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なぜ膀胱炎になる?女性に多い理由
膀胱炎は尿道から膀胱へ細菌が侵入して炎症を起こす病気です。
とくに女性は男性に比べて尿道が短く太いため、細菌が侵入しやすく膀胱炎を起こしやすいといわれています。[1]
膀胱炎になると排尿時の痛み・頻繁な尿意・残尿感などが症状としてあらわれます。
生活習慣や性交渉が原因となることが多く、20歳くらいから膀胱炎になりやすいです。とくに妊娠中はホルモンバランスの変化や免疫力の変化から膀胱炎になりやすくなります。[1][2]
膀胱炎に効く市販薬を紹介|痛みや残尿感などが和らぐ薬は?
膀胱炎に使用できる市販薬はおもに漢方薬で、初期の症状が軽いときに飲みはじめるのが効果的です。以下のように症状の種類によって使い分ける必要があります。
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膀胱炎の再発:腎仙散(じんせんさん)
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排尿時に少し痛む:五淋散(ごりんさん)
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排尿時に強く痛む:竜胆瀉肝湯(りゅうたんしゃかんとう)
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尿がすっきり出ない:猪苓湯(ちょれいとう)
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尿トラブルが長引く:猪苓湯合四物湯(ちょれいとうごうしもつとう)
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トイレの回数が多い:清心蓮子飲(せいしんれんしいん)
膀胱炎の再発なら腎仙散(じんせんさん)
腎仙散は膀胱炎に効能効果がある粉薬です。15種類の生薬を配合し、3つのはたらきで膀胱炎に効果をあらわします。
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痛みや炎症をおさえる
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膀胱炎の原因となる菌の繁殖をおさえる
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尿を出しやすくして菌を押し流す
腎仙散に配合されているウワウルシという成分が菌を弱らせ再発を防ぎます。膀胱炎をくり返したくない方に向いている市販薬です。[3]
薬の形状 |
商品名 |
粉タイプ |
腎仙散 |
錠剤タイプ |
なし |
排尿時に少し痛むなら五淋散(ごりんさん)
五淋散は炎症や痛み・残尿感・頻尿に効果のある漢方薬です。症状が軽く、体力が著しく低下していないときに向いています。
膀胱炎になりやすい方で、症状がなりはじめたときに向いている市販薬です。[4]
薬の形状 |
商品名 |
粉タイプ |
マツウラの漢方薬五淋散料エキス細粒 |
錠剤タイプ |
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カプセルタイプ |
五淋散カプレット「コタロー」 |
排尿時の痛みが強いなら竜胆瀉肝湯(りゅうたんしゃかんとう)
竜胆瀉肝湯は熱を取り除く作用に優れているため、炎症や痛みが強い場合に向いています。比較的体力があり、下腹部に痛みや熱感がある・排尿時に痛みがある・尿がにごっているという方は竜胆瀉肝湯を選択すると良いでしょう。[4]
薬の形状 |
商品名 |
粉タイプ |
竜胆瀉肝湯三和生薬エキス細粒 |
錠剤タイプ |
クラシエの漢方竜胆瀉肝湯エキス錠 |
尿がすっきり出ないなら猪苓湯(ちょれいとう)
猪苓湯は体内の余計な水分を尿として排出することにより、尿量を増加させます。さらに尿を出しやすくしたり、炎症をおさえたりする生薬も配合されています。
トイレが近いのに少量しか出ずに残尿感や排尿痛を感じる方におすすめです。[4]
薬の形状 |
商品名 |
粉タイプ |
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錠剤タイプ |
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尿トラブルが長引くなら猪苓湯合四物湯(ちょれいとうごうしもつとう)
加齢とともに排尿痛や残尿感の症状が長引く方向けに、猪苓湯合四物湯を使ったボーコレンエージ+(プラス)という市販薬もあります。
閉経が近づき女性ホルモンの分泌が低下してくると、デリケートゾーンの粘膜が薄くなり軽度の炎症や痛みが長引きやすくなります。[5]
猪苓湯合四物湯は長く続く尿トラブルに効果が期待できるでしょう。胃の不快感が出ることがあるため、胃腸が弱い方は注意しながら飲んでください。[4]
薬の形状 |
商品名 |
粉タイプ |
なし |
錠剤タイプ |
ボーコレンエージ+(プラス) |
トイレの回数が多いなら清心蓮子飲(せいしんれんしいん)
清心蓮子飲は精神的な要因でトイレの回数が多くなるような方に向いています。
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緊張やイライラ、疲れから尿トラブルが起きやすい方
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トイレが心配で余計に神経質になってしまう方
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だるさや口の乾きがあり、頻尿・残尿感がある方
清心蓮子飲は炎症や痛みを改善し、尿を出しやすくする成分のほか、イライラや緊張感・不安感をやわらげる成分も配合されています。[4]
薬の形状 |
商品名 |
粉タイプ |
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錠剤タイプ |
ユリナール(錠剤) |
膀胱炎に使う市販薬と処方薬の違い
膀胱炎で使用する市販薬と処方薬では作用の仕方が全く異なります。
膀胱炎に効く市販薬には漢方薬があり、以下の効果が期待できます。
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痛みや炎症をおさえる成分が症状を和らげる
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尿量を増やして尿を出しやすくして細菌を外に出す
症状を和らげなおりを早めますが、市販薬に菌を殺す作用はありません。
医療機関で処方されるのは抗菌薬です。膀胱炎の原因となる細菌を直接殺菌したり、増殖するのをおさえたりします。感染を起こしている細菌に応じた抗菌薬が処方されます。[1]
抗菌薬*:一般的には抗生物質・抗生剤といわれることが多い。厳密には、抗生物質は微生物から産生された薬。抗菌薬は化学的に合成された薬。近年は抗生物質・抗菌薬を含めて、細菌を殺菌したり、増殖をおさえる薬は抗菌剤とよばれている。[6]
市販薬を使うときのポイント
市販薬を使う場合、以下5つのポイントを守るとより効果的です。
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正しい用法用量で飲む
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症状が良くなっても飲み切る
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トイレを我慢しない
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デリケートゾーンは清潔にする
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疲れやストレスをためない
ポイントをおさえないまま飲むと菌を外に出すことができず、症状が和らがない、和らいでもすぐに再発してしまう可能性があります。膀胱炎の症状を早く和らげたい方や再発を防ぎたい方は、ぜひ実践してみましょう。
正しい用法用量で飲む
膀胱炎の市販薬はおもに細菌の排出をうながします。1回飲んですぐになおるものではありません。説明書に記載されている飲み方(用法用量)を守って続けましょう。
早くなおしたいからといって、決められた量以上に飲むのもいけません。効果より副作用のリスクが高くなってしまいます。正しい飲み方を続けることが重要です。
持病や薬の飲み合わせ、妊娠・授乳中で市販薬を使用すべきではない場合もあります。市販薬を飲みたい場合は、薬局やドラッグストアで相談しましょう。
症状が良くなっても飲み切る
細菌をしっかりと排出して再発を防ぐためにも、推奨されている期間は飲み切るようにしましょう。
市販薬の種類によって推奨の期間は異なるため説明書をしっかりと確認してください。同じ成分でも錠剤や顆粒・細粒の違い、飲む回数の違いもあるので、自分に合ったものを選ぶと良いでしょう。
飲んでいる途中で症状が悪化する場合や飲み切っても改善しない場合は受診するべきです。市販薬を飲んでいる間は体調変化に注意し、必要に応じて早めに受診してください。
トイレを我慢しない
市販薬の効果で尿量が増えトイレが近くなりますが、早くなおしたい場合はこまめにトイレに行きましょう。
膀胱炎になると排尿痛や頻尿が原因で、尿意があっても我慢してしまう方がいます。尿意を感じたら、トイレを我慢しないことが大切です。
また水分をしっかりとって尿量を増やすことで細菌の排出がうながされます。しっかりと水分補給してトイレに行きましょう。
デリケートゾーンは清潔にする
膀胱炎はデリケートゾーンにいる細菌からの感染症です。デリケートゾーンを清潔に保つことで膀胱炎になりにくくなり、再発予防にもなります。
膀胱炎は尿や便、性交渉などからの細菌感染がおもな原因です。[1]
性交渉後は排尿とシャワーをしてデリケートゾーンを清潔に保つようにしましょう。
ナプキンやおりものシートは同じものを長時間使用しないようにしてください。細菌が繁殖しやすくなってしまいます。
デリケートゾーンのケアは過度におこなうと、皮膚トラブルの原因となります。1日1回入浴時、やさしくていねいに洗うようにしましょう。
疲れやストレスをためない
疲れやストレスは免疫を低下させ、感染症にかかりやすくなる原因となります。
デリケートゾーンの細菌は常に存在するもので、0にすることはできません。
しかし免疫力があれば細菌が増殖するのを免疫でおさえ、感染症が起こりにくい状態を保てます。
疲れやストレスをためずに免疫力を低下させないことは、膀胱炎予防に非常に重要です。
免疫力を低下させない生活習慣のポイントは次の4つです。
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睡眠時間をしっかりと確保し、昼夜のバランスを崩さないようにする
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栄養バランスの良い食事を心がけ、ヨーグルトやきのこなど善玉菌を増やすような食品を摂取する[7]
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体を冷やさないようにする[8]
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適度な運動を心がける
膀胱炎の痛みにロキソニンは使える?
自己判断でロキソニンを飲むことはやめましょう。
医療機関を受診すると膀胱炎の痛みにロキソニンなどの消炎鎮痛剤が処方されることもあります。
しかしロキソニンは痛みを一時的におさえるだけであり、膀胱炎の根本治療にはなりません。
ロキソニンで痛みだけおさえると症状の悪化に気づきにくくなり、受診が遅れて重症化する可能性もあります。
医療機関を受診した方が良い症状
細菌が膀胱の奥にある腎盂(じんう)まで達してしまうと、全身に細菌がまわり腎盂腎炎になることがあります。
以下4つの症状がある場合はすみやかに受診しましょう。
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38℃以上の発熱があり、寒気・ふるえがある
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わき腹の痛み・腰の痛み・背中の痛みがある
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吐き気がある、嘔吐した
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血尿(赤〜ピンク・茶色の尿)が出る[8]
寒気や高熱、わき腹や腰の痛みは腎盂腎炎のサインです。尿トラブルがある場合は泌尿器科受診をおすすめします。
女性は婦人科でも良いでしょう。尿トラブルがなく、受診する科に悩む場合は内科を受診するのも選択肢の一つです。
また腎盂腎炎の症状はインフルエンザの症状とよく似ています。
インフルエンザの症状
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38℃以上の発熱があり、寒気がある
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のどの痛み・頭痛・関節痛・筋肉痛などがある
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全身がだるい
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鼻水・咳がでる
腎盂腎炎なのか、それとも季節性インフルエンザなのかを自分で判断することは非常に難しいです。膀胱炎とインフルエンザを一緒に起こしている場合もあるため受診して検査を受けましょう。
症状が軽度でも、市販薬を2~3日飲んだのに症状が良くならない場合は受診しましょう。頻繁に再発する場合も受診するべきです。
市販薬は初期の軽症での使用に向いている薬です。効果を感じないと思ったら早めに受診しましょう。
まとめ|市販薬で膀胱炎の症状が良くならない場合は早めに医療機関を受診しよう
膀胱炎は成人女性がかかりやすい病気です。
排尿時の痛み・残尿感・頻尿は膀胱炎の特徴です。このような症状がある場合は、膀胱炎をうたがって対処していきましょう。
市販薬には炎症をおさえて菌を尿と一緒に押し出す漢方薬があります。
症状があらわれたらすぐに飲みはじめてください。市販薬を飲んでいる期間は以下に注意しましょう。
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水分をしっかりととる
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トイレを我慢しない
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睡眠・休息をしっかりととる
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デリケートゾーンを清潔に保つ
市販薬を2~3日飲んでも症状が良くならない場合や症状が長引く、くり返す場合は早めに医療機関を受診しましょう。
医療機関では漢方薬ではなく抗菌薬を使って膀胱炎を治療します。
とくに発熱・寒気、腰や背中・わき腹の痛み、吐き気、血尿がある場合はすみやかに受診してください。
症状がつらくなったときに病院が休みだったらどこを頼ればよいのか困ってしまいますよね。
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参考文献
[1]尿路感染症|市中感染症の診断と治療|日本内科学会雑誌112巻11号p2059-2060
[2]膀胱炎|母性健康管理に関する用語辞典|妊娠出産・母性健康管理サポート|厚生労働省
[3]ウワウルシ|薬用植物総合情報データベース|薬用植物資源研究センター
[4]排尿困難に対する漢方薬~牛車腎気丸を中心に~|第一薬科大学生薬学分野p36-37
[5]尿失禁・排尿障害|順天堂医学49巻4号p445-450
本記事に掲載されている情報は、一般的な医療知識の提供を目的としており、特定の医療行為を推奨するものではありません。
具体的な病状や治療法については、必ず医師などの専門家にご相談ください。