疥癬(ヒゼンダニ症)の特徴・症状と治療法について【医師監修】

公開日: 2024/02/05 更新日: 2024/02/05
このページでは、疥癬の症状や治療法、今すぐ医師に相談したい場合の方法についてお伝えしています。

疥癬について

疥癬の特徴・症状

疥癬の特徴

疥癬というのは、小型のダニであるヒゼンダニが引き起こすもので、世界中で感染は見られます。

雌のヒゼンダニは、トンネルのような横穴を人の皮膚の最も表層に開けて、卵をこの巣穴に産みます。

ヒゼンダニは、卵から数日で幼虫になります。

寄生することによってかゆみが非常に強くなりますが、このかゆみはアレルギー反応がヒゼンダニに対して生じたと考えられています。

疥癬は容易に身体的な接触によって感染し、家族の全員が感染する場合もよくあります。

寝具類、タオル、衣類などに人に寄生するヒゼンダニは潜んでおり、人にここから感染します。

しかし、ヒゼンダニは人の体から離れると、長く生きることはあまりできません。

一般的に、疥癬の要因になるヒゼンダニは、洗濯機でお湯を使用して洗った後にアイロンをかけたり、高温で乾燥したりする普通の洗濯、あるいはドライクリーニングによって死にます。

疥癬の症状

疥癬の症状は、かゆみが非常に強く、夜間にほとんどの場合は悪くなることが特徴です。

ヒゼンダニが人の皮膚の最も表層に開けたトンネルのようなものは、非常に細く、最長で約1cmという目に見えるくらい長い線としてしばしば現れ、ダニの虫体の小さい隆起がこの一端に現れることもあります。

かゆみがあるトンネルのようなものを掻くと、皮膚の二次感染が起きる場合もよくあります。

小さい隆起のみが現れる場合もありますが、強いかゆみがあるのでこの隆起はほとんど掻いて壊れます。

この隆起は、体の全ての箇所に現れますが、成人の顔には現れません。

この隆起は、手首、手指の間、脇の下、肘の内側、殿部などに現れます。

ヒゼンダニが寄生した箇所は掻くのでよく炎症が起き、トンネルのようなものは時間が経つにつれて見えにくくなります。

患者が気候の温暖な地域に住んでいる場合は、赤い小さな隆起が現れ、ほとんどトンネルのようなものは現れません。

乳児の場合は、足の裏、手のひら、頭皮、顔面に現れる場合がありますが、耳の後ろに特に多く現れます。

高齢者の場合は、強いかゆみが現れる場合がありますが、非常に皮膚の症状は軽いので診断が困難になります。 

なお、次のような人の場合は、疥癬が重くなる場合があります。

  • 免疫機能が下がっているエイズ感染や血液がんの人
  • 重度の知的障害あるいは身体障害がある人

重度の症状の場合は、皮膚が広範囲に厚くなってかさぶたができますが、かゆみは現れません。

疥癬の診断と検査

疥癬は、一般的に、隆起やトンネルのようなもの、かゆみのみで診断ができます。

場合によっては、拡大鏡でトンネルのようなものを見る場合もあります。

しかし、少量の皮膚を隆起やトンネルのような箇所から採って顕微鏡で見て、ダニや卵、糞があるかどうかを調査して診断を確定する場合もよくあります。 

疥癬の治療法

成人や年長の小児の場合は、疥癬を治療する際に、首から下の全身にリンデンが含まれているローション剤、あるいはペルメトリンが含まれているクリーム剤を塗って、8時間~14時間後に洗い流します。

1週間後に、このような治療を繰り返します。

乳幼児の場合は、口と眼の周りの皮膚を除いた全身にペルメトリンを塗ります。

足と手の指の爪、皮膚のひだ、へその治療を、徹底して行う必要があります。

ミトンを着けることによって、乳幼児の場合は口にペルメトリンが入らなくなります。

リンデンは、副作用が現れることがあるので、小児の2歳未満、授乳中、妊婦、けいれん性疾患患者の場合はおすすめではありません。

直接皮膚に塗る薬剤が使えなかったり、効果がなかったりする場合は、イベルメクチンを2回1週間ごとに飲むのも効果が期待でき、これは免疫機能が下がることによって重い症状になっている場合に特に有効です。

治療によってダニを殺した後も、皮膚の中にダニの死骸がしばらくの間は残っているので、アレルギー反応がダニに対して続いて、隆起やかゆみが最大3週間くらい残ることがあります。

かゆみについては、抗ヒスタミン薬の経口薬やコルチコステロイドクリームの弱いもの、あるいはこの両方で治療することができます。

細菌感染が深いかき傷や皮膚の炎症の箇所に起きる場合がありますが、この際は抗菌薬を投与します。 

疥癬の予防

ヒゼンダニが活動するために最も適しているのは体温で、皮膚から離れると温度が下がって乾燥するので感染力が数時間で下がります。

普通の疥癬の場合は、ヒゼンダニはあまり寄生していないので、シーツや衣類などからの感染は多くないと考えられます。

しかし、疥癬が重症の場合は、ヒゼンダニが非常に多く寄生しているので、十分にシーツや衣類にも注意する必要があります。

また、10分間、50℃の熱処理によって、ヒゼンダニは完全に死にます。

そのため、寝具や衣類は熱湯や熱乾燥機で処理すると感染するリスクは無くなります。 

記事監修
  • 名倉 義人
    救急科専門医

    ・平成21年 名古屋市立大学医学部卒業後、研修先の春日井市民病院で救急医療に従事 ・平成23年 東京女子医科大学病院 救急救命センターにて4年間勤務し専門医を取得 ・平成27年 東戸塚記念病院で整形外科として勤務 ・令和元年 新宿ホームクリニック開院

    日本救急医学会、日本整形外科学会

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