目次
- 帯状疱疹の治療と用いる医療用医薬品(抗ウイルス薬)
- 抗ウイルス薬を7日以上飲んでも効かない場合
- 帯状疱疹|抗ウイルス薬の副作用
- 鎮痛剤による治療
- 塗り薬による治療
- 帯状疱疹の塗り薬はいつまで塗る?
- 帯状疱疹に効く市販薬ってあるの?
- Q&A
- 帯状疱疹かどうかの判断は?
- 帯状疱疹はめちゃくちゃ痛いですか?
- 帯状疱疹でしてはいけないことは?
- 帯状疱疹を早く治す方法はありますか?いつまで安静にしていればいいですか?
- 帯状疱疹は何日ぐらいで治りますか?薬を1週間使っているのに治りません…
- 帯状疱疹の治りかけはどんな症状が出ますか?
- 帯状疱疹が出た時の過ごし方は?休むべきですか?
- 帯状疱疹はほっといても治りますか?病院に行かなくてもいいですか?
- 帯状疱疹の薬は市販で買えますか?おすすめはありますか?
- 帯状疱疹の時、ロキソニンは何回使えますか?
- 帯状疱疹に塗っていい薬は?また、塗ってはいけない薬はありますか?
- 帯状疱疹にリンデロンなどのステロイド軟膏は使えますか?
- 帯状疱疹は癌の前触れですか?
- まとめ
帯状疱疹の治療と用いる医療用医薬品(抗ウイルス薬)
帯状疱疹は、帯状疱疹ウイルスの増殖が原因で症状が現れる病気です。そのため治療には、抗ウイルス薬の投与が基本となります。
抗ウイルス薬により、ウイルスが排出される期間の短縮や皮膚症状の改善が期待できます。
症状が軽症の場合は、内服薬による治療が一般的ですが、重症もしくは免疫力が落ちている場合は点滴による抗ウイルス薬の投与が必要です。
抗ウイルス薬の投与は、皮膚の症状が現れてから72時間以内の投与開始が勧められています。
以下で代表的な抗ウイルス薬について解説します。[1] [2] [3]
帯状疱疹:抗ウイルス薬①アシクロビル
アシクロビルは錠剤だけではなく、粉薬やシロップ、皮膚に塗る軟膏にも用いられます。薬の使用方法は、指示された量を1日に複数回使用するのが一般的です。
アシクロビルの使用により、水疱や発疹などの皮膚症状の改善が見込まれます。[3] [22]
帯状疱疹:抗ウイルス薬②アメナリーフ
アメナリーフは帯状疱疹ウイルスに用いる薬です。特徴としては、1日1回の投与で効果が実証されていることや腎機能への障害が少ないことが挙げられます。
アシクロビルなどの抗ウイルス薬では、1日に複数回内服する必要があります。
また、薬剤を腎臓から排出するため、腎機能が低下している患者は投与量の調節が必要であったり、使用できなかったりします。
そのため、腎機能が低下している患者にはアメナリーフを使用するのが一般的です。[4]
帯状疱疹:抗ウイルス薬③バラシクロビル
バラシクロビルは消化管(胃や腸など)で吸収された後に、体内でアシクロビルになる薬です。
そのため、アシクロビルと同様に腎機能が低下している方には用量の調整が必要です。
バラシクロビルはアシクロビルに比べて、神経痛の発生期間を短くすると言われています。[3] [23]
抗ウイルス薬を7日以上飲んでも効かない場合
帯状疱疹の皮膚症状は、抗ウイルス薬を内服したからといってすぐに治癒するわけではありません。
一般的に、帯状疱疹の治癒までには3週間前後かかるとされています。症状が消えないからといって、必ずしも病気が重症化しているわけではありません。
帯状疱疹の症状の多くは、皮膚症状と神経痛です。
皮膚症状の経過は、発症後2日から水疱が出現し、4日頃には水疱が破れます。
発症後1週間ほどは水疱が増えていくこともありますが、ほとんどの場合2〜3週間前後でかさぶたとなり、治癒します。
ただし、抵抗力が十分に回復していない場合は皮膚の症状が長引く可能性があるため、その場合は再度受診をおすすめします。
神経痛についても皮膚症状とともに改善していくことが多いでしょう。ただ神経痛は病気が治癒した後も残ることがあります。
その場合は専門医による治療が必要なケースもあるため、神経痛が長引く場合も医師の指示を仰ぐようにしましょう。[5]
帯状疱疹|抗ウイルス薬の副作用
どの薬にも必ず副作用が出現する可能性があります。抗ウイルス薬も例外ではありません。症状がひどい場合は医師に相談しましょう。
代表的な副作用を下記で詳しく解説します。
帯状疱疹薬の副作用①頭痛
アシクロビルやアメナリーフの副作用として頭痛が現れることがあります。ただし、頭痛は帯状疱疹ウイルスの症状が悪化しても起こるため注意が必要です。
頭痛が日に日に強くなる、もしくは日常生活が困難になる場合は早期に医師の診察を受けるようにしてください。
帯状疱疹薬の副作用②めまい
めまいも副作用によって出現する可能性があります。
しかし、耳の付近に皮膚症状が現れている時や神経痛に対する内服薬の副作用でもめまいは出現します。
めまいが頻回に起こったり、長時間続いたりする場合は医師に相談しましょう。
帯状疱疹薬の副作用③吐き気、嘔吐
吐き気などの消化器症状も副作用で出現することがあります。消化器症状の出現しているときは、食事は消化のよいものにしましょう。
摂取できるようであれば、水分は多めにとることを心がけてください。
帯状疱疹薬の副作用④眠気
副作用として眠気も出現する可能性があります。帯状疱疹は元々、免疫力の低下から出現する疾患でもあるため、短時間の仮眠をとるなど十分な休息を心がけてください。
帯状疱疹薬の副作用⑤浮腫(むくみ)
浮腫は治療薬の副作用として、さまざまな要因で出現する可能性があります。しかし、帯状疱疹が進行すると、浮腫症状が現れることもあります。
鎮痛剤による治療
帯状疱疹の症状で代表的なものとして、神経痛があげられます。神経痛は発疹などの皮膚症状が現れる前から出現することが多く、症状が強い場合は鎮痛剤の使用が必要です。
帯状疱疹の早期に痛みを和らげることで、帯状疱疹治癒後に神経痛が出現する可能性を減らす効果もあります。
この項では、処方されることが多い鎮痛剤について解説します。[2] [8]
帯状疱疹で使う鎮痛薬①ロキソニンなどのNSAIDs製剤
NSAIDsは非ステロイド性抗炎症薬の総称です。
NSAIDsは炎症や痛みの原因であるプロスタグランジンの発生を抑制するため、痛みや発熱、炎症を抑える効果があります。
副作用として、胃痛や吐き気などの消化器症状、腎機能の低下などが挙げられます。
消化器症状のある患者や腎臓が悪い患者には使用できない場合もあるため、該当する場合は医師に相談しましょう。[9]
帯状疱疹で使う鎮痛薬②アセトアミノフェン
アセトアミノフェンもNSAIDs同様、プロスタグラジンの発生を抑制し、鎮痛や解熱などの効果をもたらします。しかし、NSAIDsの持つ抗炎症作用はありません。
アセトアミノフェンの特徴は、胃腸障害や腎障害が発生しにくいことです。そのため、NSAIDsの使用が難しい患者にも投与できるのが利点です。
アセトアミノフェンはとくに、肝障害に注意する必要があります。黄疸や浮腫、その他肝機能の低下により起こるとされる全身症状に注意しましょう。[9]
塗り薬による治療
帯状疱疹では、内服薬以外にも局所に塗る薬も使用されます。薬の種類は、抗ウイルス薬や鎮痛薬、傷に対しての治療薬、抗菌薬などです。[2]
処方されることが多い抗ウイルス効果のある塗布薬について解説します。
帯状疱疹で使う塗布薬①ゾビラックス®
ゾビラックスは内服薬でも紹介したアシクロビルと同じ成分の薬です。使用方法は皮膚症状が出現する部位に直接塗布します。
使用の時期については、症状が出現した日に近ければ近いほど効果が期待できます。
7日間使用し、皮膚症状が改善しない場合は他の治療に変更する必要があるため医師に相談してください。[10]
帯状疱疹で使う塗布薬②アラセナーA®︎
アラセナはビダラビンという抗ウイルス効果を持った薬です。使用方法や注意点についてはゾビラックスと同じです。
症状の出現している患部に塗布すること、症状の改善しない場合は他の治療に切り替えることが推奨されています。
また、発熱や身体中に発疹が出現している場合や使用中にそれらの症状が出現した場合には、重症化を警戒し、全身的な治療に切り替える場合もあります。[11]
帯状疱疹の塗り薬はいつまで塗る?
皮膚症状が改善するまで塗布してください。
ただし、7日間塗っても症状が改善しない場合や発熱などの全身症状が出現した場合は、早めに医師の診察を受けて治療内容を相談することをおすすめします。
帯状疱疹に効く市販薬ってあるの?
帯状疱疹の治療薬として処方されるものと同じ成分が市販薬でも購入できます。
しかし、発疹の出現する疾病は数多くあり、自己判断で市販薬を使用すると症状の悪化する可能性が高いです。
市販薬はどうしても病院に行けない場合や緊急事態など以外は使わないようにしてください。また、帯状疱疹が疑わしい場合は、なるべく病院を受診するようにしましょう。
以下に市販されている塗布薬と鎮痛薬を記載します。
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アラセナS
抗ウイルス薬のアラセナと同じ成分の入った市販されている塗り薬です。
しかし、効能は「口唇ヘルペスの再発(以前に医師から診察や治療を受けた場合)」のみとなっています。
口唇ヘルペスに使う場合も、医師の診察を受けていない場合は適用とならないので注意してください。
自己判断による治療は危険なため、帯状疱疹が疑われる場合は使用せず、医師の診察を受けるようにしましょう。[12] -
ロキソニン、アセトアミノフェンなどの鎮痛薬
ロキソニンやアセトアミノフェンは市販されている解熱・鎮痛剤です。
処方されたものを使い切ってしまった場合やどうしても診察に行けない場合は、同じ成分のものを一時的に使用する方法もあります。
ただし、処方されたものを使い切ってしまうほど痛みが強いのであれば、再度医師の診察を受けることをおすすめします。[13]
Q&A
帯状疱疹かどうかの判断は?
帯状疱疹は皮膚の症状や神経痛の有無による診断が多いです。
その他には、血液検査によりウイルス抗体が上昇しているかを診て判断することもあります。[5]
帯状疱疹はめちゃくちゃ痛いですか?
帯状疱疹の神経痛は個人差があり、すべての人が強い痛みを訴えるわけではありません。
皮膚の違和感がある程度の人もいれば、刺されるような痛みや焼けるような痛みを訴え、鎮痛薬を使用しなければ生活できない人もいます。
痛みの程度に関わらず、疑わしい症状がある場合には、病院の受診をおすすめします。[14]
帯状疱疹でしてはいけないことは?
帯状疱疹は治療が遅れると合併症や後遺症を引き起こします。そのため、原因不明の発疹や痛みを感じたときもしくは症状が悪化したときは放置しないようにしましょう。
帯状疱疹と診断されている場合は、水疱をむやみに触ったり、潰したりするのはやめましょう。水疱が破れて細菌感染を引き起こす原因となるからです。
また、顔に帯状疱疹ができていて、充血など目に症状がある場合はコンタクトの使用は控えてください。目にウイルスが付着して炎症を起こしてしまうからです。[15]
帯状疱疹を早く治す方法はありますか?いつまで安静にしていればいいですか?
早期に治療を開始し、休養を十分にとることが治療の近道です。そもそも帯状疱疹が現れるときは、体力や抵抗力が低下している場合が多いです。
睡眠や栄養をしっかりとるようにしましょう。帯状疱疹は適切な治療を行えば2〜3週間で完治する病気です。
安静にする期間については、症状の進行が止まる、もしくは症状が改善してくるおよそ1週間ほどが目安ですが、無理をしすぎると症状が悪化する可能性もあります。
必ず医師と相談するようにしてください。[16]
帯状疱疹は何日ぐらいで治りますか?薬を1週間使っているのに治りません…
皮膚の症状や神経痛に関しては、抗ウイルス薬などを使用しても2〜3週間ほど続くことがあります。
症状が日に日によくなっているようであれば、あまり心配せずに様子を見てください。
ただし、症状がまったくよくならない、もしくは悪化するようでしたら再度医師の診察を受ける必要があります。[16]
帯状疱疹の治りかけはどんな症状が出ますか?
皮膚の症状や痛みが段々と和らいできたら、帯状疱疹が治ってきているサインです。発疹や皮疹は2週間ほどで乾燥してかさぶたとなり、その後はがれ落ちます。
その頃になると痛みも改善していることがほとんどです。[16]
帯状疱疹が出た時の過ごし方は?休むべきですか?
帯状疱疹と診断された、あるいは疑われる症状があるときは、なるべく休養するようにしましょう。なぜなら水痘にかかっていない人に感染させてしまう危険があるからです。
とくに妊娠中の女性や子どもなど、感染させるリスクの高い人が近くにいる場合は注意が必要です。
同居している家族に該当者がいる場合は、タオルを分けるなどの感染対策を実施してください。また、感染のリスクだけではなく、帯状疱疹の治療としても休養は大切です。[15] [16]
帯状疱疹はほっといても治りますか?病院に行かなくてもいいですか?
帯状疱疹が疑われる症状が現れた場合は、早期に病院の受診をおすすめします。なぜなら早期治療が行われないと、合併症や後遺症が現れる可能性が高くなるためです。
合併症では、角膜炎などの目の病気や顔面麻痺など神経疾病、難聴やめまいなどの症状が現れる可能性があります。
また帯状疱疹後神経痛という後遺症に悩まされ、数年以上痛みに苦しんでいる方もいます。
原因不明の皮膚症状が現れた場合は、必ず病院を受診するようにしましょう。[15]
帯状疱疹の薬は市販で買えますか?おすすめはありますか?
市販薬の中には同じ成分のものもありますが、帯状疱疹の適応ではないため使用できません。疑われる症状がある場合は、医師の診察を受けるようにしましょう。[12] [13]
帯状疱疹の時、ロキソニンは何回使えますか?
市販のロキソニンは1日に服用できる量が決まっています。
医師から特別な指示がない市販薬であれば、ロキソニン60mgを1回1錠、1日2回までというのが一般的です。内服の間隔は、6〜8時間は空けるようにしてください。[17]
帯状疱疹に塗っていい薬は?また、塗ってはいけない薬はありますか?
帯状疱疹の塗り薬では、抗ウイルス薬の他に鎮痛剤や抗炎症薬(アズノール軟膏など)、抗菌薬を用います。逆に塗ってはいけない薬はステロイド薬です。
なぜならステロイド薬の副作用で免疫機能が下がり、症状が悪化する可能性があるからです。[2] [18] [19]
帯状疱疹にリンデロンなどのステロイド軟膏は使えますか?
リンデロンなどのステロイド軟膏は、帯状疱疹を悪化させる可能性があるため基本的には使えません。[19] [20]
帯状疱疹は癌の前触れですか?
帯状疱疹が発症したからといって、必ずしも癌が発症するわけではありません。帯状疱疹の原因は免疫力や抵抗力の低下です。
癌の方が帯状疱疹になりやすいという報告はありますが、帯状疱疹が癌を引き起こすと現段階では考えられていません。[21] [24]
まとめ
今回は帯状疱疹の治療や医療用医薬品、市販薬についてまとめました。
帯状疱疹の治療では、抗ウイルス薬や鎮痛薬、抗菌薬などの投与を行います。治療の基本は抗ウイルス薬を内服や患部へ塗布することです。
市販薬では帯状疱疹に使用できる抗ウイルス薬はありませんが、ロキソニンなどの鎮静剤は購入できます。
しかし、自己判断は病気の悪化を招く可能性もあるため、痛みが強い場合は再度診察を受けるのをおすすめします。
帯状疱疹は早期に治療を開始することが重要になります。。疑わしい症状がある場合には放っておかず、医師に相談するようにしましょう。
症状がつらくなったときに病院が休みだったらどこを頼ればよいのか困ってしまいますよね。
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参考文献
[10]医療用医薬品 : ゾビラックス (ゾビラックス軟膏5%)
[15]その症状は帯状疱疹?帯状疱疹の症状についてと疑いがあるときしてはいけないこととは
[17]ロキソニンS 添付文書(PDF) (daiichisankyo-hc.co.jp)
[18]帯状疱疹について~症状・治療・予防~ - 西川内科呼吸器・整形外科クリニック ブログ
本記事に掲載されている情報は、一般的な医療知識の提供を目的としており、特定の医療行為を推奨するものではありません。
具体的な病状や治療法については、必ず医師などの専門家にご相談ください。