痰に血が混じる原因とは?医療機関を受診する目安も紹介
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痰に血が混じる原因
痰に血が混じる原因は、必ずしも病気だからというわけではありません。体の一部で出血が起きたときにも痰と一緒に血が混じるケースがあるためです。
出血していると思われる部位は3点挙げられます。
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気管支からの出血
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肺からの出血
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鼻の粘膜からの出血
出血の原因や対処法を確認し、症状がある場合は早急に行動できるようにしましょう。
気管支から出血している
気管支が炎症を起こし、酷くなると出血を起こす場合があります。気管は喉頭(こうとう)から肺につながる空気の通り道です。気管が左右の肺に枝分かれしていくと気管支と呼ばれます。
出血の程度は血痰から大量出血までさまざまで、重症度に応じた適切な診断と治療が必要です。
おもに気管支炎や気管支拡張症の病気で出血することがありますが、インフルエンザや新型コロナウイルスなどの感染症でも起こりえます。
気管支からの出血リスクを抑えるには感染症にかからないことが必要です。こまめな手洗いやうがいをして予防に努めましょう。
十分な栄養や睡眠をとり免疫力を上げておくことも大切です。免疫力とは「外から体内に侵入してくるウイルスや細菌を防ぎ、体内に発生する異常な細胞を排除する」といった体を守る力のことです。
免疫力を上げることでウイルスや細菌から身体を守り、感染症にかかることが少なくなります。また水分を摂取すると痰の粘度が下がり出しやすくなります。
気道が傷つきにくい状態を維持できることにつながりますので、こまめな水分補給も意識してみてください。
肺から出血している
がん細胞や炎症により、肺の血管が損傷して出血を起こすことがあります。肺は空気中の酸素を取り込み、二酸化炭素に変換して吐き出す呼吸器官です。
肺がんや肺炎、肺結核といった病気が血痰を引き起こす原因のひとつです。
肺から出血すると、おもに血痰や喀血(かっけつ)として症状があらわれます。血の色が鮮やかな赤色の場合は気管支や肺からの出血の可能性があります。
肺からの出血は重大な病気であることが多いため、早急に医療機関を受診することが重要です。
呼吸器内科を受診するのが一般的ですが、呼吸困難や、胸の痛み、頻脈などになっている場合は、緊急性が高いため救急医療を受けてください。
鼻の粘膜から出血している
乾燥した空気や物理的な刺激により、鼻の粘膜や血管が損傷しやすくなり出血することがあります。鼻と口の器官は繋がっているため、鼻からの出血が痰に混じってしまうことが少なくありません。
アレルギー性鼻炎や副鼻腔炎などの炎症が鼻血を起こす原因のひとつです。
鼻の粘膜が傷ついて鼻血を起こし喉に流れ込むと、それが血痰として咳と共に排出されます。
鼻をすすったり、鼻血が喉に垂れ込むことで起こるケースが多いでしょう。血液が喉を通るときは違和感を感じることもあります。
鼻血がとまると血痰もなくなりますが、頻繁に起きる場合には耳鼻咽喉科での受診がおすすめです。
大量の出血で息苦しさを発症している場合には緊急度が高いため、すみやかに救急医療を受けましょう。
血痰(けったん)・吐血(とけつ)・喀血(かっけつ)の違い
血痰・吐血・喀血は口から血が出る症状ですが、それぞれ異なる特徴があります。実際に医師に診察してもらわないと、自己判断をするのは難しいことが多いでしょう。
血痰は痰に少量の血液が混じった状態であり、おもに気管支や肺などの呼吸器系の軽度の出血が原因となります。
咳とともに痰をティッシュに出したとき、少量の血が混じっているという経験はありませんか?
このような場合は血痰である可能性が高いです。吐血は血を吐いてしまう状態で、食道や胃からの出血です。赤黒い色が特徴で、咳を伴いません。
また、嘔吐感や上腹部痛を伴うことがあります。
喀血は痰全体が血液になっている状態で、おもに肺や気管・気管支からの出血です。量はさまざまで、少量から大量まで変化します。泡が混じることも多いでしょう。
血痰 |
吐血 |
喀血 | |
血の色 |
真っ赤 |
赤黒い |
真っ赤 |
出血部位 |
気管支、肺 |
食道、胃、十二指腸 |
気管支、肺 |
症状と血の出かた |
痰と一緒に血が混じって出てくる |
嘔吐のように血を吐いてしまう |
咳と一緒に血が出てくる |
特徴 |
痰に血が混じっている |
食べかすが混じっている |
泡が混じっている |
血痰や喀血、吐血の症状が出た場合、原因疾患の特定と適切な治療のために医療機関を受診することが重要です。
とくに、大量の出血や息苦しさを伴う場合は緊急性が高いため、直ちに受診してください。
痰に血が混じることがある病気は?
痰に血が混じる病気では気管支や肺の炎症で出血をひきおこします。
おもな病気は以下の通りです。
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気管支炎・気管支拡張症
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肺がん
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肺炎
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新型コロナ・インフルエンザ・風邪
痰に血が混じる場合、医療機関を早めに受診したほうがよい疾患であることが多いです。しかしすぐには気づかず、経過観察してしまうこともあるでしょう。
また感染症の影響で痰に血が混じることもあり、医療機関を受診するかどうかを自己判断するには難しいケースもあります。
ご自身の症状と照らし合わせて、参考にしてください。
気管支炎・気管支拡張症
気管支炎・気管支拡張症では気管支が炎症することや、炎症に伴って血管が増えるために出血が起こります。
血管が増えるのは組織を修復するうえで必要なことであり、通常は組織修復や炎症がおさまった時点で血管はなくなります。
しかし、なかには異常な血管が残るだけでなく、一緒に神経を増やしてしまい痛みを増幅させてしまうこともあるのです。
気管支炎は気管と気管支の炎症のことで、急性と慢性に分類されます。
急性気管支炎はおもにウイルス感染が原因で、症状は咳、痰、発熱などです。
慢性気管支炎は2年以上続く持続性の咳と痰が特徴で、喫煙や大気汚染が原因あることが多いです。治療は症状緩和と対症療法が中心となり、安静と適切な栄養摂取が重要となります。
気管支拡張症は、気管支が拡がったまま元に戻らない状態で、拡張した部分に細菌やカビが増殖しやすく気管支炎や肺炎を起こすことが多い病気です。
先天的な要因や幼少期から繰り返している感染症、有害物質の吸入などが原因です。治療は、症状軽減の抗菌薬や去痰薬を内服します。血痰や喀血がある場合、止血剤が必要です。
咳や血痰が長期間続く場合や、痰に混じる血が増える場合、回数が増えてきている場合には早めに医療機関を受診してください。[1]
肺がん
肺がんにおける血痰は、がんが気道に近い部位にできた場合に気管支からの出血で発生します。
とく肺門型肺がんでは、早期から咳や痰に血が混じることが多いとされています。
肺がんと診断された場合の血痰の出る頻度は、がんの種類や進行度によって異なります。
肺がんは、肺の細胞ががん化して発生する疾患です。症状は咳、痰、血痰、胸痛、息苦しさなどですが、初期症状はあらわれにくく病気の発覚が遅れてしまうことがあります。
治療法は外科療法、放射線療法、薬物療法などです。
少量の血痰が続く場合や、出血量が増える場合は速やかに受診しましょう。
大量の血痰が出た場合も同様です。また発熱や息苦しさ、体重減少など他の症状がある場合も早めに受診することが推奨されます。
呼吸器科をまず訪れ、必要に応じて専門医への紹介を受けることが重要です。[2]
肺炎
肺炎による血痰は、咳に伴う気道の傷や呼吸器からの出血により生じます。
肺炎は、細菌やウイルスによる肺胞の炎症です。肺の炎症によって出血を起こすことが考えられます。ほかの症状は発熱、せき、たん、呼吸困難です。
医療機関では、胸部レントゲンやCT検査、血液検査、喀痰検査などが行われることがあります。肺炎と診断された場合、抗菌薬による治療が考えられます。
軽度の血痰であれば自宅で様子を見ることもありますが、発熱や息苦しさがある場合、血痰の量や頻度が増える場合、数週間続く場合は医療機関を受診したほうがよいでしょう。
新型コロナ・インフルエンザ・風邪
一般的な感染症をはじめ、新型コロナやインフルエンザでも痰に血が混じることがあります。風邪症状に加えて、気管支が炎症し出血することがあるためです。
新型コロナ・インフルエンザ・風邪はそれぞれのウイルスに感染することで発症します。症状は、発熱や咳・痰、鼻水、頭痛、倦怠感(けんたいかん)などがあります。
治療は、症状にあわせて抗ウイルス薬や炎症を抑える薬、咳止め、解熱剤が処方され、自宅で療養することが多いです。
痰に少し血が混じっていた場合でもすぐ命に直結するわけではありませんが、血の量が多く継続しているときには一度受診をしてください。気管支や肺のどこかで出血している可能性があります。
また風邪や感染症が治っていくと血痰もおさまりますが、風邪が治っても血痰が続く場合は要注意です。血痰の量が少量であっても、違う疾患が隠れていることがあります。
痰に血が混じるのはストレスが原因のケースはある?
ストレスが原因で痰に血が混じることは少ないといわれています。血痰が出るのは気道や肺からの出血とされていますが、ストレスが出血の直接の原因とはならないからです。
ストレスが血痰につながるケースは、ストレスが免疫機能に悪影響を及ぼし、感染症にかかりやすくなる場合です。免疫機能とは、ウイルスや細菌から身体を守る防御システムのことをさします。
ストレスにより免疫機能が低下することでに、風邪や気管支炎などの感染症を発症しやすくなります。
風邪や気管支炎を発症すると、気道の粘膜が傷つき出血することで血痰が生じる可能性があるでしょう。
ストレスは気管支炎の症状を悪化させ、咳が長引いたり、気管支が収縮することで呼吸がしづらくなったりします。
ストレス管理はもちろんのこと、バランスのよい食事や十分な睡眠をとり回復に努めましょう。
痰に血が混じったときの対処法(少量・多量)
痰に血が混じったとき、少量であれば一時的な血痰である可能性があるためしばらく様子を見てもよいことが多いです。
ただし少量の血痰が続く場合や徐々に血痰の量が増える場合、発熱や息苦しさを伴う場合はできるだけ早めに医療機関を受診してください。
ティッシュが1枚赤く染まるほど大量の血痰や呼吸困難がある場合は、迅速な診察が必要です。こちらは重大な疾患であることが予想されます。
そのため、夜間や休日でも迷わず時間外外来などを受診しましょう。移動が困難な場合は救急車を呼んでください。治療は原因に応じて異なり、止血剤の投与や手術が検討されます。
喫煙は出血リスクを高めるため、禁煙をおすすめします。痰に血が混じっているときは、慌てず症状を確認してください。忘れないためにも経過をメモに残すとよいでしょう。
よくある質問
痰に血が混じる症状は、日常の細かい原因から病気のサインまで幅広く考えられます。 不安を感じる方も少なくありません。とくに多く寄せられる質問をピックアップし、以下に解説していきます。
血混じりの痰が出る原因は何ですか?
血混じりの痰が出る原因は、おもに呼吸器系の軽度の出血が原因です。気管支や肺が炎症したり損傷したりすることで出血が起こります。
原因となる呼吸器系の病気には、肺がん、気管支拡張症などがあります。鼻出血が後ろに垂れ込む場合や口・喉の出血でも起こりえます。
症状の程度によっては、医療機関を受診する必要があります。一時的であるか、血痰が続くか、血の量は増えていないかなどを確認して、症状が続く場合は念のため医療機関を受診しましょう。
風邪で痰に血が混じったらどうしたらいいですか?
風邪で痰に血が混じった場合、まずは安静にして経過をみてください。多くの場合は、風邪の症状が回復するとともに痰に血が混じることもなくなります。
咳による刺激で気道に傷がつき出血していることが考えられるため、風邪の症状が治るにつれて血痰もおさまるでしょう。十分な栄養や睡眠を心がけ休息してください。
風邪の回復を待つ間は、激しい運動や長時間のお風呂、飲酒は控えましょう。血行がよくなり、出血が長引く可能性があります。
血の混ざった痰は病気ですか?
血の混ざった痰は、すべてが病気であるとは限りません。風邪やインフルエンザなどの感染症で軽度の出血が起こる場合や鼻血が喉に垂れ込み血痰として出てくることがあるからです。
風邪やインフルエンザで気管支が炎症を起こし出血してしまう場合、症状が回復するにつれて血痰もおさまってきます。鼻血に関しても同様です。症状が一時的なものであるか、続いているかを観察してみてください。
風邪が治っても血痰が続く場合や出血量が増えてくる場合は、他の病気の可能性もあるため、医療機関を受診しましょう。
血痰の原因はストレスですか?
ストレスが直接的に血痰の原因となることはありません。ただし、間接的に原因となることはあり得るでしょう。ストレスが蓄積されると身体の免疫が落ち、感染症にかかりやすくなるためです。
感染症にかかり、結果的に風邪や気管支炎から血痰を生じることがあります。もともと気管支系の病気を患っている場合には、ストレスが症状悪化を引き起こし血痰の発生や増加につながることも考えられます。
ストレスはあくまで間接的な原因です。血痰が続く場合には、肺がんや結核などの重大な病気の可能性もあるため、早めに医療機関を受診するようにしましょう。
まとめ|痰に血が混じっても慌てずにまずは様子を見よう
この記事では、痰に血が混じる原因について解説しました。痰に血が混じる原因としては、以下の通りです。
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肺から出血している
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気管支から出血している
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鼻の粘膜から出血している
痰に血が混じっていても一時的なものであれば、様子をみても問題ありません。
慌てずに、症状が続くのか、一時的なものかを観察しましょう。血痰が続く場合や出血量が多くなる場合には医療機関を受診してください。
その場合には、診察や検査を受け、適切な治療を開始することが重要です。
症状がつらくなったときに病院が休みだったらどこを頼ればよいのか困ってしまいますよね。
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参考文献
本記事に掲載されている情報は、一般的な医療知識の提供を目的としており、特定の医療行為を推奨するものではありません。
具体的な病状や治療法については、必ず医師などの専門家にご相談ください。