多発性骨髄腫の特徴・症状と治療法について【医師監修】

公開日: 2024/02/05 更新日: 2024/02/05
このページでは、多発性骨髄腫の症状や治療法、今すぐ医師に相談したい場合の方法についてお伝えしています。

多発性骨髄腫について

多発性骨髄腫の特徴・症状

多発性骨髄腫の特徴

骨髄と言われるところが骨の中にはあり、この骨髄は主として血液を造る作用があります。

白血球・赤血球・血小板というような細胞が、血液の中には含まれています。
形質細胞というものが、一種の白血球としてあります。

形質細胞というのは、主として外から入ったウイルスや細菌に対する抗体を作っています。

この形質細胞が、多発性骨髄腫になれば急に変異して骨髄に溜まって、がんが骨にできます。

がんが骨にできれば、異常ながんの形質細胞が多くなって、形質細胞の正常なものが少なくなります。

そのため、正常に血液の白血球・赤血球・血小板などが造られなくなって、いろいろな悪い影響が全身に現れます。

がんが骨にできれば、過剰に血液の中のカルシウム量が多くなるため、障害が腎臓・心臓・消化器官・筋肉などに起きる場合もあります。

日本においては、多発性骨髄腫は10万人あたり3人くらいと割合少ないものですが、高齢者の65歳以上に多いということがあります。

多発性骨髄腫の症状

多発性骨髄腫の場合は、がんが骨の中にできるので、症状としてはもろい骨になって骨折や骨の痛み、出血などが現れます。

また、免疫力が抗体が少なくなることで弱くなり、ウイルスや細菌などによってよく感染症にかかるようになります。

過剰に血液の中のカルシウム量が多くなれば、腎不全などのように良くない影響をいろいろな臓器の作用に与えます。

多発性骨髄腫の診断と検査

多発性骨髄腫を診断する際には、尿検査・血液検査・画像検査を行います。

尿検査の場合は、尿の中に本来はないタンパク質が出ているかどうかを調査します。

血液検査の場合は、異常が白血球や赤血球の数にないか、異常が抗体にないか、異常が血液の中のカルシウム量にないかを調査します。

画像検査の場合は、レントゲン検査 ・CT検査・MRI検査などを行って、もろい骨になっている箇所がないか、がんがないか、あるいはどのくらい拡大しているかを調査します。

病変の疑わしいものが見つかれば、一部の組織を採って生検というがん細胞がないかどうかを調査して、診断を確定します。

多発性骨髄腫の治療法

多発性骨髄腫は、一般的に症状が進むのが緩やかであるため、病期としては進み具合によって3つに分けられます。

I期の場合は、軽度ものでM蛋白や骨髄腫細胞が現れるもので、骨の病変や貧血が現れないケースです。

治療は、一般的に行わないで、血液検査を定期的に行って経過を見ます。

II期、III期の場合は、高いM蛋白値になり、骨病変、貧血、高い血液の中のカルシウム値などが現れるケースです。

多発性骨髄腫の場合は、治療を早く始めることが予後の長期的な改善に必ずしもならないことがはっきりしており、一般的に治療はII期、III期から行われます。

抗がん薬による化学療法と放射線療法が、主な治療法としてはあります。

多発性骨髄腫の場合は、効果が薬物療法で期待できる疾患です。

しかし、治療法として間違いなく治ることが期待できるものは、残念ですがまだ確立されていません。

放射線療法の場合は、がんを骨髄腫細胞が形成した際や疼痛を緩和するために行われるため、照射するのは局所的になります。

比較的若い60歳〜65歳以下の患者の場合は、造血幹細胞移植を大量化学療法の後に行う場合があります。

しかし、高齢者の場合は、強いこのような化学療法は行うことができません。

一般的な高齢者の多発性骨髄腫の化学療法としては、MP療法という定期的に4日間メルファランとプレドニゾロンを投与するものがあります。

VAD療法というもうちょっと強い治療を行うこともあります。

また、大量にステロイド薬のデキサメタゾンというものを投与する方法もあります。

治療抵抗性の場合に、分子標的薬のサリドマイドやベルケイドなども最近は使われるようになってきました。

また、ビスホスフォネートという薬剤が、骨の病変を改善するために使われます。

多発性骨髄腫の予防

安定した症状の場合は、特別の制約は日常生活においてありません。

高度の骨病変がなければ、運動を適度に行う生活が大切です。

しかし、転倒・打撲などでの骨折には、十分に注意する必要があります。

また、姿勢を急に変えたり、中腰の姿勢で作業したりすることなどは、病的骨折や圧迫骨折の要因になるためできるだけ避けるようにしましょう。

多発性骨髄腫の場合は、化学療法などの結果、免疫不全の状態によくなります。

そのため、抵抗力がウイルスや細菌に対して下がるため、発熱、痰、咳などがある際は、可能な限り早く医師に診てもらって治療を適切に行うことが必要です。

また、腎障害は合併症として予後に影響するリスクがあるものです。

腎障害が脱水状態が悪くなるため、水分を何らかの理由によって制限する場合の他は、水分を普段から十分に摂るように注意することも必要です。

記事監修
  • 名倉 義人
    救急科専門医

    ・平成21年 名古屋市立大学医学部卒業後、研修先の春日井市民病院で救急医療に従事 ・平成23年 東京女子医科大学病院 救急救命センターにて4年間勤務し専門医を取得 ・平成27年 東戸塚記念病院で整形外科として勤務 ・令和元年 新宿ホームクリニック開院

    日本救急医学会、日本整形外科学会

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