ファストドクターでは無料の医療相談を行なっています。
アプリから往診の待ち時間を見れるだけではなく、チャットや電話での無料の医療相談が可能です。
もし、ご家族やご自身の体調でご不安な点がありましたら、ファストドクターを頼ってください。
見逃しがちな糖尿病の初期症状
糖尿病は生活習慣病の中でも症状の発現が緩やかなため、気が付かないまま進行してしまうことも少なくありません。
以下に示したものは、代表的な糖尿病の初期症状です。[1]
-
のどの渇き
-
体重減少
-
体の疲れ
-
トイレの回数が多い
-
尿のにおいが気になる
-
皮膚が乾燥してかゆみがある
-
物がかすんで見える
-
傷の治りが遅い
-
手足のしびれや冷え
-
感染症にかかりやすい
症状を紹介しましたが、更年期にもよく見られる症状だと気づきませんか?
甲状腺機能亢進症など他疾患でもこれらの症状がみられる場合がありますが、生活に支障がないと、女性の場合は「更年期だからかしら」とそのままにしてしまうかもしれません。
いずれにしても早期発見早期治療が重要です。健康診断などで初めて気がつく方もいます。
気になる症状がある人は、まず医療機関で相談してみると良いでしょう。
関連記事:「糖尿病は初期症状で治る可能性がある?早期発見でできることを解説」
糖尿病はどんな病気?タイプ別の症状と原因
まずは糖尿病がどんな病気なのかを知りましょう。
糖尿病とは、血糖値を下げる働きをするインスリンが不足することで、血液中のブドウ糖の割合が増え、高血糖状態が続く病気です。そして糖尿病は3つのタイプに分かれます。
ひとつめは、インスリンを分泌している膵臓の細胞が破壊され、インスリンが分泌できなくなる1型糖尿病です。
ふたつめは、遺伝的要素に加え、食事や運動などの生活習慣が原因となる2型糖尿病です。
更に、女性に限っては妊娠糖尿病についても知っておく必要があります。
妊娠中に糖尿病を発症する確率は妊婦全体の12%と言われており、案外珍しい病気ではありません。
では、それぞれの糖尿病について詳しく解説します。
1型糖尿病
1型糖尿病は、子どもや若い人でも発症する可能性のある病気です。
人によっては嘔吐、下痢、腹痛などの症状があらわれます。[2]
膵臓のインスリンを分泌する細胞が破壊され、インスリンが分泌できなくなるまたは極端に分泌量が減ることが主な原因です。
ただ、膵臓の細胞が破壊される原因は不明です。
自己免疫との関係や、家族歴などが関与していると考えられています。
1型糖尿病は症状があらわれるまでには数か月から数年かかることがありますが、あらわれるときは急激にあらわれるのが特徴です。
血液検査をして、初めて判明するケースも存在します。また、検査の際は自己抗体の検査や尿のケトン体検査を行うこともあり、その結果により1型か2型かが判明します。
初期症状で進行を食い止めることは困難で、薬物療法での継続的なインスリンの補充が必須となるでしょう。
2型糖尿病
2型糖尿病の主な症状は初期症状でも紹介したものになります。
原因は遺伝的要素に加え、肥満や食習慣、運動不足です。1型糖尿病とは異なり、インスリンが分泌されていないわけではありません。
膵臓の働きが追いつかなくなり、高血糖症状となってしまいます。[3]
進行スピードも非常にゆっくりで、初期の段階では症状が乏しく、気が付かないうちに進行していることも少なくありません。
2型糖尿病は、遺伝や体質によってインスリン分泌量が少なかったり、運動不足や偏った食事習慣などによりインスリンがうまく作用しないインスリン抵抗性が増すことで起こります。
高血糖症状が続くと、心臓疾患や視力喪失、腎臓病など深刻な疾患を発症してしまう可能性も十分にあります。
1型にも2型にも言えることですが、合併症には注意が必要です。
-
末梢血管障害
-
糖尿病性網膜症
-
糖尿病性腎症
末梢血管障害になると、手足などに流れる細い血管に動脈硬化が起こり、血行が悪くなってしまいます。
また、目が見えにくくなり糖尿病性網膜症が進むと失明してしまう恐れもあるため、治療は欠かせないでしょう。
腎症を発症後、放置しておくと透析になってしまう可能性もあります。合併症にならないように医師と相談しながら適切に治療を進めてください。
治療の第一選択は食事療法と運動療法です。
この時点で生活習慣を見直し、血糖コントロールが十分にされていれば進行を食い止めることが可能です。
それでも血糖値がうまくコントロールできない時には内服薬が選択され、更にインスリンの分泌量が不十分である時はインスリン注射での治療を行うこともあります。
薬物療法を行って血糖コントロールができているのであれば、重篤な合併症を防ぐことができます。
妊娠糖尿病
前述したように、妊娠中は胎盤からインスリン拮抗作用のあるホルモンが分泌されるためインスリン抵抗性が上がります。
そのため、普段よりもインスリン必要量が多くなるのです。
ここで、インスリン分泌の余力がもともと少ない人は妊娠糖尿病になる可能性が高くなります。
妊娠糖尿病のリスクファクターは以下の通りです。
-
遺伝(糖尿病の家族歴)
-
肥満
-
高齢出産(35歳以上での妊娠出産)
-
妊娠をきっかけとする急激な体重増加
2型糖尿病と同様に、肥満や偏った食生活、過食、過度な運動不足は当然発症の確率を高めます。
食事療法のみで管理できる場合もありますが、多くの場合インスリン注射による確実な血糖のコントロールを行う必要があります。
妊娠中に血糖コントロールが不十分であると、胎児側にも母体にも悪影響を及ぼすので注意が必要です。
胎児側のリスクとしては、巨大児や新生児低血糖、発育遅延、先天性奇形などが挙げられます。
母体のリスクとして流産がありますが、他は通常の糖尿病と同様で網膜症や腎症の悪化、ケトアシドーシスなどが挙げられます。
ケトアシドーシスとは、体内にケトン体が蓄積している状態で、最悪の場合意識障害を招くこともあるのです。
しかし、出産すると胎盤によるインスリン抵抗性はなくなります。そのため、妊娠中の血糖コントロールが十分にされていれば、妊娠糖尿病は治るのです。
ただし、妊娠糖尿病を経験した人は将来2型糖尿病を発症する確率が上がるため、食事療法や運動療法は継続した方が良いといえるでしょう。
糖尿病は初期なら治せる?
糖尿病は一度発症してしまうと完治はしませんが、初期の段階で気付いて対策を取れば薬のない生活を送ることは可能です。
初期はほんの些細な症状なため、糖尿病であることに気づくことが困難です。
しかし、1型糖尿病はインスリン分泌ができないため、生涯インスリン治療が必要となります。
2型糖尿病の場合は、初期の段階で発見し食事や運動の習慣を見直せば悪化を防ぐことができ、重症化を避けることができます。
普段の生活で少しでも気になることがあり、前述で紹介したような初期症状で顕著にあらわれているものがあれば早めに病院を受診しましょう。
妊娠糖尿病の場合は、出産すればほぼ100%治るといえるでしょう。
ただし、前提として妊娠中の血糖コントロールが重要となります。
また妊娠中の母体や胎児へのリスクを考えると、ならないに越したことはありません。
妊娠の有無を問わず、バランスの取れた食事習慣と適度な運動を心がけましょう。
健康診断で分かる?
健康診断は糖尿病を予防できる重要な手がかりになります。
健康診断では、以下の3つを確認してみましょう。
-
血液検査
-
尿検査
-
BMI(肥満度)
これらの3つのうち糖尿病の診断に直結するのが血液検査です。
血液検査データの「血糖値」と「HbA1c」を確認してみましょう。
血糖値とは、血液中のブドウ糖の量を示す値です。
健康診断では基本的に空腹時血糖(食後10時間以上空いた状態の血液)を測定します。
空腹時血糖の正常値は100mg/dL未満です。126mg/dL 以上の人は糖尿病の疑いがあると診断されます。
血糖値は食事や運動によって1日の中でも常に変動しています。
そのため、検査の数時間前に糖分の含まれた飲み物を飲んだり、運動をしてしまうと空腹時の基準で判断することができません。
HbA1cは、過去1~2か月の血糖値の平均値を示しています。
そのため、検査当日の食事や運動などによって結果が左右されることはありません。
HbA1cの正常値は5.6%未満です。6.5%以上で糖尿病型と診断されます。
また、尿検査で尿糖が(+)の場合糖尿病が疑われます。
一般的に、尿に糖が出てくるときは血糖値が160~180mg/dLを超えている状態です。
BMI(肥満度)は身長と体重によって計算されます。
日本肥満学会の基準ではBMI=25以上で肥満とされています。
前述の通り、肥満は糖尿病のリスクファクターです。
肥満が既存の疾患や内服薬の影響でない場合は、食事や運動などの生活習慣を見直す必要があるでしょう。
健康診断で発見されにくい「隠れた糖尿病」として、空腹時血糖は正常にもかかわらず食後の血糖値が高すぎるという場合があります。
このような人は、75g経口ブドウ糖負荷試験での診断が必要です。
この検査は妊婦検診の中で行われている場合もあります。
空腹時の血糖測定後ブドウ糖入りの水を飲み、その30分後、1時間後、2時間後に再度血糖値を測定することで、食後の血糖値の変化を調べることができます。
自覚症状があらわれたら手遅れなの?
手遅れということはありません。
むしろ症状を感じた時点で、放置せずに早急に治療に取り組むことが重要です。
合併症を引き起こす前に治療を開始し、血糖をコントロールしていきましょう。
しかし自覚症状が現れた時には、すでに病気が進行している場合があるので早めの受診をおすすめします。
糖尿病かもしれないと思ったら何科を受診すべき?
糖尿病かもしれないと思ったら、内科に受診するのが良いでしょう。
内科では、血液検査など糖尿病の確定診断に必要な検査を一通り受けることができます。
中には、糖尿病内科という糖尿病を専門的に診ている病院もあります。
より専門的な検査や治療を望む場合は糖尿病内科への受診がおすすめです。
高血糖状態が長く続き、合併症を起こしてしまった場合や合併症を起こす可能性が高い場合には、泌尿器科や外科、眼科などに紹介されることもあります。
内科で血糖コントロールをしつつそれぞれの科で合併症の進行がないかを確認します。
初期の段階で、どこに受診して良いかわからない時は、迷わず内科に受診しましょう。
病院に行かずに糖尿病のチェックはできる?
糖尿病の確定診断は病院での検査が必須です。
しかし、いきなり病院へ行くのは不安という方のために、自宅でチェックできる方法を2つ紹介します。
1つ目は、ドラッグストアやインターネット通販で購入した検査キットを用いた方法です。
2つ目は、チェックシートで確認する方法になります。
いずれの方法も正確な診断方法ではないため、チェックした結果疑いがあった場合はすぐに医療機関に受診しましょう。
検査キット
検査キットは2種類あります。
1つ目は尿検査薬です。尿検査の方法は医療機関で行われるものとほとんど差はありません。カップに取った尿に検査用のキットを浸して尿に糖が混ざっているかを調べます。
2つ目は簡易血糖測定器です。病院での採血とは異なり、指先のごく少量の血液で現在の血糖値を調べることができます。
尿検査薬・簡易血糖測定器は共にドラッグストアやインターネット通販で購入することができます。
どちらも血糖コントロールをしていく中で必要な医療機関で使用される検査方法です。
しかし、確定診断をするための検査方法ではありません。
検査の結果、数値は高いけど症状は無い、もしくは症状はあるけど数値は正常という可能性も考えられます。いずれの場合も、医療機関での正確な診断をおすすめします。
チェックシート
糖尿病に関連するチェックシートを2種類紹介します。
1つ目は「女性のための糖尿病チェックシート」[4] です。
女性は、妊娠やエストロゲンという女性ホルモンの影響といった特有のリスク因子があります。
エストロゲンという女性ホルモンは、インスリンの作用を高め血糖値の上昇を抑える役割も果たしています。そのため、妊娠していない若い女性は、通常同年代の男性よりも糖尿病を発症しにくいのです。
しかし、閉経とともにエストロゲンの分泌量は急激に減少します。その結果、高血糖になりやすくなるのです。
妊娠糖尿病は、前述の通り胎盤から出るホルモンの影響と、様々なリスク因子が関連して発症します。
女性のための糖尿病チェックシートでは、自分の年代にあったリスクを知ることができます。チェックの結果、糖尿病になる可能性が高いまたは糖尿病である可能性高い場合は、生活習慣の見直しや医療機関への受診を考えましょう。
2つ目は「足のチェックシート」[5] です。
足のチェックシートは、すでに糖尿病と診断されている方にとっても有用です。
糖尿病の合併症のひとつに糖尿病性末梢神経障害があります。
この末梢血管障害を早期に発見するために、足の観察とケアは重要事項です。
高血糖の状態がつづくと、血管が脆くなり、血流も悪くなります。
特に体の末端である足指は血流が悪くなりやすいため、足先の傷は治りにくく、感染しやすいのです。
そのため、タコや魚の目、水虫や潰瘍など感染のもととなる要因をつくらないことが大切です。
糖尿病かもしれないと思った時から、足の観察(フットケア)を習慣にすると良いでしょう。
糖尿病を予防するために普段からできること
糖尿病を予防するには、普段の生活の中で、バランスの良い食事や適度な運動を意識して生活するのが最も効果的です。
すでに肥満傾向にある人は、特に食事量や運動量を見直し肥満の解消に努めると良いでしょう。肥満の解消は、必然的に糖尿病の予防にもつながります。
食事では、血糖値の急激な変動を避けることも大切です。糖尿病を恐れて過度にダイエットするのも逆効果になります。
過度な空腹は低血糖の状態を示します。低血糖の状態から食事を摂取すると血糖値が急激に上昇するため、血糖値の変動が激しくなるのです。
そのため、血糖値を急激に上げず、バランスの取れた食事を規則正しく食べることが最も効果的なのです。
-
甘いものを避ける
-
味付けはできるだけ薄めにする
-
野菜から食べる
-
間食は適度な量で糖質を控える
運動は過度に行う必要はありません。ストレッチやウォーキングなどの適度な運動を継続的に続けることが重要です。
適度に行うことで脂肪と筋肉のバランスが取れ代謝が良くなります。
基礎代謝量が上がると、自律神経が整いホルモンバランスが保たれるため糖尿病の予防として効果的です。
まとめ:初期症状を理解して糖尿病の進行を防ぎましょう
あなたが気になる症状はありましたか?ほんの些細な症状でも、気になる症状がある人は生活習慣を見直してみましょう。
糖尿病は一度発症してしまうと完治はしません。また、慢性的な高血糖状態は、血管をもろくし合併症を引き起こすこともあります。
しかし初期の段階で気が付き、生活習慣の改善に取り組めば進行を防ぐことができるのです。
糖尿病かもしれない、もしくは糖尿病と診断されたら、食事習慣を見直し、適度な運動を日常生活に取り入れてみてください。
ファストドクターでは無料の医療相談を行なっています。
アプリから往診の待ち時間を見れるだけではなく、チャットや電話での無料の医療相談が可能です。
もし、ご家族やご自身の体調でご不安な点がありましたら、ファストドクターを頼ってください。
参考文献
本記事に掲載されている情報は、一般的な医療知識の提供を目的としており、特定の医療行為を推奨するものではありません。
具体的な病状や治療法については、必ず医師などの専門家にご相談ください。