扁桃周囲膿瘍の特徴・症状と治療法について【医師監修】

公開日: 2024/02/05 更新日: 2024/02/05
このページでは、扁桃周囲膿瘍の症状や治療法、今すぐ医師に相談したい場合の方法についてお伝えしています。

扁桃周囲膿瘍について

扁桃周囲膿瘍の特徴・症状

扁桃周囲膿瘍は、急性扁桃炎に続いて、炎症が口蓋扁桃の周りに及ぶことによって起きます。

多く発症するのは30代の男性です。

炎症が扁桃に起きて扁桃被膜外に及ぶと扁桃周囲炎が起き、膿瘍になれば扁桃周囲膿瘍になります。

ほとんどは片側性の感染で、上咽頭収縮筋と扁桃の間に膿瘍はできます。

一般的には、細菌がいくつか関係しますが、頻度が最も高い好気性病原菌はブドウ球菌とレンサ球菌です。

主な嫌気性病原菌はバクテロイデス属です。

扁桃周囲膿瘍の特徴は、激しい咽頭痛で、一般的には片側のみです。

感染する範囲が拡大した場合は、開口障害、耳への放散痛が起きます。

よだれが垂れて、唾液を飲み込むのもできなくなります。

高熱が全身にあり、ほとんど口から摂ることができなくなります。

脱水状態、全身倦怠感になります。

赤く強く口蓋扁桃と周りの粘膜が腫脹して、口の中に口蓋扁桃が張り出します。

扁桃周囲膿瘍の診断と検査

扁桃周囲膿瘍は、容易に口腔内を診ることによって判断ができます。

しかし、扁桃周囲膿瘍になっている場合は、原因である細菌やウイルスがどのようなものであるかを調査する必要があります。

検査する方法としては、いろいろなものがありますが、一般的には、原因である細菌やウイルスを調査するために腫れている扁桃腺の膿や粘膜を採る場合が多いようです。

溶血連鎖球菌が細菌として感染しているものの可能性があれば、迅速に溶連菌診断キットなどを使って調査することがあります。

また、リンパ組織である桃腺は、白血球の数に扁桃腺が腫れると異常が起きることが多くあります。

そのため、白血球の数を調査するために、血液検査を行うこともあるようです。

扁桃周囲膿瘍の治療法

急性扁桃腺炎と同じような喉の痛みや高熱、関節痛などの症状の場合は、治療法としては急性扁桃腺炎と同じものになります。

抗生物質をまず処方して、扁桃腺の炎症が起きているウイルスや細菌を殺菌します。

感染が細菌による原因の場合は効果が期待できますが、ウイルスによる原因の場合は効果が期待できないと言われています。

そのため、治療法としては対症療法になります。

対処療法としては、解熱剤を処方して炎症を抑えたり、熱を下げたりしたり、抗炎症剤を処方してのどの炎症を抑えたりします。

膿が扁桃周囲膿瘍によってできていると、完治するためには膿を出す必要があります。

そのため、膿を出すために、膿の箇所を注射器で吸ったり、メスを入れたりします。

扁桃周囲膿瘍は、再発する場合もあるため、口蓋扁桃摘出術を医師がすすめることがあります。

免疫に関係する器官である扁桃は、5歳までの小さい子供の場合は特に大切な箇所です。

しかし、小さい子供の場合でもひどい症状などであれば、手術をすることがあります。

成人の場合は、小さな扁桃になり、小さい子供に比較して重要性はあまりなくなります。

また、慢性扁桃炎のように扁桃炎が繰り返すと、合併症の腎炎や関節リウマチなどのリスクが高くなります。

このような場合は、予後は手術をする方が良くなります。

扁桃周囲膿瘍の予防

扁桃周囲膿瘍は急性扁桃腺炎が悪くなることによって発症するものですが、予防するためには、注意して急性扁桃腺炎にならないようにすることがまず大事です。

ここでは、普段の生活において注意することについてご紹介しましょう。

  • 風邪を防ぐ

急性扁桃腺炎は、免疫力が風邪によって下がるとよく発症するようになります。

そのため、注意して風邪をひかないようにすることが大事になります。

湿度と温度が下がることによって、ウイルスや細菌は活発に動くと言われています。

そのため、部屋の中の湿度や温度を、空気清浄機や加湿器を使用してコントロールしましょう。

また、ウイルスや細菌が喉の粘膜に付いていることもあるので、外から帰った場合は手洗いやうがいを行うことも大事です。

  • 免疫力が下がらないようにする

ウイルスや細菌は体の免疫力が下がることによってよく増殖するようになり、急性扁桃腺炎が起きる原因になります。

また、化膿性扁桃腺炎が急性扁桃腺炎が悪くなって発症する一つの原因は、免疫力が下がることであると考えられます。

そのため、免疫力が下がらないようにすることが、扁桃周囲膿瘍を防ぐためには大事です。

規則正しい生活を普段から心がけて、寝不足や過労を防ぐようにしましょう。

いいバランスの食事を摂ることも、免疫力を上げるためには必要です。

そのため、1日にしっかりと3食の食事を摂って、偏食しないようにしましょう。

  • 喉が乾かないようにする

粘膜のバリア機能が喉が乾くことによって弱くなり、ウイルスや細菌がよく増殖するようになります。

そのため、喉が乾くことを防ぐために、部屋の中の湿度を維持するように心がけましょう。

部屋の中の空気が乾いていると思った場合は、マスクを着けることも効果が期待できます。

記事監修
  • 名倉 義人
    救急科専門医

    ・平成21年 名古屋市立大学医学部卒業後、研修先の春日井市民病院で救急医療に従事 ・平成23年 東京女子医科大学病院 救急救命センターにて4年間勤務し専門医を取得 ・平成27年 東戸塚記念病院で整形外科として勤務 ・令和元年 新宿ホームクリニック開院

    日本救急医学会、日本整形外科学会

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