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喘息の薬と治療方法について
喘息の薬は、大きく分けて2種類です。
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発作を予防する薬:気道の炎症を抑えたり気管支を広げたりして、発作を起こしにくくする薬
-
発作を止める薬:発作が起こったときに、すぐに効果を発揮して気管支を広げ、呼吸を楽にする薬
単に発作を止めるだけでなく、日々のQOL(Quality Of Life:生活の質)を向上させるために継続した発作の予防が重要です。2種類を併用しながら喘息の治療をおこないます。
治療方法は症状の重症度によってステップ1から4に分かれ、段階的に治療を進めていきます。
自分の症状に合った適切な治療薬の組み合わせが必要となるため、医療機関を受診し医師の指示通りに服用しましょう。
薬の役割
喘息に対する薬の役割は、発作の症状を抑えることをイメージしがちですが、日頃の生活に支障がないように予防する役割もあります。喘息の治療で一番重要なのは、症状が起きないように予防することです。
喘息の人は症状がないときも気道で炎症が起こっており、炎症のある気道は非常に敏感な状態となります。
気道に対して刺激が加わると気道平滑筋が反応して気管支が収縮しやすい状態になるうえに、痰などの分泌物が増えて気道が狭くなり発作が起きます。
喘息発作を引き起こすのはおもに以下のようなきっかけです。
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花粉、ほこり、ダニなどのアレルゲン
-
かぜや気管支炎などの感染症
-
たばこの煙や冷たい空気
-
運動
-
ストレス
発作を起こす原因は日常生活のどこにでも存在するため、なかなか避けることは難しいです。
そのため喘息発作が起こってから薬で症状を抑えるだけでなく、日頃から気道の炎症を防いだり気管支を広げたりする薬を服用し発作の頻度を下げることが大切です。
QOL(生活の質)を向上するためにも薬の適切な使用を心がけましょう。
治療のステップ
喘息治療は患者の症状の重さに合わせて以下の4ステップに分かれます。[1]
ステップ1は軽症、ステップ4に進むほど重症であり、それぞれの治療ステップによって使用する薬が異なることが特徴です。
基本的には発作を予防する薬として吸入ステロイド薬と重症度に合わせて追加の薬を併用し、発作を止める薬として吸入タイプの短時間作用型β2刺激薬を使用します。
治療ステップ1 |
治療ステップ2 |
治療ステップ3 |
治療ステップ4 | ||
発作を予防する薬 |
基本治療 |
吸入ステロイド薬 (低用量) |
吸入ステロイド薬 (低~中用量) |
吸入ステロイド薬 (中~高用量) |
吸入ステロイド薬 (高用量) |
上記が使用できない場合、以下のいずれかを用いる
(※症状が月に1回未満のような稀な場合であれば基本治療は必要なし) |
上記で不十分な場合に以下のいずれか1剤を併用
|
上記に下記のいずれかを1剤、あるいは複数を併用
|
上記に下記の複数を併用
上記のすべてでも管理不良の場合は下記のいずれかあるいは両方を追加
| ||
追加の治療 |
ロイコトリエン受容体拮抗薬以外の抗アレルギー薬 | ||||
発作を止める薬 |
吸入短時間作用型β2刺激薬(SABA) |
初めて喘息治療をおこなう場合は、症状の頻度や夜間に症状があるかどうか、日常生活に影響があるかどうかを総合的に判断し以下のように治療ステップを決定します。
-
治療ステップ1
-
喘息症状:週1回未満軽度で短い
-
夜間症状:月2回未満
-
日常生活の妨げ:なし
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治療ステップ2
-
喘息症状:週1回以上だが毎日ではない
-
夜間症状:月2回以上
-
日常生活の妨げ:月1回以上
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治療ステップ3
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喘息症状:毎日
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夜間症状:週1回以上
-
日常生活の妨げ:週1回以上
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治療ステップ4
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喘息症状:毎日
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夜間症状:しばしば
-
日常生活の妨げ:持続的
喘息の症状が週1回未満であれば治療ステップ1、週1回以上だが毎日ではない場合はステップ2、毎日症状があればステップ3、治療を始めても悪化している場合はステップ4です。
上記の治療ステップに沿って治療を開始すると、受診ごとに症状を適切にコントロールできているかのチェックをおこないます。
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日中および夜間の喘息症状
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発作治療薬の使用
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運動を含む活動制限
-
呼吸機能検査の結果
-
症状の悪化
上記の点を総合的に判断し「コントロール良好」「コントロール不十分」「コントロール不良」に分けます。
コントロールが不十分または不良の場合は治療の効果が出ていないため、治療方法の見直しが必要です。ステップを1段階引き上げて引き続き治療していきます。
治療は段階的に進めていく必要があるため、症状がないからといって自分の判断で勝手に薬を中断したり、症状が改善しない場合に自己判断で増量したりすることは危険です。
医師と相談しながら適切な治療をおこないましょう。
喘息の薬(長期管理薬)一覧
長期管理薬と呼ばれる喘息発作を予防する薬は、大きく分けて以下の2種類です。
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気管支の炎症を抑えるはたらきをもつ薬
-
気管支を広げるはたらきをもつ薬
薬剤にはどちらか片方の効果をもつ薬と両方の作用をもつ薬があり、長期間継続的に服用することで発作の頻度を下げ、喘息の改善へと導きます。[2]
薬のはたらき |
薬の種類 |
気管支の炎症を抑えるはたらきをもつ薬 |
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気管支を広げるはたらきをもつ薬 |
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気管支の炎症を抑えるはたらきと気管支を広げるはたらきをもつ薬 |
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ステロイド
ステロイド薬は炎症を抑える作用と体内での免疫反応を抑える作用があります。
投与方法が複数あり、薬を吸い込んで服用する吸入薬や内服薬、塗り薬、注射薬などさまざまです。喘息薬でおもに利用されるステロイド薬は吸入薬と内服薬です。
ステロイド薬の炎症を抑える作用は強い効果を示すため、長期間の使用や一度に大量の摂取は、副作用としてかぜなどの感染症にかかりやすくなる恐れがあり、慎重に使用する必要があります。
しかし喘息の治療で用いられる吸入薬は直接気道で作用するため、注射薬や内服薬に比べると使用量もわずかであることから長期間の使用も安心です。
ステロイド吸入薬の注意点は、吸入後のうがいが必須であることです。
吸入後に口の中に残った薬剤を洗い流さなければ、声が枯れる、口腔内に白いコケのようなものが出現する「口腔カンジダ症」などの副作用を引き起こす可能性があります。
「ガラガラ」うがいで喉の奥を水で洗い、「ブクブク」うがいで口の中をきちんとゆすいでください。
ステロイドの内服薬は治療ステップ4で、吸入ステロイド薬を最大限に使用してもコントロールできないような重症の場合に用います。
用法、用量を守らなければ副作用の恐れがあるため、医師の処方に従い飲みましょう。
薬の種類 |
成分名 |
商品名 |
服用方法 | |
ボンベを押すと霧状の薬剤が出てくるスプレータイプ(pMDI) |
粉末状の薬剤を自分で吸い上げるタイプ(DPI) | |||
吸入薬 |
モメタゾンフランカルボン酸エステル |
アズマネックス |
|
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シクレソニド |
オルベスコ | |||
ブデソニド |
パルミコート | |||
ベクロメタゾン |
キュバール | |||
フルチカゾンプロピオン酸エステル |
フルタイド | |||
内服薬 |
プレドニゾロン |
プレドニゾロン |
コップ1杯程度の水またはぬるま湯で服用する | |
メチルプレドニゾロン |
メドロール | |||
デキサメタゾン |
デカドロン | |||
ベタメタゾン |
リンデロン |
パルミコート吸入液とほかの吸入液が同時に処方されている場合は、医師の特別な指示がない限り配合せず個別に使用してください。
β2刺激
長時間作用性β2刺激薬(LABA)は交感神経を刺激して8~12時間程度の長時間、気管支を拡張させる作用があります。[3]
気管支平滑筋のβ受容体を刺激することで気管支を広げ喘息発作の予防に効果を発揮します。喘息のほかにもCOPD(慢性閉塞性肺疾患)などの呼吸器疾患の治療に用いられる薬剤です。
長時間作用性β2刺激薬(LABA)は吸入薬、貼り薬、内服薬の3種類があり、おもに使われるのは吸入薬です。
治療ステップ2~4の患者において長時間作用性β2刺激薬が用いられ、吸入ステロイド薬と併用して使用します。
長時間作用性β2刺激薬を単独で使用すると、かえって喘息発作の出現率が高まり悪化するケースも多くみられるため、自己判断せずに医師の処方に従って正しく服用しましょう。[4]
薬の種類 |
成分名 |
商品名 |
服用方法 |
吸入薬 |
サルメテロールキシナホ酸塩 |
セレベント |
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貼り薬 |
ツロブテロール |
ホクナリン |
|
副作用として動悸や手のふるえなどの症状があらわれる場合があります。副作用の症状があまりにも気になる場合や日常生活に支障が出る場合は、医療機関を受診し主治医に相談しましょう。
吸入ステロイド・β2刺激配合剤
吸入ステロイド薬の気道の炎症を抑える効果と、長時間作用性β2刺激薬の気管支を広げる効果が同時に得られる2種類が配合された薬です。
1回の吸入で2つの効果が得られるため服用のわずらわしさがなくなり、薬の服用忘れを防げることがメリットです。複数の薬剤を使用するよりも簡単で、継続して服用できるため治療効果も安定します。
患者の服用の手間が省けることで満足度の向上にもつながるでしょう。
薬の種類 |
成分名 |
商品名 |
服用方法 | |
ボンベを押すと霧状の薬剤が出てくるスプレータイプ(pMDI) |
粉末状の薬剤を自分で吸い上げるタイプ(DPI) | |||
吸入薬 |
サルメテロールキシナホ酸塩、フルチカゾンプロピオン酸エステル |
アドエア |
|
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ブデソニド、ホルモテロールフマル酸塩水和物 |
シムビコート | |||
フルチカゾンプロピオン酸エステル、ホルモテロールフマル酸塩水和物 |
フルティフォーム | |||
ビランテロールトリフェニル酢酸塩、フルチカゾンフランカルボン酸エステル |
レルベア |
副作用には吸入ステロイド薬と同様に声がかすれる「嗄声(させい)」や口腔内に白いコケのようなものが出現する「口腔カンジダ症」などが挙げられます。
吸入後には喉を水で洗う「ガラガラ」うがいと、口の中をゆすぐ「ブクブク」うがいをおこない、口の中に残った薬剤を洗い流しましょう。
ロイコトリエン
ロイコトリエン受容体拮抗薬はアレルギー反応を抑えて気道の炎症を抑え、気道を広げる効果があります。
ロイコトリエンとは気管支においてロイコトリエン受容体に作用し、気管支を収縮させ気道を狭くする化学伝達物質です。
このはたらきをブロックすることで喘息による咳や息苦しさが改善し、喘息発作を予防できます。喘息だけでなく、アレルギー性鼻炎の治療薬としても用いられています。
薬の種類 |
成分名 |
商品名 |
服用方法 |
内服薬 |
プランルカスト水和物 |
オノン |
コップ1杯程度の水またはぬるま湯で服用する |
モンテルカストナトリウム |
キプレス、シングレア、モンテルカスト |
テオフィリン
テオフィリン徐放製剤はゆっくり溶ける薬であるため、気管支を広げる効果が長く続くことが特徴です。1日に1~2回の服用で効果を維持できます。
ただし体内の薬の濃度が高すぎると、吐き気、動悸、頭痛、けいれんなどの副作用が起こりやすくなるため注意が必要です。
とくに発熱時には体内のテオフィリン濃度が上昇しやすくなります。
テオフィリンと同じく心臓の機能を刺激する作用をもつツロブテロールを併用する場合は、副作用が強く出てしまうため発熱時でのテオフィリンとツロブテロールの併用は避けましょう。
薬の量は年齢や体型、その他服用している薬によって異なります。定期的に医療機関を受診し、医師の指示通り決められた量を服用してください。
テオフィリンは、カフェインと似たような作用をもちます。コーヒーやチョコレート、紅茶、エナジードリンクなどカフェインが含まれた飲食物を多くとると、副作用があらわれやすくなります。
服用中はなるべく控えるようにしましょう。
テオフィリン徐放製剤は割ったり噛み砕いたりして服用すると効果が強く出てしまうため、必ずそのまま服用してください。
もし飲みにくい場合は、オブラートや服薬ゼリーに包むと少し飲みやすくなりますよ。
薬の種類 |
成分名 |
商品名 |
服用方法 |
内服薬 |
テオフィリン |
テオドール、テオロング、ユニコン、ユニフィル、 |
コップ1杯程度の水またはぬるま湯で服用する |
長時間作用性抗コリン薬
長時間作用性抗コリン薬は気管支を広げて呼吸を楽にする薬です。
気管支平滑筋のムスカリン受容体に作用し、気管支を収縮させる神経伝達物質であるアセチルコリンのはたらきをブロックすることで効果を発揮します。[5]
同じく気管支を広げる作用のあるβ2刺激薬と比較して効果が弱いため、あくまでβ2刺激薬の補助するための薬剤です。[6]
副作用として口のかわきや動悸、排尿しづらくなるなどの症状がみられます。吸入後にうがいが必須ではないですが、副作用の発生を少なくするためにもうがいするとよいでしょう。
薬の種類 |
成分名 |
商品名 |
服用方法 | |
薬剤カプセルを自分でセットするタイプ |
ボンベを押すと霧状の薬剤が出てくるスプレータイプ(pMDI) | |||
吸入薬 |
チオトロピウム臭化物水和物 |
スピリーバ |
|
|
グリコピロニウム臭化物 |
シーブリ |
ロイコトリエン受容体拮抗薬以外の抗アレルギー薬
抗アレルギー薬にはロイコトリエン受容体拮抗薬以外に以下の4種類があります。
-
化学伝達物質遊離抑制薬:肥満細胞からアレルギー反応の原因となるヒスタミンなどの化学伝達物質が放出されるのを抑える
-
Th2サイトカイン阻害薬:Th2細胞からアレルギー症状を引き起こす体内物質(サイトカイン)が出るのを抑える
-
ヒスタミンH1拮抗薬:アレルギー反応の原因となるヒスタミンの受容体(H1受容体)に結合することでアレルギー反応を抑える
-
ロトンボキサンA2合成阻害薬・受容体拮抗薬:気道の炎症を引き起こすトロンボキサンA2の合成を阻害したり、はたらきを抑える
これらの抗アレルギー薬は効果が出るまでに2~8週間の期間がかかるため、継続して服用を続けることが重要です。効果が出ないからといって自己判断で服用を中止しないようにしましょう。
薬の役割 |
薬の種類 |
成分名 |
商品名 |
服用方法 |
化学伝達物質遊離抑制薬 |
吸入薬 |
クロモグリク酸ナトリウム |
インタール |
1日3~4アンプル電動式ネブライザーを用いて吸入する |
内服薬 |
トラニラスト |
リザベン |
コップ1杯程度の水またはぬるま湯で服用する | |
イブジラスト |
ケタス | |||
ペミロラストカリウム |
アレギサール、ペミラストン | |||
Th2サイトカイン阻害薬 |
内服薬 |
スプラタストトシル酸塩 |
アイピーディー |
コップ1杯程度の水またはぬるま湯で服用する |
ヒスタミンH1拮抗薬 |
内服薬 |
ケトチフェンフマル酸塩 |
ザジテン |
コップ1杯程度の水またはぬるま湯で服用する |
アゼラスチン塩酸塩 |
アゼプチン | |||
メキタジン |
ゼスラン | |||
エピナスチン塩酸塩 |
アレジオン | |||
ロトンボキサンA2合成阻害薬・受容体拮抗薬 |
内服薬 |
オザグレル塩酸塩水和物 |
ドメナン |
コップ1杯程度の水またはぬるま湯で服用する |
セラトロダスト |
ブロニカ |
喘息の薬(発作治療薬)一覧
喘息の発作が起きたときに、素早く症状を改善し呼吸を楽にするために使用される薬を発作治療薬といいます。発作治療薬は大きく分けて以下の2種類です。
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短時間作用性β2刺激薬
-
テオフィリン薬
これらの薬剤は、気道を素早く広げ、呼吸困難や息切れなどの症状を緩和するはたらきがあります。ただし炎症を抑えるはたらきはなく、効果も一時的であるため喘息の根本的な治療にはなりません。
発作治療薬だけに頼っていると、気道の炎症をとれず喘息は悪化してしまいます。長期管理薬を軸に発作の予防をしながら治療することが非常に重要です。
短時間作用性β2刺激薬
短時間作用性β2刺激薬は気管支の交感神経β2受容体を刺激し、素早く気管支を広げることで発作を止める効果があります。服用後すぐに効果があらわれて持続時間は20~30分程度です。
過剰に使用すると心拍数の上昇、震えなどの副作用があらわれることがあります。医師の指示に従い適切に服用しましょう。
効果が不十分な場合は20分おきに1時間まで服用します。1時間が経っても症状が治まらない場合は1時間に1回ごとに薬を服用します。
短時間作用性β2刺激薬を服用してもなかなか症状が改善しない場合は、かかりつけの医療機関に電話相談してみましょう。どのような対応をしたらよいのか指示がもらえます。
ただし横になれないくらい息が苦しく、20分おきで3回服用しても症状が改善しない場合や、苦しくて話もできないような場合にはただちに医療機関を受診しましょう。
薬の種類 |
成分名 |
商品名 |
服用方法 | |
ボンベを押すと霧状の薬剤が出てくるスプレータイプ(pMDI) |
粉末状の薬剤を自分で吸い上げるタイプ(DPI) | |||
吸入薬 |
プロカテロール塩酸塩水和物 |
メプチン |
|
|
サルブタモール硫酸塩 |
サルタノール、ベネトリン | |||
内服薬 |
サルブタモール硫酸塩 |
ベネトリン |
コップ1杯程度の水またはぬるま湯で服用する | |
テルブタリン硫酸塩 |
ブリカニール | |||
ツロブテロール |
ホクナリン | |||
プロカテロール塩酸塩水和物 |
メプチン | |||
フェノテロール臭化水素酸塩 |
ベロテック | |||
クレンブテロール塩酸塩 |
スピロペント |
テオフィリン薬
テオフィリン薬は気管支拡張作用があり発作を止める効果があります。テオフィリンは長期管理薬としても用いられますが、発作時に使用するテオフィリン薬の特徴はすぐに効果があらわれることです。
効果的な治療のために、血液中の薬の濃度を適切に保つ必要があります。濃度が低すぎると効果が得られず、高すぎると副作用が出やすくなるため注意が必要です。
テオフィリン薬は気持ち悪さ、不整脈などの副作用を引き起こします。必ず医師の指示に従い服用するようにしましょう。
ほかの薬剤との飲み合わせが悪いことも注意点です。服用中にもし他の病気にかかった場合には、テオフィリン薬を服用していると医師または薬剤師に伝えましょう。
薬の種類 |
成分名 |
商品名 |
服用方法 |
内服薬 |
アミノフィリン水和物 |
ネオフィリン |
コップ1杯程度の水またはぬるま湯で服用する |
喘息の薬(漢方)一覧
漢方薬は一つの薬に複数の成分が含まれており、体全体におけるさまざまな症状に対して効果が期待できます。
ステロイド薬などの西洋薬と漢方薬との違いは体へのアプローチの仕方です。西洋薬は病気に対してピンポイントに効き、即効性と一つの症状に強い効き目があります。
一方で漢方薬は体の自然治癒力を高め、継続的に服用することで個人の体質や症状を改善します。
喘息の治療で利用される漢方薬は主に以下の薬です。
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小青竜湯(しょうせいりゅうとう)
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麦門冬湯(ばくもんどうとう)
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柴朴湯(さいぼくとう)
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麻杏甘石湯(まきょうかんせきとう)
漢方は一般的にステロイド薬などの西洋薬に比べて効果や副作用が少ないとされている治療法です。副作用の軽減により患者の負担が軽くなり、QOL(生活の質)の向上を目指せます。
体質によって効く漢方薬が異なるため、個人の症状や体質に合わせた処方が必要です。漢方薬を選ぶ際には必ず漢方医や医師に相談しましょう。
漢方薬は含まれている成分の種類によっては特有の苦みがある薬です。少量の水やぬるま湯を口に含んでおき、水の上に漢方薬を落として一緒に飲み込むと飲みやすくなります。
それでも飲みにくい場合や子どもが服用する場合は以下の方法を試してみてください。
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服薬ゼリーに漢方を包んで服用する
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ココアや抹茶、コーヒーなど少し苦みがあるものと混ぜ、漢方の苦みを抑えて服用する
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冷たい飲食物(アイスクリームなど)に混ぜて味覚を鈍化させ服用する
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漢方薬を適量のお湯で溶かし、砂糖やココア、麦芽飲料、ハチミツ、アイスクリーム、ヨーグルトなどに混ぜて服用する
小青竜湯
くしゃみ・鼻水・咳症状などに対する効果があり、花粉症などのアレルギー性鼻炎や鼻かぜ、喘息などに幅広く用いられます。
少し酸っぱさがあり、後味はやや苦みを感じる薬です。苦みをなくすために砂糖入りのココアやバニラアイス、または酸味を隠すためにオレンジジュースと一緒に飲むと比較的飲みやすくなります。
商品名 |
小青竜湯 |
成分名 |
マオウ、シャクヤク、カンキョウ、カンゾウ、ケイヒ、サイシン、ゴミシ、ハンゲ |
服用方法 |
コップ1杯程度の水またはぬるま湯で食前または食間に服用する |
服用を避けたほうがよい人 |
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併用薬で注意すべきもの |
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服用後に皮膚の発疹やかゆみ、吐き気、食欲の低下、胃の不快感があらわれた場合は副作用が考えられます。医療機関を受診し医師または薬剤師に相談しましょう。
麦門冬湯
痰をあまり伴わないコンコンと乾いた咳が続くときやかぜの後に咳だけが残るようなときに用いられます。咳や痰の症状をやわらげる効果があります。
苦みは少なく、甘みがあり比較的飲みやすい味です。
商品名 |
麦門冬湯 |
成分名 |
バクモンドウ、ハンゲ、コウベイ、タイソウ、ニンジン、カンゾウ |
服用方法 |
コップ1杯程度の水またはぬるま湯で食前または食間に服用する |
服用を避けたほうがよい人 |
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併用薬で注意すべきもの |
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服用後に食欲の低下、胃の不快感、手足のだるさ・しびれ、呼吸困難、発熱などがあらわれた場合は副作用が考えられます。医療機関を受診するようにしましょう。
柴朴湯
柴朴湯は「小柴胡湯(しょうさいことう)」と「半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)」を合わせたもので両方の漢方薬の効果をもちます。
小柴胡湯はかぜや胃腸の不調、体のだるさなどに効果がある漢方薬です。半夏厚朴湯は、自律神経の乱れによる不安感や喉のつかえ感、咳、しわがれ声などの症状を改善する漢方薬です。
そのため両者が合わさった柴朴湯はストレスによって、不安感や気分の落ち込みがあり症状を悪化させるタイプの人におすすめで咳、喘息、気管支炎などの治療に用いられます。
柴朴湯の味はわずかに甘く、苦みやしぶみも感じます。苦さが気になる場合は服薬ゼリーやココアやアイスクリームに混ぜると少し飲みやすくなります。
商品名 |
柴朴湯 |
成分名 |
サイコ、ニンジン、ハンゲ、カンゾウ、ショウキョウ、コウボク、オウゴン、ソヨウ、タイソウ、ブクリョウ |
服用方法 |
コップ1杯程度の水またはぬるま湯で食前または食間に服用する |
服用を避けたほうがよい人 |
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併用薬で注意すべきもの |
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麻杏甘石湯
麻杏甘石湯は、咳を鎮める強い作用をもつため、痰がからんでゼーゼーとしたひどい咳が出る場合に効果的です。
子どもの喘息にも用いられやすい漢方薬で、発作が急に重くなったときに飲むと症状が改善されます。
麻杏甘石湯はわずかに甘い味です。苦さがあまりないため比較的飲みやすい漢方薬です。
商品名 |
麻杏甘石湯 |
成分名 |
カンゾウ、キョウニン、マオウ各、セッコウ |
服用方法 |
コップ1杯程度の水またはぬるま湯で食前または食間に服用する |
服用を避けたほうがよい人 |
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併用薬で注意すべきもの |
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喘息の薬(その他)一覧
喘息の治療で用いられる薬は、長期管理薬、発作治療薬、漢方薬だけではありません。痰症状を軽減するための去痰薬は、喉にからんだ痰を出しやすくしQOL(生活の質)の向上につながります。
喘息による呼吸困難は気管支が狭くなることだけでなく、重症化すると気道にからんだ痰により物理的に空気のとおりが妨げられることもあります。
痰を出しやすくし、少しでも空気の通り道を確保することが大切です。
去痰薬
去痰薬は、気道にたまった痰を出しやすくする薬です。痰は気管支や肺が炎症を起こした際に、体を守るために分泌されます。
しかし喘息で気道が炎症することで、体外へ排出しづらい粘り気のある痰が多く分泌されやすくなります。痰は咳や呼吸困難などの症状を悪化させるため早期に去痰薬によって排出するようにしましょう。
成分名 |
商品名 |
服用方法 |
アンブロキソール塩酸塩 |
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コップ1杯程度の水またはぬるま湯で食前または食間に服用する |
L-カルボシステイン |
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フドステイン |
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喘息は薬を飲まず放置していても治るのか
喘息は薬を飲まずに放置しておくと、症状が悪化し日常生活に大きな支障をきたす可能性のある病気です。
喘息は気道の慢性的な炎症が原因で起こります。気道が炎症しているところにホコリなどの刺激物が作用すると発作があらわれます。
発作は軽度であれば一時的に症状が治まりますが、根本的な原因である気道の炎症は治っていません。治療をしなければ次第に気道の炎症が進み、少しの刺激でも発作が起きやすい状態となります。
喘息は早めに薬での治療を開始し、気道の炎症を抑え悪化させないことが非常に大切です。
とくに季節の変わり目などは悪化する可能性が否定できないため、少しでも症状に変化があれば医療機関を受診するようにしてください。
喘息の薬を市販薬で対応することは可能?
喘息の治療を市販薬のみで対応することは一般的には推奨されていません。
市販薬で対応できないわけではありませんが、喘息の根本的な原因である炎症を抑えるためのものではなく、一時的な対症療法としての使用になります。
喘息の発作時に使用する吸入薬や炎症を抑えるステロイドは市販薬では販売されていません。そのため市販薬のみで喘息の治療をおこなうことは難しいです。
漢方薬や去痰薬はドラッグストアでも手軽に購入でき、一時的に症状をやわらげたり日頃の体調管理をサポートしたりする効果があります。
喘息の診断を受けていて一時的に薬が切れてしまったときなどに使用するとよいでしょう。市販薬は長期的に利用せずに、医療機関を受診する前の補助的な役割として服用することが望ましいです。
よくある質問
喘息の薬について以下のよくある質問に回答します。
-
気管支を広げる効果のある飲み物はありますか?
-
ステロイドの吸入後はうがいではなく水を飲むだけでもいいのですか?
-
夜1回の薬を朝に飲んだらダメですか?
-
声枯れがひどいのですがステロイドを続けていても大丈夫ですか?
薬の服用方法など気になることがある場合は参考にしてくださいね。
気管支を広げる効果のある飲み物はありますか?
カフェインが含まれるコーヒーやココア、紅茶、緑茶は気管支を広げる効果が高いとされています。
ただしカフェインの過剰摂取は、めまい、心拍数の増加、不眠、下痢、吐き気などを引き起こす可能性があります。[7]健常な大人であれば、コーヒーは1日に2~3杯程度にとどめておきましょう。
悪影響のない1日の最大カフェイン摂取量は年齢や妊娠しているかどうかによっても異なります。過剰な摂取をしないように心がけてください。
ステロイドの吸入後はうがいではなく水を飲むだけでもいいのですか?
ステロイドの吸入後に水を飲むだけでも効果的です。ただし口の中に残ったステロイドを流すように口の中全体に水がいきわたるようにおこないましょう。
外出先の場合は必ずしもうがいができる場所があるとは限りません。
そういった場合は水を飲むだけでも口の中に残った薬剤が洗い流されて喉の違和感や声がれ、口の中にカビが生えるなどの副作用を防げます。
水を飲む以外にも以下のような方法もあるため参考にしてください。
-
吸入前に飲み物などで口の中を湿らせて口の中に薬剤が付着しにくくする
-
食べ物を食べて流し込む
-
つばを吐き出す
夜1回の薬を朝に飲んだらダメですか?
基本的に服用時間を医師の指示なく変更してはいけません。
喘息の症状は夜間に悪化しやすい傾向があり、夜に薬を飲むことで夜間の症状の悪化を予防し、睡眠の質を向上させる効果が期待できます。
また医師が患者の状態をみながら服用量や時間帯を調整しているため、用法はしっかり守るようにしてください。
声枯れがひどいのですがステロイドを続けていても大丈夫ですか?
声枯れは吸入タイプのステロイド薬で一番多くみられる副作用のため、わずかな症状であれば大丈夫です。ただしあまりにひどいようであれば医療機関を受診しましょう。
声枯れはステロイド薬が喉頭(こうとう)筋へ付着することで筋力の低下が起こったり、声帯にカンジダというカビが生えてしまったりすることが原因で起こります。
予防、悪化を防ぐために以下の方法が効果的です。
-
吸入後に喉の奥まで水が届くように「ガラガラ」うがいを5秒と、口の中をゆすぐ「ブクブク」うがいを5秒の最低10秒間うがいをする
-
吸入前後で口全体に水分がいきわたるように含んでから飲む
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医師の特別な指示がなければ食前に吸入する
吸入前に水分をとることで、喉が湿り口の中に薬剤が付着しにくくなります。
まとめ|発作を起こさないためにも医師の指示通りに服用を
喘息の薬はさまざまな種類があり、それぞれが異なる役割を示します。大きく分けて以下の4種類です。
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長期管理薬:気道の炎症を抑えたり気管支を広げたりするはたらきで喘息発作を予防する
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発作治療薬:喘息発作をすぐに止める
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漢方薬:体の自然治癒力を高め、継続的な服用で個人の体質を改善する
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その他の症状を緩和させる薬:患者の生活の質を向上させる
喘息は、気道の慢性的な炎症が原因で起こります。炎症を放置すると、症状が悪化し日常生活に支障をきたす可能性があります。
発作時に薬を服用して症状を止めるだけでなく、継続的に長期管理薬を使い気道の炎症を抑えたり、気管支を広げたりし、症状をコントロールすることが喘息の治療において非常に重要です。
喘息の治療は発作の頻度や症状によってステップが4段階に分かれています。それぞれのステップによって治療薬が異なるため、適切な診察と治療によって症状を抑えQOL(生活の質)の改善につながります。
発作を起こさないために薬を継続的に医師の処方通りに服用しましょう。
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参考文献
本記事に掲載されている情報は、一般的な医療知識の提供を目的としており、特定の医療行為を推奨するものではありません。
具体的な病状や治療法については、必ず医師などの専門家にご相談ください。