帯状疱疹は癌の前触れ?原因や治療方法についても解説

更新日: 2024/09/29
帯状疱疹にかかってしまった人やそのご家族にとって、症状や治療方法、注意点など様々な不安要素があるのではないでしょうか。 最近ではネット検索で一般的な症状等を検索する人も多いようですが、「帯状疱疹」と検索すると「癌」や「癌の前触れかも」と表示され、さらに不安に感じてしまうことでしょう。 必ずしも帯状疱疹と癌が結びつくわけではありませんが、実は癌と帯状疱疹には関係性があるのです。 海外の研究によって科学的に関係性が証明されているため、リスクを知っておくことで適切な対処を実施することができます。 まずは、帯状疱疹と癌の関係性を知り、根拠のあるデータから情報を取り入れておきましょう。 今現在、帯状疱疹を発症して「癌の前触れかも・・・」と不安に感じている人も、関係性やリスクを知っておくことで、むやみに怖がることなく帯状疱疹の治療に専念できるでしょう。 この記事では、帯状疱疹と癌の関係性や帯状疱疹の治療方法について解説します。
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帯状疱疹は癌の前触れなの?

帯状疱疹を発症したからといって、必ずしも「癌の前兆」というわけではありません。

帯状疱疹は、子どもの頃にかかった水ぼうそうのウイルスが、体力や免疫力の低下によって再度症状を引き起こすことで発症するのです。

そのため、水ぼうそうになったことがある人であれば、誰でも帯状疱疹を発症する可能性があると理解しておきましょう。[1]

では、なぜ帯状疱疹と癌が結びつけられるのでしょうか。癌と帯状疱疹の関係性についてもう少し詳しく解説していきます。

帯状疱疹と癌との関係性は?

帯状疱疹は水ぼうそうと同じ「水痘・帯状疱疹ウイルス」が原因の病気です。水ぼうそうに一度でもかかったことがある人は、完治したと思っていても実は体内にウイルスが潜み続けています。

通常、症状を出さずに背骨に近い神経に潜んでいますが、加齢や疲労によって免疫力が低下すると発症します。[1]

癌、特に血液系の癌では白血球などの免疫に関係する細胞が減少して、免疫力が低下する傾向があります。

また、癌治療中で抗がん剤や放射線治療を実施している場合も、骨髄機能に少なからず影響を及ぼすため免疫力が低下するといわれています。

その結果、帯状疱疹を発症するケースもあるのです。

逆に、帯状疱疹を発症している人は免疫力が低下している状態のため、癌になりやすい状態と考えて良いでしょう。

ただし、必ずしも帯状疱疹が「癌の前触れ」というわけではありません。 

免疫力が低下している場合、健康で免疫力が正常な人にとっては全く問題とならないような感染症になりやすく、重症化するリスクも高い傾向にあります。

帯状疱疹を発症して免疫力が低下している時は、癌だけでなく感染症にも注意しましょう。

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癌患者は帯状疱疹のリスクが高い

海外の研究では「癌患者が帯状疱疹にかかるリスクが高い」という結果が示されています。具体的な例を2つ紹介します。

  • イギリスの研究では癌患者の場合、健康な人に比べて帯状疱疹にかかるリスクが約1.29倍高く、特に血液がん(白血病や悪性リンパ腫、多発性骨髄腫など)の場合、約2.46倍も高いという報告があります。また、若年層から60代までのリスクが高いとされ、癌と診断されてから2〜3年以上リスクが持続するとされています。[2]

  • アメリカの研究では血液がんの場合は、健康な人に比べて4.8倍も帯状疱疹にかかるリスクがあるとの報告があります。[2]

癌治療中の人だけでなく、治療が終了した人も帯状疱疹にかかるリスクが高いと理解しておきましょう。

帯状疱疹は「免疫力の低下」が原因

帯状疱疹は、多くの人が子どもの頃に感染する水ぼうそうと同じ「水痘・帯状疱疹ウイルス」によって発症します。

日本の成人の場合、約9割が「水痘・帯状疱疹ウイルス」を体内に持っているとされ、帯状疱疹は誰でもなり得る病気です。[1]

水ぼうそうが治り完治したと思っていても、ウイルスは背骨に近い神経に潜み、普段は免疫によって活動が抑えられています。

しかし、加齢や疲労、ストレス、病後の体力低下によって免疫力が低下するとウイルスが再び動き出し「帯状疱疹」を発症します。

特に50代からは免疫力が低下しやすく、帯状疱疹の発症率が高まるため注意が必要です。[3]

帯状疱疹になりやすい人とは?

帯状疱疹になりやすい人は下記に当てはまる人です。ご自身や家族に当てはまる項目がないかチェックしてみましょう。

【当てはまる人は要注意】[2][4]

  • 水ぼうそうにかかったことがある人
  • 50歳以上の人
  • 免疫機能が低下するような持病(白血病や悪性リンパ腫などの血液がん、全身性エリテマトーデスなど)がある人
  • 免疫機能を低下させるような薬を飲んでいる人
  • 過度なストレスを感じ疲労が溜まっている人
  • 帯状疱疹ワクチンを接種していない人
  • 大病や怪我をした直後の人

水ぼうそうにかかったことがある人であれば、誰でも帯状疱疹を発症する可能性があります。特に上記項目に当てはまる人は、よりリスクが高いと考えておきましょう。

帯状疱疹の症状 

帯状疱疹は、神経痛のようなズキズキとした疼痛や、チクチクするなどの知覚異常、痒みが数日から1週間続くのが一般的な症状です。

また体の左右どちらかに帯状の紅斑ができ、その時期に軽度の発熱や頭痛などの全身症状がみられることもあります。

紅斑の出現後1週間までは紅斑や水ぶくれが新たにでき、皮疹部が広がる症状がみられますが、だんだんと治癒に向かいます。約2週間でかさぶたとなり、約3週間でかさぶたが脱落して治癒することが多いです。[5]

帯状疱疹の治療方法

帯状疱疹の治療では、原因となるウイルスを抑制する「抗ウイルス薬」が用いられるケースが一般的です。

その他、皮膚症状に合わせて鎮痛剤や塗り薬を用いて炎症や痛みを和らげます。

ウイルスは放置しておくと、どんどん増殖してしまうため早めの治療開始が望ましいです。

可能であれば、皮膚症状が出てから3日以内に抗ウイルス薬を服用すると、より効果的だと言われています。

帯状疱疹は、その人の抵抗力によって重症度が決まります。初期に軽症であっても、無理をすることでいくらでも重症化する疾患です。症状が出始めたらできるだけ早く医療機関を受診しましょう。[6]

治療方法についてもう少し詳しく解説します。

薬物療法

帯状疱疹の治療では、抗ウイルス薬による内服で治療を行います。

主に用いられる抗ウイルス薬(内服薬)は以下の通りです。

  • アシクロビル

  • バラシクロビル

  • ファムシクロビル

 一般的に抗ウイルス薬は、飲み薬が処方されますが、症状に応じて点滴薬が使われることもあると知っておきましょう。

抗ウイルス薬はその名の通り、帯状疱疹を引き起こすウイルスの増殖を抑える働きをします。

そのため、治療開始が早ければ早いほどウイルスの増殖が抑えられ、重症化に繋がりにくいのです。

症状を自覚したら早めに受診をしましょう。

 また、抗ウイルス薬の他に帯状疱疹の痛みを抑える鎮痛薬や、皮膚症状を抑える塗り薬が処方されるケースも多いです。

痛みの程度や皮膚症状に応じて異なるため、症状の変化に合わせて処方してもらうと良いでしょう。[6]

休息をとろう

帯状疱疹を発症している期間は、休息をとることが重要です。

もちろん医師から処方された薬を用いて早期に治療を開始することも大事ですが、薬だけ飲んでいれば良いというわけではありません。

帯状疱疹を発症しているということは、疲労やストレスなどから免疫力や体力が低下しているため、休息が必要なサインと捉えて良いでしょう。

発疹が現れてから10日間は特に安静にしておく必要があります。

万が一、発症中に無理をしてしまうと重症化に繋がる恐れもあるためです。

少し症状が落ち着いたからといって、通常通りの生活にすぐに戻るのではなく、これを機に養生するくらいの気持ちでしっかり休息をとりましょう。

 また、免疫力を低下させないように、栄養バランスのとれた食事と質の良い睡眠をしっかりとることも大切です。

肉体的・精神的な安静が治癒への近道だと理解しておきましょう。

早めに受診しよう

帯状疱疹の症状が現れたら、ためらわず早めに受診しましょう。

発疹が現れたら3日以内に皮膚科などの医療機関を受診してください。

遅くとも5日以内に抗ウイルス薬による治療を開始することで、重症化を避け帯状疱疹の後遺症のリスクを低減することに繋がります。

 なぜできるだけ早く治療を開始することが重要なのでしょうか。

実は、治療薬は服用してからすぐにウイルスの活動が抑えられるわけではなく、体内に薬が取り込まれて効果を発揮するまで2〜3日かかり、症状が改善するのもそれ以降となってしまいます。

そのため、治療開始が遅れると症状が長引くだけでなく、抗ウイルス薬の効果も最大限に期待できない可能性があるのです。

その結果、発熱や頭痛などの全身症状を引き起こしたり、後遺症として神経痛が残ったりすると考えられています。

 身体の左右どちらかに違和感やかゆみ、ピリピリとした痛みを感じた場合や、帯状の赤い発疹が現れたら、早めに皮膚科などの医療機関を受診して治療を開始しましょう。

帯状疱疹を予防する方法はあるの?

帯状疱疹は免疫力が低下した場合にかかるリスクが高まる病気です。そのため、日頃から免疫力を低下させないよう心がけると良いでしょう。

 普段からバランスの良い食事や質の高い睡眠など、健康的で規則正しい生活をおくることが重要です。

また、心身ともに過度なストレスが溜まらないよう適度な運動を行い、帯状疱疹を発症しにくい体づくりを心がけましょう。

また、50歳以上の人はワクチンによる予防が勧められています。選択肢の一つですが、ワクチン接種することで発症率が低減し、後遺症の発症も抑えられるのです。[7]

帯状疱疹はワクチンで予防できる!

今まで水ぼうそうにかかったことがある人も、年齢を重ねるごとに水痘・帯状疱疹ウイルスに対する免疫も弱まってきます。

ワクチンを接種することで、改めて免疫を獲得でき帯状疱疹の予防に繋がるでしょう。

また、帯状疱疹を発症したとしてもワクチンを接種していた方が軽症ですむとの報告もあります。

帯状疱疹のワクチン費用に関しては公費助成を受けられる場合もあるため、お住まいの自治体に確認してみましょう。[7]

 ただし、抗がん剤治療中の方やステロイドホルモン剤による治療中で免疫力を抑制されている場合や明らかに妊娠している人は生ワクチンを接種できません。

また、生ワクチンを接種して2ヶ月は妊娠を避けた方が良いとされています。[8]

接種時は主治医に注意点をしっかり確認しておきましょう。

まとめ:帯状疱疹は免疫力が低下しているサイン!定期的に検診を受けよう

帯状疱疹にかかってしまったからといって、必ず癌の前触れというわけではありません。

むやみに恐れず、心配な場合は主治医に相談すると良いでしょう。

しかし、癌になると免疫力が低下し帯状疱疹になることもあります。

一方で、帯状疱疹にかかってしまった人も免疫力が低下しているため、癌になりやすい状態であると理解しておきましょう。

帯状疱疹が必ずしも癌に結びつくわけではありませんが、定期的にがん検診を受けておくことが重要です。

万が一、異常がある場合も早期発見・早期治療に繋がります。

また、水ぼうそうを発症したことがある人なら、誰でも帯状疱疹を発症するリスクがあります。

帯状疱疹予防のためにも日常生活を見直し、免疫力を高めていきましょう。

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参考文献

[1]水痘帯状疱疹ウイルス疾患の病理

[2]国立がん研究センター 東病院|帯状疱疹(たいじょうほうしん)について |

[3]Herpes Zoster and Recurrent Herpes Zoster

[4]https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/28480280/

[5]ヘルペスと帯状疱疹 Q13

[6]https://www.dermatol.or.jp/qa/qa5/q18.html

[7]帯状疱疹と帯状疱疹ワクチンについて 東京都保健医療局

[8]日本小児科学会「知っておきたいわくちん情報 ワクチン接種に注意が必要な場合」

本記事に掲載されている情報は、一般的な医療知識の提供を目的としており、特定の医療行為を推奨するものではありません。

具体的な病状や治療法については、必ず医師などの専門家にご相談ください。

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