A群溶血性レンサ球菌咽頭炎とは?症状や治療法などについて解説

更新日: 2024/12/02
「A群溶血性レンサ球菌咽頭炎ってどんな病気?」 「溶連菌と何か違うの?どうやって治すの?」 診断名だけではどんな病気なのかわからないと思う人もいるでしょう。 A群溶血性レンサ球菌咽頭炎(a群β溶血性連鎖球菌)は溶連菌とも呼ばれ、症状が悪化すると死に至ってしまいます。 本記事では、A群溶血性レンサ球菌咽頭炎の症状を詳しく解説します。 正しい治療法についても紹介しますので、自分や家族、周りの人で診断を受けた人は、ぜひお読みください。
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A群溶血性レンサ球菌咽頭炎とは?

A群溶血性レンサ球菌咽頭炎とは、のどに感染することで咽頭炎や扁桃炎を引き起こす菌による病気です。

発熱やのどの痛み、発疹などの症状が出る感染症を「猩紅熱(しょうこうねつ)」ともいいます。

3~15歳の子どもは3歳未満の子どもや成人に比べ、連鎖球菌に感染する可能性が高いため、のどの痛みの訴えがあったり発熱したらA群溶血性レンサ球菌咽頭炎を疑った方がよいでしょう。

冬になると流行するため、熱帯地域で発症することはまれな疾患といわれています。

溶血性レンサ球菌にはA型・B型・D型・など50種類以上の型がありますが、一般的に知られているのはA群溶血性レンサ球菌です。

いきなり流行するため、50種類以上の菌への対策をどうしたらいいのか、普段はどこに潜んでいるのか知っておきたいと考える人もいるでしょう。

またよく耳にする「溶連菌」と違いがあるのかどうか分からない人も少なくありません。

  • 普段はどこにいるのか
  • 溶連菌との違いはなにか

レンサ球菌についての基本的な情報を知っておくことは重要です。

普段はどこにいるのか

溶連菌は普段、ヒトの咽頭や皮膚に潜んでいます。健康な子どもの15~30%は保菌しているといわれていますが、発症しないケースも多いです。[1]

流行期は発症している人からうつされるケースがほとんどですが、健康な保菌者から感染することはまれだといわれています。

溶連菌との違いはなにか

A群溶血性レンサ球菌咽頭炎は溶連菌の一種です。

溶連菌の代表的な種類がA群溶血性レンサ球菌とB群溶血性レンサ球菌です。

A型は発熱や強いのどの痛みなどの症状が起こり、一般的に診断される疾患のことを指します。

一方B型は新生児の敗血症のおもな原因であり、母親の産後感染症の頻繁な原因となります。[2]

「のどの痛みと発熱症状がひどい、A群溶血性レンサ球菌咽頭炎と診断された」という方は、溶連菌と診断されたと考えてよいでしょう。

A群溶血性レンサ球菌咽頭炎の症状

A群溶血性レンサ球菌は咽頭炎を引き起こし、下記5つのような症状がみられます。[1]

  • 強いのどの痛み

  • 発熱(38~39℃)

  • いちご舌(舌が赤く腫れ、いちごのツブツブのような舌)

  • のどに白色の膿(うみ)

  • 吐き気や嘔吐

のどが赤くなり腫れ、点状に膿(うみ)ができます。強いのどの痛みがあるのが特徴です。そして舌がいちごのように赤くなり、ブツブツがみられます。

発熱開始後から12~24時間が経つと、全身に皮疹ができるなどの症状があらわれます。

  • 全身の赤い発疹

  • 日焼けのような赤い肌

軽症であれば発疹があらわれることはありません。発疹があらわれた場合、まず首や脇の下、足の付け根などにみられ、全身に広がります。

1〜2週間すると発疹は薄くなり、皮膚落屑(ひふらくせつ)という手のひらや足の裏の皮膚が剥がれ落ちる症状があらわれるのです。

急な発熱や強いのどの痛み、いちご舌、全身の赤み、発疹などがA群溶血性レンサ球菌による特徴的な症状です。

注意すべき合併症

A群溶血性レンサ球菌咽頭炎のおもな合併症として急性糸球体腎炎やリウマチ熱があります。感染後2〜4週間に引き起こされることがあり、発熱などの症状が落ち着いた後でも注意が必要です。

下記の症状が出た場合は、すぐに医療機関に受診してください。

急性糸球体腎炎

  • むくみ(顔や手足など)

  • 血尿(茶色っぽい尿)

  • 尿の量が減る

  • 全身倦怠感

  • 背中の痛み など

リウマチ熱

  • 発熱

  • 関節痛(膝やひじ、手首など)

  • 胸痛や動機(心臓の炎症によるもの)

  • けいれん性の動き

  • 発疹

  • 小さなしこり(皮膚の下にできる) など

ほかにもA群溶血性レンサ球菌咽頭炎の合併症として、髄膜炎や肺炎、中耳炎、敗血症があります。熱やのどの痛みが落ち着いた後でも、合併症には注意しておきましょう。

A群溶血性レンサ球菌咽頭炎はうつる?

A群溶血性レンサ球菌は感染力が強く、うつりやすい疾患です。

咽頭炎の85~95%はウイルスが原因ですが、残りの30%は細菌による感染だといわれており、そのほとんどがA群β溶血性連鎖球菌によるものだといわれています。[3]

幼稚園や保育園、小学校などの集団で生活する施設にいると、感染の可能性は格段に上がります。

  • 感染経路と予防方法について
  • 登園や登校について
  • 大人もうつるかどうかについて

感染経路を知ることで、A群溶血性レンサ球菌咽頭炎を予防することへと繋がります。

またもし感染してしまった場合、登園や登校はどのような決まりになっているのかを知っておくことは大切です。

感染経路と予防方法について

A群溶血性レンサ球菌咽頭炎は飛沫(ひまつ)と接触によって感染します。

飛沫感染

  • くしゃみや咳、会話による飛沫によって感染

  • 感染範囲は2m以内(飛沫が飛び散る範囲)

接触感染

  • 直接触れることによって感染(握手やだっこなど)

  • 間接的に触れることで感染(ドアノブや遊具など)

  • 細菌が付いているものに触れた後に鼻や目をこすることで、からだの中に入る

潜伏期間は2〜5日であるため、感染して数日経ってから症状がでます。

A群溶血性レンサ球菌咽頭炎の感染経路から考えると、予防方法は手洗いやうがい、マスクの着用です。

感染者の咳やくしゃみの飛沫を浴びないようにすること、ドアなどをさわった手で目や鼻にふれないようにすることが重要です。

登園や登校について

A群溶血性レンサ球菌咽頭炎に感染すると、登園や登校ができなくなります。学校保健安全法で第3種の感染症として定められており、出席停止措置がおかれているのです。[5]

「治療を開始してから1日経過し、全身状態がよければ登園や登校が可能」です。

適切な抗菌薬を使うことで、24時間以内には細菌の感染力がほとんどなくなります。感染力がなくなるからといって、内服して24時間後に登園・登校してよいというわけでもありません。[6]

子どもの体調や症状の有無を確認し、問題ないと判断できれば登園・登校しましょう。不安であれば医療機関を受診し、登園や登校が可能か相談すると安心です。

大人もうつるかどうかについて

大人であってもA群溶血性レンサ球菌咽頭炎はうつります。[4]

医療機関を受診する成人の咽頭炎はウイルス性が一般的です。しかし5~15%は、A群溶血性レンサ球菌咽頭炎が原因とされています。

咽頭炎の原因がA群溶血性レンサ球菌咽頭炎の場合、通常は仕事の欠勤につながり、1回の発症につき最大6日間の病欠が必要になることがあります。

ただし感染症法で決められているわけではないため、会社の規則などに従いましょう。

A群溶血性レンサ球菌咽頭炎の治療法と対処法

A群溶血性レンサ球菌咽頭炎と診断されると、抗菌薬が処方されます。薬を飲み始めれば2〜3日で症状がやわらぎます。

発熱症状は抗菌薬を服用することで比較的早くおさまりますが、強いのどの痛み症状やだるさ、食欲がない状態はすぐに改善しません。

  • おもな治療法
  • 食欲がないときの対処法

治療の際はどんな抗菌薬を使用するのか、他の症状に対してはどのような薬を服用するのか知っておきましょう。

また食欲がないときの対処法についても紹介するので、参考にしてみてください。

おもな治療方法

おもな治療方法は抗菌薬の投与です。

ペニシリン系薬剤であるサワシリンやワイドシリン、パセトシンを第1選択薬として服用します。アレルギーがある場合にはエリスロマイシンが適応となります。

第1世代のセフェム系であるメイアクトやクラリス、セフゾンも使用可能です。

抗菌薬は少なくとも10日間は確実に投与することが必要です。しかし第一世代のセフェム系は5日間の投与でも抗菌できると報告されているケースもあるため、処方医の指示に従いましょう。[7]

医師によっては最初に3日間だけ処方をおこない、再受診して改善が見られたら残りの7日間分もしくは2日分を処方するといった治療方針で進めます。

また抗菌薬を服用することにより、下痢や軟便などの症状があらわれる可能性もあるため、服用中に気になるようであれば医師に相談してください。

場合によっては整腸剤を処方してくれるでしょう。

発熱やのどの痛みに対しては対症療法をおこないます。

解熱鎮痛薬のカロナール、のどの痛みに対しては必要であればトランサミン、湿疹によるかゆみは抗アレルギー薬であるアレロックやザイザル、フェキソフェナジンを使用することもあります。

対症療法に関しても診察時に医師と相談のうえ、処方してもらうようにしましょう。

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食欲がないときの対処法

A群溶血性レンサ球菌咽頭炎に感染して食欲がない場合、対処方法としておこなえるのは2つの方法です。

  • のどに刺激のある食べ物は避ける
  • 水分をしっかりとる

A群溶血性レンサ球菌咽頭炎は強いのどの痛みや吐き気によって、食事がとりにくくなることもあります。しかし体力をつけ免疫力を高めるためにも、できる限り食事を摂ることは大切です。

のどの痛みを悪化させない食べやすい食事を心がけましょう。

食事ができそうなときはのどごしがよく、消化に良い食事がおすすめです。

  • おかゆ
  • パンがゆ
  • やわらかいうどん
  • 豆腐
  • ゼリー
  • ヨーグルト
  • プリン

また脱水予防のために、水分摂取は忘れないようにしてください。

発熱によって人の体は脱水になりやすいです。のどの痛みがあり水分をとりにくいと感じることもあるかもしれませんが、少しずつでもよいので水分は必ずとりましょう。

麦茶や経口補水液、イオン飲料がおすすめです。

まとめ

A群溶血性レンサ球菌咽頭炎は、いちご舌や全身の発疹、強いのどの痛み、急な発熱といった特徴ある症状が引き起こされる感染症です。

抗菌薬の投与がおもな治療方法ですが、症状によっては解熱鎮痛薬や抗アレルギー薬などを服用します。

適切な治療を受けないと、重篤な合併症を引き起こす可能性があるため、処方医の指示に従いましょう。A群溶血性レンサ球菌咽頭炎は感染力が強いため、周りの人に感染を拡げてしまいます。

発熱に強いのどの痛みがあるなど、疑わしい症状がある場合はすぐに医療機関を受診し、早期に治療を始ることが重要です。

参考文献

[1]A群溶血性レンサ球菌咽頭炎とは|NIID国立感染症研究所

[2]Streptococcal Infections|National Library of Medicine

[3]Acute sore throat|National Library of Medicine

[4]Group A streptococcal pharyngitis in adults 30 to 65 years of age|National Library of Medicine

[5]「学校、幼稚園、認定こども園、保育所において予防すべき感染症の解説」|日本小児科学会

[6]保育所における感染症対策ガイドライン(2018年改訂版)|こども家庭庁

[7]A群溶血性連鎖球菌による小児咽頭・喉頭炎,扁桃炎患者 を対象としたCefditoren pivoxil小児用細粒の 安全性及び有効性の検討|公益財団法人日本感染症医薬品協会

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本記事に掲載されている情報は、一般的な医療知識の提供を目的としており、特定の医療行為を推奨するものではありません。

具体的な病状や治療法については、必ず医師などの専門家にご相談ください。

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