脳炎について
脳炎の特徴・要因・症状
脳炎の特徴
脳炎は、白血球が脳の中に入って炎症が起きるものです。
脳炎としては、感染性脳炎という脳に病原体のウイルス、真菌、細菌、寄生虫というようなものが感染して起きるものと、自己免疫性脳炎という自己免疫で起きるものがあります。
要因が分かった感染性脳炎の中の急性ウイルス性脳炎の場合は、6割が単純ヘルペス脳炎という単純ヘルペスウイルスで起きています。
ヘルペスというのは、水疱が口唇の周りや外陰部に現れるものです。
単純ヘルペス脳炎は、死亡率が現在でも1割あり、過半数の人が後遺症の高次脳機能障害や記憶障害などのために社会に復帰することが難しいものであり、治療を早期に始めることが必要です。
一方、自己免疫性脳炎というのは、脳の組織を白血球が壊すものです。
脳炎が、ワクチン接種やウイルス感染、がんによる免疫反応で起きる場合もあります。
脳炎の要因
脳炎の要因は、いろいろな病原体です。
脳炎の代表的な要因としては、ウイルス、結核、細菌、真菌などがありますが、場合によっては要因に寄生虫やがん細胞がなったりする場合もあります。
脳炎のほとんどはウイルス性の要因で、栄養バランスと安静に注意すると完全に治ります。
しかし、単純ヘルペスウイルスの場合は注意する必要があります。
日本においては、100万人あたり年間に1人程度ですが、症状が重くなる場合が多く、適切に抗ウイルス剤を使用する必要があります。
また、細菌性髄膜炎の場合は、細菌が脳の中にどこから侵入したかを確認しないとよく再発するため、鼻の検査をして蓄膿症があるか確認したり、耳の検査をして中耳炎などがあるか確認したりすることもあります。
脳炎の症状
主な脳炎の症状としては、頭痛、意識障害、発熱、けいれんですが、麻痺や異常な言動が起きる場合もあります。
発症するのが急な場合が多くありますが、月単位や年単位で悪くなることもあります。
急に頭痛と高熱が起きる場合は、まず、脳炎の疑いがあります。
脳炎が進むと、痙攣が起きたり、朦朧とした意識になったりする場合もあります。
脳炎になれば、項部硬直という首の後が痛くなって、痛みがあるので前に首が曲げられなくなります。
治療を早期に適切に行うと、体から病原体が無くなって完全に治りますが、場合によっては後遺症が残って意識が悪い状態であったりします。
脳炎の診断と検査
脳炎の診断は、脳の状態を頭部MRI検査によって調べます。
単純ヘルペス脳炎の場合は、異常が側頭葉の内側や前頭葉の底面に現れます。
炎症が脳に起きているか、また病原体があるかを調査するために、体の中の液体を針を刺して採る腰椎穿刺による脳脊髄液検査によって、脳脊髄液の中のたんぱくや細胞数を調べます。
また、脳脊随液の中のウイルス遺伝子を、PCR法という遺伝子を増幅するもので調べることもあります。
この方法で陽性になると確実に診断ができますが、治療の影響や検査時期によっては分からないこともあります。
けいれんが起きている場合は、てんかん性異常が脳波検査で分かる場合があります。
脳炎の治療法
単純ヘルペス脳炎という感染性脳炎の中において最も多いものの場合は、アシクロビルを使用します。
アシクロビルで効果が期待できなければ、ビダラビンを使用します。自己免疫性脳炎の場合は、副腎皮質ステロイド剤、免疫グロブリン静注療法、免疫抑制剤、血漿交換療法などを使用します。
自己免疫性脳炎の場合は、副腎皮質ステロイド剤、免疫グロブリン静注療法、免疫抑制剤、血漿交換療法などを使用します。
けいれんが起きている場合は、抗けいれん薬を使用します。
自己免疫性脳炎で腫瘍が伴う場合は、腫瘍切除を可能であれば行います。
脳炎の予防
脳炎の予防接種については、平成17年から安全性の問題がワクチンにあるため、積極的に受けることが中止されました。
しかし、日本国内に脳炎ウィルスが散在しているので、「小児の3歳〜7歳半」と「小児の9歳〜13歳」に対して積極的に脳炎の予防接種を受けることが、平成22年から再開されました。
一方、この年令になっていなくて1回も予防接種を受けていない、例えば8歳などの多くの小児に対する対応が問題になっていました。
これに対しては、予防接種を推奨する年令は基本的に従来と変わっていませんが、予防接種が次のように拡大されています。
- 3歳〜7歳6ヶ月の場合は1期3回
- 9歳~13歳の場合は2期1回
脳炎の予防接種は、可能な限りこのような年齢で受けることが望まれます。
では、どのようなことに注意すると脳炎にならないのでしょうか?
コガタアカイエカという脳炎ウイルスを媒介する蚊は、雑草の茂みや水田などに昼間は潜んでおり、日没になった後に活発に活動するようになります。
そのため、蚊に刺されないように、夏のシーズンに夜外に出ないようにする、網戸を使って部屋の中に蚊が入らないようにする、夜間に戸や窓の開閉を多くしないなどを考えることが大切です。
また、10月頃までは人を蚊が刺すので、夏のシーズンが終わっても注意がしばらくの間は必要です。
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本記事に掲載されている情報は、一般的な医療知識の提供を目的としており、特定の医療行為を推奨するものではありません。
具体的な病状や治療法については、必ず医師などの専門家にご相談ください。