熱中症の症状に寒気はある?
熱中症の症状として、寒気を感じることがあります。
これは熱中症によって体内の水分が失われることで、体温調節の働きが乱れるためです。
体内の水分が不足すると、血液の量が減ります。
そうすると脳や心臓などの重要な臓器から優先的に血液が送られ、手足の血管がせまくなり、皮膚や手先などの細い血管の血流が低下します。[1]
これらの血流が減少し、からだの外側(皮膚)での熱放出がうまくできなくなると、体温調節が乱れ、寒気を感じることがあるのです。
熱中症による寒気は、体内の水分不足によって血流が変化し、体温調節が乱れることで起こります。
熱中症の寒気は中等症の可能性も
熱中症によって寒気が出ている場合は、脱水が進んで体温調節がうまくできなくなっている状態です。
放置してしまうと内臓にダメージがおよんだり、意識障害を引き起こしたりする恐れがあります。
寒気がある場合は中等症のサインとみなし、早めに医療機関で適切な処置を受けましょう。
熱中症の寒気だけで風邪やコロナと見分けることは可能?
寒気の症状のみで、風邪やコロナなどの感染症と熱中症を見分けることは難しいです。
なぜなら風邪やコロナの場合も、発熱前に寒気(悪寒)の症状があらわれるためです
風邪やコロナにかかると、からだはウイルスと戦うために体温を上げようとします。[2]
ウイルスの増殖をおさえ、免疫力を高めるためです。[3]
からだが熱を上げようとすると、普段の体温が寒く感じ、寒気やふるえが起こります。これが「悪寒」とよばれる現象です。[2]
一方熱中症による寒気は、からだの脱水状態により、体温調節がうまくできないことで生じます。
こうしたメカニズムの違いはあるものの、見た目だけでどちらか判断するのは困難です。
確実に判断するためには、医療機関で医師の診察を受ける必要があります。
熱中症の寒気以外の症状について
熱中症は、寒気以外にも注意すべき症状があります。
重症度 |
おもな症状 |
軽症(Ⅰ度) |
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中等症(Ⅱ度) |
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重症(Ⅲ度) |
|
あらわれている症状によって軽症(Ⅰ度)から重症(Ⅲ度)まで分類されます。
とくに意識が正常であるかどうかが、重症度を判断するポイントです。[4]
ぼんやりしていたり、反応が鈍かったりする場合は、意識障害があらわれている可能性があります。
すぐに医療機関で適切な処置を受けましょう。
熱中症の症状のくわしい情報は、以下の記事を参照してください。
※「熱中症 症状」の記事を内部リンク
熱中症で寒気がした場合の対処法は?
熱中症で寒気を感じた場合、中等症である可能性があります。つぎの対策をとりましょう。[4]
-
安静
-
水分と塩分を補給
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医療機関へ相談
熱中症の中等症以上では、原則として医療機関で治療を受ける必要があります。とくに自力で水分・塩分の摂取が困難な場合は、すぐに医療機関へ相談してください。
以下は重症度別の対処法です。
重症度 |
対処法 |
軽症(Ⅰ度) |
自宅やその場で以下の対処をとる
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中等症(Ⅱ度) |
医療機関で以下の処置を受ける
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重症(Ⅲ度) |
入院して以下の治療を受ける
|
軽症でも症状が改善しなかったり、自力で対処ができなかったりする場合は、医師の診察を受けましょう。
また、ふらつきや意識障害がみられるときは、転倒によるけがや事故などの二次被害が推測されます。
医療機関まで安全に移動できない可能性があるため、救急車をよぶことも検討してください。
Q&A
熱中症で寒気があらわれる際の、よくある質問にお答えします。
熱中症になるとゾクゾクするのはなぜ?
熱中症でゾクゾク感じるのは、体温調節がうまくできていないためです。
熱中症は体内の水分と塩分が不足し、体温調節の働きが乱れることで発症します。
からだが脱水状態になると、発汗や汗の蒸発が十分におこなえず、体温調節の機能が低下します。
その結果、からだの体温を適切に維持できず、体温が下がり、ゾクゾクとした寒気を感じるのです。
熱中症による寒気がある場合、重症度は中等症と推察できます。速やかに医療機関を受診してください。
熱中症で寒いときはどうすればいいですか?
熱中症で寒いときは、水分と塩分を補給しながら、すぐに医療機関を受診してください。
というのも、熱中症によって寒気を感じているときは、すでに体温調節の機能が正常に働いていない状態だからです。
このまま放っておくと、高体温や意識障害などのリスクが高まり、命にかかわることがあります。
「まだ大丈夫」と油断せず、かならず医師の診察を受けましょう。
脱水になると悪寒がするのはなぜ?
からだが脱水状態になると、体内の水分と塩分が不足し、体温調節がうまくできません。
体温を維持することが難しくなり、体温が下がることもあります。
このように、体温調節の機能が乱れることで、体温が下がり寒気やふるえが生じます。
まとめ
熱中症や脱水状態で寒気や悪寒を感じた場合、すでに体温調節機能が正常に働いていないサインです。
このまま放置すると、高体温や意識障害など命にかかわる症状が出る可能性があります。
水分や塩分を補給し、涼しい場所で安静にしつつ、かならず医療機関を受診してください。
からだの異変を軽視せず、早めの対処が健康を守るために不可欠です。
命を守るためにも、正しい対応を心がけましょう。
熱中症は、気付いた時にはかなり脱水症状が進行していたり、判断が遅れて重症化するケースがあります。
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参考文献
本記事に掲載されている情報は、一般的な医療知識の提供を目的としており、特定の医療行為を推奨するものではありません。
具体的な病状や治療法については、必ず医師などの専門家にご相談ください。