子どもがインフルエンザに!いつから保育園に行けるの?

公開日: 2024/02/05 更新日: 2024/09/13
大人よりも抵抗力が弱く、自分で感染対策することが難しい園児にとって、感染症は避けては通れないもの。 特にインフルエンザなどの感染力が高い病気は、集団感染を引き起こしてしまうこともあります。 そんな「園児の子どもをもつ親」が気になるのは、子どもがインフルエンザになったら保育園や幼稚園に行ってもいいのか、兄弟がインフルエンザになったときに預けてもいいのかということではないでしょうか。 この記事ではそんな疑問を解決できるよう、幼稚園や保育園の出席停止の基準や、医師による登園許可がいるのかどうかについて解説しています。 また、インフルエンザの症状や特徴、治療法や予防方法についても記載しておりますので、子どもがインフルエンザにかかってしまったという方はぜひ参考にしてください。
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目次

インフルエンザの症状や特徴は?

インフルエンザにかかると、38度以上の高熱や倦怠感、食欲不振、関節痛、筋肉痛などの全身症状や、鼻水、咽頭痛、咳などの気道症状などが現れます。

インフルエンザが普通の風邪と違う点は、インフルエンザの方が急速に症状が進行し、症状が重い場合が多いという点です。

またこれらの症状は、一般的には1週間程度で回復しますが、まれに急性脳炎や肺炎、中耳炎、気管支炎、熱性けいれんなどの合併症が起こることがあります。

インフルエンザの流行時期は?

例年11月下旬から12月上旬頃に始まり、翌年の1~3月頃に患者数が増加、4~5月にかけて減少していく傾向があります。[1]

しかし、流行時期のピークやその流行の程度は毎年異なります。

【2023年】季節外れのインフルエンザが流行中!

前述の通り、日本における季節性インフルエンザの流行時期はその年によって多少異なりますが、通常11月頃から流行り始めます。

しかし今年2023年は、8月中旬あたりからインフルエンザの感染報告が増え始め、現在(2023年10月)も増加傾向にあり、季節性インフルエンザの流行が例年より大幅に早まったといえるでしょう。

このまま翌年3月頃まで流行が続くかは不明ですが、全国的にインフルエンザによる休園・休校や学級閉鎖などが相次いでいます。

今後の感染状況や医療機関の状況によっては、さらに大きな流行となることも考えられるでしょう。

インフルエンザの感染経路は?

インフルエンザの主な感染経路は飛沫感染と接触感染の2つです。[2]

  • 飛沫感染

インフルエンザに感染した人が咳やくしゃみ、会話をすることにより、ウイルスを含んだ飛沫が飛散し、周囲の人の鼻や口の粘膜あるいは結膜に接触して感染することを指します。

インフルエンザ感染者の2メートル圏内にいる人は、感染の危険性が高くなります。

  • 接触感染

インフルエンザに感染している人の粘膜や皮膚に直接触れたり、病原体で汚染されたドアノブや手すりなどの物に触れた手で、自分の目や鼻、口などを触ることで感染することです。

インフルエンザの診断方法は?

インフルエンザの診断では主に、抗原定性検査が用いられます。

検体を採取する場所は、鼻の奥が一般的ですが、鼻の手前や咽頭、鼻をかんで採取した鼻汁などを用いることもあります。

抗原定性検査の結果はおよそ15分で出ますが、流行時期には症状のみで診断可能な場合があるようです。

インフルエンザの治療薬について

症状や抗原定性検査によってインフルエンザと診断された場合は、抗ウイルス薬が処方されることがあります。

インフルエンザの抗ウイルス薬には内服薬、注射薬、粉末状の吸入薬があり、発症後48時間以内に薬を始めることが重要です。

また熱や咳、咽頭痛などについては、それぞれの症状に対して薬が処方される場合があります。

インフルエンザで受診する目安は?

インフルエンザは普通の風邪と同様、薬を飲まなければ治らない病気ではないため、症状が比較的軽く、自宅にある常備薬などで療養できる方は、病院に行く必要はありません。

しかし子どもの場合は大人よりも重症化しやすく、脳症やけいれんなどの合併症を引き起こす場合もあるため、受診を検討してもよいでしょう。

ただし、次のような症状があるときはなるべく早く医療機関で診断を受けることをおすすめします。

  • 呼吸が速い、息苦しそうな様子

  • 青白い、土気色など顔色が悪い

  • 嘔吐や下痢が続いている

  • 反応が鈍い、機嫌が悪く落ち着きがない様子

  • 症状が長引いていて悪化している

インフルエンザの予防方法は?

インフルエンザの予防方法について説明します。

①ワクチン

インフルエンザのワクチンは、不活性化ウイルスを体内に接種することで抗体を作り、発症を抑えるものです。

ワクチンは、接種すれば絶対にかからないというわけではありません。

しかし、インフルエンザにかかった場合に重症化したり、脳炎や肺炎などの合併症が起こったりすることを予防する効果が期待できるといわれています。

特に、乳幼児や高齢者、持病のある人、またその家族はワクチンの接種をおすすめします。

ワクチンを接種してから抗体がつくられるまでには約2週間を要するため、流行時期を迎える前に、早めに接種しておきましょう。

また、ワクチンの効果が続くのは半年程度なので、毎年接種することが望ましいといえます。

②手洗い(アルコール消毒)・うがい

手洗いやうがいは、手やのどなどに付着したウイルスを除去するために有効です。

インフルエンザに限らず、感染症予防の基本ですので、食事前や帰宅時には必ず手洗いうがいをする習慣をつけておきましょう。

乳幼児の場合は、除菌シートで拭いても良いでしょう。

手洗いが難しい場合は、アルコール手指消毒液を活用しましょう。

③マスクの着用

インフルエンザが流行する時期は、咳やくしゃみを直接浴びないよう、マスクを着用しましょう。

また感染の疑いがある人も、マスクをしてウイルスの放出を防ぐようにしてください。インフルエンザにかかっている人の看護をする場合もマスクをつけて予防をしましょう。

④人ごみを避ける

インフルエンザが流行する時期は、人混みへ出かけるのはなるべく避けるようにしましょう。

どうしても出かけなければならない場合は、混み合う時間を避けるようにするとよいでしょう。

⑤湿度管理

空気が乾燥しているとウイルスが活性化しやすくなってしまうため、加湿器などを使って湿度を45〜55%に保つようにしましょう。特に冬場は乾燥しやすいので注意しましょう。

⑥規則正しい生活

睡眠時間をしっかり確保し、バランスのとれた食事をすることで、日頃から免疫力を高めておきましょう。[3]

インフルエンザにかかったら登園できない?

インフルエンザは通常の風邪と比べて感染力が強く、咳やくしゃみ、それらを触った手などを介して感染するため、保育園や幼稚園などの集団生活をする場では簡単に感染が拡大してしまいます。

感染拡大を防止するために、一定期間が過ぎるまでは登園できません。

インフルエンザになったら保育園・幼稚園にはいつから登園できる?登園基準はあるの?

インフルエンザになったら解熱後何日間保育園・幼稚園を休まなければならないのか気になりますよね。

インフルエンザを発症してから、幼稚園または保育園へ登園可能になるには次の2つの条件を満たす必要があります。[4]

  1. 解熱後3日が経過していること

  2. 発症後5日が経過していること

この2つの条件を両方とも満たさなければならないため、たとえ発症後すぐに解熱して元気になったとしても、発症から5日経過していなければ登園できません。

ちなみに、小学生以上の学生の登校基準は「インフルエンザ発症後5日を経過し、かつ解熱した後2日を経過するまで。」とされており、解熱後の日数が園児よりも1日短くなっています。

この理由としては

  • 乳幼児は免疫機能の発達が十分ではなく、インフルエンザウイルスの増殖・排出が長期にわたって続く

  • 小児では、一旦解熱しその後再び発熱する「二峰性発熱」が見られることがある

などがあり、他の子どもへ感染を広げるリスクを考慮し、小中学校や高校、大学に通う子どもより1日長く解熱後の日数が設定されているようです。

インフルエンザの治療薬を使用すると症状の改善が少し早まりますが、出席停止の期間が短縮されることはありませんので注意してください。

また、二峰性発熱が見られた場合、再度解熱してからの日数を数えるようにしましょう。

インフルエンザによる登園停止期間の数え方や注意点・外出に関して

インフルエンザの出席停止期間は、数え方に注意が必要です。

①出席停止期間の終了は、以下の2つの条件をどちらも満たしたときです。

片方ではありませんのでご注意ください。

  1. 解熱後3日が経過していること

  2. 発症後5日が経過していること

②発症した日を0日目として数える

インフルエンザの「発症日」は咳や発熱、鼻水、喉の痛みなどを生じた日を0日目とします。

例えば日曜日に発熱し、月曜日に受診しインフルエンザだと診断された場合は、日曜日を0日目と数えましょう。

③熱が下がった日を解熱0日目として数える

月曜日に解熱し、それ以降発熱がなければ月曜日を解熱0日目と数えます。

④幼児は解熱後の出席停止期間が3日間

小中学生、高校生、大学生は解熱2日目まで出席停止ですが、園児は解熱3日目まで出席停止となりますので、間違いのないようにしましょう。[5]

インフルエンザになったら登園許可、診断書は必要?

「発症した後5日を経過し、かつ、解熱した後2日(園児の場合は3日)を経過するまで」がインフルエンザによる出席停止期間となり、この日数を守って登校すれば、医師による登校許可証は、基本的には必要ありません。

ただし、幼稚園、保育園によっては登園許可証を提出する事となっている場合もあるようですので、子どもが通っている園に直接確認するようにしましょう。

兄弟や親がインフルエンザになったら保育園は休むの?

兄弟がインフルエンザになった場合の対応については、明確な規定は存在しないため、それぞれの判断に任せられます。

本人に症状がなければ登園可能としているところもありますし、兄弟が発症した場合は登園を控えることとなっているところもありますので、園に確認するようにしましょう。

しかし、熱がなくとも咳や鼻水といった風邪症状があれば、インフルエンザの可能性があるので、念のため休ませた方がよいでしょう。

インフルエンザで保育園が学級閉鎖になることもある?

学校や幼稚園では「学校保健安全法」が根拠となり、学級閉鎖が行われますが、保育園は教育施設ではないため、この法律は適応されません。

また、保育所保育指針等でも、保育園の閉鎖について述べているものはありません。そのため、保育園の学級閉鎖については施設長の判断に任されています。

仕事をしているためどうしても子どもを預けなければならないという保護者がいる以上、現状では保育園の閉鎖は行われにくいようです。

咳や鼻水などの症状が残っていても登園してよいの?

インフルエンザにかかった後「解熱後3日が経過していること」「発症後5日が経過していること」の2つの条件を満たしていても、咳や鼻水などの症状が残っている場合に登園できるかどうかについては規定などはなく、保育園の施設長の判断によりますので、まずは保育園に相談するようにしましょう。

インフルエンザのウイルスの感染力が完全になくなる時期については明らかでなく、個人差もあるといわれています。

症状が長引いている場合は医療機関を受診したり、可能であれば自宅で安静にして過ごす方がよいかもしれません。

インフルエンザにかかったことを保育園に言わないのはNG?

インフルエンザに感染すると子どもが登園できないだけでなく、親も仕事を休まなければいけないなどがあり、「インフルエンザと保育園に伝えなければ登園できるのではないか」と考える方もいるかもしれません。

しかしそのせいで保育園にインフルエンザが蔓延してしまう可能性もあります。必ず決められた出席停止のルールを守り、保育園に報告するようにしてください。

万が一子どもがインフルエンザにかかってしまったら、仕事を休むなどして子どもの面倒を見るか、身内や近所の人などにお願いしましょう。

また難しい場合は、行政サービスを利用するなどしてください。

自宅療養で注意することは?

子どもがインフルエンザになると看護する親にもうつるということが多いようです。

大人と違い、発症後は体調の変化に注意したり看病をしなくてはならないため、隔離することは難しいでしょう。

ですが、少しでも家族が感染するリスクを減らせるように、以下のことを心がけてください。

  • 看護をした後は必ず手洗いまたはアルコール消毒を行う。

  • 看護している人が、持病をもっているあるいは妊娠している場合は、念のためかかりつけの医師に相談しましょう。
    医師の判断により、予防のためのお薬が処方されることがあります。

  • 看護する人、患者はできる限りマスクを着用しましょう。

[3]

子どもがインフルエンザの薬を服用した後に、急に走り出す、興奮して意味不明なことをいうなどの異常行動やそれによる転落死などが起こったとの報告があることから、看護中は目を離さず、注意深く観察するようにして下さい。

また解熱鎮痛薬の中には、15歳未満の子どもがインフルエンザにかかっているときには使用を避けるべき薬があります。

解熱鎮痛薬を使う場合は独断で使用せず、必ず医師に相談するようにして下さい。

受診が早すぎてもだめなの?

インフルエンザかなと思われる症状があり検査を受けても、発症した直後はウイルスの量が少なく、「陰性」の結果が出ることがあります。

では遅ければいいのかというと、それも違います。発症してから48時間以内に薬を服用することが望ましいからです。

一度検査して陰性が出た後も症状が続く場合は、発症後48時間以内に再度受診し、検査を受けることをおすすめします。

Q&A

インフルエンザやインフルエンザの登園基準について、多くの方が感じる疑問についてお答えします。

インフルエンザにかかったら、いつから登園可能になりますか?

園児がインフルエンザに罹患した場合、「発症した後5日を経過し、かつ、解熱した後3日経過するまで」は登園できません。

ただし、小学生以上の学生は解熱後2日経過すれば登校できるため注意しましょう。

インフルエンザで幼稚園を休んだら何日休みになりますか?

幼稚園の出席停止期間については、文部科学省の定める学校保健安全法および学校保健安全法施行規則によって定められています。

幼稚園児の登園禁止期間は、「インフルエンザ発症後5日を経過し、かつ解熱した後3日を経過するまで」となっています。

インフルエンザで登園停止になるのはいつですか?

インフルエンザになったら園児は保育園・幼稚園を何日休む必要があるのかどうか、場合によっては仕事を休まなければならない親にとっては気になるところですよね。

インフルエンザの出席停止期間は「発症した後 5 日を経過し、かつ、解熱した後 3日を経過するまで」とされています。

もしインフルエンザだと診断される前から発熱や関節痛などの症状があれば、発症日はその日から数えます。

出席停止の期間中は、保育園や幼稚園は休み、自宅で安静に過ごすようにしましょう。

インフルエンザにかかった家族は何日間休ませるべきですか?兄弟を休ませるべき?親は出勤停止になるの?

インフルエンザにかかった場合の出席停止期間については次の通りです。

  • 幼稚園児または保育園児
    インフルエンザ発症後5日を経過し、かつ解熱した後3日を経過するまで

  • 小中高校生及び大学生
    インフルエンザ発症後5日を経過し、かつ解熱した後2日を経過するまで

すぐに体調が改善したり解熱しても、少なくともこの期間は園や学校を休み、自宅で安静に過ごしましょう。

また、園児の家族がインフルエンザに感染した場合、園児は保育園・幼稚園に行かせてもいいのかや、逆に園児がインフルエンザになった場合に兄弟や親なども出席停止・出勤停止になるのかどうか疑問に思いますよね。

その場合の対応方法については、国による規定は特になく、通っている幼稚園・保育園、学校あるいは職場によって異なりますので、それぞれに問い合わせるようにしてください。

しかし、症状が現れていなくても感染している可能性があることから、可能な限り登園は避けたほうが良いでしょう。

まとめ

この記事では、園児がインフルエンザになった場合いつから登園できるのか、登園許可証は必要なのかなどを解説しました。

まとめると、

  • 園児がインフルエンザになった場合は、「発症した後5日を経過し、かつ、解熱した後3日経過するまで」という条件を満たしていなければ登園できない。

  • 登園許可証は原則必要ないが、園によって対応方法が異なるため、各園に問い合わせる。

  • 園児の家族がインフルエンザになった場合の規定は特にないため、保育園・幼稚園の施設長に相談する。
    しかし園児がインフルエンザに感染している可能性もあるため、体調が普段と違う場合は、休園した方が良いと考えられる。

となります。

インフルエンザはとても感染力が強く、抵抗力が弱い子どもが集団生活を送る保育園や幼稚園は、特に蔓延しやすいといえます。

重症化する子どもが出てくることもありますので、園児の命を守るために、インフルエンザの休園停止期間はしっかり守るようにしましょう。

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参考文献

[1]インフルエンザとは - 国立感染症研究所

[2]用語の解説

[3]インフルエンザQ&A - 厚生労働省

[4]保育所における感染症対策ガイドライン(2018 年改訂版)

[5]インフルエンザと出席停止期間 - 川崎医科大学総合医療センター

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