ヘルペスの原因は?子どもの症状や再発の可能性について解説

公開日: 2024/12/06 更新日: 2024/12/06
唇の端にできた小さな水ぶくれに気づいて、「もしかしてヘルペス?」と不安になったことはありませんか。 「何度も再発して困る」「子どもにうつらないか心配」と悩む方も多いでしょう。 本記事では、ヘルペスの原因や症状、対処法、再発に関する疑問について詳しく解説します。 ヘルペスについて正しい知識を持つことで、適切な対応や予防が可能です。 間違ったケアは症状を悪化させたり、周囲に感染を広げたりするリスクを高めます。ぜひ最後までお読みください。
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ヘルペスができる原因

単純ヘルペスウイルス(HSV:herpes simplex virus)への感染が、ヘルペスの原因です。[1]

HSVにはおもに1型(HSV-1)と2型(HSV-2)があり、症状があらわれる場所として、HSV-1は上半身に多く、HSV-2は下半身に多いとされています。[2]

ウイルス

HSV-1

HSV-2

症状ができる場所

口唇、口周辺、目、顔 まれに性器

性器、肛門周辺

感染

直接接触、間接接触、飛沫感染

おもに性行為

潜伏

三叉神経を通って顔の三叉神経節に潜伏

知覚神経を通って腰の仙髄神経節に潜伏

再発

免疫力が低下、感染症、疲労、ストレスなどによって活性化し、皮膚に移動して症状を引き起こす

免疫力がある状態で感染しても、症状が出ないことが多く、何らかのきっかけで症状が出る(再発)のが特徴です。

女性の方がヘルペスになりやすい?

女性は月経によるストレスや、妊娠中における免疫力低下などの理由から、ヘルペスになりやすい傾向があります。

ライフイベント

理由

月経周期

  • 月経周期後半に分泌されるプロゲステロンが免疫抑制作用を持つ[3]

  • 月経前症候群(PMS)によるストレスで自律神経が乱れる[4]

妊娠

赤ちゃんを異物と認識しないように免疫力が低下する[5]

更年期

免疫作用を持つエストロゲンの分泌が低下する

女性特有のライフイベントでヘルペスウイルスが活性化しやすく、再発の可能性が高くなっています。

子どもの場合の原因

子どもも大人と同様に、単純ヘルペスウイルスの感染が原因です。感染経路としては、直接的な接触に加えて、親が使ったタオルや食器からも感染します。

子どもの頃に感染しても症状が出ることは少なく、不顕性感染(感染したが発症していない状態)が多いです。

ヘルペスが原因の症状

ヘルペス(HSV-1)は、唇や口角周辺にかゆみやヒリヒリ感、チクチクした痛みが初期症状としてあらわれます。

やがて赤みや小さな水ぶくれができます。多くの場合、1〜3週間程度でかさぶたとなって、自然に治るのが一般的です。[1]

目に感染した場合、角膜炎や視力障害を引き起こす可能性があります。

乳幼児が初感染の際には、発熱やヘルペス性口内炎、全身に水ぶくれ、ヘルペス脳炎など強い症状があらわれる場合があります。[6]

性器(HSV-2)の場合には倦怠感やリンパ節の腫れが伴うこともあるのが特徴です。

ヘルペスができたときの対処法

「周囲にうつさない」「患部をさわらない」「薬で症状を抑える」の3つが大切です。以下がそれぞれの具体的な対処法の例です。

  • タオルやコップは他の人と分ける

  • ヘルペスにふれたら手洗いなどを徹底する

  • 医療機関で薬を処方してもらう、市販薬で症状を和らげる

医療機関を受診する

医療機関では、抗ウイルス薬の内服や塗り薬、症状によっては抗生物質や痛み止め、神経痛の薬も処方されます。[7]

他の部位へうつらないように、抗ウイルス薬は飲み薬が一般的です。

ウイルスの増殖を抑える効果で、症状が和らいでいきます。ただし、神経節の中に潜伏したウイルスの完全な死滅はできないため、再発する可能性は残ります。

症状が重い場合や広範囲に及ぶ場合は、早めに医師に相談してください。

市販薬

軽度の口唇ヘルペスであれば、市販薬(アラセナSやヘルペシアクリームなど)で対処可能です。ただし、過去に医療機関で口唇ヘルペスと診断された経験があり、同じ症状が出た場合に使用できます。[8]

初めての症状や口唇以外の部位の場合は必ず医師の診断を受けましょう。

ヘルペスの原因ウイルスは人にうつるの?

ヘルペスは非常に感染力が高く、自覚症状や目に見える症状がなくても感染源になる場合があります。[1]

症状があらわれているときには、使ったタオルやコップ、くしゃみなどの飛沫でも簡単にうつるウイルスです。

乳幼児が初感染すると、高熱が出るなど重症化するおそれがあります。

口唇ヘルペスが出ているときには、乳幼児には接触しないようにしましょう。

ヘルペスは再発するの?

HSVは、感染すると体内に潜伏して、体内から完全に居なくなることはありません。

次のようなきっかけで再活性化し、皮膚に移動して再発します。[9]

  • 熱、風邪

  • 疲労

  • 胃腸障害

  • 外傷

  • ストレス

  • 日光浴(紫外線)

  • 加齢

  • 抗がん剤など

細胞免疫力や体の抵抗力の低下がヘルペスの再発の原因となることが多いですが、原因不明の場合もあります。

HSV-1型とHSV-2型では潜伏場所が違うため、たとえば性器にHSV-1型のヘルペスが発症しても再発はしにくいとされています。

ヘルペスは一生治らないの?

ヘルペスウイルスは、一度感染すると体内から完全に排除されることはありません。神経節に潜伏感染し、再発を繰り返しながら一生体内に存在します。[1]

医学的な意味では、ヘルペスは「一生治らない」とされます。

しかし、常に症状が出続けるわけではありません。適切な治療と予防で再発の頻度を減らしたり、症状を軽く抑えられます。

予防法

ヘルペスの予防には、栄養バランスの良い食事と十分な睡眠を心がけ、免疫力を保つことが大切です。[11]

また、過度のストレスを避け、規則正しい生活リズムを心がけましょう。

かゆみやひりひり感など、初期症状が出た段階で薬を使用することで症状の悪化を防げます。

再発を繰り返すヘルペスの場合には、あらかじめ抗ヘルペス薬を処方してもらえるため、医師に相談しましょう。

よくある質問

ヘルペスに関して、多くの方が疑問に思う点をまとめました。

口唇ヘルペスの原因は性行為ですか?

ヘルペスウイルスへの感染で症状が出るため、性行為が原因の場合もありますが、他にも次の原因が考えられます。

  • 感染者の水ぶくれにさわる

  • タオル、食器、トイレを共用する

  • 感染者と入浴する

ヘルペスになったら一生治らないのですか?

ヘルペスウイルスは再発を繰り返しながら体内に潜伏し続けるため、一生治らない病気です。

適切な治療と体調管理などの予防により、症状の再発を最小限に抑えることは可能です。

まとめ

ヘルペスの原因は単純ヘルペスウイルス(HSV)への感染で、直接接触のほか、タオルや食器からも感染します。

一度感染すると体に潜伏し続け、免疫力の低下などにより再発する病気です。

ウイルスを完全に排除するのは難しいですが、適切な対処と予防で再発を最小限に抑えられます。

十分な睡眠、バランスの取れた食事、ストレス管理などを心がけましょう。

初期症状に気づいたら早めに対処することで、症状の悪化を防げます。適切な知識を持ち、自分や家族を守りましょう。

参考文献

[1] 単純ヘルペス、性器ヘルペス|厚生労働省 検疫所

[2] 単純ヘルペス|ウイルス第52巻1号 109-115, 2002

[3] Sex hormones influence on the immune system: basic and clinical aspects in autoimmunity|Lupus, Vol. 13, 9, 2004.

[4] ストレスとは|厚生労働省 働く女性の心とからだの応援サイト

[5] Pregnancy imprints regulatory memory that sustains anergy to fetal antigen|nature, 490, 102–106 (2012)

[6] ウイルス感染症|新しい皮膚科学

[7] ヘルペスと帯状疱疹 治療はどうしたらよいのでしょうか?|日本皮膚科学会

[8]おくすりQ&A 口唇ヘルペス再発薬|日本医薬品OTC協会

[9] 口唇ヘルペス|日本臨床皮膚科医会

[10]埼玉県皮膚科医会

本記事に掲載されている情報は、一般的な医療知識の提供を目的としており、特定の医療行為を推奨するものではありません。

具体的な病状や治療法については、必ず医師などの専門家にご相談ください。

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