新型コロナ変異株「エリス」の感染力は強い?症状の特徴と予防法を解説

公開日: 2024/02/05 更新日: 2024/06/24
新型コロナウイルスが国内で初めて確認されたのは2020年1月15日です。 3年以上も変異を続け、現在流行しているオミクロン株「XBB」から派生した「EG.5」が通称「エリス」と呼ばれる新変異株です。 次々と聞き慣れない名前の変異株が出てくるので、年老いた親や小さな子どもがいる方は不安ですよね。 この記事を 最後までお読みいただくと、変異株「エリス」の症状や予防方法を知ることができます。 周囲の感染拡大を未然に防ぐ行動につながりますのでお役立て下さい。
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目次

新型コロナ変異株エリスとは?

新型コロナ変異株「EG.5」通称「エリス」はオミクロン株XBBから派生した新変異株です。 

日本では2023年3月に「EG.5」が確認されて以降、

徐々に感染拡大し、第9波に入っているとされた2023年の9月には東京都の新変異株エリスの感染が約4割とピークをむかえました。[1] 

新型コロナ変異株エリスの感染力は強いのか、感染者の推移や重症度はどれくらいなのか詳しく説明します。

新型コロナ変異株エリスの感染力は強いのか?

第9波の感染者の中で約4割が感染している新変異株エリスは、他の株と比べて感染力が強いといわれています。 

しかし、第9波には他にも感染拡大した原因が3つあります。

  1. マスクを外す人が多くなった 

  2. 外出する機会が増えた 

  3. 新型コロナに対する規制が緩和されたことで予防意識が下がった 

以上の原因の背景には、2023年5月8日に新型コロナウイルスが2類相当の感染症から5類感染症へ変更したことがあるでしょう。 

2023年8月にWHO(世界保健機構)はアジアや欧米でも感染者数が増加傾向にあることから、新変異株EG.5「エリス」を注目すべき変異株だと発表しています。[2]

新型コロナ変異株エリス感染者の推移

東京都保健医療局のサイトで東京都内のゲノム解析(EG.5)のグラフが確認できます。

東京都保健医療局 これまでも新型コロナ感染症モニタリング分析資料

東京都内の新型コロナ感染者でEG.5(エリス)感染者は徐々に増加し、2023年9月には全体の40%以上です。

他の変異株は減少している状況で、EG.5(エリス)が増えており、EG.5(エリス)の感染力が強いことが予測できます。

新型コロナ変異株エリス感染者の重症度はどれくらい?

新型コロナ変異株エリスの感染者数が増えていますが重症化リスクはどれくらいあるのでしょうか。 

WHO(世界保健機構)は重症度と臨床的な懸念に関してのリスクは低いとしています。 

東京都内で新型コロナで入院している患者数は、第9波のピーク時(2023年9月4日)では2782人が入院加療をしています。

新型コロナ全感染者数の約36%が変異株のエリスの感染者です。 

高齢者は重症化しやすい慢性疾患を治療中の方も多いため、注意が必要です。

新型コロナ変異株エリス症状の特徴

新型コロナウイルスは2020年に初めて発見されてから、何度も変異を繰り返しています。 

変異株エリスの特徴は何があるのでしょうか。 

症状やオミクロン株との違い、重症化について解説していきます。

新型コロナ変異株エリスの症状

新型コロナ変異株エリスの主な症状は以下の通りです。 

  • 頭痛

  • 咽頭痛

  • 関節痛

  • 発熱

  • 倦怠感

  • せき

  • 鼻水

  • 呼吸困難

  • 消化器症状(下痢・嘔吐)

とくにのどの痛みは、唾を飲み込むこともできないほどの強い痛みが3〜4日間持続することが多いです。 

また、せきが長引くこともありますが、1〜2週間以内に徐々にせきは改善していきます。 

しかし3週間以上せきが続く場合は肺炎や気管支炎、その他の呼吸器疾患の可能性もあるため、早めの受診をおすすめします。

今までの新型コロナオミクロンとエリスの違いはある?

新型コロナウイルスは次々と変異株が現れるなかで、今までのオミクロン株との症状の違いは少ないといわれています。

重症化する症例も少なく、オミクロンとの違いは感染力がやや高いことでしょう。

しかし2023年5月8日に5類感染症に変更後に伴い、脱マスクや行動規制が緩和されたため、感染者数が増えたと推測されます。

新型コロナ変異株エリスの症状は重症化しやすい?

新型コロナ変異株エリスはWHO(世界保健機構)の発表でも重症度は低いとされています。他の変異株に比べて重症化するリスクは高くありません。 

しかし、高齢者や慢性疾患をお持ちの方は重症化する可能性があるため、注意が必要です。

新型コロナ変異株エリスの治療法

重症化リスクが高くない若年層や慢性疾患を持っていない人の新型コロナ変異株エリスの治療法は、対症療法である解熱剤や咳止め薬の服用です。 

重症化リスクの高い疾患を持っている方や高齢者には、新型コロナウイルス治療薬の抗ウイルスの飲み薬やコロナウイルス治療薬の中和抗体薬を点滴で行います。 

ここでは抗ウイルス経口内服薬(飲み薬)と中和抗体薬(点滴)について詳しく解説します。

抗ウイルス経口内服薬(飲み薬)

軽症の新型コロナウイルス感染者の場合、承認されている飲み薬は3種類です。

しかし新型コロナウイルスに感染しても、誰もが飲み薬を服用する必要はなく、服用するかどうかは医師の判断になります。 

以下に3種類の飲み薬を解説しています。

飲み薬

投与対象

服用開始期限

注意事項


ラゲブリオカプセル

高齢者、肥満、基礎疾患のある方などの重症者リスクがある人 


発症から5日以内

妊婦又は妊娠の可能性のある人には投与不可


パキロビットパック

高齢者、肥満、基礎疾患のある方などの重症者リスクがある人


発症から5日以内

一部禁忌内服薬との併用できない 


ゾコーバ


重症者リスクのない方で

高熱・強い咳症状・強い喉の痛みなどの症状がある人


発症から3日以内

妊婦又は妊娠の可能性のある人には投与不可

一部禁忌内服薬との併用できない 

[3] 

それぞれの飲み薬に副作用観点などから投与対象者が限定されていますが、薬を処方するかどうかは診療した医師の判断によります。

中和抗体薬(点滴)

3種類の点滴で投与される中和抗体薬が承認されています。 

中和抗体薬はウイルスが細胞に侵入するのを防ぐ抗体を注入します。 

点滴薬

投与対象

適応

ロナプリーフ

ゼビュディ

重症化リスクがある人で、症状が軽症から中等症の人に

他の治療薬が使用できない

場合に限る


エバシェルド

ワクチン接種では十分な免疫の効果が期待できない人

  原発性免疫不全症

造血細胞移植後の方など

[4]

上記の薬は診療した医師の判断によって処方されます。

新型コロナ変異株エリスの予防方法

2023年5月8日に2類相当の感染症から5類感染症に変わり、規制が緩和されました。 

マスクをする人も減り、予防に対する意識も変わってきたのではないでしょうか。 

新型コロナ変異株エリスの予防はどのような方法が有効であるか解説します。

基本的な予防方法

新型コロナ変異株エリスにも、今までと同様の予防方法が有効です。 

  • 3密(密接・密集・密閉)を防ぐ 

  • こまめな手洗いと手指消毒 ・換気

  • 適切なマスクの着用 

以前のように常にマスクを着用をする必要はありませんが、人が集まる場所はマスクの着用や人の出入りが多い場所では、手指消毒をかかさないように心がけましょう。

新型コロナ変異株エリスにワクチンは効果ある?

新型コロナ変異株エリスですが、ワクチンは効果的なのか不安に思う方もいるでしょう。 

2023年秋以降接種のワクチンは、オミクロン株XBB.1.5対応ワクチンで新変異株エリスに有効です。[5] 

重症化リスクの高い高齢者や基礎疾患をお持ちの方は、ワクチン接種を検討しましょう。

Q&A

4つのQ&Aにお答えします。

オミクロン変異株の名前は?

2021年11月に南アフリカで初めて発見されて以降、オミクロン株は変異し続けています。 

2022年にはオミクロンの新変異のXBB通称グリフォンとBQ.1.1通称ケルベロスが発見されました。

いちばん新しく発見されたのがオミクロンXBB株からさらに派生したEG.5のエリスです。

コロナの症状は何から始まりますか?

コロナの初期症状は個人により変わりますが、喉の痛みや発熱・咳があり、重症化すると肺炎や呼吸困難の症状が出現します。 

さらにコロナウイルス感染者の半数が体のだるさを訴え、療養期間が終了しても改善せずに長引き、日常生活に支障がでることがあります。

新しい変異株の症状は?

いちばん最新の変異株は、オミクロン株XBBから派生した「EG.5」通称「エリス」といわれるものです。 

主な症状は以下の通りです。

  • 頭痛

  • のどの痛み

  • 関節痛

  • 発熱

  • 体のだるさ

  • せき

  • 鼻水

  • 呼吸困難

  • 消化器症状(下痢・嘔吐)

感染者のなかには、唾を飲み込むのもつらいほどの強いのどの痛みを訴えている方が多くいますが、痛みは3 〜4日で軽減します。

症状にある咳は通常、症状出現後1週間程度で徐々に改善していきますが、なかには3週間以上にわたって長引くことがあります。

せきが長引く場合は肺炎や気管支炎を併発しているか、新型コロナ感染とは関連しない他の呼吸器疾患の可能性がありますので、早めに受診しましょう。

新型コロナウイルスの特徴は?

新型コロナウイルスの特徴は以下の通りです。

  • 潜伏期間が1~14日間 

  • 発症前や無症状ウイルス保有者からも周囲を感染させることがある

  • 多くの場合は発熱・のどの痛みなどのかぜ症状と似た症状を1週間程度持続する 

  • 重症化すると呼吸困難や肺炎になる 

  • 抵抗力の低い高齢者や基礎疾患を患っている方は重症化しやすい傾向にある

  • ワクチンがあり重症化を防ぐ効果がある

2020年1月に中国武漢で初めて感染者が確認されてから、世界中に感染者が広がり、変異を繰り返しています。

日本でも感染拡大とともに、政府の対策として様々な行動規制をしてきましたが、2023年5月に5類感染症に変更され行動規制は緩和されています。

しかし、新型コロナに感染しないためには適切なマスクの使用・手洗い消毒・3密(密接、密閉、密集)が有効です。

コロナを疑う症状が出現した場合には、高齢者・基礎疾患をお持ちの方は早めに受診しましょう。

まとめ

新型コロナウイルスは長期に渡り、変異と流行を繰り返しています。 

第9波のピーク時は2023年の9月時点で、新変異株エリスが感染者の約4割を占めていました。 

変異株エリスの感染力がやや高いことが推測されていますが、2023年5月に5類感染症に変わったことや予防に対する意識の変化が感染拡大に影響しているでしょう。

新変異株エリスはこれまでの新型コロナウイルスと比べても似ている症状で、のどの痛みや発熱・せき・頭痛・消化器症状などがあります。

新変異株エリスも今までのコロナウイルスと同様に重症化する可能性もあるので、適切な予防が必要です。

予防には今まで行っていた手洗い・手指消毒・換気などが効果があります。

5類感染症になって以降は、行動規制はありませんが人が多い室内ではマスクや換気を心がけましょう。 

高齢者や基礎疾患をお持ちの方は、発熱やのどの痛みなどコロナの症状が出現した際は早めに病院を受診しましょう。

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もし、ご家族やご自身の体調でご不安な点がありましたら、ファストドクターを頼ってください。

参考文献

[1]東京都保健医療局 これまでも新型コロナ感染症モニタリング分析資料

[2]国立感染症研究所 新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の変異株EG.5.1系統について

[3]横浜市 Q&Aよくある質問 

[4]東京都保健医療局 新型コロナウイルス治療薬等について

[5]厚生労働省 新型コロナワクチン接種

本記事に掲載されている情報は、一般的な医療知識の提供を目的としており、特定の医療行為を推奨するものではありません。

具体的な病状や治療法については、必ず医師などの専門家にご相談ください。

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