知っておこう!食物アレルギー4つのポイント
「発症したかも」と思ったらすぐに受診を!
「食物アレルギーを発症したかも」と思ったら、症状の重さに関係なく速やかに医療機関を受診しましょう。
特に初めて口にした食品がある、初めての症状があらわれた場合は注意が必要です。
アナフィラキシーであっという間に重篤化することも
アレルギーを発症して怖いのは、「アナフィラキシー」です。
発症すると急速に進行し、アナフィラキシーショックという全身のショック状態になってしまうこともあります。
あっという間に症状が進行するため、大丈夫そうだと自己判断しないでください。
また、アナフィラキシーショックは食後すぐに起きるとは限りません。
アレルギーの原因物質にふれてから6時間程度で発生する遅発型のものや、一時的に症状が軽快してから再び症状があらわれてショック状態になる場合もあります。
軽い症状でも悪化する可能性があるため、数時間は注意が必要です。
子どもに症状が出ている場合は絶対に目を離さないでください。
知っておきたい豆知識
アナフィラキシーショックとは?
アナフィラキシーとアナフィラキシーショックは異なります。 アレルギーの原因物質などの侵入により皮膚や呼吸器、消化器、循環器などに複数のアレルギー症状があらわれることをアナフィラキシーといいます。 血圧低下や意識障害を伴う場合はアナフィラキシーショックといい、ただちに医療機関での処置が必要となる命に関わる状態です。
医師の指導を受けながら適切な対処を
食物アレルギーに根本的な治療薬はありません。
対策はアレルギーの原因物質の除去、つまり食べないことです。
原因が判明した後、間違って口にしてしまった場合には症状を緩和させる薬(抗ヒスタミン薬やアドレナリン自己注射など)を使用します。
医師の指導のもと適切な対処を身につけましょう。
再発予防のために原因を特定しよう
アレルギー症状が出た後、すぐに症状が落ち着く場合もありますが、初めて症状が出た場合はその日のうちに対面で診察を受けましょう。
アレルギーの原因を特定することが、再発予防に非常に重要です。
原因が食物アレルギーだと分かったら、医師に万が一口にしてしまった場合や、アナフィラキシーを発症した場合の対応を確認しましょう。
判断に迷うなら♯8000へ相談したり、緊急性判断のためにオンライン診療の利用を検討するとよいでしょう。
食物アレルギーはどんな症状?
食物アレルギーの主な症状
- 蕁麻疹
- 皮膚の痒み、赤み
- むくみ
- 湿疹
- 咳、喘鳴(ぜーぜー、ヒューヒューする)
- 嘔吐
- 吐き気
- 下痢
- 腹痛
- 倦怠感
アレルギーが起きるしくみ
体がアレルギーの原因物質に対し過剰に反応することで起こります。
本来なら害がないはずの食品を「害がある」と判断し免疫が過剰に反応してしまうことで、症状が起きます。
例:ピーナッツアレルギー
ピーナッツを食べた時、体が害のあるものと判断、免疫細胞がピーナッツに対する抗体を作る。
そのためピーナッツを食べるたびにアレルギー反応を起こすようになる。
大人になってから発症することも
食物アレルギーは子どもだけが発症する病気ではありません。
大人になってから急に発症する場合もあります。
今まで食べられていた食品でも、思いがけずアレルギーを起こすため、発症に気が付かないこともあります。
発症時間
即時型
原因となる食べ物を摂取してから30分〜2時間以内に症状があらわれる
遅延型
発症数時間~数週間後に、一見するとアレルギーと関係ないような症状があらわれます。
症状はさまざまで、下痢や腹痛、頭痛、めまい、だるさなどがあらわれることも。
発症していることに気づかない、原因となる食物の特定が難しいなど、即時型のアレルギーとは異なる点が多いです。
運動や食物以外との関わり
食物依存性運動誘発アナフィラキシー
特定の食物を摂取した後に運動することで症状があらわれます。
散歩程度の軽い運動や、疲労・寝不足・風邪・ストレス・薬の服用によっても発症する可能性があります。
交差反応(花粉やラテックス)
直接の原因でなくても、アレルギーの原因物質と似た抗原構造を持つ他の物質に反応する場合があります。
関連する物質の例として、ラテックスや花粉が挙げられます。
ラテックス・フルーツ症候群
ラテックス(ゴム)に対するアレルギーのある人が特定の果物(モモ・キウイ・バナナ・アボカド・栗)に反応してアレルギーを発症します。
口腔アレルギー症候群
花粉症のある人が特定の食品に対しアレルギーを発症します。
特定の食物を摂取してから数分以内に、口の中や喉に痒み・腫れ・違和感が生じます。
例
- シラカバ花粉とリンゴ・モモ
- スギ花粉とトマト
食物アレルギーが関連する病気
関連して発症する病気
- ラテックスアレルギー
- 花粉症
食物アレルギーの対処方法は?
自己流の治療は厳禁
食物アレルギーはただの好き嫌いではありません。
本人の意思ではどうしようもできないものであり、症状によっては命の危険に及ぶ場合もあります。
そのため自己流で治療を試みることは絶対にやめましょう。
「アレルギーが軽いから大丈夫」と自己判断したり、医師に相談せずに市販薬や民間療法を試したりすることは避けてください。
医師の指導を受けながら適切な対処を
食物アレルギーに根本的な治療薬はありません。
症状が出た時にすぐできる対策はアレルギーの原因物質の除去、つまり食べないことです。
医療機関を受診し医師診察のもと、アレルギーの原因物質の特定を行ってください。
食物アレルギーの検査は、月齢や年齢に関わらず受けられます。
血液検査・皮膚プリックテスト・食物経口負荷試験など、種類はさまざまです。
保険適用で受けられ、未就学児は公費による補助が受けられます。
「この食品がアレルギーの原因物質なんだ」と自己判断し、特定の食品を避け続けることはNGです。
特に成長過程にある子どもにとっては、必要な栄養素が欠け続けることは良くありません。
症状があらわれたら必ず医療機関を受診しましょう。
原因が判明した後、間違って口にしてしまった場合の対策として、症状を緩和させる薬(抗ヒスタミン薬やアドレナリン自己注射など)を処方されることがあります。
医師の指導のもと適切な対処を身につけましょう。
外でもらうおやつ・外食に要注意
食物アレルギーだということがわかったら、人からもらう食べ物や外食にも注意が必要です。
特に子どもの場合は、友達や学校からおやつをもらったり、外食の際、気づかないうちにアレルギーの原因物質を摂取してしまう危険性も。
小さい子どもがいる場合、よく関わる大人や保育園や学校の先生へ周知しておくことが大切です。
理解できる年齢になってきたら本人にも言い聞かせましょう。
外食だけでなく、外で買ってきた食品などや調理工程がわからない食品にも注意が必要です。
どんなに頑張って対策していても、大人が見ていないところでアレルギーの原因物質を食べてしまう場合もあります。
疑わしい症状が出た場合は速やかに受診しましょう。
遅延型アレルギーやぶり返しに注意。「あれ?」と思ったら
アレルギーの症状はすぐに出るとは限らず、時間が経ってから生じる「遅発型」の場合もあります。
また、一度症状が落ち着いたように見えても、後から再度症状があらわれて、アナフィラキシーやショック状態になることもあります。
原因に心当たりがなくても、症状がある場合は食物アレルギーの可能性を考えましょう。
少しでも「あれ?」「おかしいな?」と感じたら迷わず医師の診察を受けましょう。
赤ちゃん・子どもに初めて食べさせる時の注意点
離乳食を始めたばかりの赤ちゃんや小さな子どもは、初めて口にする食べ物も多いでしょう。
「食べたことがないのでアレルギー症状が出るかどうか分からない」というときは、初めて食べる食品には注意をはらい、必ず少量から食べ始め、様子を見るとよいです。
・平日の午前中、病院が空いている時間帯に少量から与える
・食後1時間は症状が出ていないか様子を見る
また、アナフィラキシーや食物アレルギーが疑われる症状や、救急車が必要な症状を確認しておきましょう。
注意点
・アレルギーには遺伝性があります。親が食物アレルギーを持っている場合は注意しましょう。
・子どもに特に多いアレルギーは、ナッツ類・牛乳・卵・小麦です。
6歳以下で発症した食物アレルギーは治る可能性あり
食物アレルギーは、6歳以下の子どもでは成長とともに治るケースが多いです。約8割の方は発症しても治るといわれています。
しかし6歳以上や大人になってから発症した場合は慢性化しやすく、一生付き合う必要があることも少なくありません。
適切な治療や対策で症状を軽減できる場合もあるので、 医師の診察を受けて正しい管理や治療を続けることが大切です。
【対面で診察?救急車?オンライン診療?迷ったら】今の症状と適した受診先
受診が必要な症状について知っておきましょう。
緊急度チェックでは、症状に応じた受診先をすぐに判定できます。
判断に迷う時の相談先
- 緊急度チェックで症状に応じた受診先を判定
- #7119や♯8000(子ども)へ電話
- オンライン診療(24時間対応)で医師に相談
119番(救急車)を呼ぶ
- ぐったりしている
- 意識がはっきりしない
- 尿便を漏らす
- 唇や爪が青白い
- 息がしにくい・しにくそう
- ゼーゼーしている
- 肩で息をしている
- 強い咳き込み
- 犬が吠えるような咳
- 我慢できない腹痛
- 繰り返し吐き続ける
- 明らかに様子がおかしく自力での受診ができない
※アドレナリン自己注射を持っている場合は直ちに使用してください
至急受診を
昼夜を問わず直ちに救急外来を受診しましょう。
- 全身に蕁麻疹があらわれている
- 顔全体の腫れ
- 我慢できないほどの強いかゆみ
- 我慢できるが強い腹痛
- 咳が続く
- 胸がドキドキする
受診が必要
- 早めに医療機関を受診しましょう。
- 部分的な蕁麻疹
- 我慢できる軽いかゆみ
- 口・喉の軽いかゆみ
- 弱い腹痛
- 2〜3回の嘔吐・下痢
- 初めてアレルギー症状が出た
早めの対処
医師から処方された薬がある場合使用して1時間程様子を見てください。
以下の場合は直ちに救急外来を受診しましょう。
- 1時間経過しなくとも症状が悪化する
- 1時間しても症状が良くならない
薬を使用した後、症状が落ち着くようなら自宅で様子を見ましょう。
その場合でも、5〜10分おきに様子を確認して再評価してください。
子どもの場合は、症状が出ている間はもちろん、症状が落ち着いてから数時間は絶対にお子さんから目を離さないでください。
医師に伝えること
-
いつから症状が出たか
-
どのような症状が出たか
-
直前または数時間以内に食べた食品
-
持病はあるか
-
今使っている薬があるか
-
両親・兄弟食物アレルギーの人はいるか
病院の持ち物リスト(優先順)
緊急時(救急車)も必ず持参
- スマートフォン/携帯電話
- 家族の連絡先がわかるもの
- お財布
- お薬手帳(持病がある場合は必ず)
持参が必要
- 保険証
- 医療証
- 診察券
※保険証・医療証が無いと、費用が一時的に10割負担となることがあります
子どもに必要
子どもは下記も準備しましょう。
- 着替え
- おむつ
- おしりふき
- ビニール袋2−3枚
- 大きめのタオル(フェイスタオル等)
症状が出る前に備えられること
近隣の病院を確認しておく
近隣の夜間・休日に対応している病院やかかりつけ医の診療時間を確認しておきましょう。
タクシー会社の連絡先を確認しておく
自分や家族が体調不良のときは運転を避けましょう。
運転に気を取られ子どもの体調変化を見落としてしまったり、普段より慌ててしまい、事故につながるリスクもあります。
こうした事態を防ぐためにも、体調不良時に備えてタクシーの連絡先を確認しておきましょう。
緊急連絡先を確認しておく
勤務先や学校、幼稚園など緊急時の連絡先を確認しておきましょう。
受診に必要な物の場所を決めておく
保険証や診察券、お薬手帳、医療証、母子手帳などの置き場所を決めておき、すぐに持ち出せるよう備えましょう。
「対処法を調べる」監修医師

こうだたかゆき
神田貴行医師
日本小児科学会専門医/博士(医学)
島根大学医学部臨床教授
コンサータ登録医
鳥取大学医学部卒業後、小児科医として16年間病院勤務、11年間発達障害児対応クリニック院長を務めた。現在は小児科を中心にオンライン診療等を行うフリーランス医師としても活動中。
この記事は医師監修のもと、ファストドクター株式会社が制作しています。