新型コロナウイルスの新変異株「ピロラ」ってなに?特徴や症状、予防方法を解説

公開日: 2024/02/05 更新日: 2024/09/29
私たちの生活に影響を及ぼしている新型コロナウイルスですが、新たな変異株が確認され、注目されています。 「ピロラ」と呼ばれる新型コロナウイルスの新たな変異株が、先日日本でも初確認されたため、ニュースや新聞などで目にした人もいるでしょう。 新たな変異株と聞くと「どんな特徴があるのか」「ワクチンは効くの?」など、不安に感じますね。 今回の記事では、新型コロナウイルスの新変異株「ピロラ」について、特徴や症状、予防方法について解説します。 現在注目されている新変異株「ピロラ」について知っておくことは、体調や健康を管理をするためには重要です。 ぜひ参考にしてください。
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新型コロナウイルスの新変異株「ピロラ」ってなに?

新型コロナウイルスの「BA2.86」は、オミクロン株の新たな変異種です。

通称「ピロラ」と呼ばれています。

新型コロナウイルスの新変異株「ピロラ」の特徴や感染力、症状について解説します。

新型コロナ「ピロラ」の特徴

新型コロナウイルスの新変異株「ピロラ」の特徴は、以前のオミクロン株に比べて、ウイルスの変異している部分が多いことです。

ウイルスは生存していくために、増殖するタイミングで環境になじめるよう変異します。

変異とは、ウイルスの遺伝子がもとのウイルスの遺伝子と異なるように変化することです。

ウイルスが大きく変異すると、感染力や病原性も大きく変化する可能性があります。

ウイルスの表面には、スパイクタンパクと呼ばれる突起が存在しています。

「ピロラ」は、スパイクタンパクが30ヶ所以上も変異しており、変異の数が多いことがこのウイルスの特徴です。

新型コロナ「ピロラ」の感染力

ウイルスの変異している部分が多いと、細胞とくっつきやすくなります。

そのため、大きく変異した「ピロラ」は、感染力が強くなっている可能性があると考えられます。

海外でも新型コロナウイルス「ピロラ」の感染が広がってきており、とくに欧州大陸では、顕著に増加傾向です。

そのため、欧州疾病予防管理センターから注意を呼びかける警告がでています。[1]

それだけ、ピロラは変異の数が大きく感染力が高いことが考えられています。

しかし、まだ報告されている症例も少ないことから、研究が進められている段階です。

WHOもピロラに対して、注目すべき変異株として監視対象に指定し、監視をしていくとのことです。[2]

新型コロナ「ピロラ」の症状

新型コロナウイルスのピロラの主な症状は、発熱と喉の痛みです。高齢者や基礎疾患がある方は、ときに重症化することもあります。

若年者やワクチンを打っている人、新型コロナの罹患歴がある人は、ただの風邪と見分けがつかない程度の軽い症状で済む場合もあります。

まだ報告されている症例も少なく、症状や重症度についても研究段階のため、詳しくは分かっていません。

新型コロナウイルス「ピロラ」の予防方法

新型コロナウイルスの新たな変異株ピロラの予防方法について解説します。

新型コロナ「ピロラ」の感染予防

新型コロナウイルスのピロラも変異しているとはいえ、感染経路に変化はありません。

感染経路は以下の3つです。

  • 空気中を浮遊するエアロゾルを吸い込むことで感染するエアロゾル感染

  • ウイルスを含む飛沫が目や喉などの粘膜に付着して感染する飛沫感染

  • ウイルスが付いた手指で粘膜を触ることで感染する接触感染

感染経路は必ずしもひとつとは限らないため、それぞれの感染経路に合わせた感染予防が必要となります。

そのため、重要な感染予防対策は以下の3つです。

  • 換気

  • マスク

  • 手洗いや手指消毒

  • ワクチンの接種

換気で、室内のウイルスを外に出すことができます。定期的な換気を行い、空気の入れ替えをしましょう。

マスクは個人の判断となっていますが、感染予防のためにはマスクの着用も効果的です。

医療機関の受診時や高齢者施設を訪問する場合など、厚生労働省はマスクの着用を推奨しています。

また、事業者によってはマスクの着用を求められる場合があります。

電車やバスの通勤ラッシュや混雑した場所へ行く場合にも、マスクを着用していると感染予防効果が期待できます。

手洗いや手指消毒は重要です。帰宅時にはしっかり手洗いや手指消毒を行い、家庭内にウイルスを持ち込まないようにしましょう。

これらの感染予防対策は、新型コロナウイルスだけでなく、インフルエンザウイルスやRSウイルスなどにも有効です。

その他、ワクチンの接種も感染予防や感染した場合の重症化を防ぐ効果があります。

できることから感染予防対策を行っていくと良いでしょう。

新型コロナ「ピロラ」にワクチンは有効?

新型コロナウイルスの予防方法のひとつとして、ワクチンの接種があげられます。

エリスやピロラといったオミクロン株の変異型にも、XBB1.5対応ワクチンが効果があるということが分かっています。[3]

日本でのXBB1.5対応ワクチンの接種は、希望するすべての方を対象に2023年9月20日から接種がスタートしました。[4]

初回接種を終了したすべての方が受けることができ、2023年度中は自己負担がなく受けられます。

重症化リスクを抱えた方や新型コロナの感染を予防したい方は、しっかり予防接種を受けておくことをおすすめします。

また、秋以降インフルエンザウイルスも流行する季節です。インフルエンザのワクチンと新型コロナのワクチンは、同時接種が可能です。

予防接種は完全に病気を予防することはできませんが、重症化を防ぐ目的もあります。ワクチンの接種は、自分の健康を守ることにも繋がります。

コロナかな?と思ったらどうする?

発熱や咳が出ていると、「コロナかな?」と心配しますよね。そのようなときの対応方法を紹介します。

まずは新型コロナウイルスの市販検査キットを使って、自宅で検査してみましょう。いざというときのために、市販の検査キットを自宅に常備しておくと安心です。

検査キットで陽性が出たら、家族や同居している人へうつさないよう感染対策をしましょう。マスクを付ける、部屋をわける、換気をするなどが効果的であり、すぐに実施できます。

軽症であり、自宅にある常備薬で対応できる場合は自宅で療養します。症状の悪化がみられるときや重症の場合は、医療機関の受診が必要です。

発熱外来と一般外来をわけて診察時間を設定している医療機関も多いため、受診の前に確認しましょう。

市販の検査キットで陽性が出たことを医療機関にあらかじめ伝えておくと、受診の際スムーズです。

新型コロナウイルスは、2023年5月から感染症法の分類が2類から5類感染症に変更されています。5類感染症はインフルエンザウイルス感染症と同様の扱いです。

そのため、学校保健安全法で決められている「発症翌日から5日経過、かつ、症状軽快から2日経過」するまでの期間、学校は出席停止となります。

会社の場合、出勤のタイミングは会社の規定にしたがいましょう。

新型コロナ変異株「エリス」と「ピロラ」の違い

エリスとピロラはウイルスの変異に違いがあるのが特徴です。新型コロナウイルスは、どんどん変異を続けています。

現在は、オミクロン株の変異株エリスとピロラと呼ばれているウイルスが注目されています。

ウイルスに違いはあるものの、エリスとピロラに感染した場合、あらわれる症状に大きな変化はありません。

従来のオミクロン株と同様に、以下のような症状があらわれます。

  • 発熱

  • のどの痛み

  • 頭痛

  • 倦怠感

  • 味覚嗅覚の変化

  • 鼻水

ただし、エリスは従来のオミクロン株よりも免疫を突破しやすく、感染しやすいと言われています。

ピロラに関しては、まだ症例が少なく、研究も進んでいないため、わからないことが多いのが現状です。

WHOが、エリスは注目すべき変異株に指定し、「ピロラ」は監視下の変異株に指定されました。

WHOや日本の国立感染症研究センターでは、感染症の変異リスクや評価を行うためにウイルスの分類をしています。

懸念される変異株(VOC)

注目すべき変異株(VOI)

監視下の変異株(VUM)

  • 公衆衛生への影響が大きいとされる感染症

  • 伝播力、治療法、ワクチンの効果などが明らかになった変異株

  • 公衆衛生への影響が見込まれる感染症

  • 伝播力、治療法、ワクチンの効果に影響がある可能性の変異株

  • 国内への侵入や増加の兆候やリスクを認めるもの

  • 公衆衛生への影響が見込まれる感染症

  • 伝播力、治療法、ワクチンの効果に影響がある可能性の変異株

  • VOCや・VOIに分類された変異株でも条件を満たせば本分類に一定期間位置付ける

[5]

今後、ピロラについて、新たにわかってくることもあるでしょう。

Q&A

新型コロナウイルスに関するよくある質問をまとめました。

コロナウイルスの感染力は発症後何日くらいですか?

新型コロナウイルスの感染力は、発症2日前から発症後7~10日間は感染性のウイルスを排出しています。

その期間は外出を控えたりマスクをしたり、感染を広げないような配慮が必要です。

また、新型コロナウイルスは、感染者の咳やくしゃみなどで感染が広がります。

家族に感染者が出た場合、換気や手洗い、手指消毒をしっかりおこない、うつらないよう気をつけましょう。

コロナの第9波の特徴は?

新型コロナの第9波の特徴として、感染者の年代が若年者に多くなっています。[6]

もちろん幅広い年代で感染者は出ていますが9月に入り、夏休みが終わったことが影響していると考えられます。

新型コロナウイルスが5月に5類へ移行してから、じわじわ感染者数は増加しており、第9波の感染者数は、第8波のピークに近づきつつありました。

10月になり、少し感染者数は落ち着いてきています。これから空気が乾燥する季節のため、油断せず引き続き注意して対策をしていきましょう。

コロナが始まったのはいつ?

2019年の12月初旬に、中国の武漢で1例目の感染者が報告されました。[7]

そこから、わずか数カ月ほどで世界中へと広がり、世界的なパンデミックとなりました。日本では、2020年1月15日に最初の感染者が確認されています。

コロナウイルスの名前の由来は?

新型コロナウイルスは、「COVID-19」という名前が付けられています。

COVID-19は、「コロナ(Corona)」、「ウイルス(Virus)」、「病気(Disease)」に、WHOに報告された2019年を組み合わせたものです。

これはWHOが決めたものです。そもそも、「コロナウイルス」はウイルス群の名称で、病気を示す名称ではありません。

また、変異株が発見されると「ベータ株」「デルタ株」「オミクロン株」などと呼ばれています。これは発見された順番に、ギリシャ文字で表記されています。

以前は、発見された国の名前を付けて「〇〇型」と呼ばれていましたが、差別や偏見を避けるため、呼び方が変更されました。

まとめ

新型コロナウイルスの新変異株ピロラは、まだ症例も少なく分かっていないことが多いです。

しかし、基本的な感染予防対策は今までと変わりません。換気や手洗いを中心に、マスクの着用やワクチンの接種など、できることから取り組みましょう。

第9波も少し落ち着きつつありますが、これからインフルエンザウイルスやRSウイルスなども流行する時期です。

基本的な感染予防対策は、それらの感染症の予防にも効果的です。

新型コロナウイルスだけでなく、感染症の予防は、自分の健康を守るために大切な行動と言えるでしょう。

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参考文献

[1]ECDC、2023年秋の新型コロナウイルス感染症の感染増加、SARS-CoV-2の変異種、公衆衛生上の考慮事項に関する疫学最新情報を発表|欧州疾病予防管理センター

[2]新たなオミクロン派生株;BA.2.86、WHOの監視下に|東京都医学総合研究所

[3]新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の変異株 BA.2.86系統について|国立感染症研究所

[4]オミクロン株(XBB1.5)対応ワクチン接種対象と接種開始時期|厚生労働省

[5]変異株について|東京都保健医療局

[6]新型コロナウイルス感染症対策|内閣官房

[7]東京都での新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行(2020年1~5月)|国立感染症研究所

本記事に掲載されている情報は、一般的な医療知識の提供を目的としており、特定の医療行為を推奨するものではありません。

具体的な病状や治療法については、必ず医師などの専門家にご相談ください。

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