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ノミ刺咬症とは?
ノミ刺咬症(しこうしょう)とは、ノミに刺されることで起こる皮膚炎です。強いかゆみが特徴で、掻き傷から細菌感染を起こし、重症化するリスクもあるため注意が必要です。
ノミは、世界中で多くの種類が生息する寄生虫です。種類によっては、犬や猫だけでなく、人にも寄生することで知られています。
人の血を吸うノミには以下のような種類があります。
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ヒトノミ
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ネコノミ
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イヌノミ
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スズメトリノミ
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ネズミノミ
日本では近年、ヒトノミを見ることはありません。ノミ刺咬症の原因となるのは、ほとんどが犬・猫由来のノミで、特にネコノミです。
ネコノミは、野良猫や犬の体に寄生しています。体長2〜3mmで、よく見ると肉眼でも確認できる大きさです。
猫の身体に付着して生活し、人に寄生することはありませんが、オス・メス共に人を刺して血を吸います。
ノミが皮膚を刺して吸血するときに唾液が入り、唾液に対してアレルギー反応を引き起こすことで症状が現れます。
ノミ刺咬症の症状と特徴
ノミに刺されると、かゆみによる不快感、アレルギー反応による皮膚炎など、さまざまな症状が現れます。
しかし、多くの場合、虫刺されに気づいてもどの虫に刺されたのかわからないケースが多いでしょう。
ここでは、ノミの症状と特徴、よく間違われるダニとの違いを解説します。
ノミ刺咬症の症状は?
ノミに刺された直後は症状が現れないため、刺されたことに気付きません。
1〜2日経過してから、かゆみや腫れ、赤い発疹(皮膚の変化)が現れ、初めて刺されたことを自覚します。
強いかゆみが特徴で、ひどい場合は掻き傷から細菌感染を起こし、水ぶくれができるケースもあります。数日〜1カ月ほど不快な症状が続く場合もあり、注意が必要です。
また、ノミ刺咬症は症状の現れ方に個人差があります。
ノミ刺咬症の症状は、ノミの唾液に対するアレルギー反応が原因ととなるためです。
たとえばネコノミの場合、猫や犬の飼育経験がない人は、ネコノミの免疫がないため症状が強く現れます。
反対に、猫や犬の飼育経験がある人は、ネコノミに対する免疫があるため、刺されても症状が現れにくいです。
このように、ノミに対する免疫の有無によって症状の現れ方が異なります。
アレルギー症状が強いケースでは、水ぶくれなどの重い症状が現れるため注意が必要です。たかが虫刺されと自己判断せず、症状が強い場合は、医療機関を受診しましょう。
ノミ刺咬症の特徴は?ダニとノミの違いについて
虫刺されは、赤みや腫れ、かゆみが主な症状であることが多く、ほとんどの場合、どの虫に刺されたのかわかりません。。
ノミ刺咬症の特徴は、手や脚、特に下腿(膝より下)を刺されることです。
これはノミが低い位置から飛び跳ね、衣服から肌が露出している部位を刺すためです。特に、屋外でこれらの部位を集中的に刺される傾向があります。
室内で飼育している猫や犬にノミが寄生している場合は、体や腕、体幹部などを刺されることもあります。
また、ノミとダニに刺された時の違いがわからないという方もいるでしょう。
ノミもダニも、刺された時の主な症状は、赤みや腫れ、かゆみです。症状がよく似ているため、見分けるのが難しいですよね。
しかし、ノミとダニでは生態や刺された時の症状に違いがあります。
ノミとダニの特徴は以下の通りです。
ノミ |
ダニ | |
---|---|---|
体長 |
2〜3mmで肉眼で見える |
0.3~1mmで肉眼では見えない |
生息場所 |
・犬や猫の皮膚や毛の中 ・土のある場所 ・風通しの悪い場所 (ソファ、ベッド、カーペット、部屋のすみなど) |
・高温多湿な環境 ・風通しの悪い場所 (ソファ、ベッド、カーペット、クローゼットなど) |
活動時間 |
日中〜夜 |
夜 |
刺されやすい場所 |
膝から下 |
衣服の中 |
刺し跡の特徴 |
・複数の刺し跡 ・水ぶくれができることも |
・複数の刺し跡 ・種類によっては水ぶくれができる ・中心部が点のような刺し跡 |
症状の特徴 |
強いかゆみが約1ヵ月持続 |
かゆみは1週間程度で軽快 |
ノミ刺咬症の検査と診断
ノミ刺咬症ではほとんどの場合、検査は必要ありません。
しかし、ほかの疾患が疑われる場合は、鑑別するために血液検査や皮膚生検などを行うこともあります。
ノミ刺咬症は主に問診と視診によって診断が可能です。
行動歴やペットの飼育の有無、症状の現れ方、経過などを問診し、皮疹の性状や範囲などを観察することで、虫刺されの原因を推測できます。
ノミに刺された時の薬は?ノミ刺咬症の治療法
症状が軽い場合は治療の必要はなく、自然に治癒することがほとんどです。
しかし、強い腫れやかゆみ、水ぶくれがあるなどの炎症が強いケースでは、治療が必要です。
多くの場合、早めに治療すれば合併症も起こさず軽快します。
しかし、治療せず放っておくと、とびひ(伝染性膿痂疹)や蜂窩織炎などの合併症を引き起こす可能性があるため注意しましょう。
治療は皮膚に塗布する外用薬や内服を用います。副腎皮質ステロイドの外用薬で炎症を抑える治療がメインです。
症状によっては、かゆみ止めの作用がある抗ヒスタミン薬や、炎症を抑えるステロイド薬の内服薬で治療を行います。
搔き傷から感染を起こした場合は、抗生剤を用いた治療が必要です。
ノミ刺咬症による皮膚の炎症を放置してしまうと、傷跡が残ったり、色素沈着がみられたり、合併症を起こすリスクがあるため早期治療が大切です。
症状が強い場合やなかなか治らない場合は、早めに医療機関を受診しましょう。
かゆみや腫れが強く、すぐに医療機関に行けない場合は、流水や保冷剤などで患部を冷却するとよいです。
ノミに噛まれない方法
治療はあくまで皮膚症状を抑えるのが目的です。ノミを回避するか駆除しなければ、何度でも噛まれる可能性があります。
ノミに噛まれないよう肌を守るなどの対策を行い、予防することが大切です。
肌の露出が少ない衣服を着用する
ノミは、衣服から肌が露出している部分を刺します。
手や脚を刺される場合が多いですが、特に注意したいのは靴下とズボンの間の足首です。夏場ではサンダルを着用するため、足の甲もよく刺されます。
散歩や野外活動をするときは、可能な限り長袖・長ズボンを着用するとよいです。
虫刺され予防にはなるべく肌を覆った方がよいですが、季節によっては体に熱がこもってしまうため、熱中症には注意しましょう。
虫除けスプレーを使用する
ノミ刺咬症の予防には、虫除けスプレーの使用も効果的です。
虫刺されの予防はなるべく衣服で肌を守ったほうがよいですが、顔や手などはどうしても露出してしまいます。
また、衣服の調整による予防は簡単で効果的ですが、特に子どもでは、暑い季節の長袖・長ズボンを嫌がることもあります。
外出するときは、肌が露出している部分に虫除けスプレーを使用して肌を守るとよいでしょう。
しかし、子どもに対しては使用上の注意が必要な虫除けスプレーもあります。
虫除けスプレーに配合されている「ディート」という成分は、人の血を吸う虫の感知能力を撹乱させ、吸血行動を阻止する効果を持っていますが、12歳未満の子供に使う際は注意が必要とされています。
ディートが配合された虫除けの注意点は以下の通りです。
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使用回数の目安を守る
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必要な場合のみ使用する
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エアゾールタイプは1度大人の手にとって塗布する
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乳幼児ではより安全に使用するため手や顔への使用を控える
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製品によってディートの濃度に違いがあるため、使用量や使用方法に注意する
製品パッケージに表示されている用法・用量や注意事項をしっかり確認して使用することが大切です。
ノミを駆除する
家で飼育している動物にノミがついている場合は、駆除が必要です。
飼育しているペットに、ノミ用の駆除薬を定期的に投与したり、ノミ取り用のシャンプーを使用したりするのが効果的です。
しかし、駆除薬は、ペットに脱毛やアレルギーなどの副作用が出る可能性も。投与は慎重に行う必要があります。
市販の物もありますが、獣医師に相談したうえで、ペットに合った薬を処方してもらうとよいでしょう。
市販のノミ駆除薬(くん煙剤、くん蒸剤など)を使用する方法もあります。煙や霧が部屋の隅々まで行き渡るため、多くの場所に生息している場合でもまとめて駆除できます。
また、ノミは部屋の隅や家具のすきま、畳、ベッド、ソファーなどのほこりが多い場所を好みます。
こまめな家の掃除を行い、清潔な環境を保つこともノミの予防・対策として重要です。
ノミ刺咬症のQ&A
ノミ刺咬症についてのよくある質問にお答えします。
ノミに噛まれたらどうなりますか?
ノミに噛まれたら、唾液に対するアレルギー反応が起こります。
そのため、赤みや腫れ、かゆみなどの症状が現れます。
ノミに噛まれた場合、ダニなどの他の虫に噛まれた場合と比べて、かゆみが強いのが特徴です。
特に子どもの場合、強いかゆみが我慢できず掻き壊してしまうケースも。掻き壊すと、傷口から細菌感染を起こし、とびひ(伝染性膿痂疹)になってしまう場合があります。
飛び火するかのように全身に症状が広がってしまうため、早期治療が大切です。
子ども以外でも、強い症状がある場合は注意が必要です。炎症を放っておくと、皮膚の下にある脂肪層まで細菌感染がおよび、蜂窩織炎になることもあります。
蜂窩織炎を起こすと、感染部の皮膚が熱をもって腫れます。発熱や悪寒を伴い重症になるケースもある疾患です。
いずれも、虫刺れの小さな傷から細菌が入ると起こります。
ひどい場合は、皮膚を切開して膿を取り出す手術をしなければならないケースもあるため、かゆみや腫れが強い場合は早めに医療機関を受診しましょう。
ノミ刺咬症の症状は?
ノミに刺された直後は症状がなく、噛まれて1〜2日経ってから、かゆみや赤い発疹が現れます。
数日〜1カ月ほど症状が続く場合もある、強いかゆみが特徴です。
ひどいケースでは水ぶくれができることもあります。
ノミ刺咬症の症状は、ノミの唾液に対するアレルギー反応が原因です。そのため、免疫がある人では症状が弱く、免疫がない人では症状が弱く現れます。
ノミに噛まれた時の薬は?
内服薬や、皮膚に塗布する外用薬で治療します。
主に使われるのは、炎症を抑える働きのある副腎皮質ステロイドの外用薬です。
炎症の程度によって、かゆみ止めの作用がある抗ヒスタミン薬や、炎症を抑える副腎皮質ステロイドの内服薬で治療を行うこともあります。
搔き傷から感染した場合、抗生剤を用いた治療が必要です。
ノミ刺咬症は、症状が軽い場合、ほとんどのケースで治療は必要ありません。しかし、強いかゆみや腫れ、水ぶくれなどの炎症が強いケースでは早期治療が大切です。
治療せずに放っておくと、とびひ(伝染性膿痂疹)や蜂窩織炎などの合併症を引き起こす可能性もあります。このような症状がある場合は、早めに医療機関を受診しましょう。
ノミに噛まれやすい人は?
同じ部屋に居ても、ノミに噛まれやすい人とノミに噛まれない人がいます。
ノミに噛まれやすいのは、体温が高い人、皮膚が柔らかい人です。
ノミは人の体温に反応して寄ってきます。
そのため、お酒を飲んでいる人、汗をよくかく人など体温が高くなる人が噛まれやすい傾向があります。
子どもは代謝が良いため体温が高く、皮膚も柔らかいことから、大人より噛まれやすいです。
子どもの場合、大人よりも症状が強く現れることもあり、なかなか治らず長引きやすいという特徴があります。
できる限り噛まれないよう、対策を行いましょう。
家にノミがいるのはなぜ?
ノミは多くの場合、飼育している犬や猫について家に侵入しますが、動物を飼っていない家にも侵入します。
ノミは人の体温だけでなく、息をする時に吐く二酸化炭素にも寄ってくるのが特徴です。そのため、ペットの飼育の有無にかかわらず人がいる場所に生息します。
屋外では土のある場所を好んで生息しているため、庭や公園など、屋外で活動している時に人の衣服や靴などにつき、家の中に持ち込まれてしまいます。
ノミは家の中の畳やソファ、布団、カーペットなど、ほこりが多く、日影で風通しが悪い場所を好む生き物です。日頃からこまめに掃除をして、家を清潔に保ちましょう。
家の中で1匹でもノミが見つかったら、注意が必要です。
ノミは繁殖力が非常に強い寄生虫で、多いと1日に約50個の卵を産みます。短いスパンで何度も産卵し、たまごから1〜2週間程度で成虫になります。
放っておくと、あっという間に繁殖して、人や動物に被害を及ぼすため、早めの駆除が大切です。
ノミの殺し方は?
ノミは一気に駆除することが大切です。
ノミは卵からかえり、幼虫、さなぎ、成虫と姿を変えながら成長します。
そのため、成虫だけ駆除しても、卵が残っていると再び繁殖するおそれがあるからです。
ノミを発見したら、以下の方法で駆除しましょう。
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水につける
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粘着テープにつける
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ペットをノミ取り用のクシでブラッシングする
ノミを発見しても、潰すのは絶対に避けてください。メスで体内に卵を持っている場合、潰すことで卵を撒き散らしてしまう可能性があるからです。
ノミの成虫は水に弱いという特徴があるため、水につけて溺死させると確実に駆除できます。
また、ノミは肉眼で見えるため、粘着テープで駆除するのも効果的です。駆除する際は、潰さないように注意しましょう。
ノミ取り用のクシでペットをブラッシングするのも効果的です。ノミの体長は2〜3mmほどなので、ブラッシングである程度は取り除けます。
まとめ
ノミ刺咬症は、ノミに刺されることが原因で起こる皮膚炎です。ダニの唾液に対するアレルギー反応によってかゆみや腫れなどの症状が現れます。
強いかゆみが特徴で、掻き傷から二次感染を起こすケースもあり注意が必要です。かゆみは1ヶ月ほど続き、ひどいケースでは水ぶくれができることもあります。
軽い虫刺されだと思って放置してしまうと、とびひや蜂窩織炎などの合併症を引き起こす原因にもなります。
症状が強い場合や、なかなか治らないという場合は、早めに医療機関を受診し、医師の診察を受けることが大切です。
ノミ刺咬症は予防できます。衣服で肌を覆ったり、虫除けスプレーを使用したり、原因となるノミの駆除を行い、被害にあわないよう注意しましょう。
症状がつらくなったときに病院が休みだったらどこを頼ればよいのか困ってしまいますよね。
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本記事に掲載されている情報は、一般的な医療知識の提供を目的としており、特定の医療行為を推奨するものではありません。
具体的な病状や治療法については、必ず医師などの専門家にご相談ください。