動

高血圧の改善には、ウォーキング、ジョギング、水泳、サイクリングなどの有酸素運動が良いとされています。1日30分程度、週に3〜5回行うと良いです。

 

血圧を下げるために推奨されている運動や時間

運動
  • ウォーキング(速歩)

  • ステップ運動

  • スロージョギング

  • ランニングなどの有酸素運動

頻度・時間
  • 毎日30分以上行う

  • または、1回につき10分以上持続し合計して1日40分以上運動を実施する

運動強度「ややきつい」と感じる程度の運動強度が推奨されている

 

急な運動は、体の負担になる場合があります。階段の昇降や洗濯・掃除、子どもと遊ぶなど日常生活のなかで活動を増やすことから始めると良いでしょう。

運動は、血圧低下だけではなく体重減少や体力増加などメリットが多く、高血圧患者に強く推奨されています。

ただし、過剰な負荷や血圧が高すぎる場合はリスクがあるので注意しましょう。

 

運動時の注意点

  • 収縮期血圧180mmhg以上、拡張期血圧110mmhg以上の場合は、降圧後に行う

  • 準備や整理運動は十分行う

  • 無理をしない

高血圧と診断されている方や、心疾患の既往がある方は、主治医と相談しましょう。[11]

 

アルコールを控える

習慣的な飲酒は、高血圧の原因になります。1日のアルコールは、適量を守りましょう。

 

アルコールの適量

男性女性
20~30g/日以下10~20g/日以下

アルコールの分解能力は、性別や体格により違います。女性は男性よりお酒に弱い傾向があるため、飲酒量を減らした方が良いとされています。

アルコール20gに相当するお酒の量は、ビール中瓶1本程度です。

 

アルコール20g相当のお酒の種類と量

お酒の種類アルコール20g相当量
ビール5度中瓶1本(500ml)
日本酒15度1合(180ml)
ワイン14度180ml
ウイスキー43度ダブル1杯(60ml)
焼酎25度0.6合(110ml)
缶酎ハイ5度500ml1本

[12]

 

禁煙

たばこは、交感神経の亢進により血管が収縮し血圧を上昇させる可能性があります。

禁煙は、血圧低下に効果的ですが、禁煙による口さみしさから食事量が増加し、血圧上昇を招いたと考えられる事例も存在します。

禁煙後は、血圧管理と共に食事管理も重要です。歯ごたえがあるものや、口に残るもので禁煙後の口さみしさを紛らわし、吸いたい気持ちをコントロールしましょう。[13]

特に禁煙開始2週間は、離脱症状が強いです。イライラしたり、集中できなくて辛いと感じることがあります。

そんな時は、ガムや昆布など歯ごたえがあるものやニコチンガム、ニコチンパッチなど薬局で市販されている禁煙グッズを試すのも有効です。

長年たばこを続けてきた方にとって、禁煙はストレスになるでしょう。自分で禁煙できるか不安に思っている方は、禁煙外来を検討してください。

“禁煙補助薬を利用すると、自力の禁煙に比べて3~4倍禁煙しやすくなる”と言われています。引用元[14]

2006年から禁煙治療に健康保険が使えるようになりました。

保健診療では、禁煙補助薬としてニコチンパッチや、バレニクリンという飲み薬が処方可能です。

 

保険診療可能な禁煙補助薬

保険診療可能な薬

ニコチンパッチバレニクリン

用法

貼り薬

朝起きて体に貼り寝る前にはがす

飲み薬

服用後8日目から禁煙する
服用開始7日間は喫煙しながら服用する

効果

ニコチン離脱症状を和らげる

  • ニコチン離脱症状を和らげる

  • タバコを吸った時の満足感を抑える

自力で禁煙が難しいと感じる方は、禁煙外来を検討しましょう。

 

ストレスを溜め込まない

ストレスは、交感神経を亢進させて血圧上昇を招きます。

“心理的ストレスの強い航空管制官の年間の高血圧発症率は、アマチュアパイロットと比べて5.6倍高くなる”と報告されています。引用元[16]

人間関係や仕事、天候や病気などストレスは尽きません。血圧を上げないために、ストレスと上手に付き合いましょう。

 

ストレス緩和の対策

起床時の対策起床時は、自律神経が切り替わる時間帯のため血圧が上がりやすいです。起床時は、まず布団の中で深呼吸をしリラックスさせると良いです。
家の中での温度差への対策居間とトイレに温度差があるとストレスになります。トイレや浴室など寒い所に暖房設置を検討しましょう。
外出時の寒さへの対策室内と室外の温度差は、血圧上昇を招きます。外出時には、特に首を外気にさらさないよう着衣を工夫しましょう。
運転中のストレス対策運転は、神経の緊張を招き血圧を上昇させます。車を利用する際は、余裕をもって出かけましょう。
仕事中のストレス対策責任感が強い方や忍耐力がある方、完璧主義の方は、ストレスが貯まりやすいです。座りっぱなしにならないように、腰や背中を伸ばしてストレッチをしたり、定期的に席を立つようにして気分を変えましょう。

過度なストレスを取り除くためには、規則正しい生活を送り趣味や娯楽でストレスを発散することが大切です。

ゆっくり半身浴を楽しんで、副交感神経を優位にしてリラックスするなどがオススメです。

安定した血圧コントロールのために、自分に合う対処方法を見つけてストレスと上手につき合いましょう。[15][16][17]

 

血圧の基準値について

 

高血圧を予防する上であらためて血圧の基準値を知ることも大事なことです。

高血圧の基準は、収縮期血圧(上の血圧)が140mmHg以上、拡張期血圧(下の血圧)が90mmHg以上です。この基準を超えると、高血圧と診断されます。[1]

日本高血圧学会の高血圧診断基準(mmHg)[1]
 

収縮期血圧

(上の血圧)

拡張期血圧

(下の血圧)

診察室血圧

≧140  かつ/または ≧90

家庭血圧 ≧135  かつ/または ≧85

上の血圧とは、心臓が収縮しもっとも強い圧力がかかっているときの値で、下の血圧とは、心臓が拡張しているときに血管にかかる圧力の値です。

家庭血圧は、原則2回測定します。その平均値を用いて「朝・晩それぞれの測定値7日間の値を用いる」としています。

日本血圧学会では、家庭で血圧をはかったことのない方でも、実際は高血圧の方が潜んでいると考えています。高血圧を放置しないために、家庭での血圧測定は重要です。

血圧は、さまざまな要因によって変動するため、1回の測定で高血圧と診断されるわけではありません。

高血圧の診断や治療のためには、家庭でも定期的に血圧をはかり管理することが推奨されています。

高血圧かもと不安に感じたら

高血圧を放置すると、狭心症や心筋梗塞、脳梗塞、脳出血、認知症のリスクが高まります。

少しでも高血圧の症状について不安を感じている方は、医師の受診を受けることをおすすめします。

ファストドクターはオンライン診療が可能です。

コロナやインフルエンザが怖いから、面倒だから受診したくないという方はぜひご利用ください。

高血圧の主な原因

 

高血圧は、本態性高血圧と二次性高血圧に分けられます。本態性高血圧は、原因をひとつに定められません。塩分の過剰摂取や運動不足、お酒の飲みすぎ、喫煙、ストレスなどいくつかの要因が関わっています。

「本態性高血圧」と「二次性高血圧」の原因と対策

 本態性高血圧二次性高血圧
原因塩分の過剰摂取、運動不足、お酒の飲みすぎ、ストレス、喫煙、肥満など甲状腺や腎臓疾患、原発性アルドステロン症、睡眠時無呼吸症候群など
対策減塩、有酸素運動、禁煙、ストレスを貯めすぎない、アルコールを控える、生活習慣を改善する原疾患の治療

塩分の過剰摂取は血液中のナトリウム濃度が上がり、血管を収縮させ血圧を上げる最大の要因です。

高血圧の対策として、まず食生活を見直しましょう。

本態性高血圧と二次性高血圧では、対応が変わります。高血圧の原因を知りたい場合は、医療機関を受診しましょう。

 

高血圧が身体に及ぼす悪影響

高血圧を放置すると、狭心症や心筋梗塞、脳梗塞、脳出血、認知症のリスクが高まります。

高血圧が心臓や脳に及ぼす悪影響

部位心臓
悪影響狭心症、心筋梗塞など脳梗塞、脳出血などの脳卒中、認知症など

高血圧は、心臓の血管が狭くなる狭心症や血管が完全に詰まる心筋梗塞、脳の血管が詰まる脳梗塞や血管が破れる脳出血、認知症など生命を脅かす病です。

高血圧を放置すると、命に関わるだけでなく脳卒中後の後遺症から要介護の負担になる可能性もあるため、早期の血圧コントロールが重要と言われています。

 

まとめ:まずは日常で改善できることから始めよう

高血圧は、塩分過多や飲酒、喫煙など様々な生活習慣が要因となって引き起こされます。

薬に頼らなくても、塩分制限や有酸素運動、禁煙など生活習慣を見直すことで血圧は下げることができます。

しかし生活習慣をなかなか変えるのはが難しいと感じる場合は、エスカレーターよりも階段を使用してみる、1駅先まで歩いて通勤してみる、塩分が控えめの食事に変えてみるなど、まずはできそうなことから試してみましょう。

ただし、高血圧の要因には、原疾患の治療が必要な二次性高血圧の場合もあります。

高血圧と診断されている場合は、自己判断ではなく主治医に相談し対応を決めましょう。

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本記事に掲載されている情報は、一般的な医療知識の提供を目的としており、特定の医療行為を推奨するものではありません。

具体的な病状や治療法については、必ず医師などの専門家にご相談ください。

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