インフルエンザの主な症状5つ
インフルエンザの特徴として、つらい症状が出ることが特徴です。
また、症状の進行が急激で、全身症状が強くあらわれるのも特徴のひとつです。
主な症状を5つ紹介します。
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高熱
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咳と喉の痛み
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鼻水
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全身のだるさと関節痛
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頭痛
すべての症状がでるわけではありませんが、複合的に症状があらわれる場合が多いです。
また、インフルエンザは脳炎や肺炎などを引き起こす可能性があり、注意が必要です。
それぞれの症状の特徴を紹介します。
高熱
インフルエンザの症状では、発熱を伴う場合が多いです。しかも、38°C〜40℃の高熱が出るのが特徴です。
インフルエンザ発症後、数時間で高熱になる場合があります。
1日~3日程度で徐々に熱が下がってくるのが一般的で、完全に解熱するまでには3~5日程度かかるでしょう。
インフルエンザの予防接種の有無や年齢、体力などによって発熱の程度には個人差があります。熱が出ない場合もあるでしょう。
高熱が4日以上続く場合は、インフルエンザによる発熱以外も考えられます。
高熱が続く場合は、医療機関の受診をおすすめします。
咳と喉の痛み
咳と喉の痛みは、インフルエンザの症状のひとつですが、風邪でもよくあらわれる症状です。
しかし、発熱や倦怠感などの全身症状より、咳や喉の痛みはやや遅れてあらわれる傾向です。
咳は、インフルエンザウイルスを飛沫させ、感染を広げる原因になります。
マスクを活用し、咳エチケットを心掛けましょう。
鼻水
インフルエンザの症状で鼻水が出る場合があります。この症状も、全身症状よりやや遅れてあらわれる傾向です。
インフルエンザでは、サラサラした鼻水が特徴ですが、二次的に細菌感染を起こしている場合は、黄色や緑色の鼻水が出ることがあります。
インフルエンザは、飛沫感染だけでなく接触感染でも広がります。鼻水から感染を広げる場合がありますので注意しましょう。
全身のだるさと関節痛
全身の倦怠感や筋肉痛、関節痛などの節々の痛みは、インフルエンザの初期症状としてあらわれる場合が多いです。
あちこちに痛みがあらわれる場合や一部分に強い痛みがあらわれる場合など、さまざまな程度で症状があらわれ個人差があります。
頭痛
インフルエンザの症状では、頭痛は起こりやすく、代表的な症状と言えるでしょう。
頭痛の症状は、他の症状がおさまっても残りやすい傾向です。
程度は人によってさまざまですが、ひどい頭痛が続く場合は医療機関を受診することをおすすめします。
つい市販の頭痛薬や鎮痛剤で対処できるかな、と思いがちです。
しかし、インフルエンザの場合、市販の解熱鎮痛剤の使用は合併症を引き起こす可能性もありますので、安易に使わないようにしましょう。
インフルエンザの症状別対処法
インフルエンザの主な症状を5つ紹介しましたが、それぞれの症状別に対処法を紹介します。
高熱の対処法
熱が高いときは、できるだけ安静を心掛けて過ごしましょう。
体温が上がっていくとき、人は悪寒やふるえを感じます。そのようなときには、毛布や布団で身体を温めます。
体温が上がり熱くなってきたら、掛物を減らし、身体に熱がこもらないようにしましょう。
熱が下がるときには、汗をかきます。こまめに着替え、水分補給を忘れないようにしましょう。
高熱が4日以上続く場合は、インフルエンザによる発熱以外も考えられます。
高熱が続く場合は、医療機関の受診をおすすめします。
咳と喉の痛みの対処法
咳やのどの痛みが続くと体力を消耗し、つらいですよね。
少しでも症状を軽くするために、咳とのどの痛みの対処法を紹介します。
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加湿する
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水分をとる
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横向きに寝る
乾燥している空気は喉に刺激となり、喉の痛みを強くし咳を誘発します。
部屋の加湿をしっかり行いましょう。
簡単に加湿する方法として、お湯を沸かしたり、洗濯物を室内に干したりすることもおすすめです。
また、マスクをつけることも、のどの加湿効果があります。
こまめな水分摂取も喉にうるおいを与えます。冷たい飲み物は刺激になるため、温かい飲み物を飲むようにしましょう。
寝る姿勢にも注意すると、呼吸がらくになります。
うつ伏せや仰向けで寝るよりは、横向きの方が気道が確保しやすいです。
また、上半身を少し高くすることで、咳が緩和され、呼吸がしやすくなるでしょう。
鼻水の対処法
鼻水が出る場合、ティッシュで鼻をかみましょう。
片方ずつやさしくかむことで、鼻の粘膜を傷つける可能性や耳への負担も少なくなります。
子供の場合は、上手に鼻がかめない子もいるでしょう。そのような場合は、家庭用の鼻吸い器を使うことをおすすめします。
また、鼻を温めたり加湿したりすることで、鼻水の症状を緩和させる効果が期待できます。
鼻水がひどく鼻をかむ回数が多くなると、鼻の周りの皮膚が赤くなりヒリヒリすることがあります。
鼻の周りに保湿剤を塗ることで、痛みが緩和されるでしょう。
全身のだるさと関節痛の対処法
強い倦怠感は、食事や入浴などの日常生活行動でさえつらいときがあります。
倦怠感が強く、全身のだるさを感じているときは、しっかり身体を休めるようにしましょう。
関節痛や筋肉痛がある場合は、痛みがある部分を冷やしたり解熱鎮痛薬を服用したりするのも効果的です。
市販の解熱鎮痛薬には、インフルエンザ脳症を引き起こす成分が入っているものもあります。
自己判断で市販薬を飲んだり購入したりせず、医療機関を受診して医師の指示に従いましょう。
頭痛の対処法
頭痛がひどいときには、安静にしていましょう。
頭を冷やしたり、カフェインを摂取したりすることで、一時的に頭痛が軽減する場合があります。
しかし、確実に頭痛を緩和させる方法ではないため注意が必要です。
あまりにも頭痛がひどい場合は、早めに病院を受診しましょう。
インフルエンザと風邪の症状の違い
インフルエンザと風邪は似たような症状があらわれます。
インフルエンザと風邪の症状や特徴を以下の表にまとめました。
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インフルエンザ |
風邪 |
特徴 |
高熱と強い全身症状 |
上気道症状が強い |
時期 |
冬季 |
一年を通して散発的 |
原因 |
インフルエンザウイルスの感染 |
ほとんどがウイルス感染だが10〜20%程度は細菌感染が原因。 |
症状 |
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このように、インフルエンザと風邪の症状は似ていますが、インフルエンザの方が症状が重い傾向です。
症状のみで自己判断は難しいため、インフルエンザか風邪かは病院を受診し、診断してもらいましょう。
インフルエンザの症状で子どもの場合の注意点
子供の場合は、インフルエンザ発症に伴って、さらに注意が必要な症状があります。
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熱性けいれん
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異常行動
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脳症
このような状態は、注意が必要であり、命に関わる場合もあります。
症状と注意点を理解しておきましょう。
熱性けいれん
熱性けいれんは、発熱に伴ってあらわれる一過性の病気です。生後6カ月~6歳ごろまでにみられる場合が多いです。
全身に力が入りこわばったり、手足をぴくぴくさせたりします。
痙攣を発見したら、慌てず様子を観察しましょう。嘔吐する場合がありますので、誤飲を防ぐために体を横向きにさせます。
高熱を伴うインフルエンザでは、熱性けいれんを起こしやすく、子供は注意が必要です。
異常行動
昔は、「異常行動は抗インフルエンザ薬の服用に伴うもの」と考えられてきました。
しかし、抗インフルエンザ薬服用に関わらず、異常行動があらわれる場合があるということがわかってきています。
歩き回ったり飛び降りたり、つじつまの合わない言動があったりとさまざまです。
インフルエンザを発症して早い段階であらわれることが多いため、発症後2日程度は子供から目を離さず、ひとりにしないようにしましょう。
インフルエンザ脳症
インフルエンザ脳症は、短期間で重篤な状態にまで進行する合併症です。
起こしても起きず、ずっと眠っている、反応が鈍い、過度に興奮しているなど、子供の様子がおかしい場合は、すぐに医療機関を受診しましょう。
また、インフルエンザ脳症では痙攣を起こす場合があります。
発熱をしていると、熱性けいれんとの鑑別が難しくなります。
インフルエンザ脳症を起こすかどうかは予期することはできません。
しかし、インフルエンザの予防接種を受けることで、インフルエンザ脳症のリスクを下げることはできます。
心配な方は、インフルエンザの流行前に、予防接種を受けておくといいでしょう。
インフルエンザの症状が重症化しやすい人
インフルエンザにかかってしまうと、重症化しやすい人がいます。
以下の表にまとめました。
重症化しやすい持病 |
重症化しやすい人 |
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これらに該当する人は、インフルエンザにかからないよう、しっかり予防しましょう。
インフルエンザで症状なしの場合
インフルエンザにかかると、つらい症状が出るイメージです。
しかし、インフルエンザに感染した人が、必ず高熱が出て重い症状が出るわけではありません。
熱が出なかったり、微熱程度で済んだり、普通の風邪程度で終わる人もいます。
インフルエンザにかかったのに、症状が出なかった場合や軽く済んだ場合について解説します。
インフルエンザは症状なしでもうつる?
インフルエンザでは、予防接種をしている場合は、症状が出なかったり軽く済んだりする場合があります。
しかし、症状がなくてもインフルエンザウイルスに感染していれば、他の人にうつす可能性があります。
インフルエンザと診断された場合はもちろんですが、「インフルエンザかも」と思う場合は、感染を広げないよう対策が必要です。
インフルエンザは症状なしでも検査できる?
「家族がインフルエンザになったので自分も検査してほしい」「症状はないけど心配だから検査してほしい」など、症状がないのに検査を希望する人がいます。
しかし、基本的には症状がない場合、インフルエンザの検査はできません。
わずかな症状で検査を希望する場合は、保険診療での検査が可能になります。
しかし、もし陰性だった場合、翌日の検査は保険診療でできますが、それ以降1週間は保険診療での検査ができないため、自費での検査になります。
また、インフルエンザウイルスへ感染してすぐは症状が出ません。検査のタイミングが早すぎると、ウイルス量が少なく検出できない場合があります。
このような場合は、正しい検査結果が得られません。
検査のタイミングを見極め、不要な検査は行わないようにしましょう。
インフルエンザで症状なしでも検査で陽性がでる?
インフルエンザは、感染後に体の中でウイルス量がある程度まで増殖しなければ、検査をしても陽性は出にくいです。
そのため、症状がない場合、検査をしても正しい結果が得られず、陰性と出る場合が多いです。
意味のない検査にしないためにも、しっかり症状が出てから検査するようにしましょう。
Q&A
インフルエンザについて、よくある質問をまとめました。
インフルエンザA型とB型ってなに?
ヒトへ感染するインフルエンザウイルスには、A型・B型・C型の3種類があります。
C型はあまり聞かないため、知らないという人もいるでしょう。
C型のインフルエンザウイルスは、流行することはなく、感染しても軽い症状で終わるため問題になりません。
感染が広がり流行しやすく問題となるのが、A型とB型のインフルエンザウイルスです。
通常、寒い季節に流行しやすいとされていますが、近年では1年を通して散発的にみられるようになっています。
また、流行する型はその年によって異なりますが、A型は真冬にB型は春先に感染が広がる傾向です。
A型のインフルエンザウイルスに罹患し獲得した免疫は、B型のインフルエンザウイルスには効きません。
そのため、型違いのインフルエンザに罹患した場合は、1シーズンに2回インフルエンザにかかることになります。
シーズン中にインフルエンザウイルスが変異した場合、まれに、同じ型のインフルエンザウイルスに感染することがあります。
一度感染しても油断せず、感染予防を継続しましょう。
インフルエンザ症状で熱なしの場合は外出してもいい?
インフルエンザに感染した場合、周囲へ感染を広げる可能性があるため、熱がなくても外出は控えましょう。
子供の場合、学校保健法で「発症後5日経過、かつ、解熱後2日経過するまで」は学校を休むよう決められています。[1]
大人の場合は会社を休まなければいけない期間の定めはありませんが、この学校保健法に準じて、休む期間を決めている会社もあります。
とくに務めている会社に規定がなければ、仕事ができる体調へ回復していて、感染を広げないよう注意しながらであれば、仕事へ復帰することは可能です。
「大事な仕事があるから」や「締め切りがあるから」など、仕事が心配になる場合もあるでしょう。
しかし、無理に出勤すると、体調が悪化したり、周囲へ感染を広げたりすることになりかねません。
自分だけではなく周囲にも影響が出るため、無理をせず、しっかり休んで体調回復に務めましょう。
インフルエンザ症状で下痢や嘔吐もある?
インフルエンザウイルスに感染した場合の症状として、下痢や嘔吐、腹痛などの消化器症状があらわれる場合があります。
消化器症状は、B型のインフルエンザに感染している場合、あらわれやすい症状です。
また、冬場にはインフルエンザだけではなく、胃腸炎も流行しやすい時期です。
そのため、消化器症状が出ている場合、胃腸炎との鑑別も必要です。
消化器症状がでている原因によって、感染対策が異なるためしっかりと判断する必要があります。
しかし、症状だけでは判断できないため、自己判断はせず、医療機関を受診しましょう。
インフルエンザがうつる確率は?
インフルエンザがうつる確率は、家庭内や集団生活の中では高い確率でうつることが予想されます。
うつる確率を下げるために、手洗いやマスクの着用などの感染予防を行い、予防接種を行うことで、感染する確率を下げることができるでしょう。
インフルエンザには、1日~4日の潜伏期間があります。
潜伏期間は、感染者本人は自覚症状がないですが、ウイルスの排出はされているため人にうつす可能性があります。
しかし、この期間は感染者本人にも自覚症状がないため、感染を広げることを防ぐのは難しいです。
症状の発症後は徐々に感染力が増していきます。
特に、鼻や喉でウイルスの排出が多くなるため、鼻水や咳で他人へうつしてしまう可能性が高いです。
インフルエンザウイルスは、飛沫感染と接触感染でウイルスが広がり、他人へ感染します。
そのため、手洗いやマスクの着用は感染を「しない」「させない」ためには、効果がありとても大切です。
インフルエンザの感染経路と感染力は?
インフルエンザウイルスの感染経路は、「飛沫感染」と「接触感染」です。
「飛沫感染」とは、文字通りウイルスが飛沫することで感染が広がります。
感染した人の咳やくしゃみでウイルスが飛沫し、それを他人が吸い込むことで感染が広がります。
もうひとつの感染経路は「接触感染」です。
接触感染は、感染した人が触ったつり革やドアノブ、スイッチなどを他の人が触ることで、他人の手にウイルスが付着します。
その手で、口や目などの粘膜を触ることで感染します。
インフルエンザウイルスは、とても強い感染力を持っているため注意が必要です。
感染をしないために、また、感染を広げないために、しっかりとした感染予防対策をしましょう。
まとめ
インフルエンザの主な症状と、対処法について解説しました。
人により症状の程度や感じ方は異なりますが、どれもつらい症状です。
少しでも早く症状が緩和するよう、正しい対処法を実践しましょう。
また、子供は大人とは違い、注意すべき症状があります。少しでも異変を感じたら、早めの受診を心掛けてください。
インフルエンザは流行性の感染症であり、誰でもかかる可能性があります。重症化しやすいリスクを抱えた人もいるでしょう。
インフルエンザの特徴的な症状があらわれた場合、慌てず頃合いをみて医療機関の受診をおすすめします。
また、インフルエンザと診断されたら、まずは症状の緩和をしつつゆっくりと身体を休め、回復を優先させましょう。
ファストドクターでは無料の医療相談を行なっています。
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もし、ご家族やご自身の体調でご不安な点がありましたら、ファストドクターを頼ってください。
参考文献
[1]学校保健ポータルサイト
本記事に掲載されている情報は、一般的な医療知識の提供を目的としており、特定の医療行為を推奨するものではありません。
具体的な病状や治療法については、必ず医師などの専門家にご相談ください。