急性出血性結膜炎の症状と感染経路を知って予防しよう

公開日: 2024/01/13 更新日: 2024/06/24
「急性出血性結膜炎(きゅうせいしゅっけつせいけつまくえん)と診断されたけどこれからどうなるの?」 「眼が真っ赤だけど大丈夫?人にはうつるのかな?」 急性出血性結膜炎という病名を診断されて初めて耳にした方は、ほとんどの方がこうした疑問を抱えるのではないでしょうか。 急性出血性結膜炎は、発症したら人との接触を避ける必要があるほど感染力の強い感染症です。 では急性出血性結膜炎はどのように感染するのでしょうか。 この記事では急性出血性結膜炎とはどんな病気なのか、人にうつさないためにはどうしたら良いか、学校や仕事はどうするべきかを解説しています。 感染経路をしっかり把握して、「自分にうつらない」「人にうつさない」ように予防しましょう。
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急性出血性結膜炎とは?

急性出血性結膜炎は、眼の結膜(けつまく)に強い炎症が「急に」起こる、ウイルス性の結膜炎です。

アポロが月面着陸した1969年ごろに世界的大流行におちいったことから、「アポロ病」ともよばれます。

「結膜」とは白目の部分とまぶたの裏の赤い部分をおおう薄い粘膜のことです。

細菌やウイルスから眼を守るために粘液(ねんえき)とよばれるねばりけのある液体を分泌しています。

また、眼球を動かしやすくするために結膜が眼球との間にすきまを作ってくれています。

そのすきまは「水分・温度・栄養」と、ウイルスが好む環境がそろっているため炎症が起きやすくなっているのです。[1]

結膜炎は炎症を引き起こす原因によっていくつかに分類されます。

急性出血性結膜炎は「特定のウイルス」が入り込むことで症状を引き起こすウイルス性結膜炎にあてはまります。

1〜4歳に特に多く発症しますが、大人でも感染しないというわけではありませんので、感染対策を怠らないようにしましょう。[2]

急性出血性結膜炎の主な症状

急性出血性結膜炎はさまざまな眼の症状が起こります。

主な症状は以下の通りです。[2]

  • 結膜下出血(けつまくかしゅっけつ)

  • 「急な」強い眼の痛み

  • 眼の異物感

  • 結膜濾胞(けつまくろほう)

  • 結膜の充血

  • まぶたの腫れ(眼瞼浮腫:がんけんふしゅ)

  • 目やに(眼脂:がんし)

  • 眼のむくみ

  • 光が異常にまぶしい

  • 眼の表面の濁(にご)り

急性出血性結膜炎のもっとも特徴的な症状は結膜の出血で、結膜下出血(けつまくかしゅっけつ)とよばれます。

ほとんどの患者さんで見られる症状なのにもかかわらず、なぜ出血が引き起こされるのかはあきらかになっていません。[2]

白目が真っ赤になるので驚かれるかもしれませんが、おおよそ1週間で治癒しますので心配は無用です。

また、「結膜濾胞(けつまくろほう)」という小さな袋がプツプツとまぶたの裏にできることがあります。

結膜にあるリンパ組織が腫れて発生するもので、ウイルス性の結膜炎で多くみられる症状です。[3]

急性出血性結膜炎は眼の症状以外に全身症状として以下が現れることがあります。[2]

  • 頭痛

  • 発熱

  • 呼吸器症状

急性出血性結膜炎にかかった6〜12か月後に手足の麻痺(まひ)が出現することがあると報告されています。[2]

発生は非常にまれではありますが、治癒後も数か月は様子を見た方が良いでしょう。

片目だけ発症することはあるの?

片目だけで済むということはほとんどありません。

急性出血性結膜炎を含むウイルス性結膜炎は感染力が非常に強いため、最初に片目だけ発症したとしても、1〜2日後にはもう片方にもうつります。[4]

急性出血性結膜炎の原因

急性出血性結膜炎の原因は、エンテロウイルス70型とコクサッキーウイルスA24変異型の2種類のウイルスです。[5]

ともにエンテロウイルスの仲間で、どちらにかかっても症状はほとんど変わりありません。

そのため、見た目だけではどちらのウイルスに感染したか特定することは不可能です。

どちらのウイルスに感染した場合でも治療法に変わりはないため、原因ウイルスがわからなくても心配はいりません。

感染経路と潜伏期間

感染のもととなるのは、感染者の目やにや涙などの眼分泌物です。

ウイルスが含まれた目やになどにふれた手で眼をさわったり、ウイルスがついたタオルや洗面器などを使うことで簡単に感染します。[4]

つまり、急性出血性結膜炎の感染経路は「接触感染」です。

また、潜伏期間が24時間と短いことも特徴で、感染してから症状が出始めるまでにそう時間はかかりません。

急性出血性結膜炎の治療方法

急性出血性結膜炎を引き起こす原因ウイルスに対しての治療薬はありません。

ほとんどの場合が、起きている症状に対する「対症療法」となります。

急性出血性結膜炎の治療に使用されるのは点眼薬です。

目の炎症をおさえるための「抗炎症薬(こうえんしょうやく)」と、細菌の二次感染を防ぐための「抗生物質」を中心に処方されます。[6]

二次感染とは、すでに何かしらの感染症にかかっている患者さんが別の感染症にかかることです。

感染症にかかると誰しも免疫力が下がるため、別の感染症にかかりやすく、急性出血性結膜炎の場合も例外ではありません。

そのため、あらゆる細菌に対応可能な抗生物質が含まれる点眼薬を使用することが多いです。[2]

急性出血性結膜炎の予防方法

急性出血性結膜炎の感染を防ぐポイントは、いかに感染者の目やにや涙に触れないようにするかです。

主な予防方法に以下があります。[7]

  • 石けんを使用した手洗いを徹底する

  • タオルや枕など、目やにや涙がつきやすいものを一緒に使わない

  • できる限り人との接触をさける

  • 入浴は最後、もしくはシャワーのみにする

  • ウイルスがついたと思われる物の消毒には、煮沸と塩素剤を使用する

接触感染を防ぐためには石けんを使用した手洗いが基本です。

流水のみでは効果が薄れるので注意が必要です。

急性出血性結膜炎は感染力が非常に強いため、目やにや涙などの眼分泌物がつきやすいものを共用するのはやめましょう。

入浴したお湯でも感染することがあります。

入浴の順番を最後にするか、シャワーで済ませるようにしてください。

また、感染者は使い捨てのティッシュを使用して眼をぬぐうようにすると感染リスクを下げることができます。

急性出血性結膜炎を引き起こすウイルスは39℃以上でまったく増えることができません。[2]

そのため、ウイルスがついている可能性のあるものの消毒は煮沸消毒が有効です。

また、家庭用塩素系漂白剤で作った消毒液もしくは塩素系消毒剤で消毒する方法もあります。

これらは金属類や手の消毒には使用できないため注意しましょう。

保育園や学校、仕事には行っていいの?

重ねてお伝えしますが、急性出血性結膜炎は非常に感染力が強い感染症です。

症状がある間は学校や園、仕事を休むことが原則です。

急性出血性結膜炎は、感染症法で5類感染症、学校安全保健法では第三種にそれぞれ分類されます。

学校医またはそのほかの医師が感染の恐れがないと認めるまで学校や幼稚園、保育園は出席停止となります。[8]

症状が早く治まったとしても、登校・登園には医師の許可が必要です。

治ったからと自己判断をせず、医師の診察を受けることが感染拡大を防ぐために重要です。

社会人の場合、症状が出ているうちは感染力も強いため、原則出勤停止とされています。

その期間は事業所によって対応が異なりますので勤務先に相談しましょう。[9]

まとめ:感染力が強いので十分に注意を

急性出血性結膜炎は結膜の出血を主な症状とし、さまざまな眼の症状があらわれます。

それに加え全身症状がみられることもあり、強い炎症が起こることが特徴です。

急性出血性結膜炎は感染力がとても強い感染症です。

症状が出ている間は医師の許可がでるまで学校や幼稚園、保育園は出席停止となり、仕事も休むべきとされています。

「症状が治まったから大丈夫だろう」と軽く見ると簡単に感染は拡大します。

「自分がうつらない」「人にうつさない」ために感染対策を徹底しましょう。

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参考文献

[1]17.結膜炎|株式会社三和化学研究所

[2]急性出血性結膜炎とは|NIID国立感染症研究所

[3]濾胞性結膜炎|病名検索ホスピタ

[4]急性出血性結膜炎 |一般社団法人 福井県医師会

[5]急性出血性結膜炎|厚生労働省

[6]急性出血性結膜炎|奈良県公式ホームページ

[7]急性出血性結膜炎|東京都感染症情報センター

[8]②-6学校保健法施行規則の一部を改正する省令の施行について(通知)参考資料|文部科学省

[9]はやり目について|青葉台 スマイル眼科クリニック(横浜市青葉区)

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