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仕事の合間にホッ。
20分毎のティーブレイクで感染症予防

連載「今こそ知りたい、感染症予防」
ここ最近、新型コロナウイルス関連のニュースを目にしない日はありません。
感染拡大防止のためにイベント自粛も呼びかけられているいま、きちんと感染症予防に取り組むことは大人のマナーです。
そこで本連載では、医師監修のもと、数回にわたり感染症予防の基礎をおさらいします。

「飲むだけ」で予防できる二つの理由

感染症予防の基本といえば前々回紹介した手洗い。
ですが、そのほかにも医療従事者の中にも実践している人が多いという意外な感染症予防の方法があるんです。


それは「こまめに飲み物を飲むこと」。

え? なんで? その理由はふたつがあります。一つ目はウイルス・菌を体内から排出してくれる「線毛(せんもう)」の働きを助けるから

線毛は鼻や喉の粘膜に存在する1000分の1ミリ程度の毛。1秒間に15回程度の速さで運動すると言われており、線毛はウイルスや菌を咳やタンとして体外へ排出したり、唾液と一緒に胃に運んで分解を促す役割を担っています。しかし、そんな線毛にも弱点があります。それは「寒さ」と「乾燥」。デリケートな線毛を守るためにも、できれば温かい飲み物で喉を潤おすことが大切なのです。

「飲むだけ」で感染症予防できるもう一つの理由は、のどについた菌を胃に流し込むことで、胃酸で不活化することができるから

喉に付着した細菌やウイルスは、喉の乾燥によって増殖して炎症を起こします。そうなる前に、喉に付着した少量の細菌やウイルスを胃に流し込んでしまおう!という原理です。医療従事者も、感染症予防のために実践している人も多いそう。

飲むならお茶がベスト

では、何を飲むのがベストなのでしょうか。

調べてみると、静岡県立大学(薬学部)と伊藤園が共同研究に、緑茶に含まれるエピガロカテキンガレート(EGCg)が、新型インフルエンザウイルス(H1N1)予防に有効であることを示す実験結果がありました。

出典:株式会社 伊藤園 提供資料より

研究では医療施設の職員 197 名を対象としたインフルエンザ 感染に関する試験を実施。対象を 2 つのグループに分けて、片方には緑茶の成分(カテキンとテアニン)のカプセルを、他方には緑茶の成分を含まないカプセル(プラセボ)を、 5 ヵ月間摂取した結果、カテキン・テアニン群では、97 名中 4 名がインフ ルエンザに感染したのに対し(発症率 4.1%)、プラセボ群では、99 名中 13 名の感染(発症 率 13.1%)が認められました。

つまり、カテキンによりインフルエンザ感染が抑制される可能性が示されたのです。

お茶の頻度は20分に1度が目安

カテキン(お茶)が感染症予防に良さそう!ということがわかりました。ではどれくらいの頻度で飲めばいいのでしょうか。

インフルエンザウイルスの場合、ウイルスが粘膜に接触してから約20以内に感染が完成するともいわれているそう。

つまり15分〜20分置きに何かを飲むんでウイルスを胃に流すと、胃酸で死滅させることができるのです。

とはいえ20分に1度のティーブレイクができればいいのですが、そんな優雅なことはしてられない!という人も多いでしょう。

その場合はウイルスが付く可能性の高い場所に行ったあと、手洗いと合わせて「お茶を飲む」ことを実践するだけでも予防できる確率はあがりそうです。

だんだん暖かくなってきたとはいえ、まだまだ寒い日も続く今日この頃。

温かいお茶でも飲んで、心も体もホッとひといきついてはいかがでしょうか。

監修_菊池亮

文_諫山由梨子