熱中症は何日ぐらいで治るか
熱中症が発症してから治るまでの期間は、早ければ24時間以内、場合によっては数週間以上かかります。[1]
軽い症状であれば、水分補給や応急処置をおこなうことですぐに治るでしょう。
しかし、病院に入院して集中治療が必要になるほど重症になると、命の危険にさらされることもあります。
そのため症状の重さによっては、回復までに数週間から数か月ほどかかることもあります。
完全に回復するまでのおおよその期間は重症度や症状から判断されるため、医師の指示を仰いでください。
熱中症の原因と症状
熱中症とは、気温や湿度が高い環境に長い間さらされ体温の調節がうまくいかなくなることが原因で、体内に熱がこもった状態のことです。
暑い環境で大量の汗をかくと体内の水分や塩分が少なくなり、あらゆる臓器へ血流がいき届かなくなります。
そうなったときにあらわれる症状が、頭痛やめまい、吐き気、嘔吐などです。
症状があらわれた状態で無理に活動を続けると、汗をかく機能が抑えられて体温が調節できずさらに熱がこもります。
身体のあらゆる臓器に対し負担がかかり、脳に障害が生じて意識障害やけいれん発作などの症状を引き起こす危険があることを理解しておきましょう。
熱中症はこれらの症状によって3つの重症度にわけられ、それぞれ緊急度も違ってきます。
関連記事:熱中症の原因をわかりやすく解説|なりやすい条件ランキングも紹介
熱中症の症状の分類(重症度)について
熱中症は、Ⅰ度(軽症)、Ⅱ度(中等度)、 Ⅲ度(重症)の3段階の重症度に分類されます。[2][3]
実際の場面で重症度を判断するときは、声をかけたり身体をゆさぶったりしたときの反応をみて、意識がはっきりしているか確認しましょう。
少しでも意識がおかしい場合はⅡ度やⅢ度の状態になっている可能性があるため、すぐに病院へ搬送しなければなりません 。
それぞれの重症度の症状や治療、対応の違いについて以下の表にまとめました。[4]
症状 |
治療 |
現場での対応 | |
Ⅰ度 軽症 (熱けいれん・熱失神) |
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Ⅱ度 中等症 (熱疲労) |
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すぐに病院へ搬送 |
Ⅲ度 重症 (熱射病) |
3つのうちいずれかを含む
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すぐに病院へ搬送 (重症かどうかは救急隊員もしくは病院到着後の診察や検査により判断される) |
(※1)小脳症状
小脳症状は、小脳(後頭部の下側にある脳の一部)に障害が起きたときにみられる症状です。歩くときのふらつきや手の震え、ろれつが回らないなどの症状がみられます。
(※2)血液凝固異常
血液凝固異常は、血が固まりにくくなる病気のことです。
体温が41度を超えると体内の細胞の壊死が始まり、出血したときに血を固める作用が鈍くなって、血が止まらなくなる症状がおきてしまいます。
(※3)血液循環
体内で血液やリンパ液を循環させる機能のことです。
Ⅰ度(軽症)
Ⅰ度は熱けいれんや熱失神とも呼ばれる状態で、意識に異常は認められません。
めまいや立ちくらみ、生あくび、こむら返りなどの症状が主にみられます。
このような症状がみられたら、涼しい場所で安静にする、身体の表面を冷やす、水分や塩分を補給するなどの処置をいち早くおこないましょう。
必ず誰かが付きそって状態を見守り、処置をおこなっても改善がみられない場合は、すぐに医療機関に搬送する必要があります。
Ⅱ度(中等症)
Ⅱ度は熱疲労とも呼ばれ、意識にわずかな支障をきたして集中力や判断力が鈍くなる状態です。
頭痛や嘔吐、倦怠感がみられたり、身体に力が入らなくなったりします。
Ⅱ度以上の状態になると、状態が悪化しないようにできるだけ早く医療機関で診察と治療を受けなければなりません。
医療機関では体温の管理や、水分と塩分を補給させて症状の経過をみていきますが、口から水分が飲めない場合は点滴で体内に取り入れることもあります。
Ⅲ度(重症)
熱射病とも呼ばれるⅢ度は、意識がほとんどはっきりせず重篤な状態です。
以下の症状がみられる場合はⅢ度の状態になっている可能性があります。早急に救急車を呼びましょう。
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呼びかけたり、痛み刺激を加えたりしても反応が薄い
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ガクガクとひきつけがある
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まっすぐに歩いたり走ったりできない
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体温が40℃近くある
Ⅲ度の状態になると、脳や腎臓、肝臓などの障害や、血液が固まりにくくなる症状があらわれます。
これらの障害があらわれたときは早急に対応しないと命の危険にさらされるため、入院して集中的な治療が必要になることもあるのです。
Ⅲ度の状態から回復するには、身体の表面だけでなく体内や血管内を冷やしたり、呼吸や体内の血液循環に対する治療をおこなったりする必要があります。
関連記事:熱中症の症状チェック|頭痛も熱中症のサイン?治し方も解説
熱中症の次の日は休むべき?
熱中症の症状がでた翌日にふらつきや吐き気、食欲の低下などがなければ学校や職場へ行くことは可能です。
いつもどおりの食事や水分補給ができて普段の健康な状態と変わりなければ、通常どおり過ごしても問題ないでしょう。
しかし少しでも調子が悪いと感じる場合は、身体を動かす授業や作業をできるだけ控えるなど、無理をしないようにしましょう。
熱中症の翌日に体がだるい場合は
翌日になっても身体のだるさや食欲の低下などの症状が良くならない場合は、医療機関を再び受診しましょう。[5]
症状が十分に治らないまま放っておくと、症状が重症化したり後遺症が残ったりする場合があります。
また症状が治った後は再び熱中症にならないために、問題と思われる環境や行動を改善しなければなりません。
熱中症になった場合の対処法
熱中症になったときの対処法は以下になります[5]。
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こまめに水分・塩分補給
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こまめな休憩
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適切な室内環境
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バランスのよい食事
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睡眠環境を整える
また熱中症にかかった後は再び発症することのないように、状況を見直さなければなりません。
熱中症は気温や湿度の高い環境で体力がなくなり、身体の水分や塩分が少なくなってあらゆる臓器のはたらきが悪くなるため発症します。
熱中症の再発を防ぐためには、上記の対処法を怠っていなかったか確認して、環境や行動を改善するようにしましょう。
それぞれの項目について詳しく解説していきます。
こまめに水分・塩分補給
水分や塩分補給は、のどが渇いていなくてもこまめにおこなう習慣をつけましょう。
のどが渇いた時点では、すでに脱水症状が進んでいる可能性もあります。
水分補給は食事以外に一日あたり1.2Lが目安で、寝る前や起床時、入浴の前後などはとくに心がけることが重要だといわれています。
また運動などで大量の汗をかいた場合は塩分も失われやすいため、スポーツドリンクなどで水分と塩分を効率よく補給してください。
しかし、基礎疾患などにより水分や塩分の制限をされている場合は身体に異常をきたす可能性があるため、かかりつけの医師に相談して指示に従いましょう。
こまめな休憩
気温や湿度が高かったり日差しが強かったりする環境で活動しているときは、適度に涼しい場所で休憩をとるようにしましょう。
このような環境で長時間続けて作業をおこなうと、熱中症になる可能性が高まります。
作業中は適度に休憩をはさみ、エアコンがきいている部屋や風通しのよい日陰などで休むことがおすすめです。
また事前に無理をしなくてもよいような作業計画をたてて、時間に余裕をもって行動できるようにしましょう。
適切な室内環境
夏場の室内は熱がこもりやすいので、温度だけではなく湿度も高くならないような環境を保つことが大切です。
室内でも温度や湿度が高い状態でいつも通り生活すると、熱中症になる確率は高まるでしょう。
また湿度が70%以上あると汗が蒸発せず、体内の熱が放出されなくなるため体温も下がりにくくなります。
熱気がこもっている場合は換気をおこない風通しをよくしてからエアコンを運転し、湿度を70%以下に保つことで効果的に室温や湿度が下がるでしょう。
バランスのよい食事
一日の始まりである朝食を抜いた状態で活動することは避け、三食かたよりのない食事をとることを心がけてください。
その日の体調があまりよくないと、熱中症を発症する可能性は高まってしまいます。
食事には以下のような食材を取り入れると、より熱中症対策に効果的です。[6]
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ビタミンB1(豚肉や豆腐、味噌、玄米など)
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ビタミンC(野菜や果実、イモ類など)
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クエン酸(梅干しや酢、レモンなど)
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水分を多く含む食材(キュウリやナスなど)
これらの食材は体内の糖質をエネルギーに変えたり、免疫力を高めたり、身体の疲れをためにくくしたりする効果があります。
炭水化物やタンパク質、脂質もバランスよくとって、身体をしっかり動かせるような食事にしましょう。
睡眠環境を整える
夏の暑い時期はぐっすり眠れるように、夜でも寝室にエアコンを用いて涼しい環境をつくることが大切です。[7]
通気性や吸収性の高い寝具を使用するのもよいでしょう。
睡眠不足からくる体調の悪さや、睡眠中に大量の汗をかくことも熱中症の原因になる可能性があります。
また熱中症の救急搬送において睡眠時間の短さや睡眠効率の悪さも関係していることが、実生活の調整によって報告されています(2019年6月20日時点)。[8]
睡眠前は水分をしっかりとり、枕元にも飲料をおいて気がついたときに飲めるようにするだけでも予防効果が得られるでしょう。
熱中症は夜になってから症状がでることもある
熱中症の症状は夜間に発生する可能性も高いため、とくに暑い夏は油断しすぎないように注意しましょう。
東京都の気象データ(2023年12月時点)の観測値でも、夏本番前の6月や夏の終わりの9月は最低気温や湿度が高いです。[9]
6月 |
7月 |
8月 |
9月 | |
最低気温の平均値(度) |
19.6 |
24.7 |
26.1 |
23.6 |
湿度の平均値(%) |
80 |
72 |
78 |
80 |
最低気温の平均値が20度前後、湿度の平均値が80%と、夜間帯でも暑く感じられるでしょう。
また、東京23区における夏の熱中症による死亡者数のデータ(2020年11月時点)では、約3割が夜間に発症していることがわかっています。[10]
夜間で外の気温が下がっても、昼間の気温で建物が暖められていたり室内を締めきった状態にしたりすると、室温が十分に下がらない可能性が高いです。
夜間でも室内の気温や湿度を適切に保つこと、就寝前後もこまめに水分を補給することが極めて大切になります。
頭痛やだるさなどの症状について
熱中症はめまいや立ちくらみなどの初期症状からさらに進むと、頭痛や身体のだるさ、嘔吐などの症状がみられることもあります。
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頭痛や吐き気の原因
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全身のだるさや脱力感があらわれることも
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頭痛やめまいがあらわれた時の対処法
頭痛や吐き気などは初期症状の段階であらわれる症状です。
すぐに適切な処置がおこなわれないと、だるさや脱力感が強くなり、さまざまな臓器の血流が低下してさらに悪化した症状があらわれてしまいます。
それぞれの症状の原因について詳しくみたうえで症状があらわれたときの対処方法を解説していきます。
関連記事:熱中症で頭痛が出るのはなぜ?治し方や頭痛薬を飲んでいいのかも解説
頭痛・吐き気の原因
熱中症による頭痛や吐き気は、主に3つの要因が合わさることにより起こります[11]。
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脱水
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血管の拡張
-
熱疲労
脱水や血管の拡張が体の中でどのように機能することで熱中症による頭痛や吐き気をもよおすのかをそれぞれ解説します。
脱水
脱水によって体内の水分が少なくなることは、頭痛や吐き気が起こる一つの原因です。
血液は体内のあらゆる臓器に酸素を運ぶ役割があります。
そのため脱水によって血液の粘度が高まって全身のめぐりが悪くなると、脳や胃腸などの臓器に酸素が十分にいきわたらなくなるでしょう。
酸素がいきわたらないと脳や胃腸のはたらきが悪くなり、頭痛や吐き気の症状につながります。
血管の拡張
体表面の血管が広がることも、頭痛や吐き気が起こる原因です。
高温多湿な場所で体温が上昇すると、人間は汗をかいて体内の熱を下げようとします。
しかし、暑い環境に長く居続けると汗をかく機能が徐々に抑えられ、無意識に皮膚の血管を拡張させて皮膚温度を上昇させようとします。
皮膚の表面に血液がたまってしまうと、体内で循環される血液量が減り、脳や他の臓器にいきわたる血液や酸素も少なくなるのです。[12]
熱疲労
熱疲労とは、高温にさらされて体温が上がり、頭痛や吐き気のほか一時的な失神や意識消失などのあらゆる症状があらわれることをいいます。
体内の熱を下げるためのエネルギーを使い果たすと、熱疲労の状態になります。熱疲労でさまざまな臓器への血流が悪い状態が続くと機能が低下する可能性もあるため、状態を悪化させないようにいち早く行動することが大切です。
関連記事:熱中症による吐き気の対処法は?なぜ吐いてしまうのか原因も解説
全身のだるさや脱力感があらわれることも
熱中症にかかると初期症状であるめまいや立ちくらみと同時に、全身がぐったりする、力が入らないなどの症状があらわれることもあります。[11]
大量の汗で脱水が起きたり血液の循環が悪くなったりすると、全身に血液が十分にいき届かなくなり、身体のあらゆる部位に症状がみられやすくなるでしょう。
また脳にいきわたる血液が乏しいと、軽い意識障害が伴うこともあります。
声かけに対する返答が遅かったりふらつきながら歩いたりするなど、少しでもいつもと様子が違うと思ったらいち早く医療機関へ連絡しましょう。
頭痛やめまいがあらわれたときの対処法
頭痛やめまいがあらわれたときは、まず意識がはっきりしているかを確認します。
声をかけたり身体をゆさぶったりしても、意識がもうろうとする、受け答えがしっかりできないといった状態であれば、すぐに医療機関を受診してください。
このときに意識がはっきりしていることを確認できたら、次のような対処法をおこないましょう。[11]
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涼しく安全な場所へ移動
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体を冷やす
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水分補給をおこなう
それぞれ詳しくお話ししていきます。
涼しく安全な場所へ移動
頭痛やめまいがあらわれた場合は、いち早く安全で涼しいところへ移動させましょう。
エアコンの効いた室内や風通しのよい日陰などに移動し、高温多湿の環境から離れることが重要です。
しかし、めまいや立ちくらみによって安定して歩けないかもしれないため、転倒しないように注意してください。
体を冷やす
頭痛やめまいがあるときは、体表面から身体を冷やして熱を逃がすことが大切です。
顔や両腕、足やわきの下、首筋などを冷やしたり、衣服をゆるめて風通しをよくしたりしましょう。
身体を冷やすときは保冷剤のほか、冷えたペットボトルを使用するのも効果があります。
水分補給をおこなう
体内から失われた水分や塩分を補うために、水分補給をおこないましょう。
高温多湿の環境で汗を大量にかくと、水分や塩分、ミネラルが奪われてしまいます。[13]
血液中の塩分やミネラルの濃度を低くさせないために、0.1〜0.2%の濃度の食塩水(1ℓの水に対して1〜2gの食塩を加えたもの)を飲むと効果的です。
またスポーツドリンクは水分と塩分のほか糖分も一緒に補給できるため、疲労回復にもつながりやすいです。
ただし、自分でうまく飲めない場合や嘔吐や吐き気などがある場合は、無理やり飲ませずに医療機関を受診しましょう。
関連記事:熱中症による頭痛を速攻で治す方法はある?対処法について解説
子ども・大人・高齢者の熱中症の特徴と注意点の違いを解説
子ども・大人・高齢者で熱中症が治るための基本的な日数に大きな違いはありません。
高齢者は若者よりも温度に対する感覚が弱くなっていることから、熱中症にかかりやすくなっています[4]。
また熱中症の症状がでると若者よりも臓器に大きな負担がかかるため、本調子に戻るまでに時間がかかったり、後遺症が起こったりするリスクも高いでしょう。
一方で、子どもは体温調節の機能が大人ほど発達していないため暑いときに体内の熱を逃がしにくく、熱中症にかかりやすいことがわかっています。
子どもや高齢者の熱中症を防ぐために、まわりの人がよりいっそう注意して見守りや声かけをおこない、環境を整えることが重要です。
大人 |
子ども |
高齢者 | ||
特徴 |
なりやすい人 |
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なりやすい場面 |
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体や行動に関すること |
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注意点 |
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子どもの特徴と注意点
子どもが大人や高齢者と異なる点は、環境の変化に応じた体温の調節が上手にできないことです。[14]
暑いときに汗をかく能力がまだ十分に発達していないため、皮膚の血流量を増加させて体表面から熱を逃がして体温を調節しています。
そのため、気温や湿度が大きく変化したときに体温を調節することが難しく、とくに夏の炎天下などでは身体の中心の温度が高くなりやすいため注意が必要です。
乳幼児は体温の調節が未熟なうえに症状を言葉でうまく伝えられないため、気づかぬうちに熱中症の症状がでてしまうこともあります。
小中高生では体育の授業や部活動など炎天下で運動をする機会も多く、具合が悪いことに気づかなかったり水分補給を忘れたりすることもあるでしょう。
子どもの熱中症を防ぐためには、まわりの大人が常に様子を見守り、こまめに声かけし水分補給をうながすことが大切です。
いつもと様子が違うと感じたときは、すぐに医療機関を受診しましょう。
高齢者の特徴と注意点
高齢者は老化によって皮膚の温度センサーの感度が悪くなり、若者よりも「暑い」と感じにくくなっています。[15]
暑さを感じにくくなると、体内の体温調節の機能も鈍り、身体に熱がたまることにより熱中症の発症につながってしまいます。
また高齢者は身体の冷えを嫌がったり、節電を理由にエアコンの使用を控えたりしがちです。
そのため体調や室内の温度管理に対して、まわりの人が見守りや声かけをしていく必要があります。
とくに基礎疾患などの持病がある場合は、熱中症にかかると悪化する可能性が高まるため、日頃からかかりつけの医師に相談するようにしましょう。
熱中症の後遺症について
重篤な熱中症では中枢神経やさまざまな臓器の障害による後遺症のほか、倦怠感やめまい、頭痛などが数週間から数年にかけてみられる可能性があります。[5]
これらの後遺症は、熱中症が発症したときに身体の中心の温度が高く、高度の意識障害や血圧低下などの症状がみられた場合に生じやすいといわれています。
後遺症を残さないためには、熱中症の予防や対策を怠らないことや熱中症になったときにできるだけ早く処置することが重要です。
重症度別の後遺症
熱中症の後遺症は、重症度によって症状や予後が変わります。[4]
Ⅱ度(熱疲労)の場合
Ⅱ度の状態では、発症から2週間後に記憶障害がおきたり、姿勢がしっかり保てなくなったりする後遺症がみられることもあります。
これらの後遺症は、症状がみられてから3〜6か月後には治る傾向にあると言われています。
Ⅲ度(熱射病)の場合
Ⅲ度の状態でみられる後遺症は、中枢神経や肝臓、腎臓、心臓、肺の障害や、血液凝固異常などです。とくに中枢神経障害は、熱中症の入院加療が終わって1年経った後にもみられることが多いと言われています。
Q&A
以下によくある質問の回答を載せていますのでご覧ください。
熱中症は何日で治りますか?子どもや高齢者の場合は?
熱中症から回復するまでの期間は、症状の重症度によって異なります。
そのため医療機関を受診し、医師の判断や指示を確認するようにしましょう。
子どもや高齢者でも熱中症が発症してから治るまでの期間に違いはありません。
しかし高齢者は本調子に戻るまで時間がかかったり、後遺症が残るリスクも高まったりしやすい傾向があります。
頭痛を治す方法はありますか?
意識がはっきりしていれば安全で涼しい場所へ移動してから身体を冷やし、水分補給をおこなって様子をみましょう。
頭痛は暑さによって体内の水分が足りなくなったり血管が広がったりすることで、脳に血液が十分にいきわたらなくなって起こります。
水分補給は水だけでなく、塩分が含まれている飲料を飲むとより効果的です。
夜でも熱中症の症状はでますか?
夜でも睡眠時に汗を多くかくと、熱中症になる可能性が高まります。
暑い夏の時期に日中の日差しで建物が暖められると、夜間の室温が高くなることもあるため注意しましょう。
夜の熱中症を予防するためには、エアコンなどで室内の気温や湿度を適切に保つことや、睡眠前後にこまめに水分を補給することが大切になります。
熱中症にかかった場合の後遺症はどんなものがありますか?
中枢神経やさまざまな臓器の障害、倦怠感、めまいなどです。
とくに中枢神経障害は数年かけても治らなかったり、命の危険にさらされたりする可能性があります。
後遺症を残さないために、熱中症の予防や対策を日ごろから十分におこない、熱中症になったときはいち早く処置することが重要です。
まとめ
この記事では熱中症が回復するまでの期間や、重症度の違い、症状がでたときの対処法などについて解説しました。
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熱中症が回復するまでの期間は重症度によって異なる
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熱中症はⅠ度、Ⅱ度、 Ⅲ度の重症度に分類され、Ⅱ度とⅢ度は意識障害が伴うため、いち早く医療機関に行く必要がある
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熱中症にかかったら再発を防ぐために、水分補給や食事、睡眠環境などの問題点がないか見直す
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頭痛や吐き気などの症状がみられたら、涼しく安全な場所に移動し、身体を冷やしたり水分補給をおこなったりする
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夜中の室内でも熱中症になる可能性があるので注意する
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子どもや高齢者は熱中症になりやすいのでまわりの人が声をかけたり見守ったりして予防に努める
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熱中症の症状が重篤な例では中枢神経障害などの後遺症が残る可能性もある
ぜひこの記事を熱中症の予防や対策に役立てて、快適で安心できる生活を送ってください。
ご家族で熱中症になった人がいたら、次の日には治っているのか心配になりますよね。
夜間に急な高熱や吐き気があらわれることもあるため、すぐに医師に相談ができるようにファストドクターのアプリをダウンロードしておきませんか?
ファストドクターは24時間医療相談無料、夜間休日の場合は対象地域であればそのまま往診も可能です。
参考文献
[1]熱中症の病型と救急処置 Japam Sport Association
[5]熱中症にかかった翌日 熱中症ゼロへ - 日本気象協会推進
[6]熱中症を予防する食事のとり方とおいしいレシピ 熱中症ゼロへ ‐ 日本気象協会推進
[8]睡眠と熱中症の関係性における調査結果レポートを公開 日本気象協会
[10]熱中症の状況と対策について 環境省 大臣官房環境保険部環境安全課
[11]頭痛・吐き気も熱中症の症状の一つ 熱中症ゼロへ - 日本気象協会推進
[13]熱中症のポイントは、水分補給だけでなく塩分補給! 熱中症ゼロへ ‐ 日本気象協会推進
本記事に掲載されている情報は、一般的な医療知識の提供を目的としており、特定の医療行為を推奨するものではありません。
具体的な病状や治療法については、必ず医師などの専門家にご相談ください。