知っておこう!流行性角結膜炎(はやり目)の5つのポイント
感染力が非常に高い
流行性結膜炎とは、アデノウイルスに感染することにより、目の結膜と角膜に炎症が起こる病気です。
感染力が非常に高く、流行しやすいことから「はやり目」とも呼ばれます。
アデノウイルスが付着した手で目をこすることで感染し、発症します。
学校や幼稚園、保育園など、集団生活の場において集団感染しやすい病気です。
アデノウイルスは50種類以上存在します。そのうち 8型、19型、37型、53型、54型、56型などが流行性角結膜炎の主な原因 です。
これらの型に感染した場合、主に目の症状が現れ、一般的には熱や喉の痛みの症状は伴いません。
熱やのどの痛みを伴う病気として咽頭結膜熱(プール熱)があります。
知っておきたい豆知識
角膜や結膜ってどの部分?
角膜は黒目の 表面全体を覆っている透明な膜の部分 です。
結膜は白目の部分(眼球結膜)と、あっかんべをしたときに見える赤い部分(眼瞼結膜)です。
炎症が視力に影響することも
流行性角結膜炎の炎症が角膜へ及ぶと、角膜に点状の濁りが生じます。
角膜が濁ると、見えにくさやまぶしさを感じるようになります。
ほとんどの場合、治療を行うことで完治しますが、まれに視力低下の後遺症が残ることがあります。
流行性角結膜炎が完治した数ヶ月後に、角膜に点状の濁りが再発することもまれに起こります。
治療期間は炎症の程度による
流行性角結膜炎の治療期間は、炎症の程度によって異なります。
一般的には2〜4週間程度で改善することが多い ですが、角膜の炎症が強い場合などには、数ヶ月程度かかることもあります。
完治、再発予防のため、医師の指示に従い適切な治療を受ける必要があります。
子どもは注意!
見え方が変わる、見えにくくなったことに気づかないことも。
子どもが光に対しまぶしそうにしている・テレビや物を見るときに目を細めたり、首をずらして見ているときは目や視力に変化があった可能性があります。早めに医師へ相談しましょう。
なるべく早めに受診を
アデノウイルスに特効薬はないため、対症療法での治療が行われます。
炎症を軽くしたり、他の感染をおこさないようにする目的で点眼薬(目薬)を使用する場合が多いです。
子どもは目の痒みを我慢できず、掻くことで炎症が広がります。
また家庭内感染が広がることもあります。
なるべく早めに受診して、かゆみや炎症を抑えるなど必要な処置をしてもらいましょう。
知っておきたい豆知識
子どもの目の症状は小児科でもよい
角>子どもは、まだ自分で上手に症状が伝えられなかったり、慣れない病院へ行くことでいっそう怖がってしまったりするので、かかりつけの小児科で診てもらうと安心でしょう。ただし、目の症状が強い場合は専門的な治療が必要になることもあります。医師の指示に従い、必要に応じて眼科を受診しましょう。
流行性角結膜炎はどんな症状?
原因や感染経路
- 原因:アデノウイルス8型・19型・37型・53型・54型・56型
- 感染経路:接触感染。アデノウイルスが付着した手で目を触ることで感染する。
症状
- 症状が続く期間:2週間
- 白目(結膜)の充血
- まぶたの腫れ
- 多量の目やに
- 涙が出る
- 目がゴロゴロする違和感、異物感
- まぶしさ
- 見えにくさ
流行性角結膜炎が関連する病気
ウイルス性結膜炎
- 咽頭結膜熱
- 急性出血性結膜炎
- ヘルペス性結膜炎
流行性角結膜炎の対処方法は?
子どもの目薬のさし方
子どもは点眼薬を怖がったり、嫌がったりする場合が多いです。
治療が長期にわたる場合は、毎回の点眼がストレスになってしまうことも。
以下のように行ってみましょう。
- 目を閉じたまま目頭に目薬をさす
- まばたきをする
目頭に溜まった目薬が、まばたきによって目に入るため、目を閉じたまま目薬をさしてもOKです。安全に、適切な点眼が行えるようにしましょう。
目やにを拭く時の注意点
目やにを拭く時は、ティッシュペーパーや綿棒を使って直接手で触れないようにしましょう。
拭いた後は必ず流水と石鹸を使用し、手を洗いましょう。
子どもの物を見るときの様子に注意
大人は自覚症状を伝えられたり、見え方の変化に気づいたりできますが、小さな子どもではそれができないことがあります。
流行性角結膜炎は、炎症が角膜に及ぶと視力の低下に繋がります。
以下の様子があれば受診
目や視力に変化があった可能性があります。
早めに医師へ相談しましょう。
- 子どもが光に対しまぶしそうにしている
- テレビや物を見るときに目を細める
- テレビや物を見るときに首を傾けて見ている
ウイルスの排出期間
アデノウイルスは私たちの身の回りのあらゆる場所や物の表面でも、比較的長く生存する可能性があります。
一般的には、症状が治まってからも1〜2週間程度はウイルスが排出される と考えられています。
この期間も、手洗いを徹底するなど、周りの人への感染予防に注意が必要です。
衣服やドアノブなどに付着したウイルスの生存期間は、条件によって変わるため、過度に心配する必要はありません。
接触感染を防ぐためにこまめな消毒と手洗いが重要 です。
入浴における注意点
流行性角結膜炎の原因であるアデノウイルスは、お風呂のお湯を介してうつる場合と、お風呂後にタオルを共有するなどしてうつる場合が考えられます。
そのため、家庭内で感染者がいる場合には、感染者は1番最後に入浴するようにしましょう。
感染者のタオルは分けて使用し、消毒と洗濯を行うようにしましょう。
消毒は次亜塩素酸ナトリウムで
アデノウイルスにはアルコール消毒の効果が低いとされています。 消毒には、薄めた次亜塩素酸ナトリウムが有効 です。
次亜塩素酸ナトリウムの消毒液はドラッグストアで購入できるほか、希釈すれば台所用の液体塩素系漂白剤でも代用が可能です。
使用する際は、換気を十分に行い、直接肌に触れたり衣服に付着しないように注意してください。 手指の消毒には、流水と石鹸による丁寧な手洗いが最も重要 です。
アルコール消毒液を使用する場合は、補助的なものと考えましょう。
家庭内で感染しやすい場所
- ドアノブや手すり、おもちゃなど共有で触れる場所やもの
できるだけこまめに消毒しましょう。
- お風呂
感染している人は最後に入浴しましょう。
流行性角結膜炎の感染予防には丁寧な手洗いとうがい
アデノウイルスにはアルコール消毒の効果が低いとされているため、基本的な感染予防対策は流水と石鹸での丁寧な手洗いと、うがいです。
知っておきたい豆知識
アルコール消毒は?
外出先などでアルコールシートで手を拭くだけや、子どもの遊び場でのおもちゃ・おむつ替えスペースなど共有の物を拭きあげるだけではウイルスを除去することが難しいです。
使用後には必ず流水と石けんでの手洗いを行いましょう。
いつから学校へ行ける?
流行性角結膜炎は、学校保健法で「病状により学校医その他の医師において伝染の恐れがないと認めるまで」を出席停止期間の基準として定義されています。
感染力が強い期間は、一般的に発症後1週間程度と考えられています。
登校・登園の再開時期については、 必ず医師の診察を受け、指示に従ってください 。
大人については特に決まりはありませんが、アデノウイルスの感染力がとても高いことを考えると、勤務先へ報告し相談するのがよいでしょう。
【対面で診察?救急車?オンライン診療?迷ったら】今の症状と適した受診先
受診が必要な症状について知っておきましょう。緊急度チェックでは、症状に応じた受診先をすぐに判定できます。
受診が必要な症状について知っておきましょう。
緊急度チェックでは、症状に応じた受診先をすぐに判定できます。
判断に迷う時の相談先
- 緊急度チェックで症状に応じた受診先を判定
- #7119や♯8000(子ども)へ電話
- オンライン診療(24時間対応)で医師に相談
以下、流行性角結膜炎の症状が当てはまる場合は早めに医療機関を受診しましょう。
- 白目(結膜)の充血
- まぶたの腫れ
- 大量の目やに
- 涙が出る
- 目がゴロゴロする違和感、異物感
- 発熱をともなう
- 感染後、治療薬を使っていても症状に変化がないまたは悪化している
- 感染後、目の見え方が変わった、視力が落ちた気がする
- 感染後、光に対しまぶしそうにしている(まぶしい)
- 感染後、テレビや物を見るときに目を細めるている
- 感染後、テレビや物を見るときに首を傾けて見ている
不安がある場合は病院(オンライン診療も含む)を受診しましょう。
子どもの体調不良、どう判断する?
とくに5歳以下の子どもは自分の体に起こっている症状を正確に伝えることが難しいです。
また、何度も同じ質問をされると質問に対する答えが変化する場合もあるため、本人の言葉だけで状態を判断することは避けましょう。
体調不良や、喉が痛い・頭が痛い・鼻が詰まるなどの不快な症状を不機嫌で表現している場合が多いです。朝に「今日は機嫌が悪いな」と思っていたら夕方になって熱が出たというケースはよくあります。
そのため、親からみて「何か変だな?」「いつもと違う?」という様子が続く場合は医師へ相談してみましょう。
「こんなことで受診していいのかな?」「家庭の事情でなかなか受診できない」というときには、オンライン診療もおすすめです。
受診するときのポイント
受診の際は以下のように時系列で状況を伝えるとよいでしょう。
余裕があればメモなどを作成しておくとよりスムーズです。
- 他に症状はあるか
- 持病はあるか
- 持病などで飲んでいる薬があるか
- 症状に対して薬を服用したか→ある場合は薬品名(商品名)と服用時間
- 周囲で感染症などが流行しているか
病院の持ち物リスト(優先順)
緊急時(救急車)も必ず持参
- スマートフォン/携帯電話
- 家族の連絡先がわかるもの
- お財布
- お薬手帳(持病がある場合は必ず)
持参が必要
- 保険証
- 医療証
- 診察券
※保険証・医療証が無いと、費用が一時的に10割負担となることがあります
子どもに必要
子どもは下記も準備しましょう。
- 着替え
- おむつ
- おしりふき
- ビニール袋2−3枚
- 大きめのタオル(フェイスタオル等)
症状が出る前に備えられること
家庭内感染対策の準備
家族が感染した時を想定し、感染した人と他の家族の生活空間を分けられるように備えましょう。
可能であれば個室で過ごしてもらうことが望ましいです。
また、感染対策に必要な備品を事前にストックしておくと便利です。
必要品の例
マスク、消毒用アルコール
近隣の病院を確認しておく
近隣の夜間・休日に対応している病院やかかりつけ医の診療時間を確認しておきましょう。
タクシー会社の連絡先を確認しておく
自分や家族が体調不良のときは運転を避けましょう。
運転に気を取られ子どもの体調変化を見落としてしまったり、普段より慌ててしまい、事故につながるリスクもあります。
こうした事態を防ぐためにも、体調不良時に備えてタクシーの連絡先を確認しておきましょう。
緊急連絡先を確認しておく
勤務先や学校、幼稚園など緊急時の連絡先を確認しておきましょう。
受診に必要な物の場所を決めておく
保険証や診察券、お薬手帳、医療証、母子手帳などの置き場所を決めておき、すぐに持ち出せるよう備えましょう。
「対処法を調べる」監修医師

こうだたかゆき
神田貴行医師
日本小児科学会専門医/博士(医学)
島根大学医学部臨床教授
コンサータ登録医
鳥取大学医学部卒業後、小児科医として16年間病院勤務、11年間発達障害児対応クリニック院長を務めた。現在は小児科を中心にオンライン診療等を行うフリーランス医師としても活動中。
この記事は医師監修のもと、ファストドクター株式会社が制作しています。