症状がつらくなったときに病院が休みだったらどこを頼ればよいのか困ってしまいますよね。
夜間や休日でもすぐに医師に相談ができるように、ファストドクターのアプリをダウンロードしておきませんか?
高尿酸血症とは?
まずは、高尿酸血症がどのような状態なのかについて解説します。
高尿酸血症の基準と病型
高尿酸血症そのものには、基本的に自覚症状はありません。そのため、健康診断などで指摘されて初めて気がつくことがほとんどです。
性別・年齢を問わず、「血清尿酸値 7.0mg/dL以上」であれば高尿酸血症と診断されます。お手元にご自身の検査結果があれば、確認してみてください。
女性では全体で5%ほどですが、男性では20~30%もの方が高尿酸血症に該当します。
非常に頻度の高い、ありふれた疾患です。
また、高尿酸血症に関連した「痛風」の有病率は、30歳以上の男性では1%以上にものぼります。
風が吹くだけで痛いという由来から痛風と名付けられている病気ですが、実は多くの方が経験されたことのある病気ということですね。
高尿酸血症の病型(タイプ)は、以下の3種類とそれらの混合型に分けられます。
尿酸排泄低下型
尿酸を尿中に排泄する量が低下して、体内に尿酸がたまるタイプです。ほとんどの方はこのタイプに当てはまります。
尿酸産生過剰型
尿酸を作りすぎてしまい、排泄が追いつかず尿酸値が上がるタイプです。
腎外排泄低下型
尿酸は、腎臓から主に尿中へ排泄されますが、一部は消化管などからも排泄されます。尿以外からの排泄が低下したのが腎外排泄低下型です。
女性は更年期以降に注意
女性の場合、血清尿酸値が7.0mg/dL未満だからといって安心はできません。
女性ホルモンには尿酸を排出する作用があり、男性に比べて尿酸値が低くコントロールされています。
そのため、尿酸値が正常範囲内だとしても、閉経して女性ホルモンによる効果が減少すると、高尿酸血症になってしまうことがあるのです。
閉経後に高尿酸血症やそれに起因する合併症を起こさないよう、女性は、男性よりも少し尿酸値が低い段階から治療や生活の改善をおすすめすることがあります。
合併症は?
高尿酸血症の合併症として代表的なのは、痛風です。
通常、尿酸は血液中に溶け込んでいますが、濃度が高くなりすぎると尿酸の結晶が出てきて、激しい痛みや腫れを伴う「痛風発作」が起こります。
発作を起こさなくても、尿酸の結晶が関節やアキレス腱などに溜まり「痛風結節」というコブのようなものを生じた状態も、痛風です。
関節や耳など、体温の低い場所に結節ができます。
もう1つ重要な合併症は、腎機能の低下(慢性腎臓病など)です。
近年は治療薬の開発によって減りましたが、治療薬ができる前は高尿酸血症の影響で透析になる方も少なくありませんでした。
尿酸値が高いことで腎臓はダメージを受け、ダメージを受けると尿酸の排泄がさらに低下するという悪循環に陥ります。
腎臓は、一度機能が悪くなると元に戻りにくい臓器ですので、大切に守っていかなくてはなりません。
高尿酸血症の原因
高尿酸血症や痛風を引き起こす要因として、以下のようなものがわかっています。
肥満
内臓脂肪の増加と、尿酸値の上昇には関連があるとわかっています。
アルコールの多飲
アルコールを分解する過程で尿酸が作られるため、アルコールをたくさん飲む方は尿酸値が上がりやすいです。
プリン体の多い食品の摂取
肉類を多く摂取する人は1.4倍、魚介類では1.5倍、ソフトドリンクでは1.9倍、痛風発作を起こすリスクが高くなります。
逆に、乳製品をよく摂取する方は0.6倍にリスクが低下します。
腎機能が低下している
尿酸は、腎臓の働きによって体の外へ排出されます。そのため、腎臓の機能が低下していると、尿酸を十分に排出できなくなってしまいます。
高尿酸血症と生活習慣病の関係
高尿酸血症をお持ちの方の80%には、高血圧や肥満、耐糖能異常(糖尿病やその予備軍)、脂質異常症などの生活習慣病が合併していることがわかっています。
これらに共通するのは、「インスリン抵抗性」「動脈硬化」というキーワードです。
インスリンの効果が得られにくくなった状態を「インスリン抵抗性」と呼び、糖尿病発症の原因です。
内臓脂肪の蓄積などによってインスリン抵抗性が高まると、尿酸の排泄が低下し、尿酸値が高くなります。
また、インスリン抵抗性が高いと尿酸が過剰に作られるようにもなるらしいことが、近年報告されています。
また、中性脂肪が高いことも、尿酸値もあがる原因です。これは、体内で中性脂肪を合成するさいに、尿酸も一緒に合成されるためだと考えられています。
尿酸値が高いことは、動脈硬化の進行にも関わっています。尿酸によって血管の内側がダメージを受けると動脈硬化が進行し、血圧が上昇します。
このように、肥満・糖尿病・脂質異常症・高血圧など、さまざまな生活習慣病と高尿酸血症が関連しているのです。
健康を維持するため、尿酸値を適正に保つようにしましょう。
高尿酸血症の治療薬
高尿酸血症の治療は、予防・発作治療・寛解維持のそれぞれで使用する薬剤が異なります。
血清尿酸値7.0mg/dL以下を目標に少しずつ下げていき、下がったら維持するということが大切です。
痛風発作の寛解・予防薬
痛風発作の予兆があるときや、発作がおきてからすぐのときなどに服用します。
白血球の働きを抑えることで、痛みや腫れを生じさせないようにする薬です。尿酸値を下げるわけではないため、根本的な治療薬ではありません。
副作用として、腹痛や下痢、吐き気を感じることがあります。
<痛風発作の寛解・予防薬>
コルヒチン(成分名:コルヒチン)
尿酸排泄促進薬
血液中の尿酸を、尿として体の外へ排出するのを促す薬です。
腎臓の機能が低下して尿酸をスムーズに排出できない方、遺伝的に尿酸排泄の力が弱い方に向いています、
副作用として、飲み始めの半年ほどは肝機能の低下に注意が必要です。
また、尿酸値を下げる作用が強く、急激に尿酸値が下がるときに痛風発作を生じるリスクもあります。
一部の薬と飲み合わせがよくないことがあるため、お薬手帳などを持参して、問題がないかどうか薬剤師に確認してもらう必要があります。
<尿酸排泄促進薬の例>
- ユリノーム(成分名:ベンズブロマロン)
- ベネシット(成分名:プロベネシド)
尿酸生成抑制薬
体内で、プリン体から尿酸を作るときに使われる「キサンチンオキシダーゼ」という酵素を阻害して、尿酸が過剰に作られないようにする薬です。
とくに、尿酸値が高い影響で腎臓の機能低下が進行しないよう抑える効果があるので、腎機能の悪い方にはこちらを積極的に使います。
重篤な副作用・頻度の高い副作用はほとんど報告されていませんが、肝機能の低下や、軽度の吐き気・下痢などを生じることがあります。
こちらも尿酸排泄促進薬と同様、尿酸値を下げる作用が強いため、痛風発作のリスクにもなりえます。
<尿酸生成抑制薬の例>
- フェブリク(成分名:フェブキソスタット)
- ザイロリック(成分名:アロプリノール)
- トピロリック(成分名:トピロキソスタット)
尿アルカリ化薬
尿酸値が高くなると、血液や尿が酸性に傾きます。酸性の環境は、尿酸結石ができやすく、また、できた結石が溶けにくいという状態です。
尿アルカリ化薬は、血液や尿をアルカリ性に傾けることで、尿酸結石ができにくいようにする薬です。
副作用として、胸やけや下痢、食欲低下が生じるかもしれません。
1%未満の頻度ではありますが、高カリウム血症といって、血液中のカリウム量が多くなることで脱力感や動悸を感じる副作用を生じる可能性があります。
<尿アルカリ化薬の例>
ウラリット配合錠、クエンメット配合錠など(成分名:クエン酸カリウム・クエン酸ナトリウム水和物配合製剤)
高尿酸血症の改善のために
高尿酸血症だと診断されても、すぐに治療薬を使うというわけではありません。
痛風結節や関節炎、合併症がない場合は、まずはじめに「食事・運動」に気を使っていただき、尿酸値が下がるかどうか経過をみます。
治療薬をお使いの場合でも、より効果が得られやすくなりますので、食事や運動習慣の改善は続けてください。
食事療法
全体としては、バランスよく、食べすぎないことが大切です。尿酸排泄を促すため、水分をたくさんとることも有効とわかっています。
野菜や海藻類は、尿をアルカリ化する作用があるとされていますので、積極的に取り入れてください。
また、尿酸の材料であるプリン体を含む食材は、摂取量を控えめにしましょう。
- レバー
- 魚卵
- エビ、イワシ、カツオ
- ホルモン類
- ビール、発泡酒
運動療法
適正体重を保つために、運動をおこないましょう。
内臓脂肪や皮下脂肪が多いと、尿酸が過剰に作られたり、排泄が滞ったりと尿酸値へ悪影響を及ぼすことがわかっています。
高尿酸血症をはじめ、あらゆる生活習慣病の改善のためには、1日30分程度の運動が目標です。
ウォーキング、サイクリング、スイミングなどの有酸素運動がとくにおすすめされています。
あまり運動習慣がないのであれば、手軽に始められるウォーキングがよいでしょう。
エレベーターではなく階段を使う、近所への買い物は歩いて行くなど、少しの心がけを続けてください。
まとめ
高尿酸血症は飲食や生活習慣の見直しによる改善が基本ですが、それだけでは改善しきれない場合や、痛風発作を繰り返すような状況では薬での治療が必要となることがあります。
この記事では、高尿酸血症の治療薬について、その種類と作用、副作用などを詳しく解説しました。
それぞれの薬には特性があり、尿酸を排出させるもの、生成を抑制するものなどがあります。
高尿酸血症は、あらゆる生活習慣病と密接に関わる疾患です。
病気が診断された場合には、食事や運動にも気を使い、処方された薬は服用を続けてください。
この記事が皆さんの健康管理に役立つ情報となれば幸いです。
参考
・https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/food/e-02-003.html
症状がつらくなったときに病院が休みだったらどこを頼ればよいのか困ってしまいますよね。
夜間や休日でもすぐに医師に相談ができるように、ファストドクターのアプリをダウンロードしておきませんか?
本記事に掲載されている情報は、一般的な医療知識の提供を目的としており、特定の医療行為を推奨するものではありません。
具体的な病状や治療法については、必ず医師などの専門家にご相談ください。