急性小児片麻痺の特徴・症状と治療法について【医師監修】

公開日: 2024/02/05 更新日: 2024/02/05
このページでは、急性小児片麻痺の症状や治療法、今すぐ医師に相談したい場合の方法についてお伝えしています。

急性小児片麻痺について

急性小児片麻痺の特徴・要因・症状

急性小児片麻痺の特徴

急性小児片麻痺というのは、主として幼児が6歳になる前に片側の体に麻痺、痙攣が起きるものです。

急な発熱とかぜのような症状と、数時間片側の体の痙攣が継続して、麻痺が起きます。

麻痺は、前触れが全くなくて急に起きる場合もあります。

要因が分かっていませんが、麻痺が急に起きた場合の多くの要因は脳血管障害です。

急性小児片麻痺の要因

急性小児片麻痺の要因としては、分からないものと、基礎疾患の脳炎や脳症、脳血管障害などのものがあります。

そのため、病院で片麻痺が現れると、この基礎疾患などをまず確認するようになります

しかし、急性小児片麻痺は要因が分からないものもあるので、後遺症に対する治療を行うようになります。

一方、基礎疾患が現れた場合は、この治療も同時に行うようになります。

この治療の際には、血液検査、血管の画像撮影、心臓や脳の超音波検査など、検査を多く行うようになりますが、全体の約2割くらいが要因が分からないとされています。

てんかんや知的障害が起きる場合は、手足が麻痺して硬くなるので、リハビリをこれに対して行う必要があります。

急性小児片麻痺の症状

急性小児片麻痺の症状としては、かぜのようなものがあり、発熱が急に始まります。

そして、痙攣が片側の体にだけに起きます。

また、両側の体で痙攣が起きて、違いが左右であることもあります。

痙攣が継続した後、麻痺が起きます。

なお、麻痺が起きて、痙攣が起きない場合もあります。

この後、てんかん発作がしばらくしてから起きる場合もあります。

痙攣が起きた際は、まず救急車を呼ぶ必要がありますが、片麻痺が急に起きたことが分かった時には小児科で診てもらう必要があります。

片麻痺は、著しく片側の体の筋力が下がることで、影響が半身にあります。

この片麻痺は、戻る場合もありますが、約8割は戻らなくて、リハビリを継続して行う必要があります。

急性小児片麻痺の診断と検査

急性小児片麻痺の場合は、痙攣や発熱が起きる場合と、左右いずれかの半身が急に麻痺する場合があり、要因が症状によって違っています。

前者の場合の要因は、脳炎やウイルス感染によって、一時的に脳の血管が縮んで酸素が行き届かないことが挙げられます。

一方、後者の場合の要因は、脳の血液の流れが血管閉塞や血栓によって止まることが考えられます。

治療を正しく行うには、症状を親が正しく医師に伝えて、いずれの症状であるかをはっきりさせる必要があります。

そして、救急搬送されてから、しっかりと精密検査を受けることが大切です。

子供は、免疫系や脳が未熟で発達している段階にあるので、急性小児片麻痺の背景としては、基礎疾患のウイルス感染、代謝や心機能の異常、脳症や脳炎、血液の異常などのいろいろなものが隠れている場合もあります。

治療を行う際には、疫学的検査、画像診断、超音波検査などによって、どのような異常が脳をメインにした全体の体に現れれているかを精査する必要があります。

急性小児片麻痺の治療法

急性小児片麻痺を治療する際は、主として、てんかんや痙攣の治療、基礎疾患の治療、脳症や脳炎の治療、麻痺した箇所のリハビリを行っていきます。

痙攣を治める対症療法が、まず行われます。

痙攣を治療する際は、薬剤としててんかんに使用するものが使われ、重い症状の場合は麻酔を全身に行って、呼吸を人工呼吸で確保しながら、血圧を上げるために昇圧剤を投与する処置がとられます。

痙攣の治療とともに、早急に脳症や脳炎の治療、薬剤を脳の血圧を下げるために投与することなども行われます。

また、検査で異常や疾患、ウイルス感染が確認された場合は、疾患によって適切な投薬などが処置されます。

麻痺した箇所に関しては、硬い筋肉になるのでリハビリを行います。

てんかん症状の慢性的なものが後遺症として現れる場合は、薬剤での治療や外科的な治療が場合によっては行われます。

急性小児片麻痺の予防

急性小児片麻痺は、急に発症しますが、全く予防ができないということではありません。

特に、痙攣が起きる急性小児片麻痺の場合は、非常にウイルス感染が影響しています。

そのため、感染症のインフルエンザやかぜなどに対して予防することによって、急性小児片麻痺が発症するリスクを下げることができます。

また、急性小児片麻痺を予防するためには、いち早く子供の心臓、血液、免疫系、代謝、脳炎などの異常を掴んで、早く見つけて治療することも必要になります。

後遺症が急性小児片麻痺で残らないようにするには、治療を急性期に行うことが大切になります。

検査をしっかりと行って、疾患がもし分かった場合は、治療を並行して行うことも大切です。

感染症によって急性小児片麻痺は起きるので、子供が6歳以下の場合は、特に、ウイルス感染のインフルエンザなどについてはしっかりと対策を行いましょう。

記事監修
  • 名倉 義人
    救急科専門医

    ・平成21年 名古屋市立大学医学部卒業後、研修先の春日井市民病院で救急医療に従事 ・平成23年 東京女子医科大学病院 救急救命センターにて4年間勤務し専門医を取得 ・平成27年 東戸塚記念病院で整形外科として勤務 ・令和元年 新宿ホームクリニック開院

    日本救急医学会、日本整形外科学会

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