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コロナ禍で、足のむくみやだるさを訴える人が急増
新型コロナウイルスの感染蔓延後、息切れや動悸などコロナウイルス感染症がもたらす症状と似た訴えをする人の受診が増えるとともに、コロナとは一見関係なさそうに思えるむくみで受診される人も増えたと感じる医師がいました。
何らかの病気がむくみの原因になることはあるものの、実際には単に生活習慣の変化に伴うむくみであることがほとんどでした。
例えば、新型コロナウイルスの蔓延によって感染が怖くなったために毎日していた散歩に行かなくなった、テレワーク導入後にむくみが出てきたなど、あまり足を動かさずにじっとしていたことが原因だったケースもみられました。
また、食べ過ぎで体重が増えたためなども、原因であったとされています。
コロナと無関係ではない足のむくみやだるさ
注意しなければならないのは、新型コロナウイルスに感染すると血管に炎症を起こし、血栓症を発症するリスクがあることです。
血栓症とは血管内に突然血の塊である血栓ができて閉塞する病気で、血栓が脳内に詰まれば脳梗塞、心臓内に詰まれば心筋梗塞、肺に詰まれば肺塞栓などの重篤な病気につながります。
新型コロナウイルス感染症が流行しはじめた当初、ICUに入室した患者の約2割に肺塞栓がみられたという報告がされました。
新型コロナウイルスの感染が原因で亡くなった患者の半数以上に、下肢深部静脈血栓症が認められたという報告もあります。
脳梗塞や心筋梗塞が主に血流の早い部分に血栓ができる動脈血栓症であるのに対し、血流の遅い部分で血栓症が起こるのは静脈血栓症と呼ばれ、代表的なものが肺塞栓と深部静脈血栓症です。
下肢深部静脈血栓症は特に脚の静脈に血栓が生じて閉塞し、脚の腫れや赤みなどが現れます。
血栓が血流に乗って肺動脈まで達し、閉塞すると肺血栓塞栓症を起こすため、まとめて「静脈血栓・塞栓症」と称されます。
「エコノミークラス症候群」という名前を耳にしたことがある人も多いかもしれませんが、エコノミークラス症候群は、まさにこの仕組みで起こる血栓が原因の病気です。
新型コロナウイルス感染症と血栓に関しては多数の論文が発表され、若い人や無症状の人でも動脈や静脈に血栓ができることが分かっています。
普通の風邪では血栓症などは発症せず、新型コロナウイルス感染症に特徴的な症状です。
足のだるさやむくみ、味覚障害、発熱など コロナ感染後の症状が不安ではありませんか? 中には後遺症があらわれてしまうことも。
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いつ、どのようなときになりやすい?
厚生労働省が2022年7月に発表した「新型コロナウイルス感染症 診療の手引き」によると、2021年4~9月に入院した 2,894人の新型コロナウイルス感染症患者のうち、1.9%にあたる55人に肺塞栓症や急性期脳卒中などの血栓塞栓症が認められました。
脳梗塞9人や心筋梗塞2人、下肢動脈血栓塞栓症1人、深部静脈血栓症18人、肺血栓塞栓症21人など、血栓ができる箇所には違いがあります。
ただし、新型コロナウイルス感染症の重症度が高いほど血栓塞栓症を引き起こす率が高く、高い致死率との関連も指摘されています。
新型コロナウイルス感染症自体の症状が悪化するタイミングで起こりやすい傾向がありますが、回復期に発症するケースも報告されているため油断はできません。
脳以外の場所から血栓などが血流に乗って流れ、脳内の血管で詰まってしまう「脳塞栓症」のなかには、脚などの静脈にできた血栓がなぜか動脈に流れ込み、脳塞栓を引き起こすケースがあります。
これは「奇異性脳塞栓症」と呼ばれ、静脈にできた血栓が心臓の中の左心房と右心房を仕切る心房中隔の孔(穴)を通って動脈に流れることで起きる脳塞栓です。
もともと胎児のときは、静脈系の右心房と動脈系の左心房の間に空いている孔を通して静脈と動脈が混合していますが、生まれると孔は閉じてしまうため、正常なら静脈と動脈が混じることはありません。
ただし、成人でも2~3割の人には小さい孔が開いたままになっていることがあります。
平常時ならその程度の孔では血流は通りませんが、力んだり激しく咳きこんだりすると動脈系の左心房側よりも静脈系の右心房側の圧力が高くなるため、右心房側から左心房側に血流が流れ込むことがあるのです。
肺にダメージを受けることが多い新型コロナウイルス感染症にかかると、激しい咳をする回数も多くなります。
その際に右心房の圧力が上がったことで、静脈にできた血栓が動脈に流れ、脳梗塞を引き起こすと考えられています。
それだけではなく、東京大学大学院理学研究科の合田圭介教授と東京大学大学院医学系研究科の矢冨裕教授、米国バージニア大学Gustavo Rohde教授による共同研究グループの研究では、新型コロナウイルス感染症の患者のうち、約9割に循環血小板凝集塊が過剰に存在することが確認されました。
血小板は血栓の形成に大きな役割を果たす存在であり、その塊が認められたということは血栓症を発症するリスクも高くなるということです。
研究では循環血小板凝集塊の出現頻度と重症度や死亡率、呼吸状態などとも強い相関関係があることも分かっています。
新型コロナウイルス感染症にかかると、呼吸器の症状や高熱などの症状だけが怖いわけではありません。感染後は誰もが血栓症に注意する必要があります。
現在は、血栓症の予防治療が行われている
海外では重症の呼吸器不全や心不全の患者、集中治療を受けている患者などには静脈血栓塞栓症を発症する頻度が高かったため、予防的に抗凝固療法が取り入れられてきました。
しかし、日本人を含むアジア人では呼吸器疾患や重症感染症で血栓症が発症するリスクは中程度とされていたうえ、出血リスクが高く、積極的に抗凝固療法は行っていませんでした。
その代わり、間欠的空気圧迫法や弾性ストッキングを用いるなど、主に理学療法を中心として対策が取られています。
しかし、「新型コロナウイルス感染症 診療の手引き」で血栓塞栓症が高い致死率との関連があるとされ、血栓予防を念頭においた治療が行われるようになりました。
実際にコロナウイルス感染症を発症した患者に血液を固まりにくくする作用を持つ抗凝固薬が投与されるようになったことで、血栓症の発症率は下がっています。
集中治療医学会は酸素投与を必要としない軽症患者へは現時点での投与は推奨をしないとしていますが、中等症患者や重症患者に抗凝固療法を行うことは弱く推奨すると示しています。
抗凝固療法は新型コロナウイルス感染症の流行初期には、血栓症予防に焦点が当たっていました。
現在は単に血栓症予防だけを目的として投与するのではなく、出血合併症を発症するリスクとのバランスを慎重に判断しながら、予後改善も見据えた投与が行われています。
コロナに感染したとき、血栓症を予防するためにしたいこと
新型コロナウイルスに感染した際の血栓症予防策として、「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)における静脈血栓塞栓症予防の診療指針 Version3.0 版」でさまざまな提言が出されました。
「脱水の予防」はもちろんのこと、「離床」や「下肢運動」、「弾性ストッキングの装着」などの理学療法を中心とする治療が推奨されています。
ここからは「軽症」と呼吸困難や肺炎所見のある「中等症I」の患者向けの予防法を紹介します。
ただし、患者によって症状は異なるため、実施するときは医師に相談してください。
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1.水分補給で、脱水を予防する
摂取する水分量に対して体から排出される水分量のほうが多くなってしまうと体内の水分量が減り、正常値以下に減少してしまう状態が脱水症状です。
血栓ができる原因として、実は体内の水分不足が挙げられています。
気温が上昇する夏などは汗をたくさんかき、血液中の水分量が不足気味になることも少なくありません。
そうなると脂肪分を多く含む血液ならドロドロ血、高血糖ならベトベト血と呼ばれる状態になり、血液の異常から生じる血栓を発症しやすくなります。
また、夏は体の熱を放出しようとして、血管が拡張しやすくなることも血栓ができるリスクになります。
血管が拡張すると血流がゆっくりになり、血液内の成分が固まりやすくなるからです。健康な状態ならば、ほとんど問題はありません。
ただ、高齢者や低体温気味の人、筋肉量が少ない人などのように、体の調節機能が低下している場合は血栓ができて血管が詰まりやすくなります。
そこで大切になるのが脱水予防です。喉が渇いたと感じるときは、すでに脱水が始まっていると考えてください。
脱水症状を引き起こさないためには、喉の渇きを感じる前に水分補給をすることが大事です。特に高齢者は喉の渇きを感じにくくなっているといわれています。
1~2時間に1回は何か飲むなど、時間を決めて定期的に水分補給をする習慣をつけるようにしましょう。
また、人は寝ている間に500mlほどの汗をかくといわれ、睡眠中や起床後は水分不足になりやすい状態です。
脱水症状を起こさないために、就寝前と起床後にコップ1杯程度の水分を摂るようにしましょう。
ただし、水分といっても、緑茶などのようにカフェインが含まれている飲み物は利尿作用があるため、逆に水分を排出してしまいます。
水分補給の目的で飲むのなら、水やカフェインの含まれていない麦茶などにしましょう。アルコールも利尿作用があるため、飲酒後は水分補給してください。
2.ベッドで同じ姿勢をとらない
健康ならば寝ている間も無意識のうちに寝返りを打って動いているため、血流が滞留することはありません。
しかし、病気や怪我、術後など体を動かせない状態が続くと血液の流れが滞り、血栓ができることがあります。
血栓ができるリスクを高めないためには、まず、できるだけ寝返りができないような狭い場所で寝ないことです。
新型コロナウイルス感染症にかかったときも、可能な範囲でときどき体を時々起こすようにしてください。
できれば座った姿勢になったり、立ち上がったり、部屋の中を歩いたりなど、なるべく長時間ベッドで同じ姿勢をとらないようにすることが大事です。
ベッドで横になっている間も、意識的に寝返りを打つようにしましょう。
ベッドに座ったまま足を下に降ろし、数回足踏みをするだけでも血栓予防には有効です。
起き上がらず、仰向けに寝たまま下肢挙上と呼ばれる体勢をとることも、入院患者に対する基本的な血栓予防として行われています。
下肢挙上は、かかとが膝よりも低くならないように注意しながら、ベッドから15cm程度の高さになるよう保つ方法です。
その体勢を保てるよう、ふくらはぎからかかとにかけてクッションなどを置いてもかまいません。
ただし、体調が悪いときにベッドから体を起こすことは呼吸や循環の状態に影響を及ぼし、身体的にも負担がかかります。
また、すでに血栓ができている急性期や下肢挙上で心肺への血流が増加すると負担がかかる心不全の患者、安静治療が必要な患者などは禁忌であるため、注意して行うようにしましょう。
3.下肢運動を行う
通常、歩いたり足を動かしたりすることで、ふくらはぎの筋肉が収縮と弛緩を繰り返してポンプの役割を果たし、足先からの血液を押し上げてくれます。
また、歩くなど足底に圧力がかかることで得られるフットポンプ作用も、筋ポンプ作用と同様に血液を押し上げる効果があります。
歩行できる状態なら、ふくらはぎの筋ポンプ作用とフットポンプ作用を活性化させて下肢静脈の流れをよくするようにしましょう。
例えば、その場で足踏みや屈伸をするなどの簡単な体操を取り入れてみてください。ふくらはぎの筋肉をしっかり使うことを意識すれば効果があります。
ベッドから起き上がれなくても足を動かせるなら、以下で紹介するような足首の背屈運動を積極的に行ってください。
足のつま先を下の方(向こう側)にゆっくり伸ばしたり、逆に上の方(手前側)にゆっくり上げたり、足首をゆっくり回したりしてみましょう。
足の指をぎゅっと閉じたり大きく開いたりするのも効果的です。片足ずつ膝の曲げ伸ばしをするのも効果があります。
4.弾性ストッキ ングを使用する
深部静脈血栓症の予防には、圧迫療法が効果的だといわれています。
圧迫療法は下肢を周囲から機械的に圧迫することで静脈血がうっ滞するのを軽減してくれるため、血栓症の予防につながります。
圧迫療法には専用器械を装着する間欠的空気圧迫法や弾性包帯の着用、弾性ストッキングの着用など複数の方法がありますが、ストッキングを履ける患者によく用いられているのが弾性ストッキングを着用する方法です。
特殊な編み方をしている弾性ストッキングは、足首周辺が最も圧迫されるようになっています。ただ、単に圧力が強いものを選べばいいというわけではありません。
治療を目的としたものと予防が目的のものでは圧力設計や耐久性などに違いがあるため、目的に合う種類を選ぶ必要があります。
長時間の使用は皮膚によくないため、長時間履くのは避けてください。また、どのような弾性ストッキングをはけばいいのかは、医師や弾性ストッキングコンダクターに相談して合うタイプを選ぶことが大切です。
- むくみが気になる
- 足がだるい感じがする
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本記事に掲載されている情報は、一般的な医療知識の提供を目的としており、特定の医療行為を推奨するものではありません。
具体的な病状や治療法については、必ず医師などの専門家にご相談ください。