認知行動療法

認知行動療法とは?

実際に起こったできごとについて、どのように捉えるか(どのように受けとるか)といった、いわゆる「ものの見方」のことを「認知」と言います。同じできごとでも人によって受け止め方には違いがあり、不安やストレスを強く感じやすい人は、物事を悲観的・否定的に捉えてしまうことも少なくありません。人にはそのような「認知の癖」があります。
認知行動療法は、自分の認知の癖に気づき、現実をよりバランスよく受け止められるように整えていくことでストレスや不安を軽減していく精神療法(心理療法)です。

つらくなったときに頭に
浮かんだ考えやイメージと
向き合う

認知行動療法では、つらさや不安などを感じたとき、少し立ち止まって自分の頭の中に浮かんだ考えやイメージに注目します。この 「自然と頭の中に浮かんだ考えやイメージ」を「自動思考」 と言います。自動思考が悲観的だと、そこから生まれる感情も悲観的なものになってしまいます。そのため、ストレスを感じたときにこそ起こった物事と自動思考とを丁寧に整理し、 「他の考えた方はできないかな?」と考えてみること(=自動思考の幅を広げたり変化させること)で心が楽になれる方法を身につけていきます。

認知や行動を変えるために
たくさんのスキルが
あなたを支えます

認知行動療法には、他にも「スキル」と呼ばれる課題解決のための技法がたくさんあります。 自動思考にとらわれないためのマインドフルネススキル、問題を上手に解決するための問題解決技法、自分の気持ちや考えを相手にうまく伝えるためのアサーションスキル、不安や緊張を軽減するためのリラクセーション法など。 言葉だけを聞くとなんだか難しそうと感じてしまうかもしれませんが、すべて日常生活に取り入れられるものばかりです。あなたにとって必要なスキルから徐々に取り入れていきましょう。

感情や行動は、
ものの見方で大きく変わる

例をひとつ
あげてみましょう

仕事でミスをして、
上司から叱責された場面を
想像してみてください。
さぁ、今どんな考えが浮かんで
いますか?
「ミスをして怒られることは
恥ずかしい」と思えば、
肩を落とし、気持ちが沈んで、
やる気を失ってしまうでしょう。
一方で、「怒られるということは
期待されていることだ」と
捉えた場合はどうでしょう。
なんだか気持ちが楽になってやる気も高まってきませんか?
このように、同じ出来事を体験しても
それをどのように捉えるか
/解釈するか
によって、その後に起こる感情や行動はずいぶん違ってきます。

認知行動療法では
物事の捉え方を
柔軟にすることで、
今あるストレスを和らげ、
新しいストレスにも強い、
しなやかなこころを
育てます。

認知行動療法の進め方

step 1

気づく

まずはあなたがストレスや不安に感じる場面や状況を思い出してみましょう。

step 2

整理する

そのとき自分がどう感じたのか、結果としてどのような感情や行動につながったのかを整理していきましょう。

step 3

スキルを学ぶ

自分の考え方の癖を明らかにし、より柔軟なものの見方を身につけるためのスキルを学びます

step 4

練習する

日々の生活の中で、学んだスキルをどんどん試してみましょう。

step 5

活動する

以前よりも自由な考え方ができるようになってきたら、問題を解決する方法や人間関係を改善する方法など、必要なスキルを学びながら今できることに取り組んでいきましょう。

step 6

振り返る

最後に、学んだことや成し遂げたことを振り返り、得たスキルを今後の生活や人生においてどのように活かしていくかを考えます。