「手で口を覆う」はNG。
咳エチケット、虎の巻
連載「今こそ知りたい、感染症予防」
ここ最近、新型コロナウイルス関連のニュースを目にしない日はありません。
感染拡大防止のためにイベント自粛も呼びかけられているいま、きちんと感染症予防に取り組むことは大人のマナーです。
そこで本連載では、医師監修のもと、数回にわたり感染症予防の基礎をおさらいします。

「咳エチケット」、あなたはできてる?
新型コロナウイルスが猛威を振るういま、通勤電車の中でコホンと咳払いしただけで怪訝な顔で見られた…なんて話も最近よく聞きます。
そんな今だからこそ知っておきたいのが正しい「咳エチケット」。
そもそも「咳エチケット」という言葉ができたのは約18年前のこと。重症急性呼吸器症候群(SARS)が流行した後に、米疾病対策センター(CDC)のガイドラインに加わり広く認知されるようになりました。
そのガイドラインによると「咳エチケット」とは…
1)咳やくしゃみの症状があるときは、マスクを着用すること
2)マスクをしていないときは、必ず人から顔をそむけてすること
3)マスクをしていないときは、できる限りティッシュで口と鼻を覆うこと
4)使用後のティッシュはふたのついたごみ箱等に捨てること
5)その後手指衛生を行うこと(手洗い、手指消毒)
6)マスクやティッシュがない場合、手で口や鼻を覆わず、腕で覆うこと
出典:ノロウイルスによる食中毒の現状と対策について(厚生労働省HPより)
という旨が記されていました。(1)〜(5)に関しては多くの人ができていることでしょう。しかし(6)に関しては、花粉症シーズンのいま、咄嗟に出たくしゃみを手で覆ってしまっている人も多いのではないでしょうか。
いやはや失敬、筆者もそのうちの一人でした。
手で覆ってはいけない二つの理由
医師によると、手で覆っていけない理由はふたつだそう。
ひとつは、ウイルスや菌のついた手でものに触れることで接触感染の原因になるから。もうひとつは手で押さえているつもりでも、隙間から飛び散ることで飛沫感染する可能性があるからだそうです。
ちなみに、何もせずくしゃみや咳をすると飛沫は約2メートルも飛ぶそう。
それに比べると手で覆う行為は一見エチケットを守れているようですが、厚生労働省のホームページには、何もせずくしゃみや咳をするのと並んで「悪い事例」として紹介されていました。

咳・くしゃみ対策、正解は3パターン
では、どうすればいいのでしょうか。
厚生労働省のポスターに「進撃の咳エチケット」というタイトルとともに、正解がわかりやすく啓示されていました。はい、ドン!

正解は、下記の3つです。
- 1 マスクを付ける
- 2 ティッシュ・ハンカチで口を覆う
- 3 袖で口・鼻を覆う
なるほど。マスクやティッシュがないときは、エレン(イラスト真ん中)のように袖の内側で口と鼻を覆うといいのだと分かります。このとき、飛沫しないよう隙間を作らないよう意識するのこともお忘れなく。
とはいえ、咳やくしゃみが出そうなときに咄嗟にこのポーズをとれる人は少なそう……。マスクがあれば安心ですが、マスク不足の今だからこそ覚えておきたいエレンポーズ。一度練習してみると、安心です。
「進撃の咳エチケット」でウイルスも不穏なムードも駆逐したい今日この頃。
ひとりひとりの努力で、感染症を拡大させぬよう力を合わせましょう。
監修医師_菊池 亮
文_諫山由梨子