大人がかかるりんご病の症状を詳しく解説
約1週間の潜伏期間の後に発熱や鼻水、倦怠感などかぜに似た症状が出現し、その7〜10日後に以下のような症状が現れます。
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手首や指、ひざなどの関節や四肢の強い痛み
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手足(とくに指先、足首、足底)のむくみ
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手足にレースをかけたような網状の赤い発疹
※感染しても症状が何も現れない不顕性(ふけんせい)感染の場合もあります
りんご病といえば、両頬が赤くなるイメージをお持ちの方も多いでしょう。
しかし大人のりんご病は頬に発疹が現れることは少なく、手足に現れることがほとんどです。
そのため、子どもが頬の発疹から「りんご病」と診断されやすいのに対して、大人はインフルエンザや膠原病(こうげんびょう)など別の病気と間違えられることがあります。[1]
このように、子どもと大人とではりんご病にかかったときに異なる症状が見られます。
この他にどのような違いがあるのでしょうか?詳しく説明します。
子どものりんご病の症状と何か違うの?
りんご病の症状の特徴についてまとめると、以下の表のようになります。
【りんご病/子どもあるいは大人に現れる症状の特徴】
子ども |
大人 |
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子どもがりんご病に感染した場合は軽症で済むことが多く、頬に発疹がでているだけで元気に過ごしているうちに治ってしまうということも珍しくありません。
しかし大人が発症すると、かぜのような症状や関節痛が強く現れる傾向があり、重症化して治療が数か月〜数年間に及ぶこともあります。
とくに、免疫力が低下している人は重症化リスクが高いため注意が必要です。
また「不顕性(ふけんせい)感染」といって、ウイルスに感染しても症状が全く現れないケースが多いのも大人のりんご病の特徴です。
子どもがりんご病になっている、周りに感染した人がいるという方で
- 頬が火照る
- 発熱や関節痛がある
当てはまるなら、りんご病の可能性があります。 大人の場合重症化してしまうケースもあり、できるだけ早く受診したいもの。
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妊娠中は特に注意
妊娠中にりんご病に感染すると、ウイルスが血流にのって胎盤を通過し、胎児に影響を及ぼしてしまうことがあります。
りんご病に感染した妊婦から胎児へ感染する確率は約20%で、さらにそのうちの2〜10%で胎児にむくみが生じたり(胎児水腫)、貧血が起きたりして流産や死産の原因になることがあります。
とくに胎児に深刻な症状を引き起こす可能性が高いのは、妊娠20週までです。
残念ながら現段階ではりんご病の感染を予防するワクチンはなく、胎児への感染を防ぐ方法もないため、妊活中・妊娠中の女性はりんご病に感染しないように注意する必要があります。
りんご病の感染を防ぐため、妊娠中の方は以下のことを心がけて生活しましょう。
りんご病の原因
りんご病の原因は「パルボウイルスB19」というウイルスへの感染です。
鼻や口から侵入したウイルスが赤血球に感染して全身に広がり、さまざまな症状を引き起こします。
日本人の成人の40〜60%はパルボウイルスB19の抗体を持っているといわれています。
また、パルボウイルスB19に一度感染すると免疫(終生免疫)ができるので、通常であれば再びりんご病を発症することはありません。[1][5]
りんご病の感染経路
りんご病の主な感染経路は飛沫感染、接触感染の2つです。
飛沫感染・・・感染者のくしゃみや咳、会話の時などにウイルスを含んだしぶきが飛び散り、それを吸い込むことで感染する
接触感染・・・感染者の鼻水や唾液などが付着したドアノブや手すりなどに触れ、その手で目や鼻、口を触ることで感染する [5]
りんご病の潜伏期間
りんご病に感染してから発症までの潜伏期間は10〜20日程度です。
発疹が出現する7〜10日くらい前にかぜのような症状が見られることが多く、ウイルスの排泄量が最も多いのはその時期です。
つまり発疹が現れたときにはウイルスの排泄はほとんどなく、感染力はほぼ消失しているということになります。[1]
りんご病の治療法
りんご病はウイルスそのものに効く治療薬はなく、関節痛があるときは痛み止め、熱があるときは解熱剤といったように対症療法を行いながら自然に回復するのを待ちます。
発疹が出ている期間に熱いお風呂に入ったり、激しい運動をしたり、紫外線を浴びたりすると、赤みが増して症状が長引くことがあるので注意しましょう。[7]
りんご病に後遺症はあるの?
りんご病はさまざまな症状が現れますが、基本的には後遺症なく自然治癒します。
しかしりんご病が治った後、数週間から数か月以内に同様の症状が出る「再燃(さいねん)」がみられることがあります。
とくに、温度や日光の暴露などがきっかけとなることが多いです。
また妊婦、血液の病気にかかっている方、免疫力が弱い方、免疫抑制剤を服用している方などは、重症化したり治療が長期に及んだりするリスクが高いといわれています。
「りんご病かな?」と思われる症状が現れたときは、速やかに医療機関を受診するようにしましょう。[1]
仕事や学校、保育園には行っていいの?
りんご病は顔や体に発疹が出たときには、すでに感染力が弱まっていることが分かっています。
そのため発熱や関節痛などの症状がなく本人が元気であれば、仕事や学校、保育園を休む必要はありません。
また、いったん消えた発疹が日光に当たった後や入浴後などに再び出てくることがありますが、これらは再発ではありませんので心配いりません。[8]
まとめ:りんご病は大人がかかると大変なので要注意
この記事では、大人のりんご病の症状や原因、治療法などについて解説しました。
顔の湿疹だけで済むケースも多い子どものりんご病と比較して、大人のりんご病は強い関節痛やむくみが続くなど重症化するケースもあります。
また妊婦に感染すると流産するリスクがあり、妊活中または妊娠中の女性は感染しないように注意する必要があります。
ウイルスの感染を防ぐ方法として有効な「ワクチン」ですが、りんご病のワクチンは現段階(2023年12月)ではまだ発明されていません。
そのため、日ごろから手洗いやうがいを徹底する、食器は共有しないなど感染症の基本的な予防対策を行うことが重要です。
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参考文献
[2]伝染性紅斑の臨床像と京都府福知山地域における成人の伝染性紅斑の地域流行
[3]伝染性紅斑 - 23. 小児の健康上の問題 - MSDマニュアル家庭版
[4]日本産婦人科・新生児血液学会|Q3-5. 妊娠中のりんご病(伝染性紅斑)による胎児への影響について教えてください。
[6]伝染性紅斑 Erythema infectiosum | 東京都感染症情報センター
本記事に掲載されている情報は、一般的な医療知識の提供を目的としており、特定の医療行為を推奨するものではありません。
具体的な病状や治療法については、必ず医師などの専門家にご相談ください。