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りんご病とは
りんご病は子どもを中心に見られるウイルス性の感染症で、正式名称を「伝染性紅斑(でんせんせいこうはん)」といいます。
両頬がりんごのように赤くなることから「りんご病」とよばれるようになりました。
おもに冬から春にかけて流行しますが、2024年は10月頃から感染者が増え、11月には東京都で警報レベルに達したと報告されています。[1]
一般的にりんご病は自然に治るため、軽度の病気と見られがちです。
しかし大人や妊婦が感染した場合、症状が重くなることもあるため、原因や感染経路を把握しておくことが大切です。
原因
りんご病の原因は、ヒトパルボウイルスB19というウイルスです。[1]
2024年12月時点では、ヒトパルボウイルスB19をすぐに特定する検査はありません。[2]
多くの場合、医師が患者の症状から判断して診断されます。
感染経路
ヒトパルボウイルスB19のおもな感染経路は2つあり、ひとつは患者の咳(せき)やくしゃみなどに含まれるウイルスを吸い込むことによる「飛沫感染」です。
もうひとつはウイルスが付着した手で口や鼻に触れて感染する「接触感染」です。
ウイルスが体内に侵入すると、10〜20日後に頬の赤みを中心としたさまざまな症状があらわれます。[3]
頬の赤みがでる7〜10日前が感染力のある期間と言われていますが、微熱や風邪に似た症状があらわれる程度で通常の風邪と判断がつきにくいです。
また、りんご病特有の発疹があらわれるころには感染力はなくなっているため、気づかないうちに感染していることもあります。
りんご病のおもな症状
りんご病のおもな症状に頬の赤みや発疹などがあります。
症状のあらわれ方には個人差があり、顔が赤くならない人や熱が出ない人もいます。
りんご病は、風邪をはじめとするほかの病気との鑑別が難しいです。
不安な症状があらわれている場合は、医療機関に相談するとよいでしょう。
初期症状
りんご病を発症すると、頬の赤みをはじめとする特有の症状があらわれます。
- 頬の赤み:両頬がりんごのように赤くなる
- 発疹:腕や足にレース模様(網目状)のような発疹が出る
- 軽い発熱:微熱が続くことがある
- 関節痛(とくに大人の場合):指や膝(ひざ)、足首などに痛みを感じることがある
また、りんご病は発症7〜10日前に喉(のど)の痛みや鼻水など風邪に似た症状がみられます。[3]
なかには「まぶたも腫れるのか」と心配する方もおられますが、りんご病の典型的な症状ではありません。
とはいえ症状のあらわれ方には個人差があるため、医師の診察を受けることをおすすめします。
湿疹が引いて完治するまでの期間
りんご病であらわれる発疹は、通常1週間程度で消失します。[1]
なかには発疹が長引いたり一度消えた発疹が短期間のうちに再度あらわれることもありますが、多くの場合で自然に治ります。[1]
また発疹が出てもかゆみや痛みを感じることはほとんどありません。もし子どもが発症してかゆくて搔きむしってしまう場合は、受診時に医師に相談してかゆみ止めを処方してもらうとよいでしょう。
実は大人もなる病気
りんご病は子どもに流行すると思われがちですが、大人にも感染する病気です。
大人の感染率を明らかにしたデータはないものの、医療機関で働く看護師や看護学生の集団感染が確認された事例もあります。
大人が感染すると、子どもとは別の症状があらわれる傾向です。[3]
- 関節痛
- 手足のむくみ
- 頭痛
- 歩行困難(関節炎の悪化)
成人のなかでもとくに妊婦は胎児への影響が大きいため、感染対策を徹底しなければなりません。[3]
妊娠初期の場合はとくに注意が必要ですが、感染してもかならず発症するわけではありません。
2024年12月時点でも、りんご病は未だ流行中です。
過度に心配しすぎず、外出時はマスクの着用、外出後は手洗いやうがいなど、基本的な対策をおこないましょう。
りんご病の治療方法
りんご病に治療法はなく、起きている症状をやわらげる対症療法で経過をみます。
たとえば発熱がある場合には解熱剤が、発疹によるかゆみが強い場合には抗ヒスタミン剤が処方されます。
無理をせず、症状がつらいときは医師と相談しながら適切な治療を受けましょう。
りんご病になったら医療機関を受診するべき?
りんご病は自然に治ることがほとんどですが、以下の場合には医療機関を受診することをおすすめします。
- 発疹やかゆみが強く、日常生活に支障が出ている場合
- 家族や職場に妊婦がいる場合
- 症状が1週間以上続く場合
早めに受診することで、症状を軽減し感染拡大を防げます。
りんご病に似た病気は?
りんご病の症状である頬の赤みや、発疹はほかの病気でも起こります。
子どもの場合 |
大人の場合 |
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りんご病とほかの病気の区別がつかない場合は、病状の悪化を防ぐために医療機関に相談しましょう。
子どもの病気(溶連菌、風疹など)
りんご病に似た病気で子どもによくあらわれるのは、A群溶血性レンサ球菌咽頭炎や風疹、麻疹です。[4][5][6]
りんご病に似た病気の種類 |
症状の特徴 |
A群溶血性レンサ球菌咽頭炎(溶連菌) |
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風疹 |
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麻疹(はしか) |
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それぞれの特徴を知り、病気の推測に役立ててください。
大人の病気(クッシング症候群や酒さなど)
大人の場合、りんご病とよく似た症状があらわれる病気にクッシング症候群と酒さ(しゅさ)があげられます。[7][8]
りんご病に似た病気 |
症状の特徴 |
クッシング症候群 |
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酒さ |
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クッシング症候群や酒さは、皮膚の症状以外にあらわれているもので区別できます。
自分や家族に起きている症状をあらためて確認してみましょう。
よくある質問
りんご病に関して患者や家族が抱きやすい疑問にお答えします。
さらに知識を深め、正しい対策をとりましょう。
りんご病は出席停止になりますか?
りんご病は発疹が出た段階で感染力がほとんどなくなるため、法律上では出席停止の対象になりません。[9]
ただし、症状が強い場合や体調がすぐれない場合は、無理をせず自宅で休むのが望ましいです。
りんご病の症状はうつりますか?
りんご病はウイルス性の感染症であり、人から人へうつります。
発疹が出る前の潜伏期間の感染力が強いため、気づかぬうちにうつっている可能性があります。
発疹が出たあとは、うつる心配はほとんどありません。
まとめ|りんご病であると判断できない場合は速やかに医療機関へ受診を
りんご病はウイルス性の病気で子どもも大人も感染する可能性があり、特有の症状があらわれます。
- 頬の赤み
- レース状(網目状)の発疹
- 軽い発熱
- 関節痛
多くの場合で自然に治る病気ですが、大人や妊婦は重症化することもあるため、正しい感染対策が必要です。
症状だけでは風邪と区別しづらく、似たような症状があらわれるほかの病気も存在します。
不安を感じる症状があらわれたら、ら早めに医療機関を受診しましょう。
症状がつらくなったときに病院が休みだったらどこを頼ればよいのか困ってしまいますよね。
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参考文献
[2]Parvoviruses|NCBI Bookshelf
[3]パルボウイルスB19感染症(Human parvovirus B19 infection)|日本感染症学会
[4]A群溶血性レンサ球菌咽頭炎とは|NIID国立感染症研究所
[6]麻しん(はしか)(Measles)|厚生労働省検疫所「FORTH」
[7]クッシング病(下垂体性ACTH分泌亢進症)(指定難病75)|難病情報センター
本記事に掲載されている情報は、一般的な医療知識の提供を目的としており、特定の医療行為を推奨するものではありません。
具体的な病状や治療法については、必ず医師などの専門家にご相談ください。