膀胱炎の症状をチェックしよう:原因や治療法についても解説

公開日: 2024/12/19
「おしっこするとき、なんだか痛いんだよね。これって膀胱炎?」 「トイレが近いしなんとなく膀胱あたりが気持ち悪い。早く治す方法を教えてほしい」 「病院に行く時間がない。膀胱炎を放っておくとどうなるの?」
症状がこれ以上悪化しないか不安ではないですか?

症状がつらくなったときに病院が休みだったらどこを頼ればよいのか困ってしまいますよね。

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膀胱炎の症状

膀胱炎のおもな症状は、以下のとおりです。

膀胱炎の症状

特徴

頻尿

  • 尿の回数が明らかに増える

     

  • 症状が強い場合、10分間隔で尿意を感じることがある

     

排尿時の痛みや違和感

  • 排尿時にしみるような痛みを感じる

     

  • 残尿感がある(すっきりしない)

     

尿のにごりや血尿

  • 白血球や炎症部分の分泌液、はがれた膀胱の粘膜が混ざる

     

  • 炎症が強いとときおり尿におしっこが混じる

     

無症状

  • 膀胱炎の種類により無症状のことがある

     

参考:やっかいでしつこい膀胱炎|千葉県医師会[1]

膀胱炎は膀胱に炎症が起きるものの、発熱はほとんどみられません。

ときに37℃前後の微熱がみられることがありますが、膀胱炎だけで高熱になるのはまれです。

もし膀胱炎の症状にくわえて高熱がある場合は、腎盂腎炎(じんうじんえん)やほかの病気が疑われます。[2]

膀胱炎の初期症状

膀胱炎の初期症状は、排尿にかかわる「なんとなくの違和感」があげられます。

  • 尿がにごっている

     

  • 排尿後になんとなく違和感がある

     

  • トイレに行く回数が増えた気がする

     

症状が悪化する前に、適切な対処をおこないましょう。

膀胱炎の種類による原因や症状の違い

膀胱炎は、なんらかの原因によって膀胱(尿を一時的にためる器官)に炎症が起こる病気です。

おもな原因は細菌によるものですが、基礎疾患によるものや原因不明の場合もあります。[3]

膀胱炎の種類

特徴・原因

急性(単純性)膀胱炎

  • 膀胱炎のなかでもっとも多い

     

  • 腸内細菌(おもに大腸菌)が原因であることがほとんど

     

複雑性膀胱炎

  • 基礎疾患(尿路の悪性腫瘍や神経因性膀胱)がある場合が多い

     

  • 子どもの場合、先天性疾患が原因となる場合もある

     

間質性(かんしつせい)膀胱炎

  • 尿から細菌が検出されず、膀胱炎を起こす病気もない原因不明の膀胱炎である

     

  • 40歳代~70歳代の女性に多い

     

それぞれの特徴を知り、自分の症状がどの膀胱炎にあてはまるか確認してみましょう。

急性(単純性)膀胱炎

急性(単純性)膀胱炎は、おもに細菌が原因となる膀胱炎です。

原因

  • 細菌の繁殖

     

症状・特徴

  • 頻尿(1日8回以上)

     

  • 残尿感

     

  • 排尿時や排尿後のしみるような痛み

     

検査・診断

  • 尿検査や尿沈渣(にょうちんさ)で細菌や白血球が見つかれば膀胱炎と診断

     

  • 血尿がひどい場合は超音波検査(エコー検査)を実施

     

参考:健康トピックス|千葉県医師会[4]

 

通常、膀胱に侵入した細菌は尿とともに排出され、膀胱炎の発症を防ぎます。

しかし尿意を我慢したり精神的ストレスや疲労によってからだの抵抗力が下がったりすると、膀胱のなかで細菌が増えて炎症を引き起こすのです。

なかでも女性は、男性よりも尿道と肛門が近くに位置しているため、大腸の細菌が尿道を通って膀胱に侵入しやすいです。

実際に女性の尿路感染(膀胱炎には至らない尿路に細菌が侵入した状態)の発症率は、男性の5~6倍とも言われています。[5]

複雑性膀胱炎

 尿路(尿道、膀胱、尿管、腎盂腎炎、腎臓の総称)の病気または基礎疾患、尿路へのカテーテル留置が原因で発症する膀胱炎を、複雑性膀胱炎とよびます。

複雑性膀胱炎では、原因を取り除かない限り再発・再燃をくり返すことが一般的です。[5]

原因

  • 尿路の病気

     

  • 基礎疾患

     

  • 尿路へのカテーテルの留置

     

  • 尿路の先天異常(子どもの場合)

     

症状・特徴

  • 再発、再燃をくり返す

     

  • 起こる症状は単純性膀胱と同じ

     

検査・診断

  • 尿検査

     

  • 尿沈渣

     

  • 尿培養

     

複雑性膀胱炎の原因となりうる代表的な基礎疾患は、以下のとおりです。[3]

 

  • 前立腺肥大症

  • 前立腺がん

  • 膀胱がん

  • 神経因性膀胱

  • 尿道狭窄(尿道が狭くなる)

  • 膀胱結石

  • (子どもの場合)尿路の先天異常

  • 糖尿病

  • ステロイドや抗がん剤投与による免疫力低下

男性の場合、前立腺の増大や腫瘍によって尿道が圧迫され尿の排出がスムーズにいかないことが原因のことがほとんどで、高齢男性に多くみられます。

複雑性膀胱炎は、くり返し発症することが多く、過去の抗生剤使用によって単純性膀胱炎よりも薬剤が効きにくい耐性菌が検出される傾向があります。[6]

そのため従来の抗生剤が効かない場合が少なくありません。

耐性菌を特定するには、尿培養が必要で結果が出るまでに数日かかります。

適切な診断と、膀胱炎およびその原因となる病気を合わせて治療することが大切です。

間質性(かんしつせい)膀胱炎

間質性膀胱炎とは膀胱に原因不明の炎症が生じて、膀胱や尿道の違和感、頻尿、膀胱の痛みなどの症状がでる病気です。[7]

間質性膀胱炎は、ハンナ病変とよばれる表面がなめらかな地割れに似た粘膜の炎症を起こす「ハンナ型」とハンナ病変を認めない「非ハンナ型(膀胱痛症候群)」に分類されます。

<間質性膀胱炎の原因や症状の特徴>

原因

不明だが、膀胱の粘膜に異常があると言われている

症状・特徴

  • 尿に細菌感染を認めない

     

  • 膀胱(下腹部)の痛み

     

  • 頻尿(昼夜を問わず尿の回数が多い)

     

  • 尿意切迫感(急に尿意が起こり我慢できない)

     

検査・診断

  • 膀胱鏡検査で粘膜に範囲の広い点状出血か、ハンナ病変とよばれる表面がなめらかな(ベルベッド状)地割れのようなものを確認することが多い

     

  • 尿細胞診(尿のなかにがん細胞が入っていないかをみる検査)で膀胱がんと鑑別する

     

  • 生検(組織診断)も膀胱がんとの鑑別でおこなう

     

ハンナ病変の有無は、ハンナ型と非ハンナ型を鑑別する目的であり、どちらも間質性膀胱炎です。そのためハンナ病変がないからといって、間質性膀胱炎ではないとは言い切れません。

男女それぞれの特徴や違いは?

膀胱炎は男女ともに起こりうる病気です。

女性は尿道が短いうえに肛門が近く、腸内細菌を中心とした病原体が膀胱に侵入しやすい構造であるため、発症率が高いです。[5]

しかし男性の場合も、からだの構造が理由で膀胱炎を発症しやすくなります。

それぞれの特徴を知り、心当たりがある場合は早めに医療機関を受診しましょう。

男性の膀胱炎の特徴

男性の膀胱炎は、おもに高齢者に多くみられる特徴的な病態が原因で発症します。

加齢にともなう前立腺の変化が大きく影響し、尿路感染症のリスクを高めるのです。[1]

具体的には、前立腺の炎症や肥大により尿道が圧迫され、尿の排出が困難になります。

尿が膀胱にたまりやすくなることで細菌の繁殖が進み、膀胱炎につながります。

排尿時の違和感や痛み、頻尿などの症状がある場合は、早めに医療機関を受診しましょう。

とくに高齢男性は単なる加齢による症状と見過ごさず、適切な診断と治療を受けることで症状の悪化を防げます。

女性の膀胱炎の特徴

女性の膀胱炎は男性と比べて発症しやすく、妊娠中にもかかりやすいことが特徴です。

女性のからだは細菌が尿路に侵入しやすい構造をしています。[1]

  • 尿道が短い

     

  • 外尿道口、肛門、膣が近接している

     

女性は男性と比べて5〜6倍も膀胱炎を発症しやすく、膀胱炎患者の64.9%が女性であるという報告もあります。[5][8]

また妊娠中は非妊娠時に比べて雑菌が膀胱に侵入しやすくなり、膀胱炎を発症するリスクが高まります。

ホルモン変化や大きくなった子宮が尿道・膀胱を圧迫することによって尿の流れが悪くなり、体内に入り込んだ細菌が膀胱で増えやすくなるためです。[9]

女性ならではの考えられる理由として、以下があげられます。[10]

  • 性交後

     

  • 陰部の衛生状態

     

  • 排尿習慣(我慢しやすいなど)

     

  • 月経周期(月経中、更年期など)

     

トイレの回数が増えたり排尿時の痛みがあったりと膀胱炎を疑う症状があらわれたら、迅速に医療機関を受診し適切な治療を受けましょう。

膀胱炎のときにやってはいけないことは?

膀胱炎を疑う症状があらわれているときは、悪化したり長引いたりするような行動を避けましょう。[11]

やってはいけないこと

理由

対策

トイレを我慢する

尿中の細菌が膀胱内に停滞

  • 細菌の増殖リスク増加

     

  • 尿路感染症の悪化

     

こまめにトイレに行く

飲み物を控える

尿量の減少

  • 細菌排出の阻害

     

  • 脱水のリスク

     

水分を十分に摂取する

からだを冷やす

血行不良

  • 免疫機能の低下

     

  • 腹巻を使用する

     

  • 適度に室温管理する

     

  • あたたかい服装をする

     

性行為をする

尿路への細菌侵入

  • 症状悪化のリスク

     

  • 医師に相談する

     

  • 衛生的な性生活を送る

     

  • 陰部を清潔にする

     

カフェインやアルコール、刺激物をとる

尿路への刺激

  • 炎症悪化のリスク

     

  • 症状悪化のリスク

     

  • 刺激物の入っていない水分を摂取する

     

ストレスをためる

免疫機能の低下

  • 回復の遅れ

     

  • 症状悪化のリスク

     

  • 十分な休息をとる

     

  • 適度にストレスを発散する

     

自己判断で薬を使う

適切な治療の遅れ

  • かならず受診して薬を処方してもらう

     

膀胱炎を放置する

腎臓への感染拡大リスク増大

  • 重症化のリスク

     

  • 慢性化移行へのリスク

     

  • 早めに受診する

     

負担の大きい作業をする

からだの疲れ

  • 免疫機能の低下

     

  • 回復の遅れ

     

  • こまめに休憩をとる

     

  • 作業量を調整する

     

  • 勤務体制を相談する

     

1日でも早く膀胱炎の症状を治したいなら、適切な判断と行動がもっとも近道です。

かならず医療機関を受診しましょう。

膀胱炎の治し方

膀胱炎は、おもに以下の方法で治療します。

治療のアプローチ

治療内容

医療機関での治療

薬による治療をおこなう

  • 抗生物質

     

  • 解熱鎮痛剤

     

  • 漢方薬

     

セルフケア

  • 水分補給をする

     

  • からだをあたためる

     

  • 尿意を感じたらトイレに行く

     

  • 市販薬を服用する

     

医療機関での治療は、膀胱炎の種類や原因などで異なります。

そのため、正しい診断と適切な処置を受けることが重要です。

膀胱炎の治療で使われる薬

膀胱炎の治療では、以下の薬がおもに使用されます。

薬の種類

目的

抗生物質

細菌感染の治療

解熱鎮痛薬

痛みと発熱(ある場合)の緩和

漢方薬

症状改善や免疫力向上

抗生物質の使用は、膀胱炎の種類によってどの細菌感染か特定してから処方されることもあります。

とくに複雑性膀胱炎の場合は、過去の抗生剤使用歴があると耐性菌が存在している可能性が高いです。そのため感染している細菌を特定することで、効率的に治療が進むのです。

とはいえ膀胱炎の症状は痛みや違和感が強く、つらいですよね。

こうした場合は解熱鎮痛薬や漢方薬を使用して、症状をやわらげる対症療法がおこなわれます。

症状がつらいときは、無理をせず医師に相談してください。

また、なかには市販薬の使用を考える方もいらっしゃいます。

症状が軽く医療機関にすぐに行けないときは、市販の解熱鎮痛薬や漢方薬を使用してもよいでしょう。

ただし、市販薬の使用は医療機関受診までのつなぎです。症状が改善しないからと使い続けることは、回復の遅れや病状の悪化を招きかねません。

あくまでも一時的な対処法であることを覚えておきましょう。

セルフケア

薬の治療にあわせて適切なセルフケアをおこなうと、早い回復がのぞめます。

セルフケア

具体例

水分補給

普段より多めに水分補給をする

体温管理

あたたかい服装やホットパックなどで腰や下腹部をあたためる

排尿管理

尿意を感じたら我慢せずにトイレへ行く

清潔保持

適切な洗浄で陰部や肛門を清潔に保ち、清潔な下着を身につける

十分な休息・ストレス管理

睡眠環境を整えたり、適宜ストレス発散したりすることで免疫力の向上を目指す

これらのセルフケアをおこなうことで、細菌の排出を促したり、免疫力を向上させたりする効果が期待できます。

1日でも早い回復を目指す方は、積極的にセルフケアを取り入れましょう。

一晩で治す方法

膀胱炎を一晩で治すことは困難です。

膀胱炎は細菌感染によるものがほとんどで、症状を改善するには適切な治療と時間が必要なためです。

ただし医療機関で適切な治療を受けたり、セルフケアをおこなったりすることで早期の回復がのぞめます。

よくある質問

膀胱炎に関するよくある質問にお答えします。

膀胱炎の正しい知識を得ることで、適切な治療や正しいケアの必要性が感じられるでしょう。

膀胱炎になりかけの症状は?

膀胱炎になりかけていると考えられる症状(初期症状)は、以下のとおりです。

  • 尿がにごっている

     

  • 排尿後になんとなく違和感がある

     

  • トイレに行く回数が増えた気がする

     

膀胱炎は、初期症状のうちに治療やセルフケアをすることで悪化を防げます。

膀胱炎の治し方」で紹介した方法を参考に対処しましょう。

膀胱炎かどうか確かめるには?

膀胱炎の診断には、尿検査が一般的です。

尿のなかの白血球や潜血反応(血が混じっているか)を調べ、ときに尿を詳しく検査して原因菌を特定します。

細菌以外が原因の膀胱炎が疑われる場合は、膀胱鏡や生検で検査することがあります。

膀胱炎を放っておいたらどうなる?

膀胱炎を放置すると、感染が腎臓まで広がり、腎盂腎炎を引き起こす恐れがあります。

これにより高熱が生じたり腎臓の働きが低下する可能性が高まります。

膀胱炎は性行為をしてから何日後に起こる?

性行為後に膀胱炎の症状があらわれるまでの期間は、個人差があり一概に何日後とは言えませんが、数日以内に症状があらわれる傾向です。

まとめ:「膀胱炎かも」と思ったら、早めに受診しましょう

膀胱炎は頻尿や排尿時の痛みなど、日常生活に支障をきたす症状があらわれる病気です。

放置すると症状が悪化し、腎盂腎炎や腎臓の機能低下など深刻な合併症を引き起こす恐れがあります。

とくに女性は発症リスクが高いため、初期症状を見逃さないことが大切です。

また、膀胱炎は原因や種類によって治療法が異なります。

「なんとなくおかしい」と感じたら、ためらわずに医療機関を受診し早期改善を目指しましょう。

参考文献

症状がこれ以上悪化しないか不安ではないですか?

症状がつらくなったときに病院が休みだったらどこを頼ればよいのか困ってしまいますよね。

夜間や休日でもすぐに医師に相談ができるように、ファストドクターのアプリをダウンロードしておきませんか?

[1]やっかいでしつこい膀胱炎|千葉県医師会

[2]排尿症状を伴う発熱がある|日本泌尿器科学会

[3]JAID/JSC 感染症治療ガイドライン2015ー尿路感染症・男性性器感染症ー|山本新吾ら

[4]健康トピックス|千葉県医師会

[5]尿路感染症(膀胱炎、腎盂腎炎)|全国健康保険協会

[6]薬剤耐性菌を考慮した尿路感染症の抗菌薬治療とは?|重村克巳ら

[7]間質性膀胱炎(ハンナ型)(指定難病226)|難病情報センター

[8]尿路感染症による入院治療の日本での実態~2010年から2015年のDPCデータベースを用いた後ろ向き研究|国立国際医療研究センター

[9]Urinary Tract Infection in Pregnancy|PubMed

[10]女性下部尿路症状診療ガイドライン [第2版]|日本泌尿器科学会

[11]膀胱炎|働く女性の心とからだの応援サイト(厚生労働省)

本記事に掲載されている情報は、一般的な医療知識の提供を目的としており、特定の医療行為を推奨するものではありません。

具体的な病状や治療法については、必ず医師などの専門家にご相談ください。

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