インフルエンザと戦うための薬:適切な選択と使用のポイント

公開日: 2023/12/05 更新日: 2024/06/24
毎年、冬の期間に流行する「インフルエンザ」ですが、皆さんはどのような対策をなされていますか?2023年は、久しぶりにインフルエンザの流行が起きています。 今回は、インフルエンザの症状・治療薬ごとの特徴と注意点、ワクチンの効果などについてご紹介します。インフルエンザの治療薬を希望される方は、症状が出たら早めに医療機関を受診してください。
「いつもの風邪と違う」と感じたら

インフルエンザの症状は通常の風邪と比べると急激にあらわれ、症状もつらいことが多いです。

インフルエンザを疑う症状があらわれてもすぐに検査はできませんが、発熱に備えることは可能です。

体調が悪化する前にファストドクターのアプリをダウンロードしておけば、症状があらわれたときにすぐに往診サービスの依頼ができます。

インフルエンザの特徴

インフルエンザの症状は、一般的な「風邪」と少し異なる特徴があります。「ただの風邪かな?インフルエンザかな?」と判断に迷ったときの参考にしてみてください。

 

症状は全身に出る傾向にある

一般的に、風邪は喉や鼻の症状が中心であるのに対し、インフルエンザは全身にさまざまな症状が出るという点が異なります。

 

 

風邪

インフルエンザ

経過

ゆっくり

早い

発熱

微熱のこともある

高熱になりやすい

症状

咳、喉の痛み、鼻水が中心

全身のだるさ、筋肉痛、関節痛、悪寒

合併症

まれ

脳症、肺炎など



感染力が強い

インフルエンザは、通常の風邪と比べて感染力が強いです。1人の感染者から、2人に感染させる力があるといわれています。感染経路は、咳やくしゃみを介した飛沫感染や、体液がついた手やモノを介した接触感染が主です。

1人から2人へ、2人から4人へ…と感染者がどんどん増えていくため、流行すると学級閉鎖などの措置が取られます。

 

幼稚園や学校では、感染の拡大を抑えるため、学校保健安全法によって「発症後5日を経過し、かつ解熱後2日(幼児は3日)が経過するまで出席停止」と定められています。大人には法律の定めはありませんが、感染力は子どもと同等なので、症状がおさまるまでは自宅で療養するのが望ましいです。

 

インフルエンザの治療薬

インフルエンザにかかった場合、治療薬を使わずに経過をみても問題ありません。ただ、受験などの大切な用事を控えている方、重症化リスクの高い方などは、治療薬を使った方がよい場合もあります。

 

治療薬について、それぞれの特徴をご紹介します。

 

タミフル(成分名:オセルタミビル)

カプセル、粉の2タイプがあります。1日2回、5日間の服用が必要です。

症状が軽い方から重い方まで、幅広く対応できるのがメリットです。そのため、インフルエンザ治療薬の中で、最もよく使われる薬の1つとなっています。

 

イナビル(成分名:ラニナミビル)

1回だけで治療が完了する、吸入タイプの薬です。

「吸入器を口にくわえたまま深く息を吸い、そのまま2〜3秒息を止める」という操作が必要です。自分の力で薬を吸わなくてはならないため、上手に吸入ができない場合は十分な効果が得られません。その場合は、錠剤または粉薬タイプの薬がよいでしょう。

 

肺炎を起こしている場合には、吸入薬は推奨されていません。

 

リレンザ(成分名:ザナミビル)

1日2回、5日間おこなう吸入タイプの薬です。1回に2吸入ずつおこなうため、他の薬と比べてやや煩雑かもしれません。

イナビルと同様、上手に吸入ができない場合は十分な効果が得られないことが考えられるため、錠剤や粉のタイプをおすすめします。

 

肺炎を起こしている場合には、吸入薬は推奨されていません。

 

ゾフルーザ(成分名:バロキサビル マルボキシル)

1回だけの服用で治療が完了する、錠剤タイプの薬です。

比較的新しい治療薬ですが、ウイルスに耐性ができやすく、効果が得られない可能性があり、現在はあまり積極的に使われていません。

 

ラピアクタ(成分名:ペラミビル)

点滴で投与する治療薬です。

投与して24時間後に解熱する割合が高く、主に「持病があり、重症化する危険性の高い方」を対象として使用します。基本的には1回の投与で効果が得られますが、症状や状態によっては数日間投与することもあります。

健康に問題のない成人の方では、使った場合と使わなかった場合とであまり改善までの期間が変わらないため、推奨されていません。

 

インフルエンザ治療薬を使うにあたっての注意点

インフルエンザ治療薬を使うにあたって、注意点・知っておきたい点についてご紹介します。

 

発症から48時間以内が望ましい

基本的に、すべてのインフルエンザの治療薬は、発症から48時間以内に使用するのが望ましいです。あまり時間が経過してからでは、十分に効果が発揮されない可能性があります。

また、治療薬を使わなくても、発症から3日ほどでウイルスの排出量は少なくなり、4〜5日目で解熱するのが一般的な経過です。つまり、「発症から48時間以上経過した場合は、すでに自然と軽快する段階に差し掛かっていることが多い」と言い換えることができます。ですから、一般的な経過として、発症から48以上経過している場合には、治療薬は不要です。

 

ただし、症状がつらい場合や、持病があって重症化の懸念がある場合などには、48時間以上経過していても治療薬の使用を検討することがあります。

 

治療薬で症状が1〜2日程度早くおさまる

どの治療薬にも言えることですが、治療薬を使ったからといって、すぐに症状がおさまるわけではありません。

平均すると、発熱や咳といった症状が、治療薬を使わない場合と比べて1〜2日程度早くおさまるようになります。体力のない小さな子どもや、持病のある方など、つらい症状が長引くことで悪影響が心配される場合には、治療薬を使うとよいでしょう。

 

ワクチンは「重症化予防」に効果あり

ワクチンを接種することで、ワクチンを接種しなかった場合と比べて、発症の確率は約40%にまで低下します。「インフルエンザにかかること」自体を完全に予防することはできませんが、受験など大切な用事を控えている場合にはワクチン接種がおすすめです。

また、ワクチンを接種しておけば、インフルエンザにかかってしまった場合に症状が悪化しにくくなるという効果が期待できます。

 

子どもの「異常行動」とは関連なし

以前は、タミフルをはじめ、インフルエンザの治療薬を使うと「子どもが服用すると異常行動を起こすのでは?」といわれていましたが、現在、その心配はないことが明らかになりました。

 

子どもは、高熱を出したときに「熱せん妄」という状態に陥りやすいです。せん妄は、簡単にいえば「意識の混乱した状態」で、高熱や脱水をきっかけとして以下のような症状が出ることがあります。

 

  • 急に笑い出す、泣き出す
  • 意識がぼーっとする
  • 幻覚が見える(チョウチョがいる、など)
  • 部屋の中を動き回る

 

インフルエンザの治療薬の影響ではなく、発熱や脱水の影響でこうした異常行動が起きていたと考えられています。

異常行動が長く続く場合や、けいれんを伴うような場合には、医療機関へご相談ください。

 

まとめ

今回は、インフルエンザの特徴的な症状についてご紹介するとともに、インフルエンザの治療薬とその注意点を解説しました。

 

インフルエンザの治療薬を使うことで、使わない場合と比べて症状を01〜2日早く軽快させることができます。小さな子どもや高齢の方など、重症化が心配な方には、治療薬が推奨されますので、症状があれば早めに受診しましょう。ワクチンは、発症予防や重症化予防の効果が期待されますので、必要に応じて接種をご検討ください。

 

 

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