子どものインフルエンザでは飲み薬に注意が必要
お子さんが熱を出した際に、市販のお薬をつかってなんとか熱を下げられないか。このように考えるかたは多くいらっしゃるかと思います。しかしながら、その熱の原因がインフルエンザだった場合には、気をつけなければならない合併症と避けた方がよい薬がございます。
安易な市販薬の使用はインフルエンザ脳症に注意
インフルエンザ脳症とは、インフルエンザに伴って発症する、意識障害やけいれんなどを主な症状とする状態です。命に関わる状態に陥ってしまうこともあり、入院による治療が必要となることもあります。
1〜2歳を中心に5歳までの子どもでの発症が多いですが、中学生(15歳)頃までは注意すべきと考えられています。なかには大人でも発症することもありますが稀で、特に子どもに注意すべき症状です。
インフルエンザを発症している間に、解熱剤の一部を服用すると、インフルエンザ脳症を引き起こしやすくなる可能性があります。解熱剤を使わなくてもインフルエンザ脳症を起こすリスクはありますが、使う成分は慎重に選ばなければなりません。
インフルエンザ脳症の症状
インフルエンザ脳症の代表的な症状としては以下のとおりです。
①意識障害
ぼーっとする、人の名前や場所・日付がわからない(見当識障害)、呼びかけたり揺さぶったりしても起きない
②けいれん
全身・または体の一部がピクピクとけいれんしている、けいれんが長時間続いている
③異常行動
幻覚を見る、ろれつが回らない、意味不明な言葉を発する
インフルエンザを発症して数日以内に以下のような症状が出た場合は、自宅で療養を続けずに、すぐ医療機関へ連絡しましょう。
- 仕事が続いて病院が開いている時間に受診できない
- 自分が休みの日は病院も閉まっている
- 体調不良なのに病院まで行くのが難しい
そんな時は、24時間365日いつでも対応可能なファストドクターのオンライン診療を使ってみませんか?
オンライン診療であれば休みや時間帯を気にせず、自分の都合のよう時に受診が可能です。
インフルエンザの場合に避けるべき薬の成分
インフルエンザを発症した場合や、インフルエンザが疑わしい場合には、以下の成分の薬を子どもに与えないようにしましょう。ご自宅にこれらを含んだ薬があったとしても使用せず、困ったときは医療機関へご相談ください。
アスピリン
医療用医薬品としては、あまり解熱剤としての使用量が多くないですが、市販薬としてよく使われる成分の1つです。インフルエンザ脳症を引き起こした例が報告されており、インフルエンザの子どもに服用させることはできません。市販薬では、15歳未満の子どもには使用できないとされているので、説明書をよく確認するようにしてください。
ジクロフェナクナトリウム
市販薬では、飲み薬としての扱いはありません。アスピリンと同様に、インフルエンザ脳症を引き起こした例が報告されており、インフルエンザの子どもに服用させることはできません。
医療用医薬品の先発品名は「ボルタレン」で、錠剤や坐薬があります。子どもでジクロフェナクナトリウムを処方されている方はほとんどいないと思いますが、もし心配であればかかりつけ医や調剤薬局などで尋ねてください。
ロキソプロフェンナトリウム
医療用医薬品、市販薬のいずれでもよく扱われている成分です。
ロキソプロフェンナトリウムを服用してインフルエンザ脳症を起こした例の報告はあまりないのですが、ジクロフェナクと類似の成分であるため、お子さんの場合は服用を避けが方がよいでしょう。
ご高齢の方も、できれば服用を避けてください。インフルエンザをはじめ、感染症で高熱を出しているときは、脱水を起こしやすい状態です。ロキソプロフェンナトリウムは、高齢の方、脱水状態などの条件が重なると腎臓に負担がかかってしまうことがあります。
同居する人の中に子どもと高齢者のどちらもいる場合には、少々使い勝手の悪い成分といえるかもしれません。
アセトアミノフェンは安全に使用できる
「アセトアミノフェン」という成分は、子どもにも安全に使用できます。医療用医薬品としても、市販薬としても広く使われている成分です。
医療用医薬品では「カロナール」という名称の場合もあり、錠剤・粉薬・坐薬のタイプが使われます。子どもは体重で量を調整しているため、市販薬のアセトアミノフェンを使う場合、説明書をよく確認してから使いましょう。
高齢の方にも比較的安全に使える成分ですので、家族全員の常備薬としても向いています。ただし、日頃から服用している常用薬がある場合、中にはアセトアミノフェンが含まれていることもありますので、重複して飲まないよう注意しましょう。わからない場合は、かかりつけ医や薬剤師に確認してください。
避けるべき薬を飲んでしまったら?
数回飲んでしまったからといって、すぐにインフルエンザ脳症になるわけではありません。「インフルエンザ脳症」の症状に当てはまるような様子がないかどうか、よく観察してください。もし、当てはまるような症状がある、親から見て様子がおかしいと感じるような場合には、医療機関へ連絡しましょう。服用した薬については、持参するか写真を撮っておくことをおすすめします。
救急車を呼ぶかどうか悩んだときは、「#8000」へ電話するか、オンラインの「こどもの救急」を使ってみてください。
体調不良に備えて「あると安心」なグッズ
インフルエンザの流行シーズンに、家にあるといざというとき便利で安心できるグッズをご紹介します。
体温計
体温計は、脇に挟んで測定するタイプのほか、おでこや耳で測定できる非接触タイプもあると便利です。脇に挟んで測定するタイプの方が正確ですが、1日に何度も測定したり、ぐったりした子どもの熱を測定したりといった状況を考えれば、非接触タイプも併用できるとよいでしょう。
経過がよくなってきているかどうかの指標として、熱は最低でも1日に1回は測定したいです。
保冷枕・氷のう
高熱が続くと、発熱自体がつらかったり、眠れなかったりと悪影響もあります。解熱剤を使うほか、保冷枕や氷のうがあると便利です。
冷却シートの方が簡単で便利に思うかもしれませんが、冷却シートでは「体温を下げる」ほどの効果は得られません。スーッとしたような感覚は感じますが、実際に熱を下げようと思うなら保冷枕や氷のうがよいでしょう。頭や脇、首、足の付け根などにあてて使います。
経口補水液・りんごジュース
あまり食事や水分をとれないようなときのために、塩分や糖分が含まれた経口補水液を用意しておくとよいでしょう。ただし、消費期限が少し短いことと、普段から飲まないことには注意してください。
100%りんごジュースを半分程度まで薄めたものもおすすめです。
症状がつらい・悪化が心配なときは病院での薬の処方が安全
発熱や咳などの症状がつらい、受験が近いので悪化が心配など、市販薬を使って自宅で療養するには不安があるという方は、早めに医療機関を受診してください。
現在、外来でおこなえるインフルエンザの治療薬は飲み薬が2種類、吸入薬が2種類あります。吸入薬を正しく使用するのが難しい小さなお子さんでも、比較的に飲みやすい粉薬のタイプもあります。
発症から48時間以内であれば、病院で処方されるインフルエンザの治療薬を使うことで症状の回復を24時間程度早めることが可能です。お子さんの場合は、症状が長引くことで体力の低下や持病(喘息など)の悪化が懸念されます。
治療薬をご希望の場合は、早めに医療機関を受診しましょう。ファストドクターは、休日や祝日も含めて365日対応していますので、お困りの方はご活用ください。
まとめ
今回は、インフルエンザを発症したときに注意したい合併症や市販薬の種類についてご紹介しました。インフルエンザに対処する際、市販薬は症状の緩和に役立つ重要なツールですが、その使用には注意が必要です。
とくに子どもの場合、インフルエンザ脳症というこわい合併症を起こす可能性もあります。市販薬を利用する際には、薬の成分と効能を正しく理解し、推奨される用量を守ることが重要です。また、症状が重い場合や改善が見られない場合には、早めに医療機関を受診することもおすすめです。
正しい知識を持って市販薬を使用することで、より快適に冬の時期を過ごしましょう。
- 病院で長時間待たずに自分の都合に合わせて予定を組める
- スマホがあれば自宅や出先から受診可能
- 365日24時間いつでもOK
まずはアプリをダウンロードして、いざという時のために備えておきましょう。
本記事に掲載されている情報は、一般的な医療知識の提供を目的としており、特定の医療行為を推奨するものではありません。
具体的な病状や治療法については、必ず医師などの専門家にご相談ください。