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ノロウイルスの検査の種類は?検査の流れについて
ノロウイルスの検査は、大きく分けて2つの方法があります。
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遺伝子診断
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抗原検査
検査を行うことにより、自分がノロウイルスに感染しているのかが分かります。
ただ、検査を受ける前に理解しておくべきことは、「ノロウイルスの検査は絶対に必要なものでは無い」ということです。
なぜなら自分がノロウイルスであると判明したとしても、特効薬が存在しないからです。
下痢や嘔吐の理由がノロウイルスであっても、その他のウイルスであっても治療法や対処法に違いはありません。
ただし場合によっては検査が必要なこともあります。
乳幼児や高齢者、持病のある方など重症化の可能性が高い方など医師が必要であると判断した場合には検査を行わなければなりません。
飲食業などの特定の職業で、職場からノロウイルス検査による診断が求められるというケースもあります。
それでは、ノロウイルスの検査の詳細や流れについて順を追って詳しく解説します。
ノロウイルスの検査の種類
ノロウイルス検査は、遺伝子診断法と抗原検査に大別されます。
更に詳しく、ウイルスの検出方法まで分類すると以下のような種類があります。[1]
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遺伝子診断:RT-PCR法、リアルタイムPCR法、LAMPなど
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抗原検査:イムノクロマト法、BLEIA法、ELISA法、酵素抗体法など
使用する検査キットや検出方法は各医療機関によって異なりますが、より感度が高く正確な診断が行えるのは遺伝子診断です。
しかし遺伝子診断は通常医療機関で行われることはなく、一般的に医療機関で行われる検査は抗原検査になります。[2][3]
よく行われる検査方法はELISA法で、この検査方法の場合15分程度で結果を知ることができます。抗原検査は迅速に結果を知れるというメリットがありますが、デメリットとして感度が低いことです。つまり、ノロウイルスに感染していても陰性の結果が出ることもあるということです。
抗原検査の中で最も感度が高いのはBLEIA法で、この方法に限っては遺伝子診断と同等程度の感度があるとされています。[4]
検出方法は検査をした時期(症状出現からの時間)や症状の有無などが考慮され医師の判断によって選択されるため、患者自身が選択することはできません。
検査の流れ
いずれの検査方法で行う場合でも、検体の採取方法は同じです。
基本的には検便という方法で行います。[5]
【検便方法】
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医療機関から受け取った採便容器を使用する
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容器の採便スプーンの部分を便に刺して採取する
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固形便であれば小豆大、下痢便であれば採便スプーン2杯分程度の量を採取する
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便器や便器内の水に触れないように注意する
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採便後は速やかに提出する
※すぐに提出できない時は冷暗所で保管し1~2日以内に提出する
その他に直腸ぬぐい液や吐物を検体として使用することもできますが、ふん便での検査が基本です。
検便を行う際にトイレでの排便が困難な時は、直腸便(肛門付近にある便)を医師が採取して検査を行うこともあります。[6]
検査が不安
検便の提出や直腸便の採取などは、多くの方にとって不安や恥ずかしさを伴い、心理的なハードルが高いものでしょう。
しかし医療従事者はプロとして検体を取り扱います。患者のプライバシーには十分な配慮がされるでしょう。
また、検便の容器や提出袋も外側から見えないように工夫がなされています。
必要以上に不安や羞恥心を抱える必要はありません。
また、先述したようにノロウイルスの検査は必須ではありません。
健康な若者や成人が感染した場合、職場に依頼されたなどの特別な場合を除いて無理に検査をしなくても良いのです。
ただし、医師が検査の必要があると判断することもあるため、その際には医師の指示に従うようにしましょう。
検査の費用は?保険適用になる?
ノロウイルスの検査は一部の人を除き、基本的には保険適用外(自費診療)です。
この理由は、先述したように検査が必須ではないからです。
ノロウイルスに対する特効薬は存在しないため、ノロウイルスか否かの判定をする必要はありません。
ただし、一部の重症化しやすいと思われる方に対しては保険が適用されます。
通常保険適用の場合、年齢や身体状況などによって異なりますが基本的には0~3割負担です。
しかし保険が適用されない場合は全額自己負担となります。
全額自己負担の場合の検査費用や、保険適用になる対象者について解説していきます。
検査費用
保険適用外(自費診療)で検査を行った場合、通常3000円~4000円程度です。
更に自費診療の場合は初診料も全額自己負担となります。
初診料は医療機関によって異なるため、1000円から2000円程度の場合が多いでしょう。
また、診断書が必要な場合などは別途料金がかかるケースが多いです。
診断書の金額も各医療機関によって異なるため、確認の必要があります。
自費診療にかかる金額や診断書発行料については、各医療機関によって違いがあります。
金額に不安がある方は、事前に電話などで問い合わせてみると良いでしょう。
保険適用
保険適用の対象者は以下の通りです。[7]
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3歳未満
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65歳以上
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悪性腫瘍の診断が確定している
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臓器移植後
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抗悪性腫瘍剤、免疫抑制剤、または免疫抑制効果のある薬剤を投与中の患者
これらの対象者は、免疫力が低く重症化しやすい方です。
ノロウイルスは、他の感染性胃腸炎と比べても激しい嘔吐や下痢が比較的長く続きます。
そのため普段元気な人でも体力を消耗したり、脱水を起こしたりする可能性が高いのです。
ノロウイルス感染で最も恐いのは脱水症を起こすことです。
元々体力や抵抗力の少ない人は、脱水症を起こさないように特に注意する必要があります。
治療法
先ほどもお伝えした通り、ノロウイルスそのものを治療する薬はありません。
ただし、医師の判断によっては整腸剤や吐き気止めを処方することもあります。
下痢止めでウイルスの排出を抑えてしまうと、体の中にウイルスが滞留してしまい、悪化する可能性もあります。
市販薬は自己判断で使用しないようにしましょう。
ノロウイルスの治療として重要なことは、ウイルスを排出しつつ脱水を起こさないことです。
吐き気や下痢、倦怠感によって食事も摂れない日が続くかもしれません。
食事は無理に摂る必要はないので、水分だけは必ず摂るようにしましょう。
下痢や嘔吐によって体内の電解質が失われるのが脱水症です。
この電解質不足が心臓などの重要臓器に大きく影響を及ぼします。
そのため水分摂取には、電解質が含まれる経口補水液やスポーツ飲料を選択しましょう。
ノロウイルスの治療法
ノロウイルスそのものの治療薬はないため、症状を緩和させる治療が基本となります。
通常、5日~7日程度の整腸剤が処方されることが多いです。
高熱が伴う場合は、解熱剤が処方されることもあるでしょう。
抗生剤や下痢止めは出してもらえないのかという人もいますが、これらは悪化を助長させる要因になりかねません。
抗生剤は細菌感染症に効果のある薬です。そのため、ウイルス感染症には効果がありません。
下痢や嘔吐はウイルスを体外に出そうとする身体の防御反応です。そのため、下痢止めや吐き気止めなどで止めてしまうと体内にウイルスが溜まり重症化してしまう可能性が高まります。
また、水分摂取も困難な場合には点滴治療が必要になります。
乳幼児や高齢者、持病のある方はもちろんのこと、健康な成人であっても脱水症は生死にかかわります。
水分摂取をしてもすぐに吐き戻してしまうなど、酷い症状が続く場合はすぐに医療機関に受診しましょう。
感染後の対策と予防法
感染後に大切なことは、重症化させないことと、できるだけ人にうつさないことです。
ノロウイルスは、食品などを介したウイルス性食中毒としての感染と、人から人へうつるウイルス性急性胃腸炎としての感染があります。
感染力が非常に強いウイルスですが、適切な感染対策を行えば感染拡大を最小限にとどめることが可能です。
感染後の対策
【重症化予防】
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嘔吐や下痢は薬で止めずにウイルスを排出する
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高熱による倦怠感が強い場合は解熱剤を使用する
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少しでも食事が摂れそうなときは消化の良いものを少量ずつ食べる
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水分(電解質)補給※経口補水液やスポーツ飲料などが望ましい
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乳幼児や高齢者、持病がある人は早期に受診する
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水分摂取が困難な時は医療機関を受診する
予防策は?
感染後の対策を紹介しましたが、最も重要なことは感染しないことです。
日本では、11月頃から徐々に感染者数が増加し始め、12~1月頃に最も流行する傾向にあります。[2]
ノロウイルスに限らず、冬はウイルス感染症が流行しやすい季節です。
以下のような基本的な感染予防対策は常に意識して行うと良いでしょう。
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人混みではマスクを着用する
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調理前や食前、帰宅後、排泄後などの石鹸手洗いを徹底する
感染者や感染者と関わる方は、以下のようなことにも注意してください。
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感染者の吐物や排泄物を処理する際は、マスクやガウンを着用し素早く処理する
※使用したマスクやガウンもビニール袋などに密閉して廃棄する
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嘔吐物や排泄物、またはそれらが付着した寝具や衣類の処理を正しく行う
※塩素系消毒剤を使用し、乾燥しないうちに速やかに処理する
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感染者や感染者と接触する人はマスク着用の着用を徹底する
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家庭内で可能であれば、部屋やトイレを他者と共有しないようにする
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症状改善後も1カ月程度は糞便からウイルスが排出されている可能性があるため、排便後のトイレ内の消毒や清掃、石鹸での手洗いを徹底する
また、ノロウイルスは食品を介して感染する可能性もあります。
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汚染された井戸水などは口にしない
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二枚貝を食すときは十分に加熱処理する
以上のことに注意して感染を予防しましょう。
まとめ
ノロウイルスの検査は、検便によって行われます。
しかし、保険適用として検査が行えるのは3歳未満または65歳以上方、もしくは持病がある人のみです。
その他の方は検査は必ずしも必要というわけではありません。
検便の提出や採便は少なからず羞恥心を伴います。
そのため、職場に検査による診断を求められたなどの特別な場合を除いて、無理に検査をする必要はないでしょう。
また、ノロウイルス自体を治療する薬はないため、治療は対症療法です。
ノロウイルスに限らず、下痢や嘔吐など胃腸炎の症状がある時は、水分摂取をこまめに行い脱水症にならないように注意しましょう。
無理に普段通りの食事を摂ろうとせず、食べられるときに消化の良いものを少量ずつ食べてください。
そして感染した人だけでなく、周囲の人もマスクの着用や石鹸での手洗いなどの基本的な感染症対策を徹底し、感染拡大を予防しましょう。
検便の提出や採便は少なからず羞恥心を伴います。
そのため、職場に検査による診断を求められたなどの特別な場合を除いて、無理に検査をする必要はないでしょう。
また、ノロウイルス自体を治療する薬はないため、治療は対症療法です。
ノロウイルスに限らず、下痢や嘔吐など胃腸炎の症状がある時は、水分摂取をこまめに行い脱水症にならないように注意しましょう。
無理に普段通りの食事を摂ろうとせず、食べられるときに消化の良いものを少量ずつ食べてください。
そして感染した人だけでなく、周囲の人もマスクの着用や石鹸での手洗いなどの基本的な感染症対策を徹底し、感染拡大を予防しましょう。
症状がつらくなったときに病院が休みだったらどこを頼ればよいのか困ってしまいますよね。
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参考文献
[1]ノロウイルスの迅速簡易検出法(イムノクロマト法)|NIID 国立感染症研究所
[3]ノロウイルス検査PCR法 - 一般財団法人 東京顕微鏡院
[4]ノロウイルス検査BLEIA法 - 一般財団法人 東京顕微鏡院
[5]検便における正しい採便方法 | 飲食品取扱者・検便 | お役立ち情報 | 株式会社 東邦微生物病研究所
[6]当院における臨床検査技師によるノロウイルス検査の 現状―小規模検査室での取り組み―|J‐Stage
本記事に掲載されている情報は、一般的な医療知識の提供を目的としており、特定の医療行為を推奨するものではありません。
具体的な病状や治療法については、必ず医師などの専門家にご相談ください。