胃腸炎にかかったら出席停止になる?ほかの感染症で休むべき目安も紹介

公開日: 2025/01/29
お腹が痛くなったり、吐き気がしたりすると「これって胃腸炎?」「学校を休んだほうが良い?」と不安になるでしょう。 とくに、受験シーズンや学校行事で忙しい時期はいつまで休むべきなのか悩んでしまうものです。 感染するタイプの胃腸炎の場合、医師が「感染の恐れがない」と判断するまで出席停止になることがあります。 ただし、出席停止日数の明確な基準はありません。 本記事では胃腸炎の種類や症状、学校を休む基準について解説します。 「どれくらい休めばいい?」「いつから学校に行っても大丈夫?」といった疑問も解消できるでしょう。
胃腸炎
オンライン診療で対応可能です
オンラインでもいつもと同じ診察
  • 医師の丁寧な問診
  • いつものお薬を処方
  • ビデオカメラ、写真での視診
症状によって対面医療機関をご紹介します。その場合、オンライン診療費用はかかりません。
症状の緊急度が気になる方はこちら

胃腸炎は出席停止になる?

胃腸炎は「感染性」と「非感染性」の2種類に分けられ、感染性の場合は出席停止になることがあります。

感染性胃腸炎はウイルスや細菌による感染が原因で、その名のとおりほかの人に感染する恐れがあります。この場合、医師が感染の恐れがないと認めるまで出席停止になることがあります。

ただし、インフルエンザのように「何日間は出席停止」といった明確な基準はありません。

一方で、非感染性胃腸炎はストレスやアレルギー、薬剤の副作用などが原因です。ほかの人に感染するリスクがないため、通常は出席停止にはなりません。

ただし、体調が悪い場合は無理をせず休みましょう。いずれの場合も、医師の診断や学校の判断に従う必要があります。

とくに受験シーズンや運動会など、大事な行事がある時期は休むことをためらうでしょう。しかし自分の体調を整え、ほかの人への感染を防ぐことも大切です。症状が治るまでは、しっかり療養しましょう。

感染症による出席停止や登園禁止について

学校や幼稚園・保育園では感染症が広がらないようにするための「学校保健安全法」や「保育所感染症ガイドライン」というルールがあります。

「学校保健安全法」は感染症にかかった児童生徒への出席停止や臨時休業に関するルールです。

出席停止や登園禁止になる感染症は、3つの特徴をもつものが対象となります。

  1. 感染力の高さ:出席停止になる感染症は、他人に感染するリスクが高く、学校や職場での集団感染を引き起こす可能性が高い

  2. 症状の重篤性:高熱や呼吸にかかわるような重い症状を引き起こす可能性がある

  3. 公衆衛生上のリスクが高い:感染が広がることで、社会全体の健康に対して悪影響を及ぼす可能性があるが高まる

いわゆる風邪の場合はほかの人にうつる力がそれほど強くないので、学校のルールとして「欠席」扱いになります。一方で、インフルエンザや水ぼうそうなど感染力が強く集団感染を引き起こすような病気の場合、校長が出席停止を指示できます。[1]

病気の名前

登校できるタイミング

ノロウイルスなどの感染性胃腸炎

医師が「感染の恐れがない」と判断したとき

インフルエンザ

発症後5日、かつ熱が下がった後2日が経過

溶連菌感染症

抗菌薬を飲み始めて24時間以上が経過し、症状が安定している

水ぼうそう

全ての発疹がかさぶたになったとき

出席停止となった期間は欠席扱いにはなりません。お葬式で休む「忌引き」と同じ扱いです。

幼稚園や保育園でも、感染症にかかった場合には登園を控えるようお願いされる場合があります。厚生労働省が定めた「保育所における感染症対策ガイドライン」というルールに従って決まります。

登園再開の際は、医師が書いた「治癒証明書」または「意見書」が必要です。園のルールによっては追加で書類提出が求められるため、事前に確認しましょう。[2]

感染性胃腸炎はどんな病気?

感染性胃腸炎は、ウイルスや細菌などが原因でおこる病気です。とくにウイルスによるものが多く、秋から冬にかけて流行します。

ノロウイルスやロタウイルスがよく知られていますが、細菌や寄生虫が原因になることもあります。感染してから症状がでるまでの潜伏期間は1〜3日程度です。[3]

学校保健安全法では感染性胃腸炎にかかった場合、医師が「感染の恐れがない」と判断するまで出席停止が求められます。[4]

 

ノロウイルス

ロタウイルス

細菌性胃腸炎

寄生虫性胃腸炎

症状

吐き気・嘔吐・下痢・発熱・腹痛

嘔吐・下痢・発熱

下痢・腹痛・発熱・嘔吐・倦怠感

長期間続く下痢・腹痛・吐き気・体重減少

症状が続く期間

24〜48時間

5〜6日

2〜7日

数週間〜数か月

特徴

  • 風邪のような症状

  • 無症状の場合もある

  • 風邪のような症状

  • 無症状の場合もある

  • 重症化する場合がある

  • 脱水症状になることがある

  • 軽症のことが多い

  • 免疫力が低下している場合重症化することがある

診断方法

  • 症状や流行状況に基づき医師が判断

  • 必要に応じて便検査で病原体を特定

  • 症状や流行状況に基づき医師が判断

  • 必要に応じて便検査で病原体を特定

  • 医師が症状を確認

  • 便培養検査で病原体を特定

  • 顕微鏡検査

  • 便検査

治療法

  • 特別な治療法はない

  • 症状に応じた対症療法

  • 特別な治療法はない

  • 症状に応じた対症療法

  • 抗生物質が必要な場合もある

  • 脱水を防ぐために水分補給が重要

  • 抗寄生虫薬を使用することがある

  • 水分補給

注意点

  • 脱水症状に注意し水分補給を心がける

  • 回復期には消化しやすい食事を選ぶ

  • 乳幼児が感染すると重症化する恐れがある

  • 水分補給と消化しやすい食事を心がける

  • 生ものや加熱不足の食品を避ける

  • 生ものや加熱不足の食品を避ける

  • 手洗いや調理時の管理を徹底する

感染性胃腸炎にかかると吐き気や嘔吐、下痢、発熱、腹痛といった症状があらわれます。

感染しても症状がでない場合や軽い風邪のような症状だけの場合もあるため、周囲への感染予防が大切です。

感染性胃腸炎には特別な治療法はありませんが、症状に合わせたケアが必要です。吐き気や下痢がひどい場合は、早めに医療機関を受診しましょう。

水分が失われやすいため、水やスポーツドリンクを少しずつ補給しましょう。症状が落ち着くまでは家で安静に過ごし、体をしっかり休めることが大事です。

非感染性の胃腸炎について

非感染性の胃腸炎はストレスや薬の副作用、アレルギーなどが原因でおこります。感染するリスクはないため、基本的に学校や幼稚園、保育園は出席停止扱いにはなりません。

原因

症状

対策

ストレス

腹痛・吐き気・下痢・胃の不快感

  • リラックスできる時間を増やす

  • 十分な睡眠をとる

薬の副作用

吐き気・下痢・胃のむかつき

医師に相談し薬の調整をする

アレルギー

腹痛・吐き気・下痢

原因となる食べ物を避ける

症状はどれも似ているため、原因をしっかり把握して適切な対応をすることが大切です。出席停止にはなりませんが、無理せず体を休めましょう。

胃腸炎以外で出席停止扱いになる病気は?

胃腸炎以外でも出席停止扱いになる病気がいくつかあります。

学校保健安全法施行規則 第19条に基づき、感染症の種類によって第一種、第二種、第三種に分類されます。[5]

分類

主な病気の例

出席停止期間の目安

第一種

  • エボラ出血熱

  • クリミア・コンゴ熱

など

完全に治癒するまで

第二種

インフルエンザ

発症後5日かつ解熱後2日経過するまで

麻しん(はしか)

解熱後3日経過するまで

水ぼうそう

全ての発疹がかさぶたになるまで

第三種

  • コレラ

  • 流行性角膜炎

  • 細菌性赤痢

など

医師が感染の恐れがないと判断するまで

第三種

その他の感染症

手足口病

  • 発熱や口内の水ぶくれを伴う急性期は出席停止

  • 全身状態が改善すれば登校可

溶連菌感染症

抗菌剤治療開始後24時間を経て全身状態が良ければ登校可

マイコプラズマ感染症

  • 急性期は出席停止

  • 全身状態が良ければ登校可

伝染性紅斑(りんご病)

発疹のみで全身状態が良ければ登校可

第一種および第二種の感染症には明確な出席停止基準があります。一方、第三種は必ずしも出席停止になるわけではありません。

感染性胃腸炎は第三種「その他の感染症」に分類されます。

第三種「その他の感染症」の対象となる感染症は感染性胃腸炎以外にもあります。

  • 溶連菌感染症

  • ウイルス性肝炎

  • 手足口病

  • 伝染性紅斑

  • ヘルパンギーナ

  • マイコプラズマ感染症

学校内で感染症が流行したとき、感染拡大を防ぐために学校長が医師の意見を聞き、特別な対応をとることがあります。感染症の種類や学校の流行状況によって休まなければならない場合もあるのです。

よくある質問

胃腸炎になると「学校に行っていいのか」「何日休めばいいか」など、多くの疑問がでてきますよね。

よくある質問を一つずつ確認してみましょう。

胃腸炎で中学校や高校は登校禁止になりますか?

感染性胃腸炎の場合、中学校や高校では「登校禁止(出席停止)」となることがあります。

「学校保健安全法」に基づく規則で、中学校や高校にも適用されます。

とくにノロウイルスやロタウイルスによる胃腸炎の感染力は強いです。学校で広がるリスクを防ぐためにも、医師が「感染の恐れがない」と判断するまで登校を控えたほうがよいでしょう。

一方で、ストレスやアレルギーによる非感染性胃腸炎は、感染することがないため出席停止の必要はありません。ただし、体調が悪い場合は無理をせず休みましょう。

胃腸炎での出席停止は何日間?

感染性胃腸炎での出席停止期間は明確に定められていません。

医師が「感染の恐れがない」と判断し、症状が回復して普段どおり食事がとれていれば登校可能です。

  • 食欲があり食事がとれている

  • 下痢が治っている

  • 嘔吐が治っている

  • 解熱している

出席してもよいか不安な場合は、医師に相談しましょう。

出席停止扱いになる病気は?

学校保健安全法によって、出席停止扱いになる病気はいくつかあります。

  • インフルエンザ

  • 水ぼうそう

  • 溶連菌感染症

  • 手足口病

  • 麻しん(はしか)

  • おたふく風邪

など

感染症によって、出席停止の期間は異なります。

感染症の疑いがある場合は、学校や園に早めに連絡しましょう。

まとめ:胃腸炎のときは、医療機関を受診して学校や職場に連絡しましょう

感染性胃腸炎はウイルスや細菌が原因でおこる感染症で、感染力が強いです。そのため、完治するまで学校や職場を休む必要があります。

感染性胃腸炎の場合、医師が「感染の恐れがない」と認めるまで出席停止になることがあります。早めに医療機関を受診し、学校や職場への連絡をおこないましょう。

非感染性の胃腸炎は出席停止になりませんが、体調が悪ければ無理せず休養しましょう。

とくに、受験シーズンや学校行事の時期は出席を迷うでしょう。ほかの人への感染を防ぐためにも、症状が治るまではしっかり療養することが大切です。無理をせず、体調を整えましょう。

症状がこれ以上悪化しないか不安ではないですか?

症状がつらくなったときに病院が休みだったらどこを頼ればよいのか困ってしまいますよね。

夜間や休日でもすぐに医師に相談ができるように、ファストドクターのアプリをダウンロードしておきませんか?

<参考文献>

[1](3)学校における感染症対策

[2]保育所における感染症対策ガイドライン(2018年改訂版)

[3]感染性胃腸炎(ウイルス性胃腸炎を中心に) infectious gastroenteritis | 東京都感染症情報センター

[4]学校保健安全法施行規則 第十九条

[5]分類 病名 出席停止の基準 第 1 種 (※) 第 2 種 第 3 種 そ の 他 の 感 染 症

本記事に掲載されている情報は、一般的な医療知識の提供を目的としており、特定の医療行為を推奨するものではありません。

具体的な病状や治療法については、必ず医師などの専門家にご相談ください。

FastDoctor
ドクターの往診・オンライン診療アプリ
往診もオンライン診療も
アプリから便利に相談
App Storeからダウンロード
Google Playで手に入れよう
TOP医療コラム胃腸炎にかかったら出席停止になる?ほかの感染症で休むべき目安も紹介