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膀胱炎の原因は?
膀胱炎の原因は大きく分けて5種類です。
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生活習慣
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基礎疾患
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性交渉(性行為)
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ストレス・疲れ
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妊娠
細菌が膀胱に入り込んだり増殖したりして頻尿や排尿時の違和感などの症状があらわれます。
膀胱炎は症状が治っても根本的な原因が改善されなければ、繰り返し発症しやすい病気です。
そのため自分自身に膀胱炎の原因として当てはまる項目がないか確認し、改善につなげることが非常に重要です。
生活習慣
膀胱炎の原因となる生活習慣の例を紹介します。
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脂っこい食事や運動不足などで腸内環境が乱れやすい
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長時間同じナプキンを使用する
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排便後にトイレットペーパーで後ろから前へ拭く
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水分をあまりとらない
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おしっこを我慢する
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薄着や冷たいものの摂取が多く体を冷やしがち
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不規則な生活
これらの生活習慣があると、膀胱炎の原因となる細菌(病原性大腸菌など)が増殖したり膀胱へ入りこんだりするリスクが高まります。
日常で無意識にしている行動が膀胱炎につながる可能性もあるため、生活習慣を見直しましょう。
基礎疾患
尿路結石、前立腺肥大症、神経因性膀胱、尿路の腫瘍、糖尿病などの基礎疾患が膀胱炎の原因となることがあります。[1]
膀胱炎の原因となる基礎疾患 |
膀胱炎になる理由 |
尿路結石 |
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前立腺肥大症 |
尿道が圧迫されて尿が排出されづらくなり、膀胱内で細菌が増殖する |
神経因性膀胱:膀胱の収縮する力が弱ってしまい、膀胱に溜まった尿をうまく排出できない |
尿をためたり排出したりする信号を上手に伝えられず膀胱内に細菌が増殖しやすくなる |
尿路の腫瘍 |
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糖尿病 |
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基礎疾患が原因で起こる膀胱炎は何度も繰り返しやすいです。
膀胱炎の治療だけでなく基礎疾患の治療も同時並行でおこなうことが重要です。
性交渉(性行為)
性交渉により陰部に付着していた細菌が膀胱内に侵入すると膀胱炎の原因となります。
また行為中の摩擦により粘膜や尿道がダメージを受けると、傷ついた部分に細菌が繁殖しやすくなります。
ストレス・疲れ
ストレスや疲れの蓄積、睡眠不足などで免疫力が低下すると、膀胱内に侵入した細菌と戦えず膀胱炎になりやすくなります。
ストレスによって免疫力が下がるメカニズムは2つです。
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免疫反応を抑制するコルチゾールというホルモンが、長期間のストレスによって過剰に分泌され免疫力が低下する。
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ウイルスや細菌などの異物から体を守っているIgAという免疫物質の分泌量が、ストレスを受け続けることで低下し、風邪などの感染症にかかりやすくなる。
妊娠
妊娠中に膀胱炎にかかりやすい理由は2つです。
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大きくなった子宮によって、近くに存在する膀胱や尿の通り道が圧迫されて尿の排出が妨げられる
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妊娠中に分泌されるホルモン(プロゲステロン)が、尿の通り道の筋肉を緩め膀胱内に尿が残りやすくなる
膀胱炎が悪化すると、流産や早産を引き起こす可能性のある腎盂腎炎につながるケースもあり危険です。
排尿について普段と少し違うなと違和感を覚えた時点で、かかりつけの産婦人科を受診することをおすすめします。
膀胱炎は女性に多い
膀胱炎患者の約64.9%は女性であり、男性と比べて5~6倍程度多くなっています。[3][4]
女性が膀胱炎にかかりやすいのは、女性の身体構造と生活習慣によるものです。
女性は男性に比べて尿道の長さが5分の1程度と短く、尿道の入口が肛門や膣に近いという身体構造をしています。
そのため細菌が尿道から膀胱に侵入しやすくなっており、膀胱炎を引き起こしやすいです。
また女性特有のライフステージも膀胱炎にかかる可能性を高めます。女性が膀胱炎にかかりやすい年代のピークは2つです。
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20~30代の若い女性:生理や妊娠、性交渉などの性的活動が誘因
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閉経前の中高年:女性ホルモンのエストロゲン分泌量の低下による膣や膀胱粘膜の衰えが誘因
女性は一生のうちに複数回かかりやすくなるタイミングが訪れるため、普段から生活習慣を改善し予防していきましょう。
男性の膀胱炎の原因は?
男性の膀胱炎の原因は、前立腺がかかわることが多いです。
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前立腺に細菌が感染して、膀胱で増殖する。
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前立腺が肥大することで尿の通り道が圧迫されて膀胱内に尿がたまり、細菌が増殖する。
前立腺の細菌感染が原因で起こる膀胱炎は、完治するまで抗菌薬での治療をしっかりおこなうのが大切です。
抗菌薬で膀胱内にたまった尿中の細菌はすぐに排除されますが、前立腺の内部には十分に薬が届かないため前立腺での細菌感染はなかなか完治しません。
そのため数週間にわたって抗菌薬を投与する場合があります。
膀胱炎の症状が治まったからといって薬物療法の中止を早めてしまうと、前立腺の内部に残った細菌により膀胱炎を再発してしまいます。
医師の指示に従い、適切に薬を服用しましょう。
膀胱炎を繰り返すのはなぜ?
膀胱炎を繰り返すおもな原因は以下のとおりです。
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菌が侵入・増殖しやすい生活習慣がある
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膀胱炎を引き起こしやすい基礎疾患がある
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抗菌薬の効き目が悪い
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膣内に大腸菌が定着している[5]
膀胱炎を繰り返す人のなかには1年間に5~6回かかる人もいます。
普段からおしっこを我慢することが多い、あまり水分をとらないなど特定の生活習慣があると膀胱炎が再発しやすいです。
多くの場合生活習慣を改善することで再発を防げますが、生活習慣を見直しても膀胱炎を繰り返す場合は、尿路結石や糖尿病など原因となる疾患が隠れているかもしれません。
膀胱炎は基本的に抗菌薬の内服によって治療をおこないます。
しかし病原菌と相性が悪い場合や指示通りに服用できていない場合は、完治せず再発する可能性があります。
指示通りの服用を基本とし、適切に服用しているにもかかわらず膀胱炎を繰り返すようであれば、泌尿器科を受診しましょう。
また女性の場合、膣内にデーデルライン桿菌と呼ばれる乳酸菌が常在し、膣内を酸性に保ち雑菌の繁殖を防いでいます。
このデーデルライン桿菌がホルモンバランスの影響で減少すると、膀胱炎の原因となる大腸菌が腟内に定着し、膀胱炎が治りにくくなったり再発したりするといわれています。
デーデルライン桿菌が減少しないように日頃から以下のような習慣を身につけておくとよいでしょう。
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ヨーグルトや納豆など発酵食品の摂取
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海藻類や食物繊維を含む野菜の摂取
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玉ねぎやバナナなどオリゴ糖を含む食品の摂取
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十分な睡眠をとりストレスをためない
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規則正しい生活
膀胱炎の再発を防ぐ方法
膀胱炎の再発を防ぐためにすぐに実践できることがあります。具体的な方法を解説します。
膀胱炎の再発を防ぐ方法 |
具体的な方法 |
水分を十分にとる |
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こまめにトイレへ行く |
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体を冷やさない |
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ストレスや疲労をためない |
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デリケートゾーンを清潔に保つ |
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細菌が侵入・増殖しにくい環境をつくる、免疫力を高めるのが再発予防に効果的です。
一度に全てを見直すのは難しいため、改善できる項目からひとつずつ行動にうつしてみると良いでしょう。
膀胱炎は一晩で治せる?
膀胱炎を一晩で治す方法はありません。
基礎疾患がなく大腸菌などの細菌が膀胱内に侵入して起こる急性膀胱炎の場合は、抗菌薬や漢方薬を内服して治療します。
投与期間は症状の進行具合にもよりますが、3~5日程度でトイレの回数が減り、排尿するときの痛みなどの症状が改善されます。
早く症状を治すためには、セルフケアと医療機関の受診が効果的です。デリケートゾーンを清潔に保ち、水分をしっかりとりこまめに排尿しましょう。
そしてできるだけ早めに泌尿器科や内科を受診し適切な治療を受けましょう。
Q&A
膀胱炎について多くの方が感じる疑問に回答します。
膀胱炎は性行為でうつる?
膀胱炎が性行為で他人にうつることはありません。しかし、すでに膀胱炎にかかっている人は行為によって症状が悪化する可能性があります。
また膀胱炎で免疫力が落ちているときに性行為をおこなうと、尿道から侵入した細菌を排除する力がなく細菌が増殖しやすくなります。
膀胱炎にかかっているときは性行為を控えましょう。
膀胱炎中にやってはいけないことは?
膀胱炎を疑う症状があらわれている場合にしないほうがいいことは以下のとおりです。
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お腹を冷やす
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刺激物を食べる
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水分摂取を避ける
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トイレを我慢する
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ストレスをためる
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睡眠を十分にとらない
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デリケートゾーンを不潔にする
膀胱炎になると排尿時に違和感や痛みを感じるためトイレに行くのを避けたり、わざと水分摂取を減らそうと考える方もいるでしょう。
しかし膀胱炎を早く治すためには、排尿して細菌を洗い流し、体の抵抗力を高めることが重要です。
こまめに水分をとりつつ尿意を感じたらトイレに行き、十分な睡眠と規則正しい生活を心がけましょう。
膀胱炎はほっといても治る?
膀胱炎の症状が軽い場合は、十分な水分の補給とこまめな排尿、休息をとれば自然に治ることもあります。
しかし放置して症状が悪化する場合もあるため、注意深く症状を観察するのが大切です。
セルフケアをおこない様子をみていても、排尿時の痛みが悪化している場合やトイレ回数の増加が3日以上続いている場合は、医療機関を受診し医師に相談することをおすすめします。
まとめ:膀胱炎の原因を知り再発予防に繋げましょう
膀胱炎のおもな原因は5つです。
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生活習慣:トイレを我慢する、水分を摂らない、排便時後ろから前に拭くなど
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基礎疾患:尿路結石、糖尿病、前立腺肥大症など
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性交渉(性行為)
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ストレス・疲れ
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妊娠
とくに女性は身体構造や生理、妊娠などで男性の5~6倍程度膀胱炎にかかりやすく、よりいっそうの注意が必要です。
膀胱炎を予防するポイントは膀胱へ細菌を侵入させない・増殖する環境をつくらせないことです。
原因を正しく理解し、生活習慣などに心当たりがあればできることから見直しましょう。
また何度も膀胱炎を繰り返す場合は、病気などの思わぬ原因が隠れている場合もあるため、受診を検討してください。
症状がつらくなったときに病院が休みだったらどこを頼ればよいのか困ってしまいますよね。
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参考文献
[1]JAID/JSC 感染症治療ガイドライン 2015―尿路感染症・男性性器感染症―
本記事に掲載されている情報は、一般的な医療知識の提供を目的としており、特定の医療行為を推奨するものではありません。
具体的な病状や治療法については、必ず医師などの専門家にご相談ください。