膀胱炎を一晩で治す方法は?注意すべき点やおすすめの市販薬について解説

公開日: 2025/03/05
「今夜だけでも膀胱炎のつらい症状を治したい」「明日の仕事に支障をだしたくない」と悩む人も多いのではないでしょうか。 仕事や予定があると早めに治したいものですが、膀胱炎は一晩で完全に治すのは難しいです。 しかし、膀胱炎の症状をできるだけ早く和らげる方法はあります。 市販薬の選び方や正しい使い方、日常生活で気をつけるポイントを知ることで、症状緩和や再発の予防につながります。 膀胱炎の症状にお悩みの方は、ぜひ参考にしてください。
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目次

膀胱炎とは?

膀胱炎は膀胱が炎症を起こす病気です。ほとんどは細菌感染によるもので、大腸菌と呼ばれる細菌が原因となることが多いです。トイレのあとの不適切な拭き方や不衛生な環境がリスクとなります。

とくに女性に多くみられる理由は、尿道が短く細菌が膀胱へ入りやすい構造だからです。[1][2]

また、膀胱炎は生活習慣や体調も関係しています。トイレを我慢すると膀胱のなかに細菌がとどまり増えやすくなります。

疲れやストレスなどによって免疫力が低下していると、細菌に感染しやすくなるのです。要因が重なると膀胱炎のリスクが高まるため、日頃から注意が必要です。

膀胱炎の初期症状として

  • 排尿時痛:尿をするときに痛みを感じる

  • 残尿感:排尿後も尿が残っているように感じる

  • 頻尿:排尿回数が増える

  • 尿混濁(にょうこんだく):尿の色が白くにごる

  • 尿意切迫感:急にトイレに行きたくなる

  • 下腹部の違和感

などがあげられます。

膀胱炎は早めに対処すれば症状が短期間でよくなる病気です。ただ、放置していると腎臓にまで細菌が広がり「腎盂腎炎(じんうじんえん)」と呼ばれる状態に進行するリスクがあります。

腎盂腎炎になると高い熱や、強い腰の痛みがあらわれるため、少しでも異変を感じたら早めに医療機関を受診しましょう。

膀胱炎を一晩で治す方法は?

残念ながら、膀胱炎を一晩で治す方法はありません。膀胱炎の原因のほとんどは細菌感染であり、細菌を排除するにはある程度の時間が必要です。

一般的な治療方法は医師から処方される抗菌剤の服用です。通常は数日から1週間程度の服用で症状が改善します。症状が軽度の場合でも、適切な治療と時間が必要です。

膀胱炎を早く治すポイントは?

膀胱炎は一晩で治せないものの、早く治すポイントがあります。

  • 水分を多めにとり、積極的にトイレへ行く

  • 睡眠をしっかりとって、免疫力を高める

  • 市販薬を活用して、悪化を防ぐ

  • 無理をせず医療機関を受診する

水分補給をしていなかったり睡眠時間がきちんと確保できずに免疫力が低下してしまったりすると膀胱炎になってしまう確率が高まります。

その際は市販薬を使用して症状を少しでも和らげ、悪化させないことが重要です。どうしても排尿時痛や残尿感が強く、血尿などが出てきてしまう場合には医療機関を受診しましょう。

夜間や忙しい日ですぐに受診できない場合も、不安を和らげられるはずです。

水分を多めにとり、積極的にトイレへ行く

膀胱内の細菌を排出するためには、水分をたくさん飲むことが大切です。1日あたり2リットル以上を目安に摂取するとよいでしょう。

水分摂取だけでなく、食事にも気をつけましょう。きゅうりやレタスなど利尿作用のある野菜も効果的です。また、緑茶には抗菌作用もあるため取り入れるとよいでしょう。

尿を溜めると細菌が増殖しやすくなるため、トイレに行きたくなったら我慢せず、積極的にトイレに行きましょう。とくに外出時でもトイレをためらわないことが大切です。

睡眠をしっかりとって、免疫力を高める

免疫力を高めるには十分な睡眠が不可欠です。体を十分に休めると、膀胱炎など感染症からの回復が早まります。

就寝前にはリラックスする時間を設け、質のよい睡眠を心がけましょう。

市販薬を使用して、悪化を防ぐ

膀胱炎の初期症状の場合、市販薬を使用して悪化を防ぐことも効果的です。市販薬を服用する際は用法用量を守りましょう。

たとえば、尿意を抑える効果が期待できる「フラボキサート塩酸塩」は頻尿や残尿感を和らげられます。排尿時痛を和らげるために「イブプロフェン」や「ロキソニン」などの鎮痛薬も選択肢の一つです。

妊娠中や授乳中の方は、一部の市販薬が胎児や赤ちゃんに影響を与える可能性があるため、事前に医師または薬剤師に確認が必要です。

持病がある方は服用を避けた方がよい薬もあるため、自己判断せず医師や薬剤師に相談しましょう。

市販薬は手軽に手に入れやすいですが、服用の組み合わせにも注意が必要です。ほかの薬を服用している場合、成分が重複すると副作用のリスクが高まる恐れがあります。

購入する際は、薬剤師に相談することが大切です。

4〜7日程度市販薬を使用しても症状が改善しない場合は医療機関を受診しましょう。

無理をせず、医療機関を受診する

排尿時の痛みが続いたり、頻尿や残尿感がよくならないまま長引く場合は無理をせず、医療機関を受診しましょう。

症状を放置すると腎盂腎炎に進行するリスクがあります。また、医療機関では抗菌剤の適切な処方が受けられるため、症状を早く治せるでしょう。

仕事や育児で忙しい方は、オンライン診療を利用するのもひとつの方法です。

膀胱炎におすすめの市販薬は?

膀胱炎の症状を和らげるために市販薬を活用することもひとつの方法です。

市販薬を選ぶ際は、「抗菌」「利尿」「鎮痛・抗炎症」の3つの作用があるかチェックしましょう。

  • 抗菌作用:腎仙散(じんせんさん)

  • 利尿作用:「クラシエ」漢方猪苓湯エキス錠

  • 鎮痛・抗炎症:五淋散(ごりんさん)・竜胆瀉肝湯(りゅうたんしゃかんとう)

市販薬はあくまで症状を和らげるためのものであり、膀胱炎を完治させる薬ではありません。

症状がひどい場合や何度も繰り返す場合は、市販薬だけに頼らず医療機関で適切な治療を受けることが大切です。

原因菌の増殖を抑える「抗菌作用」のある薬

市販薬のなかには、細菌の増殖を抑える成分が入っているものがあります。

とくに腎仙散(じんせんさん)は膀胱炎の再発防止にも役立つ市販薬として知られています。

  • 痛みや炎症を抑える: 膀胱内の炎症を軽減し、排尿時の不快感を緩和

  • 菌の繁殖を抑える: 配合成分であるウワウルシは、尿路消毒薬として古くから使用され、抗菌作用が高い

  • 菌の排出を促す: 尿の流れをスムーズにし、菌を体外に押し流します。

薬の形状

商品名

粉タイプ

腎仙散

錠剤タイプ

なし

ただし、市販薬では細菌の増殖を抑える程度の効果しか期待できません。細菌そのものを確実に減らすには、抗生剤などの処方薬が必要です。

症状がひどい場合や繰り返す場合は医療機関を受診しましょう。

原因菌を押し出す「利尿作用」のある薬

膀胱炎の原因菌をできるだけ早く体外に出すために、利尿作用のある薬を活用するのも有効です。

利尿作用のある薬を使うと、膀胱内に細菌がとどまる時間を短縮し、回復を助けます。

猪苓湯は、体内の余分な水分を尿として排出することで尿の量を増やす漢方薬です。排尿をスムーズにし、膀胱の不快感を和らげる生薬も含まれています。

利尿作用があるということは、水分が体の外に排出されやすい状態です。利尿作用のある薬を服用する際は、十分に水分を補給することも心がけましょう。

薬の形状

商品名

粉タイプ

  • ツムラ漢方猪苓湯エキス顆粒A

  • 三和生薬猪苓湯Aエキス細粒「分包」

錠剤タイプ

  • 「クラシエ」漢方猪苓湯エキス錠

  • 神農猪苓湯エキス錠

  • JPS猪苓湯エキス錠N

症状を和らげる「鎮痛作用」と「抗炎症作用」のある薬

膀胱炎になると、排尿時にツーンとした痛みを感じることがあります。痛みを和らげるために、鎮痛作用や炎症を抑える成分が入った市販薬もあります。

五淋散は膀胱の炎症をおさめ、痛みを改善する漢方薬です。竜胆瀉肝湯は熱を取り除く作用に優れており、炎症や痛みが強い場合に役立ちます。

漢方薬

薬の形状

商品名

五淋散

粉タイプ

マツウラの漢方薬五淋散料エキス細粒

錠剤タイプ

  • ボーコレン

  • 五淋散エキス錠N「コタロー」

カプセルタイプ

五淋散カプレット「コタロー」

竜胆瀉肝湯

粉タイプ

竜胆瀉肝湯三和生薬エキス細粒

錠剤タイプ

クラシエの漢方竜胆瀉肝湯エキス錠

市販薬を使う際の注意点は?

膀胱炎の症状を和らげるために市販薬は便利ですが、正しい知識をもって使用することが大切です。

自己判断で誤った使い方をすると、症状が長引いたり、再発しやすくなったりするため注意が必要です。

安全かつ効果的に市販薬を使うためのポイントを知っておきましょう。

症状が落ち着いても、2~3日は薬を飲み続ける

膀胱炎の症状が消えても、体内に細菌が残っている場合があります。すぐに服用をやめてしまうと、残った細菌が再び増殖し、再発する可能性があります。

膀胱炎の原因である細菌が完全に消えるまでは、膀胱炎は完治しません。

市販薬を使用する際は症状がなくなってからも2〜3日は服用を続け、しっかりと水分をとりましょう。

また、市販薬を服用している期間は症状をこまめにチェックして、必要に応じて医療機関を受診しましょう。

正しい用法用量で使用する

市販薬は決められた用法用量を守って服用することが重要です。誤った飲み方をすると、副作用が出る可能性があります。服用前に説明書をよく読みましょう。

とくに、次のような方は服用前に医師や薬剤師に相談することをおすすめします。

  • 基礎疾患(腎臓病・糖尿病・高血圧など)がある方

  • 妊娠中・授乳中の方:胎児や乳児への影響がある場合もある

  • ほかの薬を服用している方:飲み合わせによって効果が変わるリスク

安全に服用するためにも、パッケージや添付文書の注意事項をしっかり確認しましょう。

症状が改善しない場合は医療機関を受診する

軽い膀胱炎であれば、1週間程度で治ることが一般的です。ただし、なかなかよくならない場合は必ず医療機関を受診しましょう。

症状を放置すると、膀胱炎が悪化し膀胱や腎臓に悪影響を及ぼす恐れがあります。

【膀胱炎が悪化したときにあらわれる症状】[3]

  • 38℃以上の発熱

  • 血尿

  • 下腹部痛

  • 腰や背中が痛む

  • 悪寒

重症化すると入院が必要になるケースもあるため、早めに適切な治療を受けることが大切です。

膀胱炎で気をつけることは?

膀胱炎になった場合、生活習慣を見直し、症状を悪化させないように注意しましょう。

しないように気をつけるべきことと理由、対策をまとめました。[4][5]

しないよう気をつけること

理由

対策

トイレを我慢する

膀胱内の細菌が繁殖しやすくなる

こまめにトイレに行き、菌を外に出す

体を冷やす

血流が悪くなり、免疫力が低下する

  • 下腹部を温める

  • 冷たい飲み物を控える

カフェインやアルコールの摂取

膀胱を刺激し、痛みや頻尿を悪化させる

水やノンカフェインのお茶を飲む

ストレスをためる

免疫力が低下し、感染への抵抗力が弱くなる

十分な睡眠・リラックスする時間をつくる

長時間作業場所を離れることのできない作業

排尿回数が減り、細菌が膀胱にたまる

休憩をこまめにとり、水分補給する

抗生剤の服用を自己判断で中断する

細菌が排除されず、膀胱炎が再発・悪化するリスクがある

  • 用法用量を守って服用する

  • 医師の指示どおり服用する

膀胱炎は生活習慣の改善で予防・再発防止が可能です。普段から気をつけるポイントを意識してみましょう。

よくある質問

膀胱炎をできるだけ早く治したいと不安を感じる人もいるでしょう。

膀胱炎のよくある質問をまとめました。正しい知識を身につけ、安心して対処できるようにしましょう。

膀胱炎を最短で治すには?

膀胱炎を早く治すには、水分を多めにとり頻繁に排尿し、膀胱内の細菌を排出することが大切です。

市販薬で症状を和らげることはできますが、細菌を完全に除去するには抗生剤が必要です。早めに医療機関を受診しましょう。

膀胱炎はロキソニンで治る?

膀胱炎がロキソニンで治ることはありません。

ロキソニンは痛みや炎症を和らげる鎮痛剤ですが、細菌を殺す効果はありません。膀胱炎そのものの治療にはならないと知っておきましょう。

膀胱炎の症状のなかには排尿時の痛みや下腹部の痛みがあらわれるケースがあります。不快な症状を軽減するためにロキソニンを使用してもよいでしょう。

たとえば、夜間や週末ですぐに受診できない場合、一時的に使用するのはひとつの方法です。ただし、自己判断で長期間使うのは避け、早めに医療機関を受診しましょう。

膀胱炎は水を飲んで治る?

水を1日あたり1.5リットル以上飲むと、膀胱炎の回復を助ける効果が期待できます。[6]

水分をたくさん飲むことで排尿回数が増え、膀胱内の細菌を早く体外に排出できます。ただし、水を飲むだけで確実に治るわけではありません。症状が続く場合は医師の診察を受けましょう。

膀胱炎は温めると治る?

温めることで症状が和らぐことはありますが、膀胱炎そのものを治すことはできません。

下腹部を温めると血流がよくなり、痛みや違和感が軽減されることがあります。ただし、原因である細菌を除去する効果はないため、適切な治療を受けることが重要です。

まとめ

膀胱炎は一晩で完全に治すことはできません。

正しい対処をすれば症状を和らげ、早く回復できます。

【膀胱炎を早く治すためのポイント】

  • 水分をしっかりとり、こまめにトイレへ行く:細菌を体の外に排出し、悪化を防ぐ

  • しっかり睡眠をとり、免疫力を高める:体の回復力を上げ、早い改善を促す

  • 市販薬を活用し、症状を和らげる: 痛みや不快感を軽減し、翌日を少しでも楽に過ごす

  • 症状が続く場合や悪化した場合は医療機関を受診する: 1週間以上治らない、発熱や血尿がある場合は早めに受診

膀胱炎を放置すると、腎臓に細菌が広がり腎盂腎炎になるリスクもあります。膀胱炎は初期のうちに適切に対応することが大切です。

症状が長引く場合や悪化する場合は市販薬だけで対処せず、早めに医療機関を受診しましょう。

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参考文献

[1]千葉医師会|排尿時に違和感を感じたら「急性(単純性)膀胱炎」

[2]4. 尿路性器感染症 (Genitourinary tract infections)

[3] 急性腎盂腎炎

[4]間質性膀胱炎・膀胱痛症候群 診療ガイドライン

[5] 妊娠出産・母性健康管理サポート

[6]Effect of Increased Daily Water Intake in Premenopausal Women With Recurrent Urinary Tract Infections: A Randomized Clinical Trial - PubMed

本記事に掲載されている情報は、一般的な医療知識の提供を目的としており、特定の医療行為を推奨するものではありません。

具体的な病状や治療法については、必ず医師などの専門家にご相談ください。

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