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インフルエンザで味覚がなくなるのはなぜ?症状と原因について
インフルエンザや風邪などの上気道感染で味覚障害が現れた場合、鼻詰まりによる嗅覚障害が原因になっている可能性が高いといわれています。[1]
インフルエンザの味覚障害の症状と原因について詳しくみていきましょう。
味覚障害の症状とは?
インフルエンザなどの感染症に罹患したときに現れる味覚障害では、以下のような症状がみられます。
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甘い、塩辛いなどの区別はつくが味が分かりにくい
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味が薄く感じる
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何を食べても同じ味に感じる
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食べ物の味がわからない
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口の中に何もないときに苦味や甘みを感じる
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食事のおいしさを感じられない
インフルエンザなど上気道感染により味覚障害が現れた場合、嗅覚の低下による味覚異常、いわゆる「風味障害」であるとされています。
味覚の異常を自覚しますが、味覚検査では異常を認めないのが特徴です。
インフルエンザで味覚障害が出る原因
インフルエンザで味覚に異常が現れる原因は、鼻詰まりによる嗅覚低下であることが多いといわれています。
ほかにも、風邪やインフルエンザなどの感染症に罹患して起きる、感冒後嗅覚障害が原因となっている可能性があります。
インフルエンザで味覚に異常が現れる原因をくわしくみていきましょう。
鼻詰まりによるもの
インフルエンザで鼻詰まりにより嗅覚が低下すると、においの情報が十分に伝達されないため味覚に異常をきたします。
人が風味を感じるためには、味覚と嗅覚が必要です。味は舌にある「味蕾(みらい)」と呼ばれる器官から脳に伝わります。
味覚の情報が鼻から感じたにおいの情報と統合することで人は風味を感じ取っています。[2]
そのため、鼻詰まりは味覚障害の原因の一つと言えるでしょう。
感冒後嗅覚障害によるもの
インフルエンザや風邪などの上気道感染症では「感冒後嗅覚障害」と呼ばれる嗅覚の異常が現れることがあります。
鼻づまりが改善しても味覚障害が治らない場合、感冒後嗅覚障害による味覚障害の可能性が高いです。
感冒後嗅覚障害は、以下の2通りのメカニズムによって発症すると考えられています。
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ウイルスによる神経組織の障害
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ウイルスに対する免疫応答により炎症細胞が病巣へ向かって移動して起こる二次的な神経障害
神経が障害されることで、インフルエンザが治まっても数週間にわたり嗅覚に異常が残ることもあります。
インフルエンザの味覚障害の治療とは?
インフルエンザをはじめとした上気道感染に伴う味覚障害は、軽度であれば治療を行わなくても自然に治るケースがほとんどです。
しかし、味覚障害は発症から半年を過ぎると改善しにくくなるといわれています。
まずは様子をみて、2週間以上経過しているにもかかわらず改善しない場合は耳鼻咽喉科を受診しましょう。
味覚障害の原因によって治療法は異なりますが、ウイルス感染後に起こる感冒後嗅覚障害が原因となっている場合、薬物療法と嗅覚刺激療法で治療を行います。
薬物療法
おもに以下の薬を使用して治療を行います。
ステロイド点鼻薬
ステロイド点鼻薬を注入し、粘膜の炎症を抑える治療法です。
片鼻に1回2〜3滴づつ滴下し、嗅覚を司る嗅粘膜まで薬液を到達させるため5分程度そのままの姿勢を保ちます。これを1日2回(朝晩)行います。[3]
漢方薬
漢方薬は感冒後嗅覚障害に対して改善率が高いという報告がありますが、長期内服が必要になることもあります。主に当帰芍薬散や人参養栄湯、加味帰脾湯などが処方されます。[4]
ビタミン B12
神経の障害を修復し、再生を促す目的で処方されます。
嗅覚刺激療法
バラ・レモン・ユーカリ・クローブの4種類の香りを1日2回、朝晩10秒程度嗅ぐ治療法です。「何のにおいか」を意識して嗅ぐことで、嗅覚の回復を促すリハビリです。
嗅覚刺激療法は感冒後嗅覚障害への有効性が示されており、8ヶ月間嗅ぐ練習を行ったところ、8割弱の患者に嗅覚の改善を認めたという報告があります。[4]
インフルエンザにかかったあとの味覚障害は戻らない?症状がいつまで続くかを解説
鼻詰まりによる一時的な風味障害であれば、鼻詰まりが改善すると自然に治る可能性が高いです。
感冒後嗅覚障害が原因となっている場合、中等度から高度の障害では発症後半年ほどたってようやく改善するといわれています。[4]
改善率は時間経過とともに高くなるという報告もあるため、長期的な経過観察が必要になるでしょう。
味覚障害のときは何を食べる?おすすめの食べ物をご紹介
味を感じにくい場合は香辛料や薬味の香り、酸味のある調味料を活用して甘味や酸味、塩味など味付けをはっきりさせる工夫をすると良いでしょう。
味覚が鈍くなっている人にとっては、いつも通りの食事が苦痛になります。食事の形態や量、調味料などを工夫すると食べやすくなるでしょう。
温度や食感、見た目などの要素を取り入れ、少しでもおいしさを引き立てる工夫が必要です。
食欲がないときは、少量でカロリーを摂れるゼリーなどをメニューに取り入れる、間食を増やすなどの工夫をしてカロリーを摂取すると良いでしょう。
インフルエンザの味覚障害Q&A
インフルエンザの味覚障害でよくある質問にお答えします。
インフルエンザの後に味がしないのはなぜ?
鼻詰まりによる嗅覚の低下や、インフルエンザなど上気道感染でみられる感冒後嗅覚障害が原因となっている可能性があります。
人が風味を感じるためには味覚と嗅覚が必要になるため、嗅覚が低下することで味覚に異常が現れます。
コロナで味覚嗅覚がなくなったらいつ戻る?
コロナウイルスによる味覚・嗅覚の異常の改善率は、1カ月後までで嗅覚障害が60%、味覚障害が84%と報告されています。[5]
自然に改善するケースがほとんどですが、2週間程度経っても味覚や嗅覚が戻らない場合、耳鼻科を受診すると良いでしょう。
コロナウイルスによる味覚障害も、インフルエンザや風邪と同じように、嗅覚障害に伴う風味障害の可能性が高いといわれています。
風邪を引くと味覚がなくなるのはなぜですか?
風邪を引くと味覚がなくなるのは、鼻詰まりによって嗅覚が低下し、味覚に影響を与えるためです。
また、風邪のウイルスにより嗅神経障害が起こると、感冒後嗅覚障害を発症し味覚に影響を及ぼす可能性もあります。
感冒後嗅覚障害は風邪が治っても味覚障害が持続する可能性があるため注意が必要です。
インフルエンザの食欲不振はいつまで続きますか?
鼻づまりによる嗅覚の低下が味覚に影響を及ぼしている場合、鼻詰まりが改善することで自然に治るケースがほとんどです。
しかし、インフルエンザウイルスによる感冒後嗅覚障害を発症している場合、インフルエンザが治っても嗅覚障害や味覚障害が長期間続くことがあります。
嗅覚・味覚の障害により食欲不振が出ている場合は、これらの改善が必要です。
「味がわかりにくい」「何を食べても同じ味がする」などの味覚障害があると食事を楽しめなくなり、食欲が低下する原因になります。
まとめ
インフルエンザなどの感染症に罹患すると、鼻詰まりによって味覚に異常が現れることがあります。
鼻詰まりが改善しても味覚障害が治らず、嗅覚障害を伴う場合、感冒後嗅覚障害を発症している可能性があるため注意が必要です。
「味が薄く感じる」「何を食べても同じ味に感じる」などの味覚の異常がなかなか改善しないと、食事をおいしいと感じられません。
味覚障害が長期間続くと、食欲低下から栄養状態が悪くなるおそれもあります。
食事の楽しみが奪われ、食べること自体が苦痛になると生活の質も大きく低下するでしょう。
感冒後嗅覚障害は薬物療法や嗅覚刺激療法で改善が期待できます。インフルエンザで味覚障害になり、なかなか治らないという場合は、医療機関を受診して治療を開始しましょう。
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参考文献
本記事に掲載されている情報は、一般的な医療知識の提供を目的としており、特定の医療行為を推奨するものではありません。
具体的な病状や治療法については、必ず医師などの専門家にご相談ください。