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猫ひっかき病ってどんな病気?
猫ひっかき病とは、猫にひっかかれたり咬まれた傷から感染する感染症です。
猫の口の中や爪の内側に生息しているバルトネラ・ヘンセレ( Bartonella henselae 以下バルトネラ菌)という細菌が原因とされています。
この菌に感染している猫にひっかかれたり咬みつかれたりすることで感染してしまうのです。
この疾患には驚くことに夏から初冬にかけて患者が多いという特徴があります。
理由としては春に生まれた子ネコが他のネコと接触することで感染し、そこから人に感染していくことが原因なのではないかといわれています。
猫から猫や犬へも感染するの?
猫から猫、犬へも感染します。
感染経路は2つありますが、どちらも関係しているのは「ノミ」です。
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バルトネラ菌をもったノミが猫、犬を吸血することによって感染します。
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バルトネラ菌を保有したノミが猫、犬の体でフンをします。そのフンがグルーミングの際に体内に入っていきます。
(グルーミングとは猫が自身の体を舐めて毛づくろいすることです。)
猫や犬がバルトネラ菌に感染していても特に症状はありません。
ノミから猫、犬に感染するだけでなく、この菌を保有したノミが人間を刺すことで人へ感染する例も報告されています。
このように人と動物に共通する感染症のことを「人獣共通感染症」といいます。
猫ひっかき病の症状ってなに?
猫ひっかき病の症状とはどのようなものがあるのでしょう?
診断方法は?潜伏期間はどれくらい?猫ひっかき病への疑問にお答えします。
猫ひっかき病で最初にあらわれる症状は?どんな症状があるの?
猫にひっかかれてから10日以内に傷の部分がかさぶたとなり、発疹の一種である紅斑性丘疹という赤く小さく盛り上がった状態となります。
その後2週間以内にリンパ節が腫れて痛みがでます。腫れが出るリンパ節の場所は、ひっかかれた場所に近い部分です。
手がひっかかれた場合は脇の下、足をひっかかれた場合は足の付け根のリンパ節が腫れます。
腫れの大きさは卵くらいの大きさになることもあります。リンパ節の腫れは数週間~数か月続きますが、自然に治癒することが多いです。
リンパ節の腫れとともに発熱、倦怠感、頭痛や食欲不振が起こることもあります。
猫ひっかき病は多くの場合自然に治癒しますが、まれに重症化することがあります。
バリノー症候群という眼球運動障害が起こったり、脳炎などを起こしてしまうこともあるので注意が必要です。
猫ひっかき病の診断方法は?
猫ひっかき病のほとんどはひっかかれたことで気づくことができるため、検査をおこなう必要はないでしょう。
しかし赤ちゃんなど猫にひっかかれたことに気が付かない場合やノミから感染した場合など、リンパ節の痛み、腫れの原因が猫ひっかき病とは分からないケースがあります。
そして猫ひっかき病の症状の一つであるリンパ節が腫れる疾患には野兎病、抗酸菌感染症などの疾患があり、特に悪性リンパ腫との鑑別診断はしなくてはなりません。
診断方法は血液の抗体価を調べたり、リンパ節に針を刺して取り出した検体から検査をおこないます。
猫ひっかき病の潜伏期間は?
潜伏期間は数日~2週間とされています。
潜伏期間後に、まず引っかかれた部分が熱をもちだし、その後引っかかれた部分に近いリンパ節に痛みと腫れの症状がでます。
猫ひっかき病の発症率はどれくらい?
全国的な統計はとられていないため発症率は分かりませんが、年間2万人程度ではないかといわれています。
猫がバルトネラ菌を保有している確率は5~20%とされています。
そして寒冷地より温暖な気候の地域の方がバルトネラ菌を保菌しているネコが多いというデータもあり、保菌率に地域差があるのです。
詳細な数字は出ていないものの、近年のペットブームで猫と触れ合う機会が多くなっているため、発生率は少なくないといえるでしょう。
猫にひっかかれたら何科に行けばいい?
猫にひっかかれて病院に行きたいと思っても、どの科を受診すればいいか迷う方もいるのではないでしょうか。
出血が止まらない場合や深い傷の場合は速やかに救急外来や外科を受診しましょう。
そこまで深い傷ではないけれども出血がある場合は、皮膚科や整形外科、形成外科が選択肢として挙げられます。
受診する際、猫にひっかかれたことが分かっている場合は医師に伝えます。
ひっかいた猫が飼い猫なのか、野良猫なのかも分かる場合は伝えるとよいでしょう。
猫ひっかかれた時の処置方法を教えて!
猫にひっかかれた時、病院に行く前にすることはこちらです。
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流水で傷口をしっかりと洗い流します。
この時点で消毒薬を使用しての消毒は不要です。
表面の汚れだけでなく傷口内部の菌を洗い流すつもりで、念入りに洗うことが大事です。 -
きれいなガーゼなどで止血します。
出血量が多い時にはきつめに圧迫止血をしましょう。
猫ひっかき病の治療方法は?
ひっかかれた部分の温めと鎮痛薬の投与を行います。
免疫力のある健康な方がひっかかれた場合、これ以外の薬が処方されることはありません。
しかし免疫の弱い高齢者、免疫不全の方に対しては抗菌薬(クラリスロマイシン、アジスロマイシンなど)が処方されることがあります。
投薬期間は数週間~数か月と長くかかります。
猫ひっかき病は自然治癒するの?
免疫機能が正常な方は、自然治癒に至るケースが多いです。
リンパ節の痛みや腫れが出て心配になるかと思いますが、自然に治ります。リンパ節の腫れは数週間~数か月と長く続きます。
痛みが強いとき、膿んでしまったなど、心配な症状がある場合は受診をしましょう。
猫ひっかき病の予防法は?
猫ひっかき病はどのように予防すればよいのでしょうか?
予防法としては以下のものがあげられます。
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飼い猫を外に出さないようにする
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ノミの定期的な駆除
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爪を切る
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野良猫に触らない
1つずつ詳しく説明していきます。
飼い猫を外に出さないようにする
猫ひっかき病の原因であるノミがほかの猫から感染することを防ぐため、「家猫」として家の中で過ごすよう躾けることが重要です。
飼い猫よりも野良猫の方がバルトネラ菌に感染している確率が高いため、特に野良猫との接触は避けるようにしましょう。
飼い猫にひっかかれて病院を受診する際、ほかの猫や犬と接触があったかは重要な情報となります。
ノミの定期的な駆除
バルトネラ菌の感染経路であるノミの駆除を定期的におこないます。
ほかの猫や犬との接触がある場合は、動物病院でノミ駆除の薬を処方してもらいましょう。
薬を使うことに抵抗がある方は、ブラッシングを定期的におこなってノミがいないか確認したり、ノミ取り櫛を使用しましょう。
爪を切る
猫にひっかかれた際に傷口が深くならないよう、爪は短く切っておきましょう。
また、猫が過剰に興奮してひっかいたり咬んだりするような状況にならないよう注意することも必要です。
子どもが猫と触れ合うときに興奮してひっかいてしまうことがあるので、お子さんのいる家庭では特に爪の管理はしっかりするようにしましょう。
また、猫ひっかき病はひっかかれる、咬まれる以外にも猫の唾液から人間へ感染することがあります。
食べ物を口移しであげたり、キスをすることは避けましょう。
野良猫に触らない
バルトネラ菌の保菌率は、飼い猫よりも野良猫の方が高いとされています。
道端でばったりとかわいい猫に遭遇したら触りたくなる気持ちになると思いますが、人間に慣れていない野良猫は興奮してひっかいたり咬んだりする可能性が大きいです。
特に小さな子供は動物への興味が強いので、気を付けましょう。
飼い猫でも猫ひっかき病になるの?
猫がバルトネラ菌に感染していても、症状がないので分かりません。
そのため飼い猫であっても、ひっかかれてしまうと猫ひっかき病に感染する可能性はあります。
感染経路である「ノミ」がほかの猫や犬から感染しなければ、飼い猫が猫ひっかき病になることはありません。
家から出ないように躾けることが重要となります。
Q&A
猫ひっかき病の病原体は何ですか?
グラム陰性桿菌のバルトネラという菌のなかの、バルトネラ・ヘンセレ(Bartonella henselae)が病原体です。
「ノミ」を介して感染することがほとんどで、感染すると発熱、リンパ節の腫脹が主な症状として出現します。
猫ひっかき病の治し方は?
患部を温め、痛みが強い場合は痛み止めを内服するなどの対症療法をおこない、自然治癒を目指します。
しかし、免疫力の弱い方や免疫機能に問題がある方に対しては抗生物質が投与されます。
猫ひっかき病の死亡率は?
比較的予後の良い病気ですが、免疫機能に問題がある方が治療をしないことでまれに死亡に至るケースはあります。
猫ひっかき病の原因菌であるバルトネラ菌以外の菌を保有した猫にひっかかれて死亡した例が報告されています。
報告数としては少ないですが、とくに怖いのがカプノサイトファーガ・カニモルサス感染症です。
この感染症の原因菌は猫や犬の口腔内に常在しています。感染すると重症化して敗血症となり死に至る危険があります。
猫ひっかき病以外にも動物と触れ合うことで感染する病気はあるため、動物とのふれあい方法に気を付けること、触れ合った後の手洗いに気を付けていくなどの必要があります。
猫ひっかき病は細菌感染ですか?
グラム陰性の桿菌であるバルトネラ・ヘンセレ(Bartonella henselae)による細菌感染です。
この菌を保菌している猫は全体の5~20%とされており、猫の口の中や爪の内側にバルトネラ菌がいるとされています。
まとめ
近年のペットブームで、猫が家族の一員として生活しているご家庭も多いと思います。猫だけでなく、犬やほかの動物と一緒に生活しているご家庭も多くあるでしょう。
今回は猫ひっかき病について解説してきましたが、猫ひっかき病以外にも人間と動物が接触することで起こる感染症はあります。
これらをまとめて人獣共通感染症といいます。人獣共通感染症の中には致死率の高い病気もあります。
猫などのペットと一緒に生活することで、楽しい時間を過ごすことや癒されるなどのメリットがある一方、病気やケガの可能性があることも忘れないようにしましょう。
病気やケガは予防することで防げるものもあります。飼い主が予防方法について知ること、実践することで、ペットとのより良い時間を過ごすことにもつながります。
ぜひこちらの記事を参考に、予防に努めていきましょう。
症状がつらくなったときに病院が休みだったらどこを頼ればよいのか困ってしまいますよね。
夜間や休日でもすぐに医師に相談ができるように、ファストドクターのアプリをダウンロードしておきませんか?
本記事に掲載されている情報は、一般的な医療知識の提供を目的としており、特定の医療行為を推奨するものではありません。
具体的な病状や治療法については、必ず医師などの専門家にご相談ください。