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りんご病(伝染性紅斑)は大人でも発症する?
りんご病は伝染性紅斑と呼ばれる感染症で、大人でも発症します。パルボウイルスB19というウイルスが原因です。[1]
鼻や口から侵入したウイルスが赤血球に感染して全身に広がり、さまざまな症状を引き起こします。大人の場合、りんご病を発症しても頬の赤みがみられることは少ないです。
そのためインフルエンザや膠原病(こうげんびょう)など、別の病気と間違えられることがあります。
大人のりんご病(伝染性紅斑)について
大人のりんご病は発熱や鼻水、倦怠感など風邪に似た症状があらわれ、7〜10日後に以下3つの症状がみられます。[1]
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手首や指、ひざなどの関節や四肢の強い痛み
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手足(とくに指先、足首、足底)のむくみ
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手足にレースをかけたような網状の赤い発疹
感染しても発症しない不顕性(ふけんせい)感染の場合もあります。大人のりんご病に関して理解しておくべきことは3つです。
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子どもとの症状の違い
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大人にうつる確率や潜伏期間
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大人でも抗体はつくのか
子どもが感染するイメージを持っている人が多いりんご病ですが、大人が発症したときの特徴もきちんと理解しておきましょう。
子どもとの症状の違い
大人と子どもでは、りんご病を発症したときの症状に異なる部分があります。
【りんご病/子どもあるいは大人にあらわれる症状の特徴】
子ども |
大人 |
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りんご病を大人が発症すると、風邪のような症状や関節痛が強くあらわれる傾向があります。重症化してしまうと、治療が数か月〜数年間に及ぶことも少なくありません。
免疫力が低下している人は重症化リスクが高いため、感染には注意が必要です。
大人にうつる確率や潜伏期間
りんご病が大人にうつる確率は、50%といわれています。[2]
子どもが多くいる学校などの場合、教師への感染リスクも高い傾向です。教師だけでなく、学校にいる教員関係者全員に感染する可能性が20~30%の確率であります。
潜伏期間は4~14日といわれており、感染の原因は飛沫と接触です。
飛沫感染 |
感染者のくしゃみや咳、会話のときにウイルスを含んだしぶきが飛び散り、吸い込む |
接触感染 |
感染者の鼻水や唾液などが付着したドアノブや手すりなどにふれ、その手で目や鼻、口をさわる |
大人でも抗体はつくのか
日本人の成人の40〜60%はパルボウイルスB19の抗体を持っています。一度パルボウイルスB19に感染すると免疫(終生免疫)が獲得できます。
子どもの頃に一度りんご病を発症したが、大人になってから発症したことはないために不安を感じている人もいるかもしれません。
しかし終生免疫を獲得できていれば、りんご病に再感染することはありません。
りんご病(伝染性紅斑)になったときの大人への治療方法
りんご病はウイルスそのものに効く治療薬はありませんが、あらわれている症状を和らげるために対症療法をおこないます。
関節痛があるときや熱があるときは解熱鎮痛薬、鼻水やくしゃみに対しては抗アレルギー薬といったように、症状に応じて薬を服用し自然に回復するのを待ちます。[1]
発疹が出ている期間は、熱いお風呂に入ったり激しい運動をしたりするのは避けましょう。
外出をするのは構いませんが、紫外線を浴びると赤みが増して症状がぶり返すもしくは長引くことがあるため注意しましょう。
どのくらいで治る?
大人のりんご病は風邪と同じように少しずつ症状が和らいでいき、早ければ1週間程度で治ります。しかし関節痛や筋のこわばりなどがある場合、3週間ほど症状が続くこともあります。
人によって治るまでにどれくらいの時間がかかるのか異なるため、経過観察が重要となるでしょう。
りんご病(伝染性紅斑)になった大人への注意点
りんご病は子どもより大人の方が注意した方がよい疾患です。理由は2点あります。
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大人が発症するとつらい
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妊娠中は感染すると胎児に影響する可能性がある
子どものりんご病の症状は頬に赤く湿疹があらわれるものの、発熱するようなケースは少ない傾向にあります。
しかし大人の場合は発熱だけでなく関節痛やむくみなど、日常生活に支障をきたす症状があらわれてしまうのです。
大人が発症するとつらい
大人がりんご病を発症した場合、数週間は関節痛やひどいむくみ、微熱に悩まされる人が多い傾向にあります。
症状がとくにひどいと感じている人のなかには、体中に痛みがあり下半身のだるさがつらいために立っているのもつらいと感じている人も少なくありません。
頬の赤みがあらわれることは少ないですが、全身症状が強くあらわれてしまう傾向があるため大人の方が発症するとつらいといわれているのです。
妊娠中は感染すると胎児に影響する可能性がある
妊娠中にりんご病に感染するとウイルスが血流にのって胎盤を通過し、胎児に影響を及ぼしてしまうことがあります。[3]りんご病に感染した妊婦から胎児へ感染する確率は約20%です。
そのうちの2〜10%で胎児にむくみが生じる胎児水腫となったり、貧血が起きたりして流産や死産の原因になりかねません。胎児に深刻な症状を引き起こす可能性が高いのは、妊娠20週までです。
残念ながらりんご病の感染を予防するワクチンはありません。胎児への感染を防ぐ方法もないため、妊活中や妊娠中の女性はりんご病に感染しないように注意する必要があります。
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マスクを着用する、手指消毒をするなど基本的な感染対策を徹底する
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流行期にはできるだけ人ごみのなかにいかないようにする
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子どもと食器を共有しない
りんご病の感染を防ぐためにも、妊娠中の方は上記3点を心がけて生活しましょう。
りんご病(伝染性紅斑)になったときに大人は仕事を休むべき?
発熱や関節痛などの症状がなく本人が元気であれば、仕事を休む必要はありません。りんご病で顔や体に発疹が出たときには、感染力が弱まったあとです。
肌の赤みが消えてから日光を浴びるもしくは入浴したあとは、発疹が再びあらわれる可能性があります。
再発の心配はほとんどありませんが、症状がひどくなってしまうケースも報告されています。発熱や関節痛などの症状が落ち着いたら、かかりつけの医療機関に出勤が可能か相談しましょう。
りんご病(伝染性紅斑)になった大人に後遺症はあらわれるのか
りんご病は基本的に後遺症があらわれることなく自然治癒します。しかし数週間から数か月以内に同様の症状が出る「再燃(さいねん)」がみられることも少なくありません。
強い日の光を浴びることがきっかけとなることが多いです。
また妊婦や血液の病気にかかっている方、免疫力が弱い方、免疫抑制剤を服用している人は、重症化したり治療が長期に及んだりするリスクが高いといわれています。
りんご病も早期発見が大切であるため、該当する症状があらわれたときは速やかに医療機関を受診してください。
よくある質問
大人のりんご病についてのよくある質問についてまとめました。
気になる人は確認しましょう。
大人がりんご病になると生殖機能に影響を及ぼしますか?
大人のりんご病で生殖機能に直接影響するようなことはありません。[1]
挙げるとすれば女性が妊活中や妊娠中のときにりんご病に感染し、発症すると胎児に影響を与えてしまうかもしれないことです。
妊娠前半期にパルボウイルスB19に感染し、りんご病を発症すると胎児が死亡してしまう例が報告されています。
男性では生殖機能に影響を及ぼすことは報告されていないため、感染したら自身がつらいだけです。
しかしパートナーと妊活中もしくは妊娠している場合は日常生活で感染予防対策をおこないましょう。
りんご病は大人の場合、何科を受診しますか?
りんご病を疑った場合、大人の場合は内科もしくは皮膚科を受診しましょう。
もし妊娠中にりんご病かもしれないと不安に思うことがあったら、まずはかかりつけの産婦人科医に相談し、指示に従ってください。内科もしくは皮膚科を受診するよう案内があるはずです。
受診の際は周囲にりんご病の感染者がいるかどうか、詳しい症状について伝えましょう。
まとめ|りんご病(伝染性紅斑)は大人がかかると大変なので要注意
顔の湿疹だけで済むケースも多い子どものりんご病と比較すると、大人のりんご病は強い関節痛やむくみが続くなどが報告されています。
妊婦が感染すると流産するリスクが高まるため、妊活中または妊娠中の女性は感染しないように日頃の予防対策を徹底する必要があります。
りんご病のワクチンはまだ発明されていません。そのため日ごろから手洗いやうがいを徹底し、食器は共有しないなど感染症の基本的な予防対策をおこなうことが重要です。
参考文献
[2]Risk of infection following exposures to human parvovirus B19|National Library of Medicine
本記事に掲載されている情報は、一般的な医療知識の提供を目的としており、特定の医療行為を推奨するものではありません。
具体的な病状や治療法については、必ず医師などの専門家にご相談ください。